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(短編集)
煙の殺意
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煙の殺意の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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推理小説作家が名作と強く勧めている短編集だ。作者は文章に癖が無く、題材に合わせ、一人称・三人称と語り口・視点を使い分ける。軽妙な話の展開の内に、見事に謎解きの面白さを描き分けて見せる。本格推理小説というのはトリックにも限りがあり、トリックの妙で売っているのではない。この変幻自在で軽妙な語り口にあると思う。読んでいて楽しく、気持ちを軽くしてくれる娯楽作品になっている。 | ||||
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本書には特定の主人公のいないノン・シリーズの8作の短編が収録されている。 冒頭の「赤の追憶」は異色作だが、それ以外は亜愛一郎シリーズを思わせるユーモアが楽しめる。 トリックよりも独自の論理の展開に切れを見せる作品が多い。 全8作の中では、刑務所を出所した2人の男の公園でのユーモラスなやり取りから公園の異常な状況が徐々に浮かび上がる「紳士の園」、女性2人の手紙のやり取りからその背景が浮かび上がっていく「閏の花嫁」、警察官たちがデパートの大火災のテレビ中継を見ながら殺人事件の謎を解き明かす「煙の殺意」が傑作であるように思う。 8作の中に外れと思える作品はなく、良質の短編集と言える。 | ||||
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1980年に出た単行本の文庫化。2001年には創元推理文庫にも入っている。 「赤の追想」「椛山訪雪図」「紳士の園」「閏の花嫁」「煙の殺意」「狐の面」「歯と胴」「開橋式次第」の8本を収める短編集。 1976-79年に書かれたもので、初期作品集ということになる。 どちらかというと奇妙な味系の作品が多いと思う。「煙の殺意」は殺人に至った恐るべき理由が読みどころで、結末でゾッとさせられる。「閏の花嫁」も、よくある話で、結末も先読みできるのだが、気の利いた伏線があっておもしろい。 ただ、全体的には筆調がこなれておらず、もたもたした感が強い。 | ||||
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著者の初期のノンシリーズ短編が八編収録された作品集。 集中の白眉は、「椛山訪雪図」ですが、他にも「紳士の園」や「煙の殺意」 といった作品における常識を反転させる着想と、それに基づいて展開される 逆説的ロジックは実に鮮やかで、ミステリ読みなら必読の傑作といえます。 ※収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。 | ||||
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そもそも私が泡坂さんの作品に興味を持ったのは、ある日何気なく見ていた新聞の記事でした。そこに紹介されていたのはこの「煙の殺意」ではなく、「しあわせの書」だったのですが、それを手に入れようとしてついでに買ったのが「煙の殺意」でした。読んでみるとなるほど、新聞に紹介されていた通り、泡坂さんの小説はどれもそこかしこに様々なからくりが仕掛けられている感じで、正直言えば、一回で読むのをやめるより二度三度読み直してそのからくりを味わったほうがいいのかなという感じです。それほど奥が深い。いずれにせよ、他の作品も読んでみようと思います。 | ||||
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◆「椛山訪雪図」 ▼あらすじ 美術品蒐集家の家に強盗が入り、お手伝いの 女性が殺され、二幅の軸が盗まれた。 そのうちの一つは北斎の雪山図だったのだが、 なぜか後に書庫で発見される。 その代わり、雪山図と構図や、人物・風物の配置を 同じくする「椛山訪雪図」が紛失していて……。 ▼感想 「椛山訪雪図」の「紅葉の山に雪を訪ねる」 という画題に秘められた二重の意味とは? そして、蒐集家が呟くように口にする其角の 「闇の夜は吉原ばかり月夜哉」に込められた感慨とは? 芸術の趣向と、現実の強盗殺害事件の構造が 二重写しに読者の眼前に示される謎解きの瞬間は、 まさに著者の真骨頂です。 軽妙にして洒脱な話運びと、にじみ出る教養。 著者の数ある短篇のなかでも、 頂点といっても過言ではない傑作です。 | ||||
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いろんな味の小説が楽しめる短編集です。他のシリーズ物と違って,それ程トリッキーなものや,論理の飛躍と言った感じのものはありませんが,それだけにこの作者のもう一つの一面である、滋味あふれる人の心の謎解きと言ったものが味わえます。どの短編も地味ですが(しゃれじゃないよ),大変水準が高いです。 | ||||
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落語の名人が語る噺の旨味と、トリッキーな仕掛けの妙が味わえるミステリー短編集です。抑制の利いた文章のたたずまい。 さり気ない話の伏線が、後でとんでもない絵柄となって現れる騙し絵の構図。 上質のミステリーを読み、味わい、楽しむひとときを満喫しましたよ。収録された八つの短編のなかでも、直木賞候補作となった「椛山訪雪図」、花見の季節の公園を舞台にした「紳士の園」、殺人事件の現場でデパート火災を中継したテレビを見ながら事の真相に至る刑事の話「煙の殺意」の三編の出来映えが素晴らしく、これは!と唸らされました。とりわけ、「椛山訪雪図」の話の風情が素晴らしい。読むのは今回が三度目くらいになるのかな。しみじみ、このミステリーは良いなあと魅了されました。 今まで読んだ国内ミステリー短編のなかでも、私の中では三本の指に入る名品。未読の方には、ぜひ一度ご賞味くださいとお薦めいたします。 | ||||
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江戸時代の画家の描いた絵に隠された謎を解き明かす名作「椛山訪雪図」、行儀の良い人ばかりの集まる公園の秘密「紳士の園」、完全に見えた殺人計画が思わぬところからバレてしまう「歯と胴」など、毛色の変わった謎を推理によって思いもよらない解決をみせる、といった短編のお手本のようながら、それでいて著者にしかまず書けないようなミステリ8編が収められた短編集。 中には、都合が良すぎる、推理が飛躍しすぎというところもあるのですが、語り口が絶妙で、読んでいる最中には全然気になりません。 発表が1976~80年にかけてと、一昔前の短編ばかりなのですが、今読んでもとても新鮮、キレの良さがすばらしい。読んで損のない短編集です。 | ||||
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