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スペードの女王
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【この小説が収録されている参考書籍】
スペードの女王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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「スペードの女王」は横溝正史の長編推理小説。昭和33年6月「大衆読物」誌に掲載された「ハートのクイン」という短篇を改稿・改題したもので、名探偵・金田一耕助が登場する。 片瀬海岸で首のない女の死体が発見された。内股に「スペードの女王」の刺青があったことから、彼女はヘロイン密輸入のボスだった陳隆芳の妾かと思われた。しかし、金田一耕助のもとを訪れた坂口キクの話から新たな疑惑が浮上する。 彼女の夫・坂口亀三郎は「彫亀」の異名を持つ名人彫物師であり、彫亀と金田一耕助は以前捜査で顔を合わせたことがあった。キクによれば、彫亀は新宿御苑近くで車にはねられて死んだのだが、事故死だとは思えない理由があり、警察も頼りにならないのでやむなく金田一を訪ねたのだという。 その理由というのが、彫亀が法外な報酬で依頼された「スペードの女王」の刺青を彫る仕事である。その際は作業をする部屋まで目隠しをして連れて行かれたうえ、刺青を彫る相手の女は睡眠薬で眠らされた状態。しかも刺青の見本は、依頼者である女の内股に彫りこまれたものだった。 死体の身許は、赤坂でナイトクラブ「X・Y・Z」を経営する岩永久蔵の愛人・神崎八百子と目されており、彼女が「スペードの女王」であると証言する者も現れていた。だとすると首のない死体は、八百子が身を隠すための身代わりとして用意した別人なのだろうか。そして、彫亀の死は、何者かによる口封じだったのであろうか……。 本作では横溝正史おとくいの「顔のない屍体」トリックを扱っており、刺青という個人を特定しやすい要素をあえて加えることで、単なる人物の入れ替わりにとどまらない謎解きが楽しめるようになっている。 内股のきわどいところに「スペードの女王」の刺青を施し、ヴェールで顔を隠した謎の女。麻薬王の妾とされるこの女性のイメージが作品全体に艶めかしい雰囲気を醸しだしており、ひねりの効いた構成や意外な犯人とあいまって、本作の魅力を高めている。 解決編があっさりしすぎており、犯人の動機について今ひとつ納得できなかった点はいささか残念だったが、そこを割り引いても面白い作品と言えるだろう。 この事件の犯人は凶暴で金田一も狙われるのだが、それを知った等々力警部が夜中にかけつけてくるシーンはぐっと胸に迫るものがある。結局そのまま警部は金田一の部屋に泊まり、いっしょに風呂に入ったりするのだが、二人で朝食をとりながら「金田一先生はいつもこんな食事で辛抱してらっしゃるんですか」「こんな食事って失敬じゃありませんか。これでもせいぜいサービスしてるんですぜ」なんて言い合っている様子はじつに微笑ましかった。 <登場人物> 坂口亀三郎 … 車に跳ねられ死亡した名人彫物師。通称・彫亀。 坂口キク … 亀三郎の妻。小料理屋を経営。今回の依頼人。 坂口秀子 … 亀三郎とキクの養子。 山上八郎 … ペンギン書房の社主兼社長。週刊喜劇の名編集長。 上杉 … ペンギン書房の編集次長。 小池 … ペンギン書房の若い記者。 木谷晴子 … ペンギン書房の編集部付き給仕。 前田浜子 … ペンギン書房の敏腕婦人記者。 前田豊子 … 浜子の姉。以前は米軍将校のオンリーをしていた。 陳隆芳 … 一昨年病死したヘロイン密輸のボス。 スペードの女王 … 陳の妾。太股にスペードの女王の彫物。 梶原直人 … ヨットで水死体をひっかけたと通報したQ大の学生。 塩原宏 … 梶原と共に大島一週ヨットレースに参加したQ大生。 石川周作 … 片瀬でヨットから水死体を発見した高校生。 山本勝子 … 石川と共に水死体を発見したR大の学生。 岩永久蔵 … 赤坂にあるナイトクラブ、X・Y・Zの経営者。 岩永夏子 … 久蔵が新聞記者をしていたころ結婚した糟糠の妻。 谷口健三 … 久蔵の秘書。古川と伊丹を車に乗せ別荘に来た。 福田泰治 … 久蔵の元秘書。信州の高原療養所で療養中。 米川雅人 … X・Y・Zの支配人。戦争中に久蔵と知り合う。 古川あや子 … X・Y・Zのホステス。 神崎八百子 … X・Y・Zのホステス。久蔵の愛人。 古屋恭助 … 八百子の友人。作家のたまご。 中田三四郎 … 八百子の友人。作家のたまご。 東山里子 … 八百子の刺青を知る友人。極東キネマの女優。 有明ミユキ … 八百子の友人。女優だったが今はヌードモデル。 伊丹辰男 … 別荘に着くと姿を消した八百子の知人。 根岸博士 … 神奈川県警の嘱託医師。等々力警部とは旧知の仲。 西村博士 … K・K病院の副院長。水死体の解剖に立ち会う。 一ノ瀬 … K・K病院の看護婦。前田浜子からの電話を受けた。 川上技師 … 警視庁の科学検査所の技師。錠前の専門家。 高橋警部補 … 警視庁防犯部保安課の麻薬担当官。 今波警部補 … 鎌倉署の捜査主任。 井口警部補 … 赤坂署の捜査主任。 島田警部補 … 緑ケ丘署の捜査主任。金田一とは昵懇の間柄。 須藤刑事 … 赤坂署の刑事。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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「金田一耕助」シリーズを手にし始めて10ヶ月が経ちました。期せずしてだいたい月に1冊ずつ楽しませてもらっていることに気付きました。そしてまた今回も楽しむことができました。 本作は横溝先生お得意の首なし死体モノ。今回は残された身体に刺青が残されているのですが、この刺青が殺人の謎解きのヒントにもなり、同時に謎を深める要因にもなっています。実に素晴らしい設定だとただただ感心させられました。そしてかなり後半まで読み進めるまで犯人が分からなかったです。 作品の末尾に置かれている中島河太郎先生の解説も良かったです。次作も既に注文しました。一気に読めてしまう面白さなのですが、ゆっくり楽しんでゆきたいと思っています。 | ||||
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あまり期待せずに読んだのですがとても面白かったです。 | ||||
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長編でしたが、おおまかに云わしてもらえれば、"起承転結"でなく*起転展結と勝手ながら呼ばしてもらいます。起の部分の「彫亀」こと有名な彫り師が、事故死でなく他殺ではないのかと、( 世田ケ谷区緑ケ丘町にある高級アパート、緑ケ丘荘の二階三号室。──緑ケ丘荘の玄関先から門までひと目で見おろせるその部屋が、すなわち金田一耕助の事務所兼住居なのである。)にて、依頼に相談を持ちかける彫物師の妻の証言が、小料理屋に(毛皮のオーバーに、黒い長い手袋に猫目石の指環(サファイアかイエローオパール? まあクールないいまわし笑)。帽子からかなり目のつんだベールをたらしているのである。ベールは鼻の上までかかっているので、はっきり見えるのは口だけだった。) 客がおでんを以下 和製ジャッロー要素の起が、ワクワクしますが、転で少し話が面白くなくるので、まあアレンジして映像化して化ける作品ではありました。著者はいろいろなパターンをもってらっしゃるが、大衆エロサスペンス(個人的に菜々緒みたいなセクシー女優で、過去に脱いでて濡れ場OKな美人女優 夏樹陽子さんや范文雀さんみたいな女性 勿論主役は、神崎八百子でしょう_映像化希望) としては、意外に読みやすく面白かった。 | ||||
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good | ||||
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昭和35年発表の書き下ろし作品。本作はいわゆる「顔のない死体」もので、トリックを 中心においた作品であるがサスペンスとしても面白く、わずか二日で読破してしまった。 彫物の名人・通称"彫亀"の妻が金田一の事務所を訪れ、交通事故として処理された 彫亀の死亡に疑問を持っていると告げる。彫亀はその四ヶ月前、ある女から不思議な 仕事の依頼を受けた。それは目隠しされて連れていかれた部屋で、意識を失った若い 女の内股に依頼人と同じスペードのクイーンの彫物をあしらってくれというものだった。 そして彫亀の妻はひとつの新聞記事を差し出す。片瀬の海で女の首なし死体が発見 されたというもので、その死体の内股には、スペードのクイーンの刺青が彫られていた。 ここでまず問題になるのは、海で発見された首なし死体は彫亀の依頼者の女なのか、 新たに彫った女のものなのかということだ。謎に包まれた出だしから少しずつ背景が 明らかになっていく過程に引っ張られ、また第二、第三の死体の発見があり、勢いを 失うことなく最後まで読ませてくれた。「顔のない死体」ものはトリックの定番であるが、 あえてそれに挑戦した心意気は買いたい。ただ意外性にこだわったせいか、一読者と しては何とも感想の難しい珍回答になっている。スリラーとして楽しむべき作品だろう。 | ||||
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昭和35年発表の書き下ろし作品。本作はいわゆる「顔のない死体」もので、トリックを 中心においた作品であるがサスペンスとしても面白く、わずか二日で読破してしまった。 彫物の名人・通称"彫亀"の妻が金田一の事務所を訪れ、交通事故として処理された 彫亀の死亡に疑問を持っていると告げる。彫亀はその四ヶ月前、ある女から不思議な 仕事の依頼を受けた。それは目隠しされて連れていかれた部屋で、意識を失った若い 女の内股に依頼人と同じスペードのクイーンの彫物をあしらってくれというものだった。 そして彫亀の妻はひとつの新聞記事を差し出す。片瀬の海で女の首なし死体が発見 されたというもので、その死体の内股には、スペードのクイーンの刺青が彫られていた。 ここでまず問題になるのは、海で発見された首なし死体は彫亀の依頼者の女なのか、 新たに彫った女のものなのかということだ。謎に包まれた出だしから少しずつ背景が 明らかになっていく過程に引っ張られ、また第二、第三の死体の発見があり、勢いを 失うことなく最後まで読ませてくれた。「顔のない死体」ものはトリックの定番であるが、 あえてそれに挑戦した心意気は買いたい。ただ意外性にこだわったせいか、一読者と しては何とも感想の難しい珍回答になっている。スリラーとして楽しむべき作品だろう。 | ||||
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30年以上前にこのシリーズを読破しましましたが、当時の職場知人に譲って本はすでにありません。今回数年前から少しずつ再読しています。やはり横溝作品は、面白い。師匠筋の江戸川作品よりすっきり読めます。 | ||||
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全体の雰囲気からしても 妖艶な感じのする1冊となっています。 それと文中にはもはや失われた言葉があり 古き混乱の時代を思い浮かばせてくれます。 さて犯罪は、というと 手口に関してはもはや冒頭で わかるはずです。 なにやら悪いことをたくらもうという魂胆が ありありと見えてきますからね。 そして事件はといいますと… 嫌疑がかかりそうな人が 一人に絞られるせいでなかなか 真の犯人を捜すのは難しいでしょう。 何せその的の人は相当のやり手なのですから… ちなみに最後に出てくる 思わぬちょっとした事実には おっと思わせられるはずです。 さりげなくそんなことがあろうとは… | ||||
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