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隠し絵の囚人



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【この小説が収録されている参考書籍】
隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)
隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)

隠し絵の囚人の評価: 4.57/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

ロバート・ゴダード渾身の労作です。

ゴダード21作目の本書『隠し絵の囚人』(2010年)は、2011年のMWA賞でオリジナル・ペーパーバック部門の最優秀賞に輝いたと、訳者の北田絵里子氏のあとがきに記してあった。
 評者も長年海外ミステリを読んできたものとして本書『隠し絵の囚人』は、なかなかの力作だと思いながら読み進んみました。
 なによりも著者のストーリーのテーマと細部への拘りに感心してしまったのです。
 甥のスティーヴン・スワンが語る1976年と伯父であるエルドリッチ・スワンが語る1940年へ交互にタイムスリップさせながら物語を進めて甥スティーヴンの知りたい謎を明かしてゆく手法に読者は惹き込まれていきます。
 評者は本書の上巻を読み始めたとき、この小説の主人公は甥のスティーヴンではなく、36年もの長くアイルランドの監獄に収監されていた伯父のエルドリッチだと思って読み進んでいました。
 本書の下巻を読み終えると、アイルランド警察に逮捕されるまでの32歳になるエルドリッチという男が辿ってきた数々のエピソードのプロットを構成して描写するゴダードの苦心が伺えました。
 上巻を読み終えたとき、ストリーの先行きは予想できたのですが、著者ゴダードのデティールへの拘りの上手さにページを繰る手が早くなっていきました。
 そして68歳になったエルドリッチという稀有な経験をしてきた男が、上巻を読み始めたときに評者が想像していた男であったことにカタルシスを味わいながら読み終えることができたのです。(ゴダードの企てのままに・・・)
 本書『隠し絵の囚人」は、ミステリ・フアンに是非お勧めしたい秀作であると思いながら読み終えました。
 訳者北田絵里子氏の読みやすい翻訳で本書を楽しく読めたことも付記しておきます。
隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)より
4062774135
No.6:
(5pt)

ゴダードの上手さは徐々にその全貌を明らかにしてゆくスタイルです。

面白そうなミステリーはないかと探してたらロバート・ゴダードの『隠し絵の囚人』が目につき読むことにした。
 かってゴダードの本は『リオノーラの肖像』など少しは読んだ記憶があり、期待して読み始めた。
 アメリカの石油会社で働いていたイギリスの地質学者スティーブン・スワンは、アメリカでの仕事と恋人との将来に見切りをつけイギリスに帰ることにした。
 ヒースロー空港から実家へ電話すると母親がロンドン大空襲で死んだはずの伯父が家に来ていると話すところからこの物語は始まる。
 この伯父エルドリッチ・スワンは、アイルランドの監獄に36年ものあいだ囚われの身だったが突然釈放され行先もなく我が家にしばらく住まわせてほしいと母親に依頼してきたのである。
 1976年(現在)と、エルドリッチが囚われた1940年とを行き来して物語は進んでゆく。
 ドイツがベルギーとフランスに侵攻した頃を時代背景にしてユダヤ人宝石商の秘書として働いていたエルドリッチの数奇な運命を遡りながら、伯父エルドリッチが1940年に何故アイルランドで囚われの身になったのか?
 ゴダードの上手さは徐々にその全貌が明らかになっていくスタイルにあるようだ。
 エルドリッチがどのような罪でアイルランド警察に逮捕されたのかは上巻では明きらかにされていない。
 誰がなんのために画策したのか?
 多分彼奴だな~!と、思いながら上巻を楽しみながら読み終えました。
隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)より
4062774127
No.5:
(4pt)

政治とアートとの面白いミステリー

ヨーロッパの雰囲気、歴史、政治が要素が絡み合った作品
全然先が読めなかったので先が気になって読み進めてしまいました
ヨーロッパの人って戦前戦後こんな感じで過ごしていたんだなとかいろいろと感じれるところが気に入りました

随所にウィットがきいていて、著者の作品では面白いほうだと思います
隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)より
4062774127
No.4:
(4pt)

いつも面白い

ロバート・ゴダードは全作品満足しています。2~3年に一度読み返しますが、その都度新鮮な発見があります。
隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)より
4062774135
No.3:
(4pt)

政治陰謀に取り込まれる、小悪人(大悪人ではない所が肝要か?)の顛末ミステリー

小金に目を奪われた、チョイ悪青年が、より利口な大人の大きな政治的陰謀に巻き込まれ、その陰謀が
もたらす複雑な後日譚を、丹念に描いたミステリー。
主人公が36年も投獄されていた割には、出獄直後から妙に世慣れていたり、実は無実でありながら、さほど投獄されていた事に
悔しがっている様にも見えず、ここに違和感を感じてしまった。
更には最後に明かされる投獄理由に対して衝撃がなく、その辺りにカタストロフィーを求めると失望する。
それより過去(1940年)の事件に好むと好まざるとに関わらず関与させられた数多くの登場人物の今(1976年)がどうなったか、
或いはどう繋がったのか、を楽しむ本か....
ただ登場人物が多すぎて、<登場人物一覧>を度々参照しないと、話が混んがらがるし、チョット中途半端な触れられ方で終わる挿話もあり、
(モイラー親子の挿話とか)、今一関与の役割がよく分からない話もあり(英国情報局)、その局が欲しがるキーポイントの”物件”も
すんなりとは納得出来ず、もう少しプロット、登場人物を整理した方が、”感動的因果応報ミステリー"として盛り上がれた気がする...
隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)より
4062774127
No.2:
(5pt)

本書のテイストは全盛期のゴダードの味がする。

ミステリーの専門家でもある後輩からロバート・ゴダードの「Long Time Coming(2010)」は良いよ、と聞いてからしばらく時が過ぎたが、本書が、その邦訳書「隠し絵の囚人」であることは、指摘されるまで知らなかった。彼の「Past Caring(1986)」(邦訳:千尋の闇)でのデビューから90年代まで続いたレベルに戻ったようだ・・・。
1976年、主人公が実家に戻ってみると、ロンドンの空襲で亡くなったはずの伯父が生きていたのである。36年もの間アイルランドのダブリンの監獄に収監されていたというのだ。しかし、釈放の理由は教えてくれない。口外せぬことが釈放の条件だという。やがて、その伯父に弁護士とジャーナリストが面会に訪れる。戦時下のロンドンで起きた中立国アイルランドをめぐる英国とドイツの政治的駆け引き、アントワープのダイヤ商人がらみのピカソの贋作事件、とゴダードらしく史実とフィクションが、1940年と1976年をツイストしながら物語は進む、題材は戦争と政治と美術であるが、意外な展開を見せながら、混乱した時代、翻弄された人生の深みが読む者に伝わってくる。本書のテイストは全盛期のゴダードの味がする。
隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(上) (講談社文庫)より
4062774127
No.1:
(5pt)

本書のテイストは全盛期のゴダードの味がする。

ミステリーの専門家でもある後輩からロバート・ゴダードの「Long Time Coming(2010)」は良いよ、と聞いてからしばらく時が過ぎたが、本書が、その邦訳書「隠し絵の囚人」であることは、指摘されるまで知らなかった。彼の「Past Caring(1986)」(邦訳:千尋の闇)でのデビューから90年代まで続いたレベルに戻ったようだ・・・。
1976年、主人公が実家に戻ってみると、ロンドンの空襲で亡くなったはずの伯父が生きていたのである。36年もの間アイルランドのダブリンの監獄に収監されていたというのだ。しかし、釈放の理由は教えてくれない。口外せぬことが釈放の条件だという。やがて、その伯父に弁護士とジャーナリストが面会に訪れる。戦時下のロンドンで起きた中立国アイルランドをめぐる英国とドイツの政治的駆け引き、アントワープのダイヤ商人がらみのピカソの贋作事件、とゴダードらしく史実とフィクションが、1940年と1976年をツイストしながら物語は進む、題材は戦争と政治と美術であるが、意外な展開を見せながら、混乱した時代、翻弄された人生の深みが読む者に伝わってくる。本書のテイストは全盛期のゴダードの味がする。
これは、お薦め!
隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:隠し絵の囚人(下) (講談社文庫)より
4062774135

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