蒼穹のかなたへ
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「蒼穹のかなたへ」(into the blue)魅惑的な邦題です。とても惹かれます。 「さらば愛しき人よ」と比肩するのじゃないかしら。 さて、以下若干ネタバレです。 最も疑わしくない人物が黒幕というのがよくある設定です。 ただその動機が何だったのか...それがこの本作の注目すべきところなんでしょう。 結末で明らかにされる、思わずのけぞり天を仰ぐ事実... この衝撃こそがゴダードファンにはたまらないものだと思います。 ダメ男ハリーが主人公のお話は、この後「日輪の果て」「還らざる日々」があります。 臨機応変の才覚を発揮する主人公は好ましい限りですが、心身共に能力って使わないと 退化するんですよね。アル中でその日暮らしが突然やる気全開。作り事といえばそれまでですが、せめて、日々の暮らしは貧しいけれど、何かのプロフェッショナル(鋭敏な頭脳を常に鍛えている)であるという設定であれば、しっくりと感情移入が出来る感じがします。 | ||||
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週刊文春 1997年 海外4位。 このミス 1998年 海外6位。 フォーマットはミステリではあるものの、文芸作品に分類した方が納得できる重厚な仕上がりとなっている。ある出来事をきっかけとして、主人公が過去を探っていくうちに驚くべき真実が明らかになるというもの。やたらと多い登場人物と錯綜した人間模様、こんがらがったプロットが特徴的でもある。 登場人物たちの行動原理に納得性を持たせるためか、微に入り細を穿つがごとく、かなりねちっこい書きっぷりになっている。どこに伏線があるのか分からないので、気を抜いて読み飛ばすことができない。読み応えがあるかわりに、ストーリー展開が緩慢なので、ゆったりと作品を楽しむ余裕が必要だと思う。ミステリという冠だけで本作品を手に取ると苛立たしさを感じてしまうかもしれない。 本作品は、ラストに一気に真相が氷解するのではなくて、主人公ハリーの試行錯誤ともいうべき行動が、網の目のように入り組んだ因果関係を少しづつ解きほぐしていく。巧妙なミスリードが仕掛けられているので、ハリーとともに途方に暮れることしばしばだ。長く地味な物語であっても読者を飽きさせることのないゴダードの技を堪能できる。 本作品は最初から影の存在を感じる。”誰が”というのが、おぼろげながら分かるのだ。そうであっても、ハリーがたどり着く暗く悲しい結末には、あっという驚きが隠されている。中年男の再生の物語という側面もあるので、ハリーとともに読者は、しばし感慨に浸ることになると思う。伏線を見落としていると辛いのだけど。 | ||||
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英国が生んだ‘稀代の語り部’、ロバート・ゴダードの長編第4作。デビュー作『千尋の闇』で早々とベストセラー作家の仲間入りをして、第2作『リオノーラの肖像』を当時のメージャー英首相が愛読していると報じられ、話題を呼んだ。 本書も高い評価を受け、日本でも’97年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位にランクインしている。 身に覚えのない罪で会社を追われ、ギリシャのロードス島で別荘の番人として酒に溺れながら暮らす、世を拗ねた53才の男、ハリーが主人公である。 別荘を訪れ、彼と親しくなった若い女性ヘザーが、ある日突然失踪する。殺人の疑いまでかけられたハリーは、9年ぶりに祖国イギリスに戻り、ヘザーが残した写真を手がかりに、かつて彼女が姉の死の謎を探るために通り過ぎた道を辿りながら、行方を追う。やがて彼は、自分が大きな陰謀に巻き込まれたことに気づくのである。 上巻でのハリーの地道なヘザー探索行から引き続いて、下巻ではさらに舞台と局面がめまぐるしく変わっていく。それはさながらロールプレイング・ゲームのようで、ハリーもその度に自己回復のレベルアップを重ねてゆく。 ハリーの探索行(捜査と言ってもいいだろう)によって、ゴダードの小説の特長である、複雑な入れ子構造のように幾重にも重ねられた謎が、ベールを剥ぐように明らかにされてゆく。その展開は鮮やかであり、そしてすべての謎が解けた時、ハリーは・・・。 本書はイギリスで’90年に発表されながら、邦訳は’97年と、7年の歳月を要している。初期のゴダード作品はこのように日本では不遇をかこっていたが、本書の成功によってようやくストレートにゴダードが評価されるようになった。そういう意味でも本書は記念碑的な作品である。 | ||||
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1986年に処女作「千尋の闇」を発表したゴダードの1990年の作品である。最近のゴダードの作品は質が落ちたとよく聞くが、この作品は、4作目ということもあり、まだまだ初期ゴダードの質を保っている。とは言え、でだしは退屈だった。物語の事件の起こりを説明する部分なのだが、読んでいて楽しさが感じられなかった。日本人には比較的馴染みの薄いギリシャの、とある山での出来事、ということも関連しているだろう。この作品がおもしろくなってくるのは、主人公が失踪した女性の残した写真を発見し、そこに映っていた被写体を順次追いかけていくあたりからだと思う。ゴダードは作品の中で、さまざまなテクニックを使うが、この作品では、ある人間の行動を写真の順番通りに追いかけることにより、その人物が何を感じ、どう行動したか、の謎を順次解き明かしていく、という方法をとっている。上巻では、オックスフォードのあるクラブでの出来事(ゴダードはケンブリッジ出身だが)、精神科医、などが重要なカギを握ることが明かされる。下巻に入る前に明かされた謎で、話の流れが決定しないどんでん返しが待っているのがゴダード作品だが、その結末やいかに・・・。下巻に期待。 | ||||
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