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(短編集)
われはロボット
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【この小説が収録されている参考書籍】
われはロボットの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 1~20 1/4ページ
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きょうから寝るまえの読書は、先日、買い直したアシモフの短篇集『われはロボット』にしよう。どだろ。おもしろいかな。むかし読んだことがあるはずだけれど、ここ数年以内にも、アンソロジーに入っているものを2つばかり読んでるはずだけれど、みな忘れている。この忘却力のすごさよ。 1作目は、「ロビイ」子育て用に造られたロボットのロビイにとてもなついてた女の子がいて、母親が心配になって、ロビイをロボット会社に引き取らせたのだが、女の子はあきらめなかった。お父さんが配慮してロビイと再会できるようになった。めでたし、めでたしの物語。この短篇集には序文がついていて、つぎの短篇のあいだにも著作の案内として、女性ロボット学者のインタビューが載っている。うまく考えたものだ。 2作目は、「堂々めぐり」水星でロボットが作業をすることができなくなった。水星の環境が過酷すぎて機能がしなくなったのである。ロボット工学の第二原則と第三原則のあいだで、たちゆかなくなったのである。そこで第一原則を持ち出して、ロボットを正気に戻したというもの。 3作目は、「われ思う、ゆえに……」エネルギー中継基地で新しいロボットを組み立てたのだが、そいつは自分の存在が人間よりうえであると思い込んでしまっていた。しゃくにさわる話をするのであった。しかし、仕事はきっちりできるやつだった。人間の自分たちの代わりにつぎの人間の交代要員が乗り込んできたとき、にやりとした。 4作目は、「野うさぎを追って」6体のロボットに指令できる1体のロボットをつくって採鉱場で作業させていたのだが、人間の見張りがいないときに突然のことが起こった場合、7体のロボットがおかしな行動をする。6体ではなく5体にしたら、指令をするロボットが正常に機能した。そこで、6体用の回路をつぎつぎと切っていき、うまいこといくようになったというもの。 5作目は、「うそつき」人間のこころが読めるロボットが偶然、造られた。そのロボットは、問いかけてくる人間が聞きたいと思うことを答える。そこで、うそをつくことになる。問い詰められてロボットは壊れた。 6作目は、「迷子のロボット」ある事情で、ロボット工学第1条をいじられたロボットが他のロボットたちのあいだに紛れ込んだ。そのロボットを探し出すために、苦心したという話。 7作目は、「逃避」恒星間飛行の実験をコンピューターがしたというもの。実験は成功した。 8作目は、「証拠」ロボットであると疑われた男が選挙に出る。敵側はロボットであると主張したが、男は人間を殴って、自分が人間であるということを示した。そして選挙に出て勝った。最終的には地球全体の首長となったのであった。ロボットは人間を殴れない。もしも殴られたほうもロボットだったら、というところで、話は終わる。結局、男がロボットであったか、なかったかは謎のまま物語は終わる。 さいごの9作目は、8作目で出てきた男が地球全体の首長になっていた時の時代の話で、マシンが間違った結果を出してしまうことに気づくのだが、それは人類全体のことを考えてのことだったとわかる話。 | ||||
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きょうから寝るまえの読書は、先日、買い直したアシモフの短篇集『われはロボット』にしよう。どだろ。おもしろいかな。むかし読んだことがあるはずだけれど、ここ数年以内にも、アンソロジーに入っているものを2つばかり読んでるはずだけれど、みな忘れている。この忘却力のすごさよ。 1作目は、「ロビイ」子育て用に造られたロボットのロビイにとてもなついてた女の子がいて、母親が心配になって、ロビイをロボット会社に引き取らせたのだが、女の子はあきらめなかった。お父さんが配慮してロビイと再会できるようになった。めでたし、めでたしの物語。この短篇集には序文がついていて、つぎの短篇のあいだにも著作の案内として、女性ロボット学者のインタビューが載っている。うまく考えたものだ。 2作目は、「堂々めぐり」水星でロボットが作業をすることができなくなった。水星の環境が過酷すぎて機能がしなくなったのである。ロボット工学の第二原則と第三原則のあいだで、たちゆかなくなったのである。そこで第一原則を持ち出して、ロボットを正気に戻したというもの。 3作目は、「われ思う、ゆえに……」エネルギー中継基地で新しいロボットを組み立てたのだが、そいつは自分の存在が人間よりうえであると思い込んでしまっていた。しゃくにさわる話をするのであった。しかし、仕事はきっちりできるやつだった。人間の自分たちの代わりにつぎの人間の交代要員が乗り込んできたとき、にやりとした。 4作目は、「野うさぎを追って」6体のロボットに指令できる1体のロボットをつくって採鉱場で作業させていたのだが、人間の見張りがいないときに突然のことが起こった場合、7体のロボットがおかしな行動をする。6体ではなく5体にしたら、指令をするロボットが正常に機能した。そこで、6体用の回路をつぎつぎと切っていき、うまいこといくようになったというもの。 5作目は、「うそつき」人間のこころが読めるロボットが偶然、造られた。そのロボットは、問いかけてくる人間が聞きたいと思うことを答える。そこで、うそをつくことになる。問い詰められてロボットは壊れた。 6作目は、「迷子のロボット」ある事情で、ロボット工学第1条をいじられたロボットが他のロボットたちのあいだに紛れ込んだ。そのロボットを探し出すために、苦心したという話。 7作目は、「逃避」恒星間飛行の実験をコンピューターがしたというもの。実験は成功した。 8作目は、「証拠」ロボットであると疑われた男が選挙に出る。敵側はロボットであると主張したが、男は人間を殴って、自分が人間であるということを示した。そして選挙に出て勝った。最終的には地球全体の首長となったのであった。ロボットは人間を殴れない。もしも殴られたほうもロボットだったら、というところで、話は終わる。結局、男がロボットであったか、なかったかは謎のまま物語は終わる。 さいごの9作目は、8作目で出てきた男が地球全体の首長になっていた時の時代の話で、マシンが間違った結果を出してしまうことに気づくのだが、それは人類全体のことを考えてのことだったとわかる話。 | ||||
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アシモフ自身が提唱した「ロボット工学三原則」をベースに、ロボットが起こした奇妙な行動や意思決定の謎を解明していくミステリタッチの連作SF短篇集。短篇集ではあるが、ロボット心理学者「スーザン・キャルヴィン」を中心軸に時系列を追って各話が展開するので、ひとつの大河物語としても読める。 収録9話のどれも非常にレベルが高いが、第1話「ロビイ」のような感動的な物語から始まり、シニカルな第3話「われ思う、ゆえに…」、コミカルな第5話「うそつき」などヴァリエーションに富んでおり、最後の第8・9話は、ロボットとは何か人間とは何かを問う、かなり深い内容となっている。本作を読まずしてSFは語れない、必読の名作である。 | ||||
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アイザック・アシモフ「われはロボット」読了。生成AIが発展してドラえもんのようなロボットができるといいなと思う。そんな事を思いながらロボット工学の三原則で知られる本短編集を読んだ。キャルヴィン博士の回顧録として展開されロボットの進歩に応じ人間との関わりが深まっていく流れからこれからの未来に想像が膨らんだ。特に最後の“災厄のとき”が強く印象に残った。 | ||||
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ちょっとスピーチで話のネタにしようと思って、電子書籍で購入。考えてみたら、小学6年生の時に買って以来、45年ぶりに読んだ。あの時の楽しさが蘇る。ロボット工学三原則は、やはりシンプルにして偉大な発明だと思った。一番好きなのは、同じ場所をぐるぐる回る「堂々めぐり」。あの2つの原則の調和点という発想が好きだ。簡単に読めて楽しい本。 | ||||
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古典SFを読みたくなり、本書を購入。9話が収録されていて、正直言って面白さにばらつきがあるように感じたが、ネタ自体が良い上にしっかり構成が練られているので、「忍耐して読み進む」という時間がほとんどなかった。また、さすがに古さは感じたものの、堂々と大胆な技術的予測とも言える未来像を描き出しており、登場する人物やロボ間の会話も理知的で、現代の大人でも十分楽しめる作品になっていると思った。特に「ロビイ」「われ思う、ゆえに・・・」「うそつき」が面白かったが、収録されている作品の傾向が単一ではないので、別の人が読めば、別の短編を気に入るだろうと思った。本書を読む前は、ハードボイルドな作品ばかりなのではないか、と勝手に予測していたが、ロボットと人間との関わりにおける、ほじくると面白そうな部分をしっかりほじってくれた作品集、という感じだった。個々の話が読み切りやすい長さなので、ちょっと軽めのSFを読んでみたいという人は、本書を読むのも良いかも知れない。 | ||||
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robotics=ロボット工学 と Handbook of Robotics=ロボット工学ハンドブック のルーツ。ロボット工学者として読まねばなるまい!英語版と読み比べました。 | ||||
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ファウンデーション・シリーズに続き、あっという間に読み終えてしまいました。昔一度読んでは いるのですが、改めて読んでも十分面白かったです。 ストーリーは以下のロボット三原則を軸に展開されます。 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。 また、その危険を看過することによって、人間に 危害を及ぼしてはならない。 第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。 ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。 第三条 ロボットは、第一条および第二条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。 この作品には様々な段階のロボットが登場し、最後には人間と見分けが付かないヒューマノイド、 人間世界を調整する大規模な電子頭脳までが出てきます。ですが意図的にロボット三原則を改変 した場合を除き、いずれも三原則に忠実です。それでも様々な事態が生じうると言うのが著者の 考察で、この辺りは上質な推理小説を思わせます。 読んでいて感銘を受けたのが、ロボット三原則が人間の倫理にも叶っており、そんなロボットの 取る行動は人格高潔な人間の行動と見分けが付かない、とのスーザン・キャルヴィン博士の主張 です。これには参りました。私もそうですが、世間には常に高潔な考えを持ち実践できる人間 ばかりではありません。将来ロボットを開発した人間が倫理的にロボット以下の存在に堕する ことの無いよう祈るばかりです。 なおアシモフには本作以外に幾つものロボット・シリーズがあります。その最新作と言える 「夜明けのロボット」はまだ英文のKindle版しか出ていません。文庫版は再版されていません ので、早くKindle翻訳版を出して欲しいと思います。 思います。 | ||||
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古典SFの傑作とされる作品です。 でも、私、あまりアシモフの作品を、面白いと感じた事がありません。 この機会に理由を考えてみたのですが、、、 私は、SF作品には、科学的考証に基づく背景設定が必要と考えています。 本作では、「何故、そのロボットが、そのような行動に至ったのか?」を、冒頭で設定したロボット三原則に則って、論理的に説明していきます。 でも、ロボットが、どんなテクノロジーで動いているのか?とか、その時代には、どんな科学の成り立ちをしてきたのか?とか、極限の環境下でも動き続けるロボットって、どんな防護がされているのか?など、科学的根拠は一切示されません。 論理的であっても、科学的ではないのです。 なので、本作を読んで、溜飲が下がる思いを感じる方は多くいるでしょうが、科学的好奇心を満たせる人は少ないのではないでしょうか? そんな理由で、個人的には、本作をSFに分類したくはありません。 とはいうものの、古典的名作の一つとされている本作、SF好きを称するなら、一度は読んで損は無いと思います。 | ||||
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とても良い。 ただロボットに対する扱いが現代のロボット好きにはちょっとキツい | ||||
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ようやく、ロボット工学三原則を目にする(読む?)ことができた。「おお、これがあの三原則……!」と、不思議な感動すらあった。 読み始めると、面白くて脳がゾワゾワする感覚を覚えた。難しいところもあるんだけど、「難しい、ここはどういうことだろうか」と悩むことも面白く感じた。 「ロビイ」がお気に入り。 | ||||
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面白かったし、考えさせられることが多くあった。各章で異なるロボット倫理を題材としているので、まったく飽きさせない。 | ||||
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SFの古典であって、SFかロボットに多少でも興味があれば誰でも知っている「ロボット三原則」(正確には「ロボット工学の三原則」)が冒頭に書かれています。 「誰でも知っている」と言いながら、正確にはなかなか覚えていないことにかけてはカントの「定言命法」並みかもしれませんが、以下の原則です 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に 危害を及ぼしてはならない。 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。 改めて見ても当たり前の内容で「こんな原則を決めても何か意味があるのか」と思うでしょう? 私もそう思いました。 が、実はこの原則を守る(ロボットが守るのだから「絶対守る」=融通が利かない)ことによって思いもよらぬ結果が引き起こされる・・・という一種の思考実験が本書の本質だと思います。 どういう結果が引き起こされるのかは、まあ読んでのお楽しみというところですが、一点だけ挙げれば、この原則で言う「人間」って誰のことを指すのでしょう?ということですよ。 流石に古典として残るだけあって、よく考え抜かれています。 最後の話はちょっと無理がないかとは思いますが、読めば大体はなるほどと思わされます。 | ||||
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ロボットを描く事が、有名なエピソード「嘘つき」をはじめ、人間の内側を描くことに繋がっている。 とうとう自力で閉じたロボット世界観(?)に辿り着き、それで何ら破綻がなく運営される小世界など、「人間もそうかもしれないぞ」とさえ思わせてくれて・・・(笑) 野暮な言い方だけど、本作で最も画期的な発明は「ロボット」ではなく、この「ロボット工学三原則」ではないだろうか。ある意味、「人間の身勝手の固まり」 の様な原則で、登場するロボットは、その写し鏡みたいなもんではないだろうか。 とはいえ現実に、今や人間そっくりのロボットが見えはじめても、ロボット工学三原則の実装(笑)はまだまだで、それどころか、無人戦闘機をAIで飛ばそうという企業はいても、それに三原則を埋め込もうとなどという話もほとんど聞かない。 子供の頃ちょっとボロい本で読んだこの作品自身が「電子出版」で読む事ができる様な今でも、人間はまだまだアシモフには追いついていないんだなあ・・・と実感する必読図書だと思います。 | ||||
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この作品が書かれたのは1950年で、作品は2000年か、2050年の設定です。アシモフは科学全般の科学啓蒙活動も熱心で、科学解説書の方が多いくらいですがその豊富な知見が本作品にも活かされています。 評者が最初に作品に接したのは1980年。すでに作品が書かれて30 年がたって、多くの分野で設定のディテールは一見実際と異なるように見えました。たとえば陽電子頭脳と少しでも似たものは存在しませんが、それは本質的な欠点ではありません。ロボットを実現する科学文明の主な動きをアシモフは的確に捉えて50年にわたる変化を見事に描いています。 その後2000年、2020年と、20年ごとに読み直していますが、この作品に秘められたアシモフの深い洞察には舌を巻きます。 今は、なぜ、物語の大筋においてこれほど見事なプロットを作れたのかということに関心が向いてきました。多分彼の関心が個々の技術ではなく、歴史と社会に向いていたからかもしれません。科学技術の分野で、どのような新しい技術が発見されるかは予測不可能ですが、人間社会が何を求めるか、どう振る舞うかは、歴史から読み取れるからです。 2050年はなんとか見られそう。どんな時代になるか楽しみです。 | ||||
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収録されている短編のいくつかは読んだことがあるが、まとまった形の本書を読むのは初めて。 積読になったままの『ロボットと帝国』を読むまでには読んでおかなければと思って、最近新刊で購入したものだが、予想外に早い段階で読むことになった。 最初に書いておくが、本書は歴史的名作である。解説で瀬名秀明氏が力説していることはほとんどがそのとおりだと思う。 最近読んだグレッグ・イーガンやブルース・スターリングと比較するのは間違っているとは思うのだけれど、まず単純に読みやすい。 本書は、1940年からの10年間、SF雑誌に発表されていた9つの短編に、ところどころつなぎの文章を加えて年代記として書籍化したものだが、各短編とも70枚前後の適当な長さで、アイデアとテーマがシンプルな上に、コメディのような密度の薄い文章も多く、小学校高学年から楽しめる。 世間一般の評価も安定して高い。しかし、評者には気になる点が多かった。 1作目の「ロビイ」は、ロボットSFの歴史に残る名作であり、評者も感動作だと思うが、現在のロボットを考えると、子守という非常に高難度な仕事が初期型のロボットで対応できると設定していることに疑問を感じる。 2作目以降はさらに欠点が目に付き始める。いずれもロボットが関連する事件が発生して、主人公たちがその謎を解くという展開の作品で、論理を使って問題点を発見し、解決するという面白さはあるのだが、謎解きの論理ばかりが重視されていて、その前提となる舞台設定に疑問が残る。 もちろん1940年代という作品が発表された時代を反映しているのだろうが、それにしても古すぎる。ほぼ100年後の世界を舞台にしていながら、ロボットの1台が突然変異的に意識を持つようになったとか、たまたま人間の心が読めるようになったとか、工業的に大量生産されたロボットに個体識別番号が付いていないとか、ストーリーの穴が大きすぎる。しかも、問題となったロボットが壊れて終わりでは根本的な解決になっていない。編集長のキャンベルはそれらの点は問題にしなかったのか? アシモフの長編SFに夢中だった10代の頃、初めて「ロビイ」を読んだ時には感心したが、その後、何篇かロボット物の短編を読んで、これはもう読まなくてもいい。と思ったのを思い出した。神様のように思っていたアシモフが、これほど杜撰な話を書くのが信じられなかった。 可動部分をまったく持たない人工頭脳(マシン)を、ロボットと同じように考えていることには違和感を感じるし、マシンの支援によって完成した人類最初のワープ機関が超高性能を発揮したにもかかわらず、社会的にほとんど影響を与えていないことには、欲求不満さえ感じる。 評者のように細かいところが気になる読者は、素直には楽しめないのではないだろうか? しかし、多少は大人になった現在の評者は別の側面に気づく。 短編として発表された作品を1950年に書籍としてまとめる際に、アシモフはところどころにつなぎの文章を加えているのだが、そこで初期のいくつかの物語について言い訳というか若干の補足をしている。そこに作家としてのアシモフの意思を感じる。一度発表した作品を無視することはできないと考えたのかもしれない。 ガチガチの科学小説である筈のロボットSFに心理学的展開を組み込んだ挑戦も評価しなければならないのかもしれない。 ロボット三原則は魅力的で画期的で理想的な設定だが、それにしても、これほど厳密に制限されていては、特に研究開発分野では使い物にならないだろうと思ってしまう。論理原則とは別にもうちょっとゆるい行動規則が必要ではないか? 三原則が支配している限り、ロボットに進化はない。現実には三原則では対応できない場合があり、それを乗り越えなければ現実には対応できない。 アシモフほどの科学者であれば、現実のロボットが三原則では規定できないことには早い段階で気づいていたと思う。つまり、アシモフのロボット三原則は、超能力やワープ航法と同じで、SF特有のガジェットと考えていたのではないだろうか。すなわち、本書並びに本書に始まる長大なシリーズはアシモフが未来を予見したものではなく、ロボット三原則が支配している世界を描いたのだ。 なお、最後の「災厄のとき」は、原題と邦題のニュアンスがかなり違っているので解釈に戸惑ったが、巻末の作品一覧を見て、ロボット物の長編『鋼鉄都市』が本書の3年後に発表されていることに気づいた。この設定があの物語の基本設定に繋がるのかと思い、ちょっと感動した。 | ||||
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ロボット工学の三原則 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第二条 ロボットはにんげんにあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。 ロボットを語るにあたって、必ずといっていいほど言及されるロボット工学三原則が生まれた連作。 読み進むにつれて、三原則の議論がどんどんと深まっていく過程を見ることができる。 | ||||
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あまりにも有名な古典。古典は得てして退屈なものであり、本書も敬遠していたのだが、本書はSFだからか、古臭さも感じずに読むことができた。中盤がやや冗長だが、ペット型ロボット無しには生きていけなくなってしまった女の子のエピソードや、人間になりすましたロボットのエピソードが極めて秀逸だった。本書が元祖と言われるロボットSFだが、これ以後のロボットSFのあらゆるパターンが既に本書でカバーされており、本書が古典であるとされる所以がよく分かった。 | ||||
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編集が上手い。しばらく短編集が続き、後半纏まってきたところで、感動のラスト。内容にもクセが少なく、文体も読みやすい。人に自信を持ってオススメできます。 | ||||
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文学ジャンルのひとつSFには「人間が描かれていない」との批判がつきまとう。ロボットが主役の本作などがそう。が、この批判は今の時代にあって古くなったのではないか。ロボットはこういうものなんだと描く。そうなのかと読む読者は、人間とはちがうなと思う。そこで、そもそも人間ってなんなんだと普段意識しなかった命題を考える。人間以外を描く手法によって人間を描く。気取っていえば「我想う、ゆえにわれは人間を知る」か。 ロボット三原則も同じ。私はあの決まりは「人間社会のカリチュア戯画」だと思っている。 簡潔にしてよくできている三原則。これで問題は起きないはずなのにトラブルは起きる。それも、時代を経てロボットが高性能になればより深刻に。なぜなのか。それはロボットがエゴ=自我を持つようになるからではなかろうか。 もう一度人間をみてみる。人間社会にも決まりはあり、ルールはあり法律がある。守っていれば平穏に収まるはずなのにしばしば決まりは守られない。守るのがみんなのためとわかっていても破るのはエゴの為せるためにほかならない。 人間とは不完全な存在だ。間違うし、気分にムラがあるし、自分勝手。昨日は正解を出せたのに今日は間違う。なぜ間違えたのか誰にも説明はつかないわからない。さっきは機嫌がよくても今は不機嫌で他者への対応がまるで狂ってくる。みんなの幸福よりも自己の利益のほうが量りがおもい。不合理だとわかっていてもそうすることがある。 神が人間を創ったのかどうかはわからないが、たしかなのは、不完全な人間には完璧な神をつくることはできない事実。人間がつくった宗教がいかに不完全であることか。 技術は進歩するだろう。ロボット工学も。ロボットが進化し高度なものになれば「人間のようにものを考え、自律できる」ようになるだろう。そうなれば、自我あるロボットは人間のように「間違えるしムラがあるし自分勝手な」ロボットになるだろう。高性能になり人間に近づくほど、完璧ではありえないエゴ=自我ある存在になる可能性がある。 アシモフはどこまで見通していたか、それはわからない。進歩した完璧なロボットが築く明るい未来を想定していたのかもしれない。だがわたしの読後感は、暗いイメージにつぶされた。アシモフは、ロボットの限界すなわち人間の限界を知っていたからこそこうした物語を構築したのではないかと。 | ||||
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