終りなき夜に生れつく
評判
終りなき夜に生れつくの評価:
4.44/5点 レビュー 71件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全182件 101〜120 6/10ページ
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終りなき夜に生れつくの評価:
4.44/5点 レビュー 71件。 A ランク
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トリックが別作品の焼き直しとの批判があるらしいが、そんな小さなことはどうでもよろしい。パズル解きではなく、文学作品として、重く、濃密で、完成度が高い。
老醜と評する人もいるか。とんでもない。クリスティのすべてを凝縮した、老集大成である。
テーマは、人はなぜ殺人を犯すのか? と同時に、人はなぜ人を愛するのか? 人を愛するとはどういうことなのか?
これら、直球ど真ん中のテーマとがっぷり正面から取り組んで、オカルト、サスペンス、ロマンス、ミステリーの要素を絶妙のバランスで取り入れ、配合している。
前半は、怪しげなジプシーばあさんの不気味な呪いを散りばめつつ、主人公カップルの恋愛物語が、むしろ淡々と語られる。不気味さが徐々に大きくなっていく雰囲気の描き方が、とてもうまい。
そして事件勃発。
ここから後半3分の1は一気にギヤが2段階ぐらい上がってテンポが早くなり、緊張感に満ちた手に汗握るサスペンスが展開していく。この場面転換、雰囲気の一瞬での変換がすばらしい。
トリックのことを言えば、途中でかなりバレバレである。だけど、だからといって物語の緊張感はまったく減ることなく、最後まで一気に突っ走る。この作品ではトリックそのものには重きはおかれていないのだ。むしろそのトリックを成り立たせている人間関係や心理描写の方が、クリスティーの描きたかったことなのだと思う。
そしてそれは、大成功している。クリスティー作品の中でも屈指の傑作だと思う。
(追記)霜月蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』(クリスティー文庫)の中に、トリックについてこのような記述があった。「あの先行作品では、このトリックは「謎解きと驚愕」を生む以上の機能が与えられていなかった。しかし本作では、もっと大きな主題を描く道具としてこのトリックが活用されている」(p.462)。賛成である。