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(短編集)
いま、殺りにゆきます
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いま、殺りにゆきますの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.69pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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本書の元本は2006年7月に英知出版より出版されたが2007年4月、同社の倒産により絶版。 2007年9月に情報センター出版局から「2」の刊行と共に文庫復刊されたものを読んだ。 (情報センター出版局版は、なぜかamazonに商品ページがないみたいだが・・・) 復刊にあたっての短いあとがきがついている。 今は言わずもがなのことだが、10年後のために記しておくと タイトルは2003年から2004年にかけて大流行した純愛作品「いま、会いにゆきます」のパロディである。 短いときには1ページ、最も長い「みっくちゅじゅうちゅ」でも15ページという超短編が38作もこれでもかと連打される。 これほど短いと飽きる前に読み切ってしまうような勢いであるが、おおむねどれも同じような話である。 ほとんどすべての話がインタビュー風の回想であり、いきなり理由もなく襲われ、たいていの場合「犯人は、まだ捕まっていない。」で終わる。 文体的には簡潔明瞭であるが、淡々としたおぞましさがよく表現されている。 しかしながらどうしても本書を推すことにためらいが生まれるのは、どの話を見ても「精神障害者怖い」という感情がありありだからである。 即物的な死の恐怖、そしてそれを理由もなくもたらす人間がすぐ隣にいるというメッセージ。 本書を読む前と後では、たとえば電車で意味不明な言葉を呟く人(時々いる)と乗り合わせた時に抱く感情は 異なるものになりうる可能性が高いと思う。 もちろん、本書の作者が差別主義者であると言いたいのではない。 作者は純粋に現代社会の恐怖を描写したのだと思う。実際にそれは成功している。 しかし一方で、本書の発するメッセージは社会的排除に加担する、ということもまたかなり明らかであると思う。 ホラーというジャンルそのものに根本的な倫理的問題がある、ということが言いうるかどうか私にはよくわからない。 本書の一編を300倍くらい長くしたら第4回角川ホラー大賞を受賞した貴志祐介「黒い家」(1997)になるであろうし、 映画や漫画にも多くの前例がある。 ラブクラフトの恐怖の背景に人種差別があったことも有名だ。 しかし、ここまで直截な形で精神障害者への恐怖を表現した小説には、私ははじめてお目にかかった。 短いぶん、余計際立って見えるということもあるのだろう。 本ページの感想にも、「自分の身は自分で守らなければと思った」というような コメントが散見される。そのこと自体には、原則的には全く異論は挟まない。しかし・・・ 私は今漫画「デビルマン」の終盤、人間社会を破滅させたTV放送を思い起こしている。 悪魔は人間に化けるのがうまいのです・・・ あなたやあなたの家族を守るために・・・ あなた自身の手で殺すのだ・・・ | ||||
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収録は全36篇。1篇の長さは、短いもので1ページ、長いもので約10ページ。 帯には『実話恐怖短編集』とあるが、現実にあったとは思えない話がやたらと出てくる。 とにかくエグいのだ。平山作品らしく、淡々とした筆致がかえって薄気味悪くも。 中には吐き気をおぼえる作品さえあった。なのにページを捲る手が止まらず、 結局イッキ読みしてしまった(ボリューム的には1、2時間で読了可/ただしグロ耐性を要する) 氏の実話集は十冊以上あるので、今後も『怖いもの見たさ』で買ってしまうんだろうな。 | ||||
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常軌を逸した、非日常的体験を描いた短編が36話。 たいそう不気味で恐ろしい話しばかりだけど、 意外に日常的なリアルさも感じさせる。 これは、とおもうものをひとつ選ぶとすれば『一生瓶』。 家の門柱の上に、見ず知らずの老人が、透明な液体の入った一升瓶を毎日置いていく、という話し。 不気味でした。 | ||||
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実話恐怖36話は、吐気を起す話が詰まっている。 どちらかと言うと、女性の一人暮しで遭遇した夜中の侵入者が多く感じる。 その侵入者が軌道を逸脱した男なかりで、女性として身の毛がよだつのだ。 手足の自由を奪われてゴキブリを身体に放たれる「蟲」 胸から腹に麻酔無しで刺繍される「M」 身体を齧れれてゆく「狂犬」 女性の方が、読後の精神的疲れが大きい本だと思う。 | ||||
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実話であることを疑ってしまうほど、奇妙に狂ってしまい、神経がぶっとんでいる人々の繰り出す奇談、奇談、奇談のやま。 存在が不確かである霊関係の怪談集よりも、このような実際の人間に対する恐怖体験集は、首筋にじっとりと冷や汗をかくような、身近な恐怖を感じさせる。 とにかく、意味が分からないことがこわい。 なぜ、そんなことをするのだろう?と、いくら考えても分からない。 ふつうの人間では、考えもつかない奇行。凶行。そして、それがふいに、何の前触れも無く起こる恐怖。そして、結局犯人は捕まらない、事件は解決しない、という何とも言えない後味の悪さ・・・。 この種の恐怖は凄いですね。おもしろかったと言えば、おもしろかったです。 しかし、恐怖もの慣れしていない人の場合、自分の身につまされるような、あまりにも「痛い」描写(本文中には目を覆いたくなるような残虐な行為が描かれている)や、忌み嫌われる蟲たち(ゴキブリやウジ)への拒否反応が出てしまうのではないかな?と思ったので星3つで。 それくらい、強烈な本でした。心して、手にとってください。 | ||||
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