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民宿雪国
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民宿雪国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 41~45 3/3ページ
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ネットで話題になっていたので、著者の作品を初めて手に取った者です。 中身の前知識は殆どなく読み始めたのですが、一章目を読み終えたくらいで、これは「地獄のモーテル」よりもヤバイ。日本でもこんなのを書く人が出て来たんだと、ジム・トンプスンの「ポップ1280」を読んだときのような興奮を覚えました。 二章目もそれは続いたのですが、途中から登場人物の背景描写に話しが移っていくと「あれ、そっちにいっちゃうの?」と正直、戸惑いました。しかし、並みの作家なら鼻白んでしまうような事実と物語の相関を、著者は圧倒的な知識と取材力で全て必然として受け止めさせてくれます。そしてラスト、膨大な伏線回収のカタルシスまで休むことなく物語は突き進んで行きました。 読み終わった時には、こんな凄い本を書いたのは誰なんだ? 他の本も読んでみてぇ! と思うことは請け合いです。 ただ難点をあげると、主役の丹生雄武朗がそれほど魅力的に思えなかったことです。ページ数が足りないせいか、人格も微妙に一定していなかったような気もします。地獄のモーテルのようにシニカルでもなく、帯を書いた梁石日さんの「血と骨」の主人公のように国籍も宗教も過去も家族も関係ねぇ、という潔さもない。丹生が成功を納めたとき、格闘家の道場破りを受けて病院送りにされてしまった合気道師範のおっさんのようなおっちょこちょいさがあれば、もうちょっと魅力的に見えたような……まあ、そんなことは蛇足ですが。 それから、やっぱり一章目のテイストでラストまで行ったものが読んでみたいな、とも。著者の王道ホラーが是非読んでみたい。あの流れで最後まで行ってくれたら、けっしてキングにも負けないだろうと、初めて日本の小説で思わせてくれた作品でした。 最後にもう一つ。著者の作品はタイトルが売れそうにないです。 手に取りさえすれば絶対に後悔させないと思うので、今からでも「ukiguni」とかにしてみたらどうでしょう。値段も一緒ですし。 | ||||
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年末に北陸へ向かう『しらさぎ』の車中で、 この本を手にとった。 北へ向かう特急列車ですら、 小説の極北へと向かう、 この物語のスピードに追いつかない。 『民宿雪国』の血塗られた凄惨な逸話が、 車窓に広がる白銀の雪景色の静寂(しじま)に溶けこむ。 絵画をモチーフにしながら、 小説家の筆捌きに脳内に絢爛たる名画が生まれゆく。 樋口 毅宏の書く物語が 過酷すぎる人生を反映し、 劇的なピカレスクであればあるほど、 より鮮やかに読者の「人生の平穏」を際立たせ、 そして「読書の悦楽」を煽る。 「人生は短い、一日は長い」――。 故に人は本を読むのだ。 ベストセラーは瞬く間に「映画化決定」と銘打つが、 しかし、あえてこの本に一言を添えるなら 「映画化不可能」――。 樋口作品の全てに、この称号こそ相応しいのかもしれない。 著者は無類のシネマディクトではあるが、 映画を発想、引用のベースにしながら、 映画を超えていく絶対小説世界を屹立している。 | ||||
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読んで大変衝撃を受けた。なにが衝撃なのかといえば、とても説明しづらいのだけど、そのすべて、構成、文体、テーマ、どれをとっても型破り。従来の小説の枠をことごとく壊していて、同時にきちんとエンタメになっているのがすごいと思う。水道橋博士や白石一文さんたちがTwitterで盛り上がってるのを見て読んでみましたが、対照的に書評家の方々は沈黙してますね。これを評価できる言葉を期待したいところです。 | ||||
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序章からなぜかサスペンスとしてトップギアで完オチするという、恐るべきトリッキーさ。 だが、本当に恐ろしいのは、昭和から2012年まで連綿とつながる騙し絵のような不思議な時代感覚と共に、一件味気ない仔細な設定から、ポップなピースまで、一人の男の人生を立体的かつトリッキーにあぶりだしたその先にいる、丹生雄武郎という一人の人間に潜む心の闇の奇々怪々さです。 その虚無的な人格を背景につむぎだされる、(明らかに事実と食い違うのに)真実らしい感情が入り混じった虚偽に魅了され、物語全篇通して、引き込まれてしまいました。 やはり今回読んでも痛感したのは、樋口毅宏さんの文章の美しさ。こんなに酷いことをこれでもかと書いているのに、その文章の清廉なこと。感情をそっとほだすような、繊細な言葉選びがずるすぎます。 | ||||
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氾濫する想念を圧力釜で一気に蒸し上げ怒濤の終末になだれ込んでいくような前2作とは趣が異なり、複数に解釈可能な事柄が散っては戻ってくる。この作家の一番の魅力である「強度」の他に、その散っては戻る運動からうまれる「空間」が獲得されている。 作品内世界の充実もさることながら、意図せず読者の無意識に働きかけるような力も持っていて、それは文学的想像力と歴史叙述との緊密な交渉の結果うまれるものだろう。 戦争をめぐる記憶の内戦に突如あらわれたゲリラのようだ。歴史修正主義をめぐる論争に興味のある方にはぜひ一読をお薦めしたい。同著者の『日本のセックス』(双葉社)もお薦め。 | ||||
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