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薬指の標本
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薬指の標本の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全70件 41~60 3/4ページ
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「博士の愛した数式」と同じ作者とは思えない。全く違うタッチ。 描写がとても繊細で、目の前にスローモーションで映像が浮かんでくるような不思議な感覚。匂いや温度まで伝わってきそうな感覚。静かな場所で読むと音までも聞こえてきそうな・・・。 恋、愛、をまだ知らないpureであり、でも深い、若い女性の心もが伝わってくる。 存在する物(者)が消えてゆく、消えてもなお存在し続ける そんな不思議な感覚を作り出す短編。 私は好きです。 | ||||
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束縛されることの不自由さと,甘美さが描かれていると思います. 抵抗することができない,でも苦痛ではない束縛. 黒い靴に,薬指に,彼に捕まっていたい彼女の想いがあらわれている気がしました. 共感したわけではないけれど,これが一つの愛の形なんだと思いました. 少し不思議な雰囲気もあり,独特の世界を楽しむこともできます. | ||||
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一文一文から映像が目に浮かぶ。それも、こんなんじゃないかな?レベルの映像じゃなく、まるでフィルムに焼き付けた確固とした映像のように浮かぶのである。この作者の小説は初めて読んだが、小説の世界にぐいぐい引き込まれた。 しかし何事にもおちを求めてしまう私自身の性質が災いしてか、「この標本技術士は一体何者なんですか?」「楽譜を預けた少女はどうなったんですか?」「靴は主人公の足にくっついてしまったんですか?」「最後どうなったんですか?」と、読後に筆者に電話して聞きたい位の勢いで疑問符が頭の中を駆け巡った。 おそらく、この不思議な余韻がいいのだろうが…… | ||||
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壊れそうであり、でも現実感がたっぷり味わえる作品だと思う。 「ホテル・アイリス」という作品しか知らなかったが、その時の印象とまた少し違う。 実はフランス映画を先に見た。 思わず読みながら、その映画の映像が挿入されてくるので、文字で読む作品の良さを私は見逃しているのだろうか・・・と思ったが、そもそも著書自体にフランス映画の匂いを感じさせるものがあるのでは・・という印象に変わった。 人は何か自由でありたいと願いながら、何処かで囚われていたい、自分を封印して欲しいという思いを抱いてしまう、束縛を必要とすることがあるのではないかと思ってしまう。 欠けてしまった薬指と、自分をがんじがらめにする靴、少女の火傷の痕が標本になった姿を想像して生まれてくる嫉妬、甘ったるいだけでない、それらのアイテムから感じる透明感のある甘美さが私は好きだ。 | ||||
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小川洋子の文章には独特の色気があるように感じます。 静謐で、繊細、美しくそして儚い閉鎖的な世界には独特のエロティシズムが漂っています。 フランス映画になると聞き、納得できました。 愛の痛みを感じたい方、おすすめします。 | ||||
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フランスで映画化とききましたが、フランスというところが心憎いですね。小川洋子さんの作品はこれが初めてですが、低いバスの音がきこえてきそうなモノクロトーンの逸品です。すばらしいです。シックで飾らない日常、それでいて標本という永遠の保存を目的とした行為に衝かれる彼、依頼人、そして私。そして、浴室でのシーンなどは、まるで透明のゼリーのなかでおとなしく固められた果物のような静止に魅了されます(ここにはパリジェンヌがぴったりでしょう)。装丁も洋書のようなオシャレさ。お値段もお手ごろなので、通勤バックに忍ばせてはいかがでしょう。 | ||||
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「博士の愛した数式」が有名ですが、小川さんの作風を語るのに一番ピッタリな作品がこれじゃないかな、と思います。 薬指、標本、赤い靴のオマージュにも思える黒い革靴。 全てのこれらの小道具が、心地よい痛みを抱えているようで、それが面白いですね。 静かだけれども、チクチクと刺さるような痛み。 幻想的でいて、非幻想的でもあるような。 読んだ後は、心地よい痛みに夢中になります。 これに入ってるもう一つの作品も、奇妙で面白いですよ。 | ||||
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「薬指の標本」のほうがいつまでも糸を引くような感触を残す読後でした。 ひそやかな文体から常に頭の中に映像が浮かぶのですが すっかり古びて、乾燥し、殆んど清潔にさえ見える廃墟がハイビジョンカメラで 細部までじっくりなめるように映されていくような… はっきりした映像が浮かぶ、という点ではリアルなのですが 実際のところは幻想的なホラーに近いと思います。標本技術士は「コレクター」ですね。 標本が自ら標本化されたがるという点は異なりますが。 読み終わって表紙を改めて見ると、椅子の足のようなモノに靴が履かせてある!ぞぞ。 | ||||
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シトシトと雨が降る梅雨の時期に小川洋子さんの文章はぴったりだ。人を愛する事の先にある事、、それは常にハッピーな結果になんかにたどり着くわけなくて、時には痛かったり、切なかったりするものである。 その中にいることは僕の幸せでもある。彼女の小説の中にいる時、僕はそれと全く同じ気持ちでいられる。この小説は、その雨の景色によく似た世界に入り込める僕にとって大事な小説のひとつだ。 | ||||
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静かなときの流れの中で、不思議な物語が繰り広げられる。靴と一体化していく足なんて絶対にあり得ないけれど、「そうかな?」と思えてしまう。映画が楽しみです。 | ||||
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独特な感性の幻想的な話でした。私には、難しくて、感情移入して、読めませんでした。それだけ、個性的な本なのだと思います。なかなか読みすすめられませんでした。 | ||||
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標本、それは何のためのものなのでしょう。 展示も販売もしていない、 依頼主が自分が預けたものの標本を「見る」ために 再び訪れることもない、製作者のコレクションでもない。 身の回りからそのものの存在を隔離してしまう作業、 それは、忘れたいから、というわけではない。 主人公は言います。 「標本にするってことはつまり、 いつまでも自分の中に閉じ込めるってこと。」 自分の“外”に閉じ込める、 そのことが“内”に閉じ込める作用になる。 「標本室の内側にいる限り、すべてが解放されているんです。」 この物語の中では、標本箱の中では、 存在と喪失、自由と拘束、内側と外側、被害者と加害者、 そういったものが矛盾しています。 視線と触覚が同じ比重をもっている、という著者の特徴も見られます。 そして体の部分を一つずつ失っていく主人公の体験は 残酷で、官能的でもあります。 読み進めていくと、 標本箱の中を覗いているのか、標本箱の中から覗いているのか、 不思議な陶酔感に溺れてしまいそうです。 ですから、例えば、雨の日。 雨の檻で“外”に出られなくなった日に、 家の“中”で読むことをお薦めします。 | ||||
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芥川賞を受賞した「妊娠カレンダー」以来久しぶりに、この作家の作品を読んだが、非常に幻想的な作品になっていて驚いた。 この本には、「薬指の標本」「六角形の小部屋」の二作品が収められているが、「薬指の標本」の方が「The Ring Finger」のタイトルでフランスで映画化が進んでいるという。 何となく標本作りのアシスタントとして働くことになった少女が主人公である。その主人から与えられた靴が、次第に少女を飲み込んでゆく。薬指を標本とする決意をするところでこの作品は終わるが、一人の人間が消えてゆく、そんな感覚を持たせる作品である。 このニ作品に共通するのは、個人の待っている悩み、弱点、気にかかっているところを「標本」にして、「小部屋」で語ることによって、その個人の人生から消し去ろうと言う試みである。しかし、そんなことは出来る筈もなく、もしそうしたければ、その人間自身が消え去るしかないということだろう。 なかなか面白い本だった。 | ||||
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てっきり少しゾッとする作品だと思っていた。 題名や表紙やあらすじをよんで。 実際読み終わってみると、「薬指の標本」「六角形の小部屋」、 どちらの物語も静かな時の流れと静かな愛がそこにあって なぜかココロが休まった。 | ||||
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残酷な愛、失われる身体・・これぞ小川洋子という作品。 恋愛小説なのかホラーなのかわかりませんが、私には凄く怖かったです。 ただ、ラストがくどい。 行方不明の女性がぞろぞろ出てきているとの記述があった時点で、 主人公の運命はみえみえです。 「保存液の中にいる私を大事にしてくれるだろうか」など、 ストレートに己の行く末を説明しない方が良い。 もっともっと微妙な愛ですから。 | ||||
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静かな情景の中に広がるひとつひとつの言葉や人物の動きが、在るようで無い独特な雰囲気を出していて、 音が聞こえてきそうだったり、その世界に吸い込まれてしまいそうだったり。 | ||||
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小川洋子が描く世界は奇妙で静かな気配が立ち込めている。ぼくは村上春樹が描く短編小説とその世界の雰囲気が似ていると思うのだが、みなさんはいかがだろうか? 題名になっている「薬指の標本」は、古い古いアパートを利用した「標本室」が舞台だ。標本というコトバから思い浮かべるようなモノたち以外にも、世界に存在するあらゆるモノ(モノじゃない場合もある)を標本技師は標本にする。そこで働くことになった女性の数奇な運命とは・・・。収録されている、もう一篇「六角形の小部屋」も不思議な話だ。木で組み立てられた六角柱の小屋がある。中には天井からぶらさがるランプと造り付けのベンチ(お尻があたる部分が丸く凹んでいる)があるだけ。ささやかなきっかけから、ここに通うようになった女性。そこで一体何が起こるのか。オモシロコワイ魅力的な作品集である。 | ||||
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表題の「薬指の標本」も同時収録の「六角形の小部屋」も密室系の話で、登場人物は主人公とその相手だけという感じに、とても限定されています。いずれのストーリでも、その密室が一種の「癒し」的役割を担っているのですが、甘~い表層的な癒しとは違って、ちょっと倒錯した感じがあります。作者の説得力ある筆致のせいか、ありえないストーリと設定の連続にもかかわらず、妙にリアルなものを感じてしまいました。 | ||||
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この著者の作品で始めて手にとったです。ちょっとミステリアスな感じで、淡々と物語が展開する。内容はよく考えたら現代版「青ヒゲ?」って感じなんだけど、恋をすると人は盲目になりそして自分の進むべき道というのを少しずつずれた方向へと進んで行ってしまうものなのかもしれないと思ったりしました。それでも主人公は最後まで自分の意志をしっかりもって行動している点で恋に溺れるのも悪くないのかもしれないと感じた作品です。文章はとてもキレイにさらさらと流れるような展開なのでとても気に入りました。 | ||||
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この作品はどことなく同著者の作品「ドミトリイ」に似ていると感じた。両作品とも読み手のとり方によっては恐怖小説とも、わけのわからない話とも取れる。ちなみに私は前者だが... 明確な解答を作中で残さない分、想像力を掻き立てられる。 火傷の標本を作りに言った彼女は、いったいどうなってしまったのだろう? 薬指の標本を作りに向かう主人公はどうなってしまうのだろう? | ||||
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