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(短編集)

神津恭介への挑戦



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【この小説が収録されている参考書籍】
神津恭介への挑戦
神津恭介への挑戦 (光文社文庫)

神津恭介への挑戦の評価: 3.00/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

神津恭介の再登場作品。しかし期待しすぎないこと。

神津恭介と言えば、若い読者はともかくとしても、私が高校生ぐらいの頃は明智小五郎・金田一耕助と並んで日本の3大名探偵と評されていた。平成に入っての再登場作品があるとは知らなかったので、書店で見かけて思わず手に取らずにはいられなかった(平成三部作だそうで、本書がそのひとつ目)。もちろん「刺青殺人事件」や「人形はなぜ殺される」などの名作並みの作品を期待したわけではなかったが。

客観的な書評としては、まずまずの作品といったところか。たぶん中核を成すトリックは、思いつきはしてもこんなことはしないだろうというもので、そういう意味ではそれをあえてやったという点で意表を突くものかも知れない。犯人も、この人、この瞬間に小細工ができるなぁ、と思ったが何気なくそのまま読み過ぎてしまった、そういう点では上手いとは言える。

しかし、作者の女性キャラの造形は昔から変わらず一本調子。ヒロイン(?)の女性記者は社長令嬢で、大学では天文学を専攻し、たまたま出会った神津恭介に惹かれ、正義と真実を貫くため事件記者の道を選んだ、そして真相を究明する情熱を振りかざすが、彼女の人格や個性が書かれていること以外に見えてこない。そのため彼女には何ら魅力を感じないし、彼女の目線から本書に感じ入るものはひとつもない。神津恭介も、登場してきて推理はするが、いかにも紙に書いた人物という感じで魅力に乏しく、往年の名作の中で受けたような感銘は残念ながら感じられなかった。

そしてあくまでも往年の高木作品、神津登場作品との比較ではあるが、本書の最大の欠点は「雰囲気」という魅力がないことである。かつての名作群の中では、ディクスン・カーのように必ず呪いとか、悪魔とか死神とか、不気味な予言などが作品の背景にあり、その背景を活かしたトリックや構成がなされていてそれが成功していたのに(中には失敗したり不発のものもあるが)、例えば現代においてもそういう雰囲気づくりは可能なのに(例えば綾辻行人の作品はその雰囲気づくりが上手くなされている)、本書はそういう雰囲気のない、本当に単なる推理作品でしかなかった。したがって、本書を読む場合には、神津恭介の再登場作品だということを期待しすぎないことが肝要である。
神津恭介への挑戦 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:神津恭介への挑戦 (光文社文庫)より
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