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(短編集)

アンボス・ムンドス



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アンボス・ムンドスの評価: 3.98/5点 レビュー 44件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.98pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 21~34 2/2ページ
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No.14:
(4pt)

女はやっぱり怖い

女の心の裏側を描かせれば超一流の桐野さんの短編集です。

どの短編も長編にしてもおかしくないぐらいの濃さで描かれています。

全ての女性(人間)の持っている2面性を、ここまで表現されると、ただ圧倒されてしまいます。
アンボス・ムンドスAmazon書評・レビュー:アンボス・ムンドスより
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No.13:
(4pt)

女の汚さ、醜さって

桐野夏生は本当にうまい作家です。

研ぎ澄まされ、作品の中の空気も情景も手に取るように伝わってきます。

表には出したくないような“負”の“汚い”部分。

女性のそんな内部事情、つまり“真実”を忠実に描いている。

言い当てられたようなバツの悪い気もしつつ、

逆に開き直って読んでいたような気もします。

人を利用すること

人を妬むこと

人を恨むこと

これっていけないこと?

自分の醜さを意識しつつ、

「私はこういう女」と自覚して潔く生きることの方が

もしかしたらかっこいいのかも。

一見、くずれていっているように見える主人公の女性達を

私は醜いとは思わなかったもの。

なぜか、すがすがしく思ってしまったもの。

どれも短編で読むのはもったいないくらい粒ぞろい。

長編で書かれなかったのが残念です。
アンボス・ムンドスAmazon書評・レビュー:アンボス・ムンドスより
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No.12:
(5pt)

初、桐野夏生

桐野夏生作品を読んだのはこれが初めてだ。

日々誰もに生じてしまう汚い部分をすごく丁寧に表現する作家だと思った。自分自身にもこういう気持ちあるなぁ、という風に納得しながら読めた。

次はグロテスク三部作をぜひ!と思っている。
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No.11:
(4pt)

本来なら長編として書かれるべきはずの7つの短編

桐野夏生は基本的に長編の人だと思う。その溢れ出す想像力、二枚腰、三枚腰の体力、すべてにおいて過剰だ。デビューが遅かったことによる人生経験の蓄積が才能の枯渇を恐れないアグレッシヴさに繋がっているのだろうか?とにかく埋蔵量がハンパじゃない。

 それは、この7作品を収めた短編集を読めば手に取るように分かる。はっきり言ってどれひとつ取っても短編のフォーマットに収まっていない。大きくはみ出してしまっているのだ。本来なら長編として書かれるべきはずの短編。濃縮果汁を素で飲むような、もったいなさと消化不良感がある。

 桐野夏生自身も桐野夏生が描く女たちも、まさに「女」だ。そこに誇張はなく、リアルだ。俺は男だけど、桐野夏生が描く女が「女」なんだろうなと思う。俺も「女」になってみたかったよって憧憬と、反面、男で良かったよっていう安息と。

 リアルに対するヴァーチャル側からの挑戦って著者の意図もますます鮮明だ。やっぱ「アンボス・ムンドス」。確か、なんかの事故だか災害報道がきっかけで教師の不倫旅行がばれたってニュースを耳にした気がする。でも、それが「アンボス・ムンドス」発表の前だったのか、後だったのか、自分の中でわからなくなっているし、そんなことどうでもよくもなってる。とにかく、桐野夏生はリアルの素材をほんの取っかかりとして、まったく別の物語を構築し、我々に放り返してくる。“リアルを超えてく創造力”こそ、今、誰しもが意識して身に着けなくちゃ生きていけないサバイバルスーツなのだと思うし、その前衛として桐野夏生を尊敬もし、信頼もする。まぁ、やっぱ、桐野夏生は、とことん深く、長く、しっぽり、ねっとり長編で味わいたいけどな。
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No.10:
(5pt)

作者にしかかけない「毒」の詰まった作品集

この作品もまた、「桐野氏にしか、書けない」毒の詰まった短編集である。このような人間の心からわき出る「毒」を書きながらも、そこに何らかのポジティブな共感を読者に持たせる術は、さすがとうならされた。
一方で、「毒童」を除く6編については、結末をあえて書かず、読者にゆだねるという手法を用いており、ここには少し消化不良を感じた。
7編の中では、やはり表題作の「アンボス・ムンボス」が最もよかったように思う。
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No.9:
(4pt)

女って怖い

なんてこの人は文章が上手なのだろう。いつも感心する。女のどろどろした心の奥底をこれでもかという位に見せつけてくれる。どの登場人物もグロテスクで汚らしい一面を覗かせて、同じ女として自分にももしかしたらこんな顔があるのかもしれないと考えてしまう。女って怖い。男は好きじゃないけど、まだ男のほうが可愛いのかもしれないね。
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No.8:
(5pt)

女たちの悪意

あいかわらず上手い。

女たちの邪悪さを描くのにかけては第一級である。

とりわけ「アンボス・ムンドス」は傑作。

女たちの力関係の世界ってつくづく怖そうだなあと思う。

その点、男は単純で鈍感で、女から見たら本当に扱いやすいだろうなあ。
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No.7:
(5pt)

男にとっては、恐怖小説集だ!

7編すべてが女性の怖い内面を冷徹に描いていて(男には)ショッキングな出来上がりである。

表題作は小学校の高学年を担任する24歳の女教師が主人公。不倫中の教頭と一度だけの贅沢と地球の裏側キューバへの旅行から帰った彼女を待っていたのは、担任の女生徒が友人たちと行った山で転落死したという事実。当然不倫も白日の下にさらされてしまう。しかし、同級生たちの態度は不審きわまりないものだった…。というもの。

「植林」はブスで男にもてない女の幼い頃の不思議な記憶。

「ルビー」はホームレスに身をゆだねる奔放な女の本性。

「怪物たちの夜会」は不倫相手の不実を詰り、相手の家まで行ってしまう独身女。

「愛ランド」は過去の奇妙極まりない性愛歴を披露しあう女たち。

「毒童」は寺の私生児として生まれた女の焦りと超自然的体験。

といった、まさに奇妙な味わいの(というか女の頭の中の裏側を表面に引き出したような)小説ばかり。

異質なのは「浮島の森」で、佐藤春夫と谷崎潤一郎の間の妻譲渡事件を妻とともに譲られた立場の娘の視点から描いたもの。通常の桐野タッチとは違うがなかなかの力作だ。

どの作品も、怖いもの見たさで読み進んでしまうのだが、男にとっては、まさに恐怖小説と表現するのが相応しいかな。僕の周りの女性たちが、この本みたいなコトを考えていたら、どうしようかな、と思わず考えてしまいました…。
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No.6:
(4pt)

一皮むけて

'99〜'05 までの短編集が、彼女の作品の軌跡を見事に表し、'05前後から、急に作風が変わったというか、迫力が増したというか、筆が乗りに乗ってるようで、読みながら、呑み込まれていくようだった。意味ある短編集といえるのではないだろうか。同時代を生きる読者でいられる幸福感が読後感
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No.5:
(5pt)

ふたつの世界!

「直木賞受賞後の著者の変遷を示す刺激的で挑戦的な作品集」と言う言葉に惹かれて購入しました。
七編の短編が収められている本書のタイトル「アンボス・ムンドス」とは最後の作品を読めば解りますが、両方の世界とか新旧ふたつの世界と言う意味だそうです。
人の心には常に二面性が有り、優しい笑顔の裏を覗けば底意地の悪さの様なものが垣間見える。人の弱さの陰には芯の強さが見え隠れし、強引さの陰にはひ弱さが見える。虫も殺さぬ顔の裏には人をも殺しかねない残虐さが見える事も有る。
そして幸せの絶頂期は失意のどん底への前ぶれかも知れない。
そんな事を思いながら読ませて頂きました。
でも、日常生活の中で周囲に目を馳せれば、悪意しか感じられない人も居れば悪意を少しも感じさせない人も居る、しかし本当の素顔は誰も知らない。
ひょっとすると当の本人さえも気付かないでいるのかも知れません。
そんな私も・・・・・ざわっとする一瞬!!
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No.4:
(4pt)

長編で読みたいものばかり

何事にも悪意があって、ドロドロしている・・・。
人の心にある黒くゆがんだものを、ここまで表現できる作家は数少ない思います。
一生に一度だけの思い切った幸せから、地獄に落とされたような喪失した日々。
自分を中心にしてとらえるかわいそうな災難も、人から見たら180度違って見える・・・。ちょっと勉強になりました。
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No.3:
(4pt)

新しい着想の独自の精神世界を期待したが

「1日前の地球の裏側で、あなたを待っています」という帯には、強くひかれました。新しい着想で、独自の精神世界を描いていることを期待させました。しかし、短編の限界か、期待し過ぎたためか、その域には至れませんでした。表題になった「アンボス・ムンドス」の語彙と、登場人物の屈折した思いは、十分にオーバーラップしますが、筆者の従前の作品に比べて深まりがいま一歩で、この作品を是非、長編作品として書き下ろして頂きたいと切に思いました。
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No.2:
(5pt)

「グロテスク」の戦慄再び

人間の悪意やおぞましさが冷徹、精緻に描かれています。これぞ世界作家の仕事、と感じ入りました。「グロテスク」で感じたことでもありますが、主人公に嘲笑を浴びせかけているうちに、実はそれが鏡に映った自分自身であることに気がつき、自分自身がとても恐ろしくなる、そんな意味でも極上のホラー体験ができるといえるかもしれません。
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No.1:
(4pt)

毒気に満ちた七短編

まず、装丁が期待をふくらませる。バステルカラーで色とりどりの毒キノコのイラスト。
 中身は、1999年から2005年までの7編の短編をまとめたもの。直木賞受賞前後から徐々にミステリーの枠を踏み出し、独自の暴走小説路線を走り出す過程の隙間を埋めてくれる作品群だ。
 表題作の「アンボス・ムンドス」が、やはりいい。確かこれに似た事件が、実際にあったはず。担任教師がキューバに不倫旅行中に、生徒ががけから転落死するなんて、設定だけでお腹いっぱい。読む前から満足感を味わった。
 比較的初期の「植林」や「ルビー」の女性主人公は、後の暴走小説の前夜祭にも似た雰囲気の中で壊れかかっている。
 「浮島の森」は、文学史上有名な事件を取り上げて、何を今更と思いきや、芸術と日常の相克をギリギリと抉る快作。
 「愛ランド」の性的いかがわしさも相当なもの。
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