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魍魎の匣
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【この小説が収録されている参考書籍】
魍魎の匣の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全154件 81~100 5/8ページ
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読み終えると世界が潰れたような気分に陥った。まだ作品の余韻の中に浸かっていたい、そう思わせられた。妖しく魅力的な舞台設定と個性的な 登場人物達、幻想的で不安定な印象を与えられた章と章の間にある人物描写は 最後まで伏線の補強のために主格をぼかされていた。 この作品のプロットを是非とも視てみたいものだ、非常に論理的に組み合わせた 話の構成だった。物語の進み方も作品の過去から未来ではなく、読者から作品へと自然と近付けさせられる。本は分厚いけど長さを感じない良い作品だった。 | ||||
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話は、柚木加奈子が何者かに電車のホーム下に突き落とされ、轢かれることから始まる。瀕死の重症を負った加奈子が入院した、箱の形をした病院に、加奈子の誘拐予告状が届く。警官も見守る中、重症のはずの加奈子の姿は、ベッドから忽然と消えてしまう。一方、多摩ではバラバラ殺人が多発し、四肢がそれぞれ匣に詰められた状態で発見される。京極堂と仲間たちは二つの事件の関連性を見出だし事件を解決に導きます。本作ではとにかく箱が沢山でてきます。箱型の病院、御箱様、「箱の中の娘」という小説等、一作目の姑獲鳥よりも不気味さは増していると思います。個人的には、子供たちが話す幽霊の目撃情報が面白かった。光る手の幽霊とか、ドアに挟まって死んでいたとか(笑) | ||||
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「姑獲鳥の夏」で、ミステリ界という異界にメシアの如く登場した京極夏彦。「姑獲鳥」の次に彼が放ったのは、「魍魎」という、開けてはならぬパンドラの「匣」だった。 宿命を背負わされた二人の少女、屈折した小説家、科学という「境界」を越えてしまった科学者。彼らが「匣」に関わったとき、「魍魎」が現れる! 数多に網羅された伏線が一つまた一つと有機的に結合しながら真相へと帰結してゆく論理の組み立ては、著者の推理作家としての揺るぎのない資質を感じさせる。 此岸のものでは決してないにも関わらず、妙に得心のゆく世界の壮観さ!断片的に挿入される久保の小説(それ自体が独立した文学作品として機能しているのにも瞠目してしまう)や陽子の手紙による、絶妙で、あくまでフェアな叙述!いずれも本物だけがなせる仕事だ。 これほどの、強烈な個性と破綻のない構成、そして救い様のない後味の悪さを兼ね備えた小説が、他に存在し得るであろうか?この類い稀なる物語は、今後の本格ミステリの復興の予感と共に、絶望の奈落への滑落をも孕んでいるのかもしれない。 今自分が居るのは誰かの箱の中ではないと、本当に言い切れるだろうか?読後、そんな懸念が去来しては、私を弄ぶ。 | ||||
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先ず、これだけ読ませてくれる文章力とストーリーの力に度肝をぬかれました。 一見難解のように思うけれどそれはあくまで一見。驚くほど読みやすく、そして面白い。 物語りの隅々まで丁寧に作られていて、途中に出てくるウンチクもしっかりと効いている。 天才。 世の中には不思議なことなど何も無いと言うけれど、この本が存在することが僕にとっては不思議でならない。 どうやったらこんな傑作が生まれるのか。脱帽。 | ||||
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すごいの一言です。 深いですね、本当に!! | ||||
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バラバラ殺人、美少女殺人未遂事件、少女誘拐事件が絡まりあって 解きほぐすのは不可能と思われる謎を形成しています。 キーワードは本書のタイトルにもなっている「魍魎」と「はこ」です。 1点目。拡散していくように思える真相を、謎解きパートでしっかり明かしてくれる場面。 前作「姑獲鳥の夏」でもそうでしたが、ここは心地よい。(ただし話は悲しい。) それまでは京極堂以外の登場人物と同化して、読者もいまいち真相にたどり着けず いらいらしながら読むことになります。 しかし、この「いらだち」は決して不快なものではありません。 脳みそをフル回転させる心地よい疲労感です。 そうして、真相の6割くらいまでは頑張れば到達できるのです。 しかし、そのさらに奥深くにあることを京極堂に見事に指摘されて悔しくもあり、 すっきりもしました。この快感、開放感は素晴らしい。 2点目。ネタバレなしで、話の内容について感想を書きますと、 人は「何か」にとらわれるととてつもない行動を平気でしてしまうのかなあと思いました。 人をとらえるものは、愛情だったり、妄執だったりします。 それが謎解きの部分でどんどん明かされます。 (ただし、京極堂は明かす前に本人に言ってよいのか確認をとってから話すのです。 ここにぶっきらぼうな彼のやさしさが見えます。じつはヒューマニスト?) 3点目。バラバラ殺人事件の謎解きの時、気が遠くなりました。 切る側の「ある思い込み」のため、切られる側は「最上級の苦痛」を与えられます。 さらりと書いてある(うっかりすると見逃すかも)くせに、これはすごい場面でした。 現場を想像すると痛さが伝わり、恐ろしいのです。被害者からしたら絶望的な恐怖です。 下手な悲鳴などいらない。京極堂の冷徹な語りさえあればいい。 想像力豊かな方は気をつけてください。失神するかもしれません。 スプラッターやゾンビ大好きの私も、ここの恐怖には心底震えました。 文学ってすごい!(なんかあほなまとめ方になってしまいましたが。) 今回も夢中で読ませてくれました。文句なしの☆5です。 | ||||
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一気に読了しました。 作者の作品のみならず、最近の(特に)日本のミステリー作品と呼ばれる本を(何故か) 毛嫌いして手に取ることもなかったのですが、本書を一読し、その考えを改めました。 私のように、どちらかというと古典作品に重きを置き、最近の作品を下に見ている風な 方がいらしたら、ぜひ本書を一読下さい。 見解・見識が変わります。 ・非常に良く練られたストーリー、本当に面白い ・登場人物の設定、心理描写共に優れています ・一気に持っていく文章能力 全てにおいて、素晴らしい。 お薦めします! | ||||
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京極夏彦2作めにして最高傑作として名高い本作。作中にはさまれる幻想的な「匣の中の娘」女子高生の自殺未遂事件、連続バラバラ殺人事件、戦時中の不気味な研究を続ける医学研究所、匣をあがめる新興宗教など禍々しいが、一見無関係に見える事件が一気に収束してゆくラストが圧巻です.戦後のこの時期に免疫学や遺伝子操作などの言葉自体もありませんし、そういう意味で時代背景と京極堂の説明はやや齟齬がありますが、科学と伝奇ものが絶妙に組み合わされた傑作であることはかわりありません。現代の医学水準で考えれば四肢のない状態で生きていくことも人工臓器、臓器移植などある程度可能な技術です。究極は体のサイボーグ化、脳移植や意識の電脳化などでしょうが、これが本当にヒトといえるのか、元の本人と同一のものなのか、考えさせられます.特に臓器移植に関しては我々はもう一度その是非について考える必要があるのではないでしょうか?猟奇的ミステリ小説の傑作、ぜひご一読されることをお勧めします. | ||||
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“ヤンデレ”多すぎ(笑) すっきりしたとも後味が悪いとも云えない独特の読後感でした。 姑獲鳥の夏よりストーリーの構成は向上していると思います。 お勧めです!! | ||||
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女子中学生が深夜の駅で線路に突き落とされ、重症を負う。 そばには、泣きじゃくる同級生がいた。 偶然とおりかかった刑事木場は、同級生の身柄の保護を頼まれ、 一連の事件に巻き込まれていく。 別の場所で起こったバラバラ殺人事件。 箱を持ったお払い師 奇妙な正方形の研究所 登場人物も事件の舞台も不思議な雰囲気をもち、 小説の中に時折挟み込まれる作中人物が書いたとされる小説が 不気味さに拍車をかけていきます。 物語の後に行くにつれ、 最初に投げかけられていた言葉や出来事が伏線だったのがわかり、 とても面白く読みました。 厚い本のうえ、登場人物も多数なのですが、混乱する事も無くすんなりと読めます。 | ||||
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本作のみでも十分に楽しめますが、前作を読んだほうが、関係者のつながりがより深くわかって、お勧めです。 ここでもやはり飛ばし読みは厳禁です。話についていけなくなります。しかし、きちんと読んだ人には優しいです。 猟奇性の強い作品なので、バラバラなどに抵抗のある人にはお勧めできないかもしれないですが、物語としては秀逸で大変読み応えがある内容なので、興味のある人は是非♪ | ||||
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2作目にして、やっと表紙やタイトルに惹かれた人待望(?)の 猟奇殺人です。 前作では「なんだこういうオチか‥」とグロ無しでお嘆きの方も 今回はご期待通りです。 京極道シリーズ全てそうですが、タイトルは読み終わると納得です。 いつも意味深いですよ。 ご期待ください。 | ||||
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京極堂シリーズ第二作。 前作から続いて、キャラクターは更に自由を極め始めます。 生き生きと動き始めます。 そして、相変わらずの言葉の渦。 今回のキーワードは「みっしりと」。 この何の変哲もない副詞「みっしりと」が この本を読み終わった後ではなんとも怪しげな言葉に変わります。 読んで数年経ちますが、未だに私の中で「みっしりと」という言葉は 言いようのない不安をあおる粘着質のイメージあふれる言葉のままです。 自分の家の一角にある押入れが怖くなること間違いなし。 | ||||
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京極夏彦はすごい。彼は本物のプロで仕事師だ。 本書は本編だけで1048頁ある。その量を一気に読ませる京極夏彦の手腕はとてつもない。 箱詰めの死体、バラバラ殺人、奇妙な宗教、事件に関わった人間たちのそれぞれが抱える闇。それら全ての要素を魍魎とたくみに結びつけ一つのミステリーが出来上がっている。 場面に応じて視点を変え、必要があれば箱に魅入られた男の奇妙なサイドストーリーを載せ、読み手の読書意欲を煽る。 文句なしに面白い。そして読後に一番感じたことは「仕事」として小説を作る京極夏彦の姿勢だ。 | ||||
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京極堂シリーズ第2弾。 シリーズ第1弾『姑獲鳥の夏』で表された登場人物それぞれのキャラクターが、 この作品でより濃くなり、固まっていく感じなので、やはり本書を読む前には 『姑獲鳥の夏』は読んでおきたい(もちろん、本書を独立して読んでも十分に楽しめる)。 このシリーズ(というか京極夏彦氏)は、本当に多様な分野を扱ったストーリーを描く。 作者自身はどういう意図でこのシリーズを書いているのかわからないけれど、 個人的にはこのシリーズは啓蒙の書だと思っている。 つまらん常識を覆す、という意味で。 特に本書は、(メインテーマとは少しズレるけれど)一般的な「犯罪者に対するイメージ」 を覆そうとする作者の意図がよく見て取れる。そういう意味で、できる限り多くの人が本書を読んで欲しいなあと思う。 評者は、テレビのコメンテーターやなんかが犯罪者を異常者扱いするのを観て、さらにそれらを無批判に受け入れる人間をみて、毎度ムカついているタイプなので、同じような方は本書に共感できるところが多いはずであるし。 評者は推理小説が好き、というわけではないので、本書のトリックや推理が推理小説として 成功しているかどうかはわからない(この点、他のレビューでは良い風に評価していないものもあるようだ)。 ただ、ストーリーの奇抜さ、それに伴ってついてくる知識、ボリュームがあるのに一文の無駄も無い構成etc...秀作が多いこのシリーズの中でも、本書の「面白さレベル」は群を抜いていると思われる。 個人的にはシリーズ最高の出来。 なぜ商品の評価を「星5つ」までにしかできないのだろう・・・残念。 | ||||
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物語の出だしから中盤までの方がとても面白かった。もうワクワクしながら読んだ。読み始めても京極堂がなかなか出てこない。なんだか満を持しての登場。そして長い長いウンチク談議が始まる。このウンチクがとてつもなく面白い。最後の謎解きは前作「姑獲鳥の夏」でも感じたことなのだが、やはり辻褄合わせが感じられるし現実的にも無理がある。 京極堂のウンチクには魅了されたので、自分としてはそれを聞くためにも次回作も読みたいと思う。 | ||||
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箱の中にぴったりと入っている綺麗な娘は、 にっこりと笑うと鈴を転がすような声で「ほう」と言った。 作家、久保の作品「匣の中の娘」の幻想的な書き出しからこの物語は始まる。 自分は捜査に動かず、推理したところで語らなかったり、 詭弁で煙に巻いたりする座敷探偵京極堂が主人公の第二弾。 頼子は聡明で気高く美しい加菜子に憧れを抱いていた。 ある日、加菜子から最終電車に乗って湖へ行こうと誘われる。 しかし、当日に起こる加菜子の線路内への転落。それは事故か自殺か事件か。 どこか恩田陸が描く少女と少女の青春小説のような趣の導入。 そしてこの加菜子の件を切っ掛けに物語は突然動き出す。 多発するバラバラ殺人事件、榎木津に持ち込まれた捜索依頼、 鳥口から関口と京極へもたらされた「穢封じの御筥様」という存在、 警察が捜索する行方不明者リストと御筥様の信者リストの奇妙な符号。 捉え所の無い魍魎という存在と、その向こう側に垣間見える蟲惑的な彼岸の存在。 人が背負うには深過ぎる業、とそれ故の深淵の愛。 医療、命のあり方、幸福に生きる方法、明らかにされる京極堂の過去。 そして頑丈なだけで中身の無い空の箱、木場。 彼は本作の主人公とも言える立ち位置にいる。 果たしてその箱は一体何で満たされるのか。 何を入れ、何を守るための箱になるのか。 不可能犯罪を前にして木場が吼える「何の呪文だ? 俺には効かねえな」と。 | ||||
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…が、とにかく凄かったですね。私自身…ミステリーというジャンルでも無く、京極夏彦の世界観といいますか…「その伏線はそう来たか!」な構成力に驚きます。そして大好きなシリーズ作品です。またしても榎さんと御亀様に笑いつつ、木場刑事に惚れました。京極堂のウンチクも大変タメになりました。このウンチクを執筆されている京極先生の文章力に脱帽致します。 | ||||
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京極氏の妖怪シリ−ズはいつも楽しませてもらっている、その中でもこの作品が最高傑作であることは広く認められている。 前作で繰り広げられた、一種力技の論理がさらに強力に展開され、京極堂の過去まで真相に絡まってくる。 特にこの作品に彩を添えているのが作中作品のあの文章であろう。 日常から一気に各品世界へ引き込む異様な文章。 それが、物語の中核に関連し解決に結びつくとは驚愕ですらある。 函の中の少女が欲しかった・・・・ 友人にして、読んでいる最中は悪夢を見ているようだと言わしめた傑作 万人受けする内容とは言いにくいが、乱歩、正史あたりが好みの方にはお勧めです | ||||
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1999年リリース。京極堂第2作。なんと1,048ページの作品である。長いものには巻かれ慣れている僕もさすがに最後は緊張感を維持するのに苦労した気もするが面白かった。作品の構成力からすると『姑獲鳥の夏』より上だと思う。なんと言っても五幕まであるのが凄いな。こういう複雑な構成の作品は読後感もスゴイ。この作品を読了して僕の京極作品に対する予想は大分外れていたことを感じた。何となく森博嗣と似たところも感じるのが自分でも意外だった。頭に浮かんだ作品は『笑わない数学者』だ。 何しろ不思議な書き方だ。京極は圧倒的な古典の知識がある。あるにもかかわらずわざと馬鹿のように見せている感じがある。そこがこの作家の一大特色だ。(>_<)もう一つの特徴は登場人物の圧倒的な存在感だ。能弁かつ論理的な陰陽師の京極堂もさることながら、サイコメトラー探偵榎木津。直感で生き抜く木場修。今にも『不定だ』とか言い出しそうな美馬坂。・・・・誰をとってもスゴイ存在感だ。なおかつその壮絶なラストにただ開いた口がふさがらなかった。 | ||||
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