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(短編集)
菩提樹荘の殺人
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菩提樹荘の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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90年代初頭に全盛を誇った本格ミステリも、本屋で見かけることがめっきり少なくなった。 名探偵が登場する謎解き小説をいまだに書き続けている作家は、大御所以外ではこの人くらいではないだろうか。 『アポロンのナイフ』通り魔殺人がテーマ。火村は珍しく探偵役ではなく傍観者だ。関係者の行動の動機が、いかにも現代人らしく意表を突かれた。 『雛人形を笑え』漫才業界が舞台の事件である。解決はほとんどバカミスだが、「お笑いは格差社会でのし上がる数少ない道だ」という発言が切ない。 『探偵、青の時代』大学時代の火村が、仲間の隠し事を見抜く。小品ながら、論理で謎を解くという基本を押さえた佳作。 表題作に登場するアンチエイジング野郎は、現実にいそうなキャラだ。 作者の小説が古風な枠組みを順守していても面白く読めるのは、時代の空気を巧みに取り入れているからだ。 妄想じみた設定でしか書けない他の「本格」作家と一線を画すところだ。だから生き残れたのだろうか。 謎解きにも納得の好篇でした。 斬新さも驚きもないが、安定した実力で定番の楽しみを与えてくれる。こういうタイプの作家は、けっこう貴重なのかも。 | ||||
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若さが持つ“苦さ”を描いた作品集で、個人的には嫌いではないですが、ひたすらミステリを楽しみたい人には“微妙”と言えます。 収録作品は、「アポロンのナイフ」「雛人形を笑え」「探偵、青の時代」「菩提樹荘の殺人」の4作。全体に謎解きやトリックそのものに意外性は感じられません。ミステリに慣れた人なら、論理的に完全に謎を解明できなくても、犯人を指摘することがそれほど難しくはないでしょう。 むしろ、著者が「あとがき」で触れているように、4作に共通するモチーフ「若さ」を楽しめるかどうかがポイントになります。 私としては、火村英生の学生時代の一端が描かれた「探偵、青の時代」が本書の中では最も好みにあっています。罪に対して、ある種の峻厳さを持つ火村が、若き日から、その犯罪に対する分析力を使うことによって「孤独」を強いられるとともに、そのことを受け入れる「強さ」も併せ持っていたことが表された作品です。しかし、一方では火村はどうしても「哀しさ」をまとうことになります。それゆえ、彼がいくつかのものを偏愛することも納得できるのです(この偏愛が、一つのキーとなっています)。 作家アリスの若き日にも触れる作品もありますので、二人のファンには、楽しめる部分が充分にあることは間違いありません。 | ||||
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