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007/死ぬのは奴らだ



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007/死ぬのは奴らだの評価: 4.38/5点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

読者の好奇心をそそりそうな話題をこれでもかと詰め込んだ意欲作

「ジェイムズ・ボンド」シリーズの第2作。評者は旧訳版も読んだが、1998年の改訳版はフランス語の和訳が改善されているようだ。
第1作『カジノ・ロワイヤル』は非情なハードボイルド・タッチで描かれていたが、本作は一転冒険活劇の様相を呈している。だから、ハードボイルド探偵小説の巨匠で作者イアン・ランカスター・フレミングの友人でもあるレイモンド・ソーントン・チャンドラーは、フレミングは『カジノ・ロワイヤル』を超える作品を書いていないと評している。
『カジノ・ロワイヤル』の舞台はフランスの大西洋岸の架空の避暑地ロワイヤル・レゾーとその近郊に限られていたが、本作ではニュー・ヨークのハーレム、フロリダ、ジャマイカと目まぐるしく変化する。ニュー・ヨークはフレミングが第二次世界大戦中に海軍情報部(NID)から英国保全調整部(BSC)に出向したときに暮らした都市であり、ジャマイカはフレミングが晩年を過ごした土地だ(ボンド・シリーズはすべてジャマイカ北岸のオラカベッサにある別荘「ゴールデン・アイ」で執筆された)。それらの風景や風俗の描写が読みどころの1つだ。
ボンドの敵役は「ミスター・ビッグ」こと「ブオナパルテ・イーニャス・ガーリア」。ハイチ生まれの黒人で、渡米してニュー・ヨークのハーレムでギャングの一員として頭角を現し、戦時中は戦略事務局(OSS)の一員としてドイツ占領下のフランスのマルセイユに潜入して手柄を立てたという設定だ。そのころ共同戦線を張っていたソ連情報機関に戦後徴募され、スメルシュの一員として再訓練されてニュー・ヨークに舞い戻る。全米の鉄道や港湾やホテルで働く黒人たちの間に情報網を張り巡らせて、運輸関係の情報をソ連に流す。ヴードゥー教の死神「サメディ大公」の化身だと手下たちに信じ込ませて、恐怖で組織を支配する。
1915年から1934年まで米海兵隊がハイチを占領。1929年にはウィリアム・ビューラー・シーブルックが旅行記『魔法の島』を著してヴードゥー教を世に知らしめた。1932年の映画『恐怖城』(DVD版では『ホワイトゾンビ』と改題されている)を皮切りに、1940年代から1950年代にもゾンビ映画のブームは続いた。そうしたブームの洗礼をフレミングも受けたに違いない。フレミングは本作の第3章でパトリック・マイケル・レイ・ファーマーのハイチ旅行記『旅人の樹』を4ページにわたって引用しているが、ファーマーはフレミングの友人だった。
ミスター・ビッグが「サメディ大公」の化身と称して黒人たちを恐怖で締め付けるというのは、子供だましの設定にも思える。だが、現に1957年から1971年までハイチを支配したフランソワ・「パパ・ドク」・デュヴァリエ大統領は、蝶ネクタイに黒い燕尾服に黒眼鏡に黒い山高帽という「サムディ男爵」(こう訳す方が正しいようだ)に好んで扮し、国防義勇軍(MSVN)――通称「トントン・マク―ト」――を使って6万人から10万人の国民を殺害または誘拐した。大統領官邸ではヴードゥー教の秘儀が行われているという噂が絶えなかったという。
英領ジャマイカで海賊「血まみれモーガン」の隠し財宝を黒人漁師が発見。それを横取りしたミスター・ビッグが、ヨット「セカタ―号」で米国に密輸し、手先を使って全米で売りさばき、諜報活動の資金源とする。その企てを察知した米国の連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)、英国の秘密情報機関(SIS)が、阻止に動き出す。SISはボンドを派遣して、CIAは『カジノ・ロワイヤル』でお馴染みの「フェリックス・ライター」を差し向ける。だが、ミスター・ビッグの手下の罠にかかったライターは、鮫に右腕と左脚を食いちぎられてしまう(このシーンは映画『消されたライセンス』で活かされている)。フレミングははじめライターを死なせるつもりでいたが、米国での著作権代理人に反対されて瀕死の重傷に留めたという。
ジャマイカでSISカリブ海域局主任「ジョン・ストラングウェイズ海軍少佐」とその情報員「クォーレル」の助けを借りたボンドは、スキューバ・ダイヴィングでセカタ―号に忍び寄って時限爆弾を船腹に仕掛ける。BSCがカナダのオンタリオ州ウィットビーに開設していた第103特殊訓練学校(通称「キャンプX」)で研修したフレミングは、実際にオンタリオ湖で吸着爆弾を廃船に仕掛ける実習に参加していた。また、アクアラングの発明者ジャック=イヴ・クストーとともに1953年にジャマイカでスキューバ・ダイヴィングを体験して、以来趣味の1つとしていた。
ちなみにストラングウェイズとクォーレルも第6作『ドクター・ノオ』で「ドクター・ノオ」の手下に殺害されてしまう。こうして読者に親しまれた登場人物をいとも簡単に消してしまうのがフレミング流だ。
『カジノ・ロワイヤル』で女性蔑視を露わにしたボンドだが、本作では控えめになっている。それどころか、不思議な霊感を持ち、ミスター・ビッグに懐刀として使われる「ソリテール」こと「シモーヌ・ラトレール」を、命がけで救出しようとする。ボンド側に寝返ったソリテールは、ミスター・ビッグの手下に拉致されていたのだ。ボンドの態度の軟化にはジョナサン・ケープ社の編集者の助言があったのかもしれない。
ミスター・ビッグの手下に捕らわれたボンドとソリテールは、セカタ―号からロープで珊瑚礁の海を引きずられて血まみれになり、鮫に襲われる(このシーンは映画『ユア・アイズ・オンリー』で活かされている)。だが、ボンドが仕掛けた時限爆弾が炸裂して、九死に一生を得る。逆に、海中に放り出されたミスター・ビッグの方が、鮫の餌食になってしまう。
第3作『ムーンレイカー』の冒頭で、SIS長官「M」は、ハーグの国際司法裁判所で争った末にこの財宝が英国政府のものになったと語っている。この一件のあとボンドは聖マイケル聖ジョージ勲章(CMG)を授与されるが、もしかしたら財宝獲得の功績を認められてのことかもしれない。
黒人と共産主義の結びつき、ヴードゥー教、カリブの海賊、水中遊泳、人食い鮫と、読者の好奇心をそそりそうな話題をこれでもかと詰め込んだ本作は、大変な意欲作といえる。
ボンド・シリーズは創元推理文庫では版を重ねているが、ハヤカワ・ミステリ文庫では絶版だ。2020年4月には映画の新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』も公開されるというから、これを機にぜひ早川書房にも再版をお願いしたい。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.10:
(5pt)

You Only Live Twice from Matsuo Basho.

友達がプレゼントで買ってくれた。

《死ぬのは奴らだ》は、原題で《Live and Let Die(生きて死ぬ)》良いタイトルだね。

フレミング氏はネーミングセンスが良いね。

007の小説は、中々にハードで読んでいるとボンドに感情移入しやすいな。

ムーンレイカーはMの人間らしさが伺えて良かったな。

やはり小説が一番だ
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No.9:
(5pt)

98年の改訳版を読んで・・・

映画ではムーア・ボンド初登場作品で、ユーモアと言うより度を越した悪ノリ過多の改変に出来の悪いコメディ作?のようであまり好きにはなれませんでした。
しかし小説の方ではなかなかハードで、ボンドは指をへし折られバラクーダに肩の肉を食い千切られる等、絶体絶命危機一髪の緊迫感でいっきに最後まで楽しんで読む事ができました。
さすが初期の傑作。映画の「ユア・アイズ・オンリー」「消されたライセンス」で部分採用される程、濃い内容だったんだと納得。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.8:
(4pt)

スタイリッシュさとはかけ離れていますが

映画では、3代目ジェームズボンド:ロジャー・ムーアが颯爽と登場したシリーズ第8作。ポール・マッカートニー&ウィングスが主題歌を担当し、スタイリッシュな作品に仕上げていましたが、原作でのボンドは、常に怪我、生傷の絶えない感じで苦労を重ねながら任務を遂行します。そこがフレミングの筆の見せ所でもありますが。意外に自然の描写など、熱帯の夜の雰囲気が漂ってくるようでぐっときます。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.7:
(5pt)

感慨深い。

中学、高校時にむさぼるようにこのシリーズを読んだことを思い出し、今の時代にキンドル化
された事を感慨深く受け止め購入しました。

内容についてのストーリーは映画と別物として捉えるべきでしょう。

但し、興味深い事は、この本の初版刊行が1954年です。
日本では、まだまだ戦後が色濃い時代に、こんな荒唐無稽な冒険活劇が出版されていたなんて
外国(西洋)との差をまざまざ見せつけられた事だったと考えます。

この一連の007シリーズは、個人的にヨーロッパの世界にある判りやすい「騎士とお姫様」の物語
がベースがありきで、リアルな「衣・食・酒・車」そして「冷戦」が絡み、現実感と興味を持たせ
海外の美しい地域での「憧れ」を煽り、少しだけ不気味さを感じさせれば出来上がり、という感じ
でしょうか、その意味であれば映画のベースも同等かと考えられます。

本作は、一作目の「カジノロワイヤル」に続く2作目として、フロリダ~ジャマイカ
が舞台となっており、特にジャマイカは作者自身が晩年過ごした場所でもあり、実際の自然の描写や、
食事のメニューなどが反映されており、興味深く読み進められます。

さすがに、今の時代の感覚では古き良き時代感は否めませんが、その時代背景も加味した上で楽しんで
頂ければと考えます。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.6:
(5pt)

007はまず原作から

中学~高校にかけての、そして今だに大の007ファンを自認する小生ですが、ボンドの本当の面白さは原作小説にこそある、と日頃からアナウンスしています。イアン・フレミングのおさえた、格調ある文章(これも訳者の井上一夫氏の翻訳力のおかげです)で綴られるボンドの冒険物語に中学生の私はすっかり魅了され、文字通り寝食忘れて読みふけったものです。全13作では飽き足りずに、フレミングの紀行もの「007世界を行く」や「007専科」はてはキングズリー・エイミスの「ジェイムズ・ボンド白書」まで読みました。この「死ぬのは奴らだ」が小生のボンドデビューで、それが今回、Kindleで読めるようになるとは、いい時代になったものです、感謝。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.5:
(4pt)

渋い

映画とは全然違います。

もっと生々しいし、ボンドは怪我もします。

映画版のロジャー・ムーアのような軽やかさは薄いです。

「ハードボイルドな男」そういった印象の良書でした!!!!!!!
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.4:
(5pt)

抜群の面白さ。

最高に面白い作品でした。
原作を読むのは2冊目ですが、映画も最高ですけど小説も抜群です。
1950年代に書かれたものなのに、古くないですね。
映画は、最新兵器やアクションシーンが話題になったりしましたが、原作ではボンドの心理がよくわかります。
映画よりも近しい存在としてボンドが感じられます。

原作の『死ぬのは奴らだ』は、007シリーズの第2作なんですね。
映画化の順番とは異なります。
映画でのボンド役はロジャー・ムーアでした。主題歌をポール・マッカートニーが歌って大ヒットしました。
小説を読んでいる間、頭の中ではその主題歌が鳴っていました。
ただ、どうしてもボンドは、ショーン・コネリーを思い浮かべてしまいます。
多分、読まれる方は自分の一番好きなボンドを頭に描きながら読まれることと思います。
映画をご覧になった方には特にお勧めです。感激が2倍になります。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.3:
(4pt)

「こちらは生き、奴らは死ぬ、これがこっちのやり方さ。」

前作カジノとはうってかわって、様々な国や場所を舞台にした007の冒険が描かれている。

黒人犯罪者のなかでもっとも力が有り、人を恐怖で支配するスメルシュの一人ことミスター・ビッグとの戦い。ボンドとコンビを組むのはCIAの盟友フィリックス・ライター。

今作でのボンドも内なる闘志を秘め、まだ感情的な部分も残す人間ボンド。ライターの敵への復讐する描写やソリテール(ヒロイン)のことを考えているときの描写等々、彼も一人の人間であることを思い出させてくれる。初期傑作と呼ばれるのも納得。

フレミングらしい細かい描写等々も意外と読みやすかったりします。

前作のカジノ・ロワイヤルでスメルシュを倒すことを誓ったボンド。そんな彼が本格的にスメルシュを戦うことになる作品。
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No.2:
(5pt)

初期傑作

と名高いイアン・フレミングの007シリーズ第2作。前作「カジノ・ロワイヤル」が傑作で、期待していたが、これもやはり荒唐無稽活劇小説ながら、いい。前作ではジェームズ・ボンドの人間像が固まっていなかったが、本作はフレミングがフレミングという一つの土壌を作ったように感じ、ボンドも小説で活躍できる「人間」として成立したようだ。

とくに、「カジノ」での特徴だったハードボイルド調の文章は引き継がれており、ボンドとソリテール(ボンドガール)との恋愛描写もシビア。まだ、映画にあるようなアクションはないが、策略が渦巻くスパイの世界を描いた良質モノ。

是非映画も観て欲しい。ロジャー・ムーアがボンドのイメージと重なってしょうがない。
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No.1:
(5pt)

ジェームス・ボンドの荒唐無稽な冒険の始まり

原作では第2作目の作品です。第1作の『カジノ・ロワイヤル』はカジノが舞台のどちらかと言えば密室劇的な作品でした。本作からストーリーのスケールが大きくなります。イアン・フレミング、ボンドの本領発揮というところです。
舞台はイギリス、ロンドンのMI6のオフィスから始まり、いきなりアメリカ、ニューヨークのハーレムに飛び、クライマックスはカリブ海です。これだけで後の映画のイメージが浮かんできます。
今回の事件はブードゥー教でハーレムを支配するミスター・ビッグ(顔がでかい)がカリブ海で発見された17世紀の実在の海賊ヘンリー・モーガン(ディズニーのカリブの海賊のモデル)の大量の金貨をソ連にせっせと運び込み、ソ連はそれを元手に西側経済の混乱を狙っているというものです。当時はアメリカを中心とした金本位制の時代ですから、大変です。しかも黒人とコミュニストというのは当時のアングロサクソン中心の西側世界の2大脅威です。この2つの脅威をカリブの海賊でつなげちゃうところがイアン・フレミングの才能ですね。
007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:007 死ぬのは奴らだ (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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