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残穢



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【この小説が収録されている参考書籍】
残穢
残穢(ざんえ) (新潮文庫)

残穢の評価: 3.36/5点 レビュー 300件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全160件 41~60 3/8ページ
No.120:
(4pt)

小説ならではの怖さ

この作品を映像化してしまうと良さが半分も伝わらないと思います。
活字という媒体を最大限に活かして謎が謎を呼ぶ展開がジワリとした恐怖を呼びますが、さらに真相に迫りたいという欲求に抗えずにはいられない。当初は傍観者であった主人公「私」が自らの身にも危険が降りかかる可能性がありながらは止まることができない心境は恐れながらページをめくる読者のそれと同じでしょう。
一つ一つは気のせいかも?で済ませられる些細な怪奇現象なのですが点と点を結ぶとこんなことに繋がるとはーって感じです。
ストーリー終盤で原因となった出来事に辿り着きますが、それが本当の始まりだったかどうかは確認しようがないわけで、見方によってはそれすらさらに過去の穢れによって起因していた可能性もあるわけで、そもそも原因なんかなく穢れとは意識してないだけで最初からそういうものとして世界に存在しているものなのかもしれません。作中の言葉を借りるならそういう世界観なのです。
穢れの汚染が広がっていく様はホラー超大作『リング』を連想した人も多いかと思いますが、そういう意味ではこちらの方が根本的な解決方法がない分はるかにタチの悪い性質だと言えるでしょう。
登場人物らはそんな中で落とし所をつけていくのですが、ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく人によっては尻切れとんぼな終わり方と感じるかもしれません。それが小野不由美先生の作品の味なのですが、人に勧めにくい作品ですので畏れ多いとは思いながら4をつけさせていただきました。。。。。
しかし、この作品を描き上げるためにどれだけの資料を漁ったのか想像絶します。年代別に社会情勢や時代背景を捉えそれらが世代を超えて人の心にどう影響を与え、複雑に絡みつく様をリアルに描くのはさすがとしか言いようがありません。実際見てきたの?って疑いたくなります。主上は化け物でしょうか(褒め言葉)。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.119:
(5pt)

最高のホラー小説

この本がきっかけで怪奇・怪談系の読み物に興味を持ち、ホラー小説や実話怪談をあれこれと読むようになったのですが、未だにこれ程完成度の高い長編には巡り会えていません。
実話怪談、実話の体を取った(特に長編の)怪奇ものは読み進めていくうちリアリティの面で ん?と思ってしまう、何か引っ掛かってしまう箇所が必ずと言っていい程あるのですがこの残穢にはとにかくそれが無い。
ストーリーの主となる部分は勿論、枝葉の部分に関してもその全てに説得力があり、読む側に疑問を抱かせることなくただただ怖さのみに没頭させる。そんな残穢のような一冊にはそうそう出会えるものではないと思います。

また、第六感・霊感のような個々人の感覚が軸や根拠になりがちなホラーものの中で資料やインタビューを元に土地の歴史を遡り、理詰めで核心に迫っていくというストーリーはとても自分好みでした。
怪奇に触れた著者たちの体験談が淡々とした筆致で綴られ、誰しもの傍に潜む普遍的な怖さ恐ろしさに収束していく様には本当にぞわりとさせられました。加えて、物語が進むにつれバラバラに思われた一つ一つの怪異が繋がっていき、終盤その出処に辿り着いた瞬間には怖さだけでなくある種の気持ちよさが感じられると思います。

怖さの質、文のタッチ共にとても自分のツボを抑えたものであり、ついつい繰り返し読んでしまう一冊です。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.118:
(4pt)

抵抗できない「悪意なき怪異」の怖さ。

この話の怖さは、死んだ人間が本人の自覚なく「穢れ」として現場に残り、次の人間をとり殺してしまうという点にある気がします。とり殺された挙句、望む望まざるに関わらず自身も穢れとして次の人間に危害を加える〜という悪意の介在しない無目的な現象の連続は、明確な目的を持って行動する悪意ある殺人者よりはるかに恐ろしいと感じました。
オチが中途半端という批判はよくわかりますが、この現象が解決不能で、主人公たちの存在に関わらずこの先も続いていくという点もかなり怖いと感じます。
それはそうと、この本を読了したころから寝室の天井裏で時折ガタッと物音がするようになりました。小さい音なのですがやけに響くので少し気になります。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.117:
(5pt)

聞いただけでも・・・・

これ、怖いです。
筆者はホラー小説を400冊から読んでいますが、文句なしに最恐です。

著者・小野不由美が、ファンの奇妙な体験について共に調査していく、迫真の実録もの。
何かが畳をこする音がする・・・・そんなショボい怪異に始まり、事態は芋づる式に拡大していきます。

徹底したリアリティで読者の心を囲い込むので、「どうせ作り話だ」という逃げ道がありません。
著者は懐疑主義を貫き、決して常識を踏み外さないし、平山夢明と福澤徹三も実名で登場。
譬えて言うなら、UWFスタイルですね。

だから、「勤め人の久保さんが、こうも私的な調査に打ち込めるか?」とか、
「クボ → ボクで、著者の分身だと示唆している?」などと、余計な事を考えてはいけないのでしょう。
ありのままの恐怖を、受け入れるのが正しい。

純真な筆者は「これを読んでしまった自分にも、害が及ぶのではないか」と、身の危険すら感じました。
そういえば、腰が痛い・・・・って、元々ヘルニアだけど。

なお、本書は映画化もされていますが、読書家が観る必要はないでしょう。
映画として悪くない出来でしたが、どんなに頑張っても、この小説の面白さにはかないっこありません。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.116:
(5pt)

怖い…けど先が気になって仕方ない

ホラーは苦手ですが、小野不由美さんの作品が好きなので読んでみました…が、怖い、怖かったです。
夜読むと格段に怖かったので昼間に読みきりましたが、それでもゾッとします。
遭遇した怪異をどんどん調べていくというかんじなのですが、闇に侵食されていくような恐怖、蛍光灯や窓の光の影に何か映るんじゃないかとびくびくします。
きっと至るところを調べていけば過去に何らかのことが有るんでしょうが、知らなくていいこともあるのでしょう。
ただ自分はあらゆる人々と神様のお蔭でここにいることが出来る、そのことを忘れないでいたいです。
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4101240299
No.115:
(4pt)

初めて途中で読むのを中断した。

新耳袋的エピソードって量がまとまると怖い。私は前半分くらいで気分が悪くなり始めたので、本の届いたその日はもう読むのを止めました。ホラー好きの私としてはこんなのは初めてでした。あーもしかしてヤバい作品かなと思って、次の日は本にバレルコアをいっぱい振って、なおかつペンデュラムがYESとお墨付きを出してくれたのであと半分を読みました(笑)。九州の炭鉱が出てくるので、もしかして「Kの法則」も発動してるのか?なんて考えると、ますますおぞましくなる嫌な話でした。何よりも希望がない(リングシリーズみたいに突き抜けて開けていく感じがゼロ)ので、後味が悪いです。
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4101240299
No.114:
(4pt)

筆力がある

以前映画にもなり以前、話題になっていたので読んでみました。死者も出ていないのに事故物件、遠方の土地でおきた別々の惨事が、どういうわけか関わってくる超常現象。死の穢れ?を移さぬよう喪に服すことは、現代は簡略化していますが本当はきちんとやるべきなのかもしれない。「これを読んで知ってしまったら、自分にも起きてしまうかも?」という伝播の怖さがあります。幸い、何も起きませんでしたが。
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4101240299
No.113:
(4pt)

ジェフファンtama

じわじわ来ますね。読んでいる最中より読後のほうが怖いのかも。防ぎようのない怪異。淡々と描かれた事柄と冷静な分析。偶然や繋げすぎではという判断も読後の恐怖を後押しです。
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4101240299
No.112:
(4pt)

怖くない

作品自体は、怖くはないです。
原因の究明に過去へ遡り、ナゾを紐解いていく。
その過程は、ミステリっぽくて面白い。
ですが、読後、怖いものがメチャクチャ増える。
気にしなければ平気……
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.111:
(5pt)

全てはただ一文のため

この作品は意図的に作者自身の実体験を綴ったルポルタージュの様に書かれている。

どこまでが現実でどこからが創作なのかが非常に曖昧で『本当にあった怖い話』系が好きならばゾクゾクするかもしれない。

しかしこの作品の本質はそんな擬似リアリティーではなく、作中のたった一文を際立たせる為にこそある。

そこを読み流すか、それとも引っかかるかでこの作品の怖さは全く変わってしまう。ルポルタージュ形式で書いているのも変におどろおどろしく書いていないのもその一文を活かすが故だ。

この怖さはどこか『牛の首』の読後感に似ている。

『牛の首』も何も感じない人が読むと意味が分からないというか、その怖さに気づかない。しかしその怖さに気づける人は最終2ページに胃を掴まれる様な恐怖を感じるのだ。

なるほど、この作品は本当に恐ろしい…
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.110:
(5pt)

思った以上に怖かった!

あらすじを読んでたいして怖くなさそうと思ったのですが、めちゃ怖かったです!
えっ?これって本当にあった事なの?なかったの?どっちー!!?って調子で読み、何回も怖くて本を閉じ、また読みと続けてやっと読み終わりました(笑)
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.109:
(4pt)

捨てました・・怖いので・・

ホラー小説は、それを多少でも怖いと思うから読むのだと思う。全く怖くない人は面白くは感じないだろうから。
ホラーには、幽霊ものと、怪奇もの、モンスターもの、etcありますが、幽霊ものは自分でも遭遇する可能性がある故に、それを本当に怖いと思う人は避けるでしょう。たまたま店頭で手にして購入して失敗。飛行機中で読み終えて、空港ゴミ箱に捨てました。その晩から2日間原因不明の熱発に遭いました・・・幽霊が怖い人は読まない方が良い。しかし、怖くない人は読んでも面白くないか?
つい先日の座間SNS悪用連続殺人事件のニュースに関連して、「事故物件」という概念とそれに関するサイトがあることを知りました。それをみているうちに、この物語と同様の実話に目がとまりました。1つのマンションの中で、何部屋かが事故が連続する云々・・この小説より前のことのようなので、ひょっとしたら作者、これを題材にしたでしょうか。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.108:
(5pt)

本棚には置けません(ネタバレ注意!)

生まれて初めて、気に入った本を手放しました……。

これを読んで怖くない、と言った人は、幸運にも現実世界と本の中の世界がダブらなかった人だと思います。

………
まず、物語の最初に一人の作家さんがでてきます。この作家さんは怪異をあまり信じていません。が、ホラーものを手掛けているため、読者さんから数多くの怪談を集めています。

(ここでひとつご参考までに、今作の小野不由美さんはTH悪霊シリーズ時代に、読者から怪談を募集していらっしゃいました。数多くの怪談が集まり、手元にあること、『ヘイキ下巻』最後のあとがきにもあります。そして小野さんご自身もどっぷりオカルト肯定派なわけではないこと、よくお体を壊されることなどのイメージがあるので、この主人公とよく似ている…?と感じることと思います)

そうして、(これはほんとの話?どこまで実際にあったお話なのかな…?)と思いながら、読んでゆくと思います。
そうして読み進めていくうちに、普段聞き流していた当たり前の音が気になり始めます。1歳の娘が天井見て手を振る、いつもの当たり前のことが気になり始めます。
つまり、現実と小説がリンクしはじめてしまうんです。

このあたりで、 和製ホラー好きのみなさんは怪談の【ロジック】を探そうとすると思います。
何が原因で、どうすれば解決するのか。
しかし考えれば考えるほど深みにはまり、それこそが怪異につながる行為だということに気がついてしまいます…。
つまり、読んでいる我々にも怪異が及ぶ、という結論に至ります。

あとは読みきって、どうすれば怪異から逃れられるのか考えてみれば…
背筋が凍ります。

私は階上にいるはずの赤ちゃんの泣き声が、すぐ隣の壁から響いてきたと感じたとき、本を手離すことを決めました。

これ以上本棚にはおいておけません…!
怪異をいただけません‼
ごめんなさい、作者さん!
つかコレ、作者さん大丈夫なの…??!無事でいて……!
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.107:
(5pt)

私の中でダントツで1番怖い本

いかにも、ホラー小説ですよという感じのドヨーンとした文章ではなくて、どちらかといえば淡々とした印象なのに、ものすごく怖い。
ホラー小説とか、怖い話のビデオとか大好きで
小さい頃からたくさん読んだり観たりしてきましたが、ダントツ、この小説が1番怖かったです。
フィクションなのか?ノンフィクションなのか?
全くわからなくて、書き方がものすごく上手いと思いました。
家に置いておくのが怖くなる本です。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.106:
(5pt)

オチが分からないのが意味不明

この作品を読んでオチが分からず何が怖いのか分からないという人は、ホラーを読んでるもしくは小説を読んでいる自分が好きなんじゃないかと思う。
だって、普通に読んでりゃオチの意味は分かるし分からないのは、ただ字面を追っているだけでその意味を理解しないだけ、何のために読書してるの?って。
たしかに、この作品はリングや呪怨のような怨霊が現れるようなホラーではありません。
でも日常にある怖い話、誰でも聞いた事のある怖い話が実は一番恐ろしく根深いものである。というのが基本的なスタンスです。
ただ誰もがこの穢れに触れていながら、穢れに侵食される人も居れば、そうではなく成功する人も居り、それが不思議でゾクッとさせるのです。
例えば心霊スポットに行けば誰もが怖〜い幽霊に出会えるかといえば出会えないでしょう?
これは怖い幽霊が出て恐怖に慄く話ではなく、誰もが何気なく生活する中で、知らず知らずのうちに触れている穢れの恐ろしさの話です。
だって、現に作中の私も確実に穢れに触れています。でも特に命を落とす訳でもなく、無意識のうちに穢れから逃れている(一応、私は逃れたと解釈しました)。
日常の中で一度でも同じような体験をした事のある方には、恐ろしく震え上がるような作品なのではと思います。
ちなみに、私は大なり小なり同じ体験をした事がありましたので、身近に潜む恐怖という意味で恐ろしい作品だと感じました。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.105:
(5pt)

鈍感力発揮する!

ちょっと覗いたらものすごい量のレビューにびっくり。

まず、一人で夜中読んでも大丈夫です(私は)。
鬼譚と合わせ読みしてこその今作品なわけですが、実は著者を昔から追っているとさらに面白く読めます。
そこかしこで腑に落ちます。フィクションという設定なわけですが、
著名実名も多く出る今作品。読み進めるのが非常に楽しかった。

だからといって怖くないかというと、怖いです。
好奇心と嫌悪感、普段は目をそらしている穢れが迫ってくるかのような恐怖。
持っていると、障りがありそうとは言いえて妙なこの本です。
うつりそうで怖いんです。
でも、私はこの本は譲りませんよ?大切な本となりました。

なので頭を鈍くして読みもするし、棚のいい場所にしまっておきます。つまり、すごく怖がってるけど大事な本です。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.104:
(5pt)

根が深い

<私>に持ちかけられたなんて事のない、どこにでもあるような怪談。
そこから始まり中身を探り、遡るにつれ見えてくる根源と汚染。
そして徐々に、それそのものが怪談としての性格を帯びてくる。
現象としての怪異、その淡々とした恐怖が明らかにされる。

初めて読んだホラー小説だったのですが、非常に面白かったです。
(今から思えば)なんて事のない、普通の怪談から始まって、その正体が明かされる毎にまた一味違った怖さというのを楽しめました。
最初から最後まで抵抗なく読めました。

その中で1つ、大した事ないのですが、思ったことがあったので読書を中断してツラツラと書いてみたものがありますので、記しておきます。
この本の中でも度々出てくる精神疾患(統合失調症)についてです。

残穢
トシエさん
清子さんが当時31歳、それより一回り上ということは40代半ばでしょうか。
この時期は女性において統合失調症の発症リスクが高まることが知られています。
礼子さんのトラブルがストレスになり発症、あるいはすでに発症しており、そのために礼子さんを呼び寄せたのかもしれません。
症状としては幻聴、それに伴う不眠ですね。
一晩中赤ん坊の声がすれば嫌がらせと思うのは当然と思うかもしれませんが、その後の発言を鑑みるに嫌がらせを受けていると強く思い込んでる様子が窺えます。
(一人の女性のために赤ん坊を隠しながら、行く先々で、つまり監視をしながら赤ん坊を泣かせるというのは、一般的には考えづらいです。)
病んだ様子という記述は言うにや及ぶ、目つきがおかしい(と周囲の人から語られる)というのも1つの典型的な特徴と言えると思います。
そして統合失調症の方が無治療で放置された場合、悲惨な結果を辿ることもあります。

もちろんこれらは単なる憶測でしかなく、しかもかなり一方的なものです。加えて、話の一部だけを切り取ってこのように解釈すると、全体の整合性にいかんせん問題が出てきますし、そもそも小説に対していちいちこのようなつっこみを入れるのはナンセンスだ、とも十分に言えると思います。
(例えば三島由紀夫は金閣寺を書くにあたり、放火した林が統合失調症の患者であると知りながらも、あえてその事実を抹殺したことが取材構想メモから分かりますが、それは文学作品としての金閣寺の評価を、聊かも傷つけることはないのです)

さらにこの本の中には少なくない数の統合失調症と思われる方が出てきます。
統合失調症は脳の病気でありますので、時代地域を問わず一定数(それもおそらくかなりの数)の患者がいます。
よって上の人たち全員が統合失調症であると推定できなくもないですが、さすがにそれはやり過ぎの感が強いです。
そもそもこの本に書いてあることすべてが事実と仮定して話を進めてますが、本というのはテーマを決めて書くという性質上、情報に偏りが出るのは当然とも言えないほど当然です。
故にこれらの、かなりの共通点を有する心霊体験を一言病気とまとめるのには抵抗がありますが、それでも実際に事実であるという可能性は厳然としてあります。しかしそれらを勘案してもやはりそこまで言うのは推定のし過ぎだと思います。

ただ1つ言えることとして、この本にもそれが示唆してありますが、心霊体験とは精神疾患との関わりはかなり深いもので、霊能者と言われる人の中にも少なからず統合失調症の方がいるとされています。
ダラダラと書いてしまって要旨が掴みづらいのですが、要するにトシヱさんはおそらく統合失調症だったか、そのイメージによって作られた(粉飾された?)のだと思います。
これが意味するところはつまり、この社会には例え病名を知らなくても、(残念なことに)社会的に抹殺されるような風潮があっても、統合失調症の方は確実にいて、そしてそのことをなんとなく肌身に感じていると言うことではないでしょうか。

ただこの病気はまだ原因がはっきりとわかっておらず(ストレスが原因でなるというのは誤りです)、しかも日本だけで100万人も患者さんがいる病気です。
つまり誰もがトシヱさんになり得るということです。
ただしトシヱさんの時と唯一違う点は、現在では適切な治療を受けやすいということでしょうか。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.103:
(5pt)

想像以上に怖くて、呆然とさせられました。

山本周五郎賞受賞ということで期待して読みましたが、想像以上に怖くて、呆然とさせられました。

以前から小野不由美に興味はありましたが、この作品が特別なのか、ホラーの魅力に取り憑かれそうな気がします。

フィクションであってもノンフィクションであっても、どっちでも良いですが、時空を超える穢れや想像することの恐怖は圧巻でした。

あまり人にお勧めできる本ではないです。
残穢Amazon書評・レビュー:残穢より
4103970049
No.102:
(5pt)

購入する際には、パニックホラーを想像せずに。

怖くない。というレビューが多いですが、多分その方達は幽霊やらがワーッと湧いて出てきて、パニックになるようなホラーを想像してこの本を購入した気がします。
この小説はまず幽霊という幽霊はほぼほぼ、出てきませんでした。
ですが、幽霊をぼこぼこ出さずにここまで怖く出来たのは、強いなあって思いました。語彙力(作家さんなので当然ですが)もさながら、納得できる描写がすごく多かったです。どこからがフィクションで、どこからが実話なのか…そういった曖昧さにゾクリとする怖さでした。「持っていたくない」と評されているようですが、そこまでとは言えないです。自分も団地に住んでいたので、あそこの部屋は出入り激しかったよなーと恐怖を掻き立てられました。
淡々と読めて、長すぎず短すぎずとちょうどよかったです。
ただ、少し遡りすぎでは?と笑ってしまいました。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299
No.101:
(5pt)

好きな本です。

怖いです。
しんしんと身体が冷えるような
何かがドーンと出て来て、怖がらせるような単純な本ではありません。

今までも、ホラー、ミステリー類のものは好きで、沢山読みましたが、この本は本当に怖く、そして好きな本です。

迷っている方がいるなら、是非、読んでみてください。損はしないと思いますよ。
残穢(ざんえ) (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:残穢(ざんえ) (新潮文庫)より
4101240299

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