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信長の棺
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信長の棺の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 21~40 2/4ページ
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予想以上にきれいな本でした。とても気持ち良く受け取りました。 ありがとうございました。 | ||||
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日頃、ほとんど歴史に触れることのない、あまり知識のない人間の感想であることを、お断りしておきます。 時代ものでさえ、池波正太郎や藤沢周平、山本周五郎くらいしか、読んでないもので… 歴史の「なぜ」の部分に関しては、非常に練られた「可能性」「真実ではないかもしれないが、あり得る話」という感想を持ちました。 これまで腑に落ちなかった部分が、見事に埋められた感があります。 それに対し、主人公が「真実」にたどり着くまでのストーリーは、少々(かなり)都合が良すぎるのではないか? たまたま関係した「女」の絡みから、謎の真相が他力本願的に もたらされていくという展開です。普段、ミステリーを中心に読んでいるので、その辺りの構成に物足りなさが残りました。 また、「女」も若いといっても「30代後半〜」というイメージで読んでいました。20代だとすると、やっぱり、なにか「壮年の願望」みたいな嫌らしさが、払拭できない気がします。 先に挙げたような「時代物」と比し(個人的には池波『その男』などが好きです)、人物の魅力・人間味、彼らに対する共感という部分で物足りなさを感じたのも、事実です。 とはいえ、そうした不満も読後しばらく経ち、冷静に振り返ってからのものでありまして… 読書中、特に全体の4分の3を過ぎる頃からは、劇中の「真実」に対する欲求が強まり、ページが進みました。 「娯楽作」として、NHK『タイムスクープハンター』的なノリで楽しむ分には、面白いと思います。 | ||||
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信長の遺体が見つからなかった本能寺の変での謎解きを主題に,『身長公記』の作者である太田牛一を主人公にその謎を解明させる歴史小説です.ではあるのですが,筆者はかなりの史書を読みあさっているようで,信長に関する史事書(書き方にも依りますが,歴史研究書にもなり得る?)との印象です.小説のような流れにはなりきっていない印象です.並行して山岡荘八の『徳川家康(全26巻)』を読んでいるのですが,歴史小説とはこちらの方かな? みたいな感想です. 本能寺の変直後,信長の屍が焼け跡から見つからなかったことは良く耳にしますが(ドラマでも),『なぜ?』を解明した取り組みは表沙汰になってこなかったように思います(小生が知らなかっただけかも?).この謎解きに正面から望んだのが本書のようです.ただ,落ちは期待していた謎解きからするとちょっと期待はずれ的なところはありました.もう少し落ちに深見が欲しかったな...みたいなところはありましたが,書かれている推察自体は『そんなもんかもしれないなぁ〜』と思いました.ベストセラーと言われたことには納得できる一冊です. 412ページに渡る筆者の作家転向後の処女作,読むに値することは間違いありません.内容としては実におもしろいので時間を忘れて直ぐに読めてしまいます. | ||||
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織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人は何かと比較をされます。 信長は、明智光秀によって天下布武の野望が絶たれます。 そのことは歴史的な事実ですし、光秀は主君殺しの汚名を背負い、弔い合戦に勝利した秀吉が一気に天下人に上り詰めます。 これも歴史的な事実でしょう。 さて、その点と点を結ぶ間に何があったのか。 著者は、緻密な資料点検により、歴史のIF(イフ)に挑んでいます。 信長の生涯を示す拠り所は、太田牛一が著した『信長公記』です。 その太田牛一の口を借りて、著者は本能寺に挑みます。 非常に面白い推理ですが、秀吉の中国大返しなどやや不明瞭な点も残されたままになってしまいました。 しかし、本能寺の変を奇怪な事件だと感じている向きには、定説とは異なる視点を与えてくれるものと思われます。 一体、あの時何があったのか、興味は益々大きくなってきました。 | ||||
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これは面白い作品です。 主人公、太田牛一。織田信長直臣の戦国武将である一方で、『信長公記』の作者として後世に名を残しています。 彼は後に豊臣秀吉に仕え、秀吉の軍記を著しています。 言わば、戦国のジャーナリストかルポライターでしょうか。 この作品の見事さは、本能寺の変で移り変わってゆく天下の情勢が、創業家スタッフの立場にある太田牛一の目を通して語られてゆく点があげられます。 これは新視点とも言えます。創業家秘書のような存在の太田牛一にしてみれば、光秀、秀吉、家康等知己ですし、信長の本心など最も察せられる立場にあったはずだという解釈で話が進められています。 そして、ペンに生きるものとして『信長公記』執筆時の真実の探求という、信長の生涯を推理する面白さが上げられます。 本能寺の変、桶狭間合戦、秀吉の中国大返し。これらの大事件は、歴史的事実として伝えられながらも、知れば知るほど謎も多く残されています。 上巻は、信長訃報を受けた安土城留守居役の場面から始まり、大事件に巻き込まれてゆく太田牛一。そこから始まる信長の残した歴史の謎に迫ってゆきます。 安土桃山時代の歴史好きの方にはお勧めです。 | ||||
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欠点も多いが、面白い要素も多いという小説。新人のデビュー作としては合格点以上です。 欠点1) 信長の時代の宮廷人が南朝正当側の見解を開示するところ。著者が焼け跡〜団塊世代であるため、受けた教育のせいで起こった誤解だと思われる。 歴史を知っている人には、相当違和感のある記載である。 欠点2) 70才をすぎた老人に20代前半の女性が初対面で恋をする。しかも世慣れていない女ではなく、それなりに世渡りに苦労してきた女性が、である。 大変不自然である。また、読者から見れば著者の願望ではないかと思えて気持ち悪いようである。 主人公に若い女性への思い入れを持たせるためなら、幸い主人公には亡くなった娘がいるのだから、それで充分理由がたつ。この恋愛は余計である。主人公の魅力を大きく損なうことになった。 欠点3) 絶対に誰にも話さなかった事、殺されてもすべての人が守ってきた秘密を、ほぼ初対面の人にべらべら喋る口の硬い慎重な人物の存在。ありえないキャラクター設定で、人格に矛盾がある。 この性格の人物に話をさせるためには、主人公とその人物の間には何年もの交流が必要である。 なぜかこの小説には、初めて会った人といきなり深い心の交流ができる描写が多い。そのくせ主人公の側は、たいした秘密でもない事を打ち明けない。秘密はほぼ一方的に手に入るのである。これまた作家の願望と思われる。 と、欠点を書き出したらきりがない。が、 長所1) 明智左馬が信長の遺体を必死で探したエピソードは有名であり、本能寺の敷地はそれほど広くはないので、この謎は歴史マニアには大変興味があった物である。 回答もエレガントであり、なんとはなく納得がいく。 長所2) 人殺しを職業とする武将が身よりのない孤児を育てるにいたるいきさつの説明が納得がいく。また育てられた孤児、のちの僧侶の行動理由も説得力がある。 長所3) 展開には意外性もあり、やや引っ張り方がくどいにしてもミステリ仕立てであるために興味を持って最後まで読める。 長所4) 充分な時間をかけて書いたらしく、多くの人物の動きが非常に要領よくまとまっています。 長所5) 変な日本語がなく、方言もむしろ少なすぎるくらいで、妙な時代劇言葉もないから、読みやすい。 | ||||
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織田信長の伝記「信長公記」を著した信長の家臣であった太田牛一、その人の目を通して本能寺の変の真実に迫る奇想天外な小説である。信長の近臣であった太田牛一の立場から、彼の目を通して真実に迫る展開は、着想として創造的と言えよう。太田牛一を主人公に配することで、時代状況の描き方が新鮮になっているように感じられる。 織田信長の将来構想に始まり、明智光秀の本能寺の反乱を経て、豊臣秀吉の時代へと移行する歴史の過程が太田牛一の目を通して語られていく。本能寺の変における明智光秀の表面的な反乱とは別に、織田信長を死に追いやる影の人物も強ち嘘とはいえない時代状況であったかもしれない。圧巻は小説のタイトルにも連なる信長の遺骸が秘密裏に埋められていたことだろう。多くの材料を用意し、読者に先へ先へと読み進む興味を起こさせる小説である。本能寺の変にかねがね関心のある方にも、また入門的に興味を持つ方にも、読んで楽しめる小説であると思う。 | ||||
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本能寺の変を題材とする歴史仮想小説はあまたあるが、その中では読んでよかったと納得できる出来だと思う。少し前に雑誌で桶狭間の合戦についての特集があったが、その中でも議論百出で実際のところは今もって謎という所のようだ。本作はそもそも正式な合戦というものが無かったという設定で、本能寺の変と共に秀吉の策動が背後にあり、その秀吉の出時も藤原氏の末裔というまさかとはいえ、面白い設定になっている。歴史に興味のない人でもミステリーとして読んでもおもしろいだろう。ただ、作者が高齢(失礼!)だからではないだろうが、老人と孫のような小娘との情事の部分はやけに念入りに描かれており、ひょっとして作者の願望が炸裂したのかと失笑してしまった。この手の小説にありがちなあきれ果てるような突拍子もない設定や物語進行ではなく、こういうこともあり得たかもしれないとうならせてしまう力量はすごいと思う。本能寺の変三部作を全て読みたくなった。 | ||||
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多くの信長小説で本能寺の変での信長の遺体について踏み込んだ作品はこれまでほとんど無かったが本作品では本能寺から南蛮寺までの地下道説を取り入れたところが面白い。結局地下道での遺体回収となったが着目点が面白い。牛一本人の人物描写に少し物足りないところは否めない。歴史小説224作品目の感想。2010/02/01 | ||||
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多くの信長小説で本能寺の変での信長の遺体について踏み込んだ作品はこれまでほとんど無かったが本作品では本能寺から南蛮寺までの地下道説を取り入れたところが面白い。結局地下道での遺体回収となったが着目点が面白い。牛一本人の人物描写に少し物足りないところは否めない。歴史小説224作品目の感想。2010/01/31 | ||||
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ハードカバーで出版されたのが3年前。その時も読みたかったんだけど、読まなかった。当時は、小泉首相の愛読書、なんて言われていてそれに乗っかるのがいやだった。 文庫化されたのをきっかけに読んでみた。 生きている信長は一切出てこず、本能寺の信長の死の真相、信長の遺骸を、信長の伝記作者が、追い求めるという話。 作者は、これを書いたとき75歳というから驚き。主人公も老年に差し掛かっているが、若々しく、著者もきっと、精力的な人なんだろう。魅力的な若い女と結ばれるシーンもいい(話としては甘すぎるが...) 時代小説に謎解きを加えて、とっても面白い小説になっている。 公文書の保存という仕事をしていた自分にとっては、後世に記録を残そうとする、主人公の気持ちはよく分かる。こういう人たちがいなければ、歴史って、伝わらなかったんだろう。もちろん、権力者の都合のいい歴史なのかもしれないが、そうではない、書き手もいたのだろう。 | ||||
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歴史小説には、通が好むいかめしい雰囲気がありますが、この本は"素人”が手を出しても十分に楽しめると思います。 私も『天地人』から改めて信長や秀吉に興味をもって本作を手に取りましたが、歴史ミステリーの面白さを再認識しました。 解説によると、本作は著者75歳にしての処女作とのこと。主人公の太田牛一ともオーバーラップしてきます。 途中の”お色気”もその辺が関係しているのでしょうか? 一家言をお持ちの歴史小説愛好家には、突っ込み所も多いのかも知れませんが、入門者には納得のお話。 むしろ、読めない漢字、特に人名が多く、どうせなら読み仮名ももう少し振っていただき、とことん初心者に優しくしていただければ助かったと思います。 大河ドラマから、歴史ミステリーに興味持った方にお勧め。文庫ですしお手軽です。 | ||||
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物書きが物書きを通じて「語る」という形式がまず面白い。 決して新しい試みではないが、おそらく本来の書き手(=加藤氏)にとっては、それぞれのキャラクターを、本の中の書き手にどう語らせようか、という作業は、パズルを当てはめていくようなとてもスリリングなものであったに違いない。 歴史小説、というものはある程度「場」が限られており、しかも信長の時代というのは日本史の中でもとりわけ細かく語られている時期でもあるし、なかなか想像力を踊らせにくい状況ではないかと思う。 そこに、「物書き」を主人公としてもってくることにより、その想像力をも加えた形であたかも二重の効果を狙ったのがこの作品ではないだろうか。 登場人物もあまり耳慣れない人々が多い。巻末に付記された参考文献の多様さを見ると、どれほどの下敷きがあったのかがわかり、恐れ多い気がする。 そしてそれらの人々にパーソナリティを与え、大きなミステリーの謎解きに迫っていく手法はとても緻密で読み応えがあった。 信長の遺体はどこに葬られたのか? 冷徹な目のあの英雄がどんな死に顔を見せていたのか? 憎むことも愛されることもとても極端だったこの人間の本性をところどころに鏤めながら小気味よく話が進んで行くのはとても爽快だった。 でもね どうして 色恋が それも 交合の シーンが 必要なの? そこだけ点を引かせてもらいます。要らないよっ! | ||||
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織田信長の伝記「信長公記」を著した信長の家臣であった太田牛一、その人の目を通して本能寺の変の真実に迫る奇想天外な小説である。信長の近臣であった太田牛一の目を通して真実に迫る探求は、着想として創造的と言えよう。太田牛一を主人公に配することで、時代状況の描き方が新鮮になっているように感じられる。 織田信長の将来構想に始まり、明智光秀の本能寺の反乱を経て、豊臣秀吉の時代へと移行する過程が太田牛一の目を通して語られていく。本能寺の変における明智光秀の表面的な反乱とは別に、織田信長を死に追いやる影の人物も強ち嘘とはいえない時代状況であったかもしれない。圧巻は小説のタイトルにも連なる信長の遺骸が秘密裏に埋められていたことだろう。多くの材料を用意し、読者に先へ先へと読み進む興味を起こさせる小説である。本能寺の変に関心のある方は、入門的にも読んで楽しめる小説であるように思う。 | ||||
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『明智光秀はなぜ、信長を裏切ったのか?』 これは日本史上未だ解き明かされない最大の謎の一つだが、 本書は主人公を信長の物語の語り部たる太田牛一の視点で描くことによって、 新たな解を導き出している。 織田随一の武将光秀が裏切った背景にあったもの、 典型的なホワイダニットを解き明かしていく物語は70歳を超える処女作とは思えない意欲作であり、その力に読み手としてぐいぐい引き込まれていくものがあった。 オススメの一冊です。 | ||||
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本書は75歳の新人(?)作家による 本能寺の変をめぐる様々な謎の解明を試みた意欲作。 主人公は信長や秀吉に仕え、「信長公記」の著者としても知られている太田牛一。 本書の著者と同様に牛一も70過ぎの老人であり、 信長の謎を追う牛一の姿は次第に著者の分身の様に思えてくる。 そんな牛一が美貌の若い女性に惚れられて子供まで儲けてしまう所には 思わず苦笑してしまったが、 終りのほうで牛一が「老いの妄想とお笑いくだされ」と言ったセリフは、 牛一の口を借りた著者自身の言葉と私は理解した。 本能寺の変や桶狭間の合戦にまつわる様々な謎や秀吉の出自の秘密などが、 テンポ良く明らかになっていき(都合良すぎる展開もあるが)、 最後まで飽きずに一気読みできる。 | ||||
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この物語は本格歴史ミステリーといっていいと思うが、過去何回もモチーフにされてきた「本能寺の変」における織田信長の遺骸未発見の謎がメインテーマである。 信長唯一の伝記「信長公記」の作者であり、かつて信長と秀吉に仕えた元武士の著述家、太田牛一が主人公となり、この謎に迫る。 著者は牛一の視点を通して、すでに何人もの作家や歴史家が挑んでおり、いささか手垢がついた感のある「本能寺の変」の謎の真相ばかりでなく、「織田信長」その人の人物評価をはじめ、「桶狭間の戦い」の真相や「太閤秀吉」の出自にいたるまで、客観的・論理的に新しい解釈をしている。本書がベストセラーとなっている所以だろうが、私も「こんな斬新で大胆な見方もあったんだ」と興味深く読んだ。 著者はもともと経済・経営の専門家として、その著述・講演活動や企業の経営指導が高い評価を受けており、この作品が75才にして初めて発表した小説とのことだが、とても作家第1作とは思えない筆力に圧倒された。 | ||||
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この物語は本格歴史ミステリーといっていいと思うが、過去何回もモチーフにされてきた「本能寺の変」における織田信長の遺骸未発見の謎がメインテーマである。 信長唯一の伝記「信長公記」の作者であり、かつて信長と秀吉に仕えた元武士の著述家、太田牛一が主人公となり、この謎に迫る。 著者は牛一の視点を通して、すでに何人もの作家や歴史家が挑んでおり、いささか手垢がついた感のある「本能寺の変」の謎の真相ばかりでなく、「織田信長」その人の人物評価をはじめ、「桶狭間の戦い」の真相や「太閤秀吉」の出自にいたるまで、客観的・論理的に新しい解釈をしている。本書がベストセラーとなっている所以だろうが、私も「こんな斬新で大胆な見方もあったんだ」と興味深く読んだ。 著者はもともと経済・経営の専門家として、その著述・講演活動や企業の経営指導が高い評価を受けており、この作品が75才にして初めて発表した小説とのことだが、とても作家第1作とは思えない筆力に圧倒された。 | ||||
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『信長公記』を記した太田牛一を主人公に、織田信長が覇権を握り本能寺の変に倒れるまでのプロセスを生き生きと描く。 これまで、本能寺の変を起こした明智光秀の動機として様々なことが語られてきた。明智光秀の恨念説、イエズス会陰謀説・・・。本書では、これまでの一般的な学説とは一線を画し、新たな仮説をたてて本能寺の変の解明を試みている。著者の卓越した歴史観・宗教史観のたまものと言えよう。 また、歴史小説としても読みやすい。途中若干間延びすることはあったが、終盤は一気にテンポがあがりどんどん読み進めていくことができる。本能寺の変のナゾを解明していくプロセスを、主人公太田牛一をともに歩めるのも楽しい。 可能であるならば、本書を読む前に一般的な「本能寺の変」関係の書籍にあたり、一般的に学説として確立している本能寺の変の動機を押さえておきたい。既存の学説と対比することで、本書のアプローチの斬新さが一層高まるだろう。 | ||||
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おそらくは秀吉嫌い&信長好きであろう作者が書いた歴史ミステリーは、読前に一通りの予習をされておくことをオススメしたい。<本能寺の変>を核に、<桶狭間の戦い陰謀説>や<信長遺体喪失の謎>についての考察は、確固たる歴史的裏づけの元に堅牢に構築されてはいるが、基礎知識をある程度備えていないとその醍醐味を十二分に堪能することは難しいだろう。 歴史的価値が高いとされる「信長公記」「大かうさまくんきのうち」を著した、実在の人物太田牛一その人が、信長に関わった人物の証言や書物などから<信長の棺>を探し出そうとするくだりが、膨大な史料の空白を緻密な推理で埋めることにより本書を書きおろした作家加藤廣自身の姿と重なっている点が、読んでいてとても面白かった。 キリスト教の聖杯の秘密を暴こうとした「ダヴィンチ・コード」を思わせる結末は、若干フィクションが勝ちすぎているような気がしないでもないが、<勝者によって書き変えられた改竄の積み重ね>を史料とだけ思っている人たちにとって、<日本の歴史>を見直す新しい視点を与えてくれる好著であることは間違いない。 | ||||
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