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虎よ、虎よ!
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【この小説が収録されている参考書籍】
虎よ、虎よ!の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 21~40 2/3ページ
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正直いって、生まれる前に出版されたSF。 しかし、評判は高かったが・・今日まで、なぜか手をつけてませんでした。 あらすじは、なんとなく知っていたような気もします。 しかし、やっと今頃読んで、ブッ飛ぶ。 こんな小説は稀有。 話は、ほとんどついていけませんでした。 原文がそうなのか、翻訳がそうなのかはわかりませんが、とにかく、 何を言っているのか、よくわからない。 しかも、SFガジェットがこれでもか、と登場する。その凄まじさは、 フィリップ・K・ディックの比ではない。 また、検証したわけではないけれども、プロットの破綻している可能性が大。 しかも、よく読まないと、登場人物の関係が複雑で、見失ってしまう。 しかし、なぜか、途中でやめないで最後までぐんぐん読み切ってしまいました。 この不思議な、破天荒な魅力はなんなんでしょう。 評判にたがわない、不思議でセンス・オブ・ワンダー満載の傑作でした。 さて、順番はさておき、次は『分解された男』を読むか・・。 | ||||
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物語そのものに深みがあるわけではないですが展開が早くて最後まで一気に読めます。読み終わった後に何か考えさせられるような事もないですが「面白かったなぁ」という感覚が残ってます。エンディングも良かったです。意外とさっぱりしたSFですよ。 | ||||
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10年に一度の傑作 この評につられて手を出した。 私は集中力のないほうで、小説などは日に2〜30分読むともうダメなたちなのだが この作品は違った。 とにかく熱い。で、ノレる。 この手の感覚はニューロマンサーでも体験したが それの比ではない。 ご都合主義的に捨てられた女達がくっついたとか ガリー宇宙に出て死なへんの?とか 脳内会議どないしたん?とか 電車で屋敷に乗り付ける?冗談やろ?とか 突っ込みどころは多々あれど、それを感じさせない熱がこの作品にはある。 ゆえに、読後はただ「面白かった」という感じだけが残る。 帯を見たときにこの作品が50年も前に出版されたものだと知った。 私には信じられない。この作品の持つ熱は半世紀たった今でも燃え尽きていない。 | ||||
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間違いなく古今のSFベスト3に入る傑作だと、 断言します!! アイデアの奔流ぶりが凄い!! 「ボーガ」なる言葉に導かれ、 凡人だった男がスーパーマンとなり、 世界、いや宇宙を手玉に取ります!! この本から盗用されたネタ、 多いすよねえ。 とにかくいたるところに、引っ掛けや 飛躍が仕掛けてあるのですから・・・。 ニーチェの超人思想をも超えた小説、 それが「虎よ虎よ!」だっ!! | ||||
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ある意味、社会不適応者である主人公が、とあるきっかけで死に物狂いでのし上がる。 それ自体、ドラマチックな物語ですが、数え切れないくらいのSFガジェットの奔流、 スラング、暴走、暴力、ワイセツ、あらゆる悪徳が洪水のように流れる本作は、 ある意味確かに読む人を選ぶ嫌いはありますが、まさにジェットコースタームービーのように 凄まじい勢いで突っ走る主人公、それを追うストーリーは、多少のアラをも 物ともしないほどの迫力です。 いわゆる、「ワイドスクリーン・バロック」…数行ごとにとんでもないSFアイディアが 惜しげもなく並べ立てられるバトルアクションSF、くらいの意味ですが、まさにその見本。 皆さんネタバレを恐れて言及してない方が多いですが、最終章近くの、あの、小説という形態に 挑戦したかのようなアクロバティックな表現が、またもや強烈なSFアイディアと融合して、 読む者の目を眩ませるページは忘れられません。 バトルアクションな小説が好きな方には絶対のお勧め。 個人的に好きなシーンは、「ヴォーガ」と呟いて小惑星から離脱する主人公。見殺し…それもこの男の人間性。 | ||||
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簡単に言うと、面白い!興味深い! 私は、ジョウントの履歴書説明で「うわっ;」と思ったり、半ばで挫けそうになりましたが、最後まで読んで良かったー ちょっと「えー?腑に落ちない…」と感じるところも、最後にはすべて納得でます。 書かれた時代からいうと、古いと感じる部分もあるし、突拍子もない書きかただと思うところもあるけれど、全体を通してみると、とてもよくまとまっています。 何より感心したのは、主人公の性格設定。 多分、大抵の人が共感しづらい主人公の性格を、見事に描き切っていたと思います。 主人公は、常に自分以外の者に対して怒り、自分の期待を裏切った者に復讐心を燃やし続けています。 怒りというものは、与えられて身に付く感情ではなく、元々備わっている原始的な感情です。 このシンプルさ、そして感情の強さが、彼の秘密の能力覚醒のひとつの鍵です。 作者は、実に巧みにその性格を作品に組み込んでいます。 主人公の性格を表すものとして、特に、出だしの宇宙船の中の描写は絶品です。 初めは「神は信じない」と、汚い言葉を駆使して神を罵倒しています。かと思えば、救いの光が射した途端に称賛して縋り、そして、またすぐに拒絶。 物語が展開してからも、誰かを必要とするのも、排斥するのも、常に突然。 主人公には、物事を深く考える余裕が無く、人に共感する能力が欠けていたのです。 ですが、中盤には、彼の感情の中で劇的な変化が起こり、それを引き金に急速に物語が展開していきます。 終盤に関しては、最後に向かって盛り上がり続ける展開がスゴイと思いました。 購入の参考までにひとこと。 SF読んだことないから読んでみたいなー、というノリの人に、一番最初に読むSFとしては、ちょっとオススメしづらいです SFを少し読みなれた人になら、とても面白く読める1冊だと思います。そして本棚に残る1冊になるのではないでしょうか。 余談。 個人的に漫画が大好きなので"加速装置"や"炎の身体"が出てきたところは「009?!銃夢?!AKIRA?!」なんて思ったり。そういうところも楽しめました。 実は、何も知らないで、この本と一緒に購入した本が『幼年期の終わり』なんですけど(笑)今から読むところですー | ||||
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「破壊された男」を読んでアルフレッド・ベスターの事を好きになりこちらも手に取ろうとしたのですが、1年ほど購入せず。 しかしやっと購入したら2日で読み終えてしまいました。 「破壊された男」とこの「虎よ、虎よ!」を読んで思った事は、後半の展開が目まぐるしく展開していって、思わぬ形でスッキリと、でもとても印象付けられる終わり方をするという事です。 "荒々しいけど素晴らしい"なんて評価をしようと思ったのですが、所々印象的に入る小ネタ(トゥジュール・ド・ローダスなど)が面白くて印象的で、飾ってないけど豪華で簡潔で読んでいて面白いです。 ネタバレになりますが、情熱を失っているフォイルが"ヴォーガ"復讐へのただ一つの執念だけで不死鳥のように立ち上がり、一気に物語が進んでいくのは読み応えがありました。そのおかげもあって上記したとおり2日で読み終えてしまいました(自分は読むのが早いとは言えません)。 会話は丁寧でテンポがあって、センスを感じる物でした。登場人物の思いがよく込められた台詞ばかりで、会話と同時に内面の描写もとても良くこなしています。 他にもどう書いたら良いのかわかりませんがお勧めです。すごいボリューム、すごいスケール、すごい展開、すごいラストと、全部首尾一貫して完成された作品です。 | ||||
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モンテ・クリスト伯をモチーフに書かれたSF版巌窟王、という認識で読み始めたせいか、 宇宙を股に掛けた復讐劇の始まりとしては、いまいちピンとこない復讐理由。 物語の大きなキーになりそうなタトゥーも、何が何やらといううちに入れられてしまい… 果たしてこの小説は面白いのか?という疑問を抱えながら読み進めるはめになりました。 それでもジョウント(瞬間移動)や加速装置といったSFアイテムは冒険心を刺激してくれること請け合いで、当時の世相を 反映した舞台背景は緊張感を高めます。何より主人公の怒りのパワーに魅了され、頁をめくる手が止まることはありません。 読者を置いてけぼりにしかねない登場人物たちも皆魅力的。そんな彼らに導かれ、気が付けば物語も佳境へと進みます。 ここに至るに、正直この小説はこのシーンの為に存在するのではと思う程、それは心に響く演説でした。 自己の探求ともいうべき、哲学的、スピリチュアル的でさえあるメッセージを、エンターテインメント小説に打ち込みながら テキストというビジュアルでここまで力強く表現した著者の才能には驚かされるばかりです。 果たしてこの小説は面白いのか?ただ一つ言えることは、表面的な事象のみにとらわれずに冒頭から語られるテーマを 読み解く、あるいは感じることができたなら、本書はあなたにとって傑作と呼べる一冊になることでしょう。 個人的にはSFコミックの名作L'INCAL アンカル (ShoPro Books)を読み終えた時のような感情の昂りを 再び味わうことができたことを、とても嬉しく思っています。 | ||||
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今更、言うてもしゃあないけど、今のこの表紙何とかしてくれよ!何やねん、あの表紙!どう見ても、かつての生頼大先生の表紙の方が、復讐鬼いう感じで迫力あって、カッコエエぞ!でも、今の表紙を描いている人が、あかんて言うてるのと、ちゃいますよ。ハヤカワがアホやて言いたいんですわ。念のため。 | ||||
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ガリヴァー・フォイルは、遭難した宇宙船ノーマッドでただ一人生き残った。漂流から6ヶ月目、ようやく付近を航行した宇宙船ヴォーガに救難信号を送るものの、ヴォーガはそれに気づきながら反転して去ってしまう。そしてその絶望は、無学で粗野で気力もないフォイルに、復讐という原動力を与えた。 懸命になってノーマッドの機能を回復させ生き延びようとしたフォイルは、アステロイドベルトで異文化の人々に捕らえられ、顔中に虎のごとき縞模様の刺青を施されてしまう。何とか脱出して地球に生還したフォイルは、ヴォーガと、それを所有するプレスタイン一族に対して復讐を開始する。その行動は知らぬうちに、宇宙における政治・経済戦争の行方とも関連することになるのだった。 人類にジョウントという瞬間移動の能力が目覚め、それを利用した悪行が蔓延り、治安が悪化してしまっている世界において、見殺しにされたという怒りのみで行動する男が、2人の女性ロビン・ウエンズバリやジスベラ・マックイーンを利用し傷つけながら、しかし最終的に大きな成長を果たすことになる。 この作品世界は、ジョウントという便利な能力が開花してしまったために、それを悪用する者が現れ、そして争いが絶えない場所となってしまった。そして、それを悪用して楽をすることしか考えず、自らを理解し鍛えるという考え方が失われてしまっている。 しかし逆に考えると、ジョウントさえなければ人類は立派な世界を営めていたと見ることも出来るわけで、作者の人類に対する希望が失われていないことも示唆しているといえるだろう。 ジョウントは、人の他者に対する物理的境界を強引に無視する能力だ。たとえ自宅の中にでも突然現れることが出来るため、一時も心の休まる時がない。この物理的な能力に対応する様に、精神感応という、相手の精神の壁を強引に乗り越えて意思疎通を図る能力も登場する。これも、自分が知られたくないと思っていることを筒抜けにしてしまうという意味で、恐ろしい能力だ。 そんな中で作者がフォイルのパートナーの一人に選んだロビンは、自分の心は駄々漏れになるが相手の心は読めないという不完全なテレパスだ。この能力は本人にとっては不幸だが、他人から見れば悪意を隠しておくこともできないので、騙される心配のない人物ということになる。 物理的であれ精神的であれ、相手の意志や立場を無視した強引なやり方は、悪意や闘争の種となる。相手を慮り、相手の意志を尊重して、相手の考えを誤解することなく理解する。そういうやり方が素晴らしい世界を築くヒントだ。そんな考え方が、この本のラストからは読み取れるような気がして仕方がない。 | ||||
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理不尽に囚われの身となった主人公が,同じく収監されている囚人の協力を得て脱獄し, その後別人に成りすまして,莫大な財産を利用して復讐を開始するという設定は,まさに デュマの「モンテクリスト伯」に習った復讐物語であるが, 本作品の魅力は,復讐そのものよりも,加速装置などのガジェットを利用したアクションの描写や ジョウントというテレポーテーション能力を持つにもかかわらず,その能力を発揮するためには 現在位置を正確に把握しなければならないという制限を設けることで, 緊迫感のある状況設定に成功している点にあるのではないだろうか。 私がもっとも感心したのは,25世紀という未来が舞台であるにもかかわらず 囚われとなった監獄から脱出するのに,監獄から通じる洞窟内へ移動し,洞窟内に流れる地下水脈を利用して脱出するという 非常にアナログ的な手法を使っている点である。 未来を舞台にしたSF小説のジャンルに入る作品であるが,そのジャンルに止まらず,なぜ生きるのか,救済とは,人類の未来は といったテーマにまで発展していくこの作品の魅力に,触れてみるのもいいかもしれない。 | ||||
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プロローグを紹介してしまおう。 ある科学者が研究をしている。それは、人は死の危険が近づいた時、瞬間移動能力を発動するというものである。死の恐怖は、瞬間移動能力を発動するというものである。 (これって、藤子・F・不二子先生のエスパーマミがパクッてるよね。つまり、その元ネタである) まあ、中盤が読んでいてダルいのは認めよう。 しかし、この小説は、おれが自分の手で脚色して映画化したいSFの第一位である。 | ||||
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続きが気になる。でも読んでしまうのが勿体ない。そんな最高の読書体験の一つです。 猥雑で豪奢なビジュアルイメージと頽廃的な未来像。王道のストーリー。 主人公がぐいぐい自力で道を切り開いていく成り上がりっぷりは気持ちがいいです。 陳腐ながら個性豊かなキャラクター。女性キャラのやっつけぶりはご愛嬌。 そして何よりも、圧巻のラスト(解説のある部分を読んだら魅力が半減するのでご注意を!)。 個人的には暗い最後だとは思いません。 鬱憤をスカッと晴らしてくれるこの読後感に中高生時代に出会いたかった。 | ||||
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萩尾モト『スターレッド』のクライマックスシーンに 強い影響を与えたと思われるのが、本作のラスト近くで 描かれる「感覚融合的」な「時空間ジャンプ」のシーン。 昨今では映画『ジャンパー』の影響か、テレポーテーション能力が 「空間ジャンプ能力」と言われる事が多いようだが、本作では 偶然、発見されてしまった人間の持つ潜在能力として描かれ 「ジョウント能力」と呼ばれている。殆ど、すべての人間が 訓練しだいで身に付けることが出来るので、現実世界に 当てはめると「自動車運転能力」のようなものである。 実際に、作品中では単なる「移動手段」として扱われ 殆ど「通勤手段」の様に日常的な「行為」と為っている。 主人公は最初は、兎に角「無気力うぅ〜」である。宇宙貨物船の 下級乗組員だったが、船が遭難し唯一人生き残り、 難破船の中で「後は死ぬだけ」と思っていると・・引きこもりの 大学生みたいである。・・突然、 宇宙空間を一気に飛び越える「ジョウント能力」に目覚めてしまう。 この「覚醒」により、極端にドラマチックな「復讐劇」が 開始される。・・何か、東大入学後3年目か、4年目のホリエモンの ようでもある。・・ で、その後の「熱血うぅ〜」の部分はこのレビューでは扱わない。 興味を持たれた向きは実際に読まれたし。 | ||||
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ベスターの長編第2作。歴代SFベスト5入りの常連として有名な名作で、よく言われる評が、「10年に1度の傑作」。 30数年前、初めて読んだSF「宇宙船ビーグル号 (ハヤカワ文庫 SF 291)」(A.E.V.ヴォクト)で、世の中にこんな面白い種類の小説があるのか、とSFにのめりこんだが、なかでもこの「虎よ、虎よ!」の衝撃は特に忘れがたい。 読了の瞬間、自分のいる場所がわからなくなった、と言っても信じてもらえるだろうか。ストーリーもほとんど憶えていないが、これが「世にも珍しい、再読を許さない傑作」であるとわきまえているので1度しか読んでいない。むしろ設定やストーリーといった、小説としてのパーツやテーマなどを分析しだすとアラばかり目につくだろうこともよくわかる。 つまり、これは「体験」なのであって、二度はないし、繰り返しもないのだ。そしてこれこそがSFの感動なのだ。 小説として読むなら、この前作にして作者の初めての長編SFである「分解された男」が断然お勧めである。わかりやすいし、実にエネルギッシュな傑作。これ1冊でもSFの歴史に名を残すと思われるのに、ベスターはさらに先に進んで、第2長編で不朽の名声を手に入れることになった。ただし、満々たる自信でもって発表されたこの作は発表当時、激しい毀誉褒貶(最高!と、最低!)にさらされ、現在の評価が定着するまで10年以上かかっている。(そして毀誉褒貶はおそらく、今も変わらない!) 最高のSF作家としてはベスターの名は挙がらないかもしれない。ベスト10には入れても、レムやディックといったノーベル賞級の作家と同列とはいかないだろう。しかし単独作品としての「虎よ、虎よ!」は、すべてのSF作品を超えて世界最高・唯一無二といえる。この、類のない強烈な感動はSF以外の「普通小説」では存在しないのだ。この作こそが「SFだ!」といえる。 ちなみに、「虎よ、虎よ!」を「アメリカSF唯一の傑作」とたたえるSF作家サミュエル・R・ディレーニイの「バベル17」をご存知だろうか。これは舞台が「虎よ、虎よ!」、ストーリー展開が「分解された男」というベスター・リスペクトの最高の1作である。 バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248) | ||||
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ベスターの長編第2作。歴代SFベスト5入りの常連として有名な名作で、よく言われる評が、「10年に1度の傑作」。 30数年前、初めて読んだSF「宇宙船ビーグル号 (ハヤカワ文庫 SF 291) (ハヤカワ文庫 SF 291)」(A.E.V.ヴォクト)で、世の中にこんな面白い種類の小説があるのか、とSFにのめりこんだが、なかでもこの「虎よ、虎よ!」の衝撃は特に忘れがたい。 読了の瞬間、自分のいる場所がわからなくなった、と言っても信じてもらえるだろうか。ストーリーもほとんど憶えていないが、これが「世にも珍しい、再読を許さない傑作」であるとわきまえているので1度しか読んでいない。むしろ設定やストーリーといった、小説としてのパーツやテーマなどを分析しだすとアラばかり目につくだろうこともよくわかる。 つまり、これは「体験」なのであって、二度はないし、繰り返しもないのだ。そしてこれこそがSFの感動なのだ。 小説として読むなら、この前作にして作者の初めての長編SFである「分解された男」が断然お勧めである。わかりやすいし、実にエネルギッシュな傑作。これ1冊でもSFの歴史に名を残すと思われるのに、ベスターはさらに先に進んで、第2長編で不朽の名声を手に入れることになった。ただし、満々たる自信でもって発表されたこの作は発表当時、激しい毀誉褒貶(最高!と、最低!)にさらされ、現在の評価が定着するまで10年以上かかっている。(そして毀誉褒貶はおそらく、今も変わらない!) 最高のSF作家としてはベスターの名は挙がらないかもしれない。ベスト10には入れても、レムやディックといったノーベル賞級の作家と同列とはいかないだろう。しかし単独作品としての「虎よ、虎よ!」は、すべてのSF作品を超えて世界最高・唯一無二といえる。この、類のない強烈な感動はSF以外の「普通小説」では存在しないのだ。この作こそが「SFだ!」といえる。 ちなみに、「虎よ、虎よ!」を「アメリカSF唯一の傑作」とたたえるSF作家サミュエル・R・ディレーニイの「バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)」をご存知だろうか。これは舞台が「虎よ、虎よ!」、ストーリー展開が「分解された男」というベスター・リスペクトの最高の1作である。 バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248) | ||||
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SFというジャンルでありながら科学的根拠無し、超ハイテンポのストーリー展開は軽薄と捉えかねない。しかし、この物語は面白い。豊富なアイディアと巧妙緻密に練られた構成は、純粋に文章を読む快楽を与えてくれる。豪快・緻密・テキトーさが極端な所がアメリカっぽい。 ティーンエイジャーの頃の新鮮な感覚が呼び起こされる。 | ||||
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後書きにもあるように、やはり「岩窟王」が構想の下地にあったようで、僕もそれを思い浮かべました。確かにSFなんですが、ファンタジー小説や抒情詩のように幻想的かつダイナミックな表現が非常に魅力的です。論理的な「空想科学小説」としてのSF好きには好まれないかも知れませんが、「サーガ」と表現するのがぴったりなのかも知れません。主人公ももちろん、それを取り巻く女性たちの躍動的な姿が目に浮かぶよう。50年も前の小説とは思えないほど、今も活き活きとしています。大人よりも中高生くらいのほうが素直に楽しめるかも。 惜しむべくは、恐らく日本語に訳すことによって、本来の迫力の大部分が失われているのだろうなぁと思われること。原文を読むだけの英語力が欲しいです。 しかし、SFやファンタジーが好きな人にはお奨めできる、傑作だと思います。 | ||||
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ワイドスクリーン・バロックの傑作です。 これでもか、と投入されるアイデアの嵐。 高校の時に読んで以来、何度読んだかわかりませんが、 何度読んでも楽しんでいます。 日本のコミックやアニメにも多大な影響を与えた作品です。 サイボーグ009、仮面ライダー、銃夢、カールビンソン、などなど。 読んでない人は早く読んでください。 でもこの面白さは独り占めしたくもあり、読んでほしくなかったり。 | ||||
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クラークの「幼年期の終わり」やスタージョン「人間以上」を押しのけてヒューゴー賞を受賞したという、非常に評価の高い作品だ。 ジョウントという空間移動手段が日常となった時代に、復讐に燃える異形の主人公が地球と宇宙を舞台に活躍する。超能力を基本とした仕掛けがチープに陥りそうなところを、テンポの良い展開と登場人物のキャラクターでうまく切り抜けているように思える。寺沢武一「コブラ」などの作品を読むときに感じるのと同じ、小さい頃に思っていた「ひとりの超人的なヒーローが宇宙を舞台に活躍するフィクション」がここにある。 科学的合理性、深遠なテーマやメッセージを備えた作品ももちろん面白いのだが、その入り口にあったのは必ずこうしたワクワク読める作品だったと思う。SFって面白いなぁ、と感じさせる。そんなところが高い評価を得ているのではないだろうか。 復讐心が自己回帰していくエンディングも素敵だ。そういえば小学生の時に、この作品のモチーフとなった「厳窟王」を夢中で読んだものだった。 | ||||
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