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わたしを離さないで



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【この小説が収録されている参考書籍】
わたしを離さないで
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないでの評価: 4.10/5点 レビュー 707件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.10pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全544件 521~540 27/28ページ
No.24:
(5pt)

人が人たりえるもの

読了後、呆然とすることしばし。

この物語には、暗く深遠な川を思わせる重厚なテーマが
根底に流れている。しかし、それらが読み進む上での
重石になることなく最後まで読ませるところは作者の
力量かと。

最近読んだ新刊の中で、間違いなくベストに数えられる作品。
ぜひ、読むべきです。

あと残念なことに、この作品のレビューをしている方の中で
明らかなネタバレをしているものがあります。それでも決して
作品自体をスポイルしてしまうほどのものではありませんが、
その事前情報があるのとないのでは、明らかに導入の印象に
影響してきます。厳に謹しむべきかと思われます。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.23:
(4pt)

お勧めの1冊

90年代後半のイギリス。特別なドナーの介護を仕事とする31歳のキャシーは、人里離れた寄宿学校での生活を思い起こしていた。

キャシー、ラス、トミーは、幼少時代をHeilshame schoolで過ごしたクラスメイトだ。そこは、生徒たちがどれほど特別な存在なのかを事あるごとにそれとなく伝えてくる謎めいた大人たちがいて、奇妙な規律が存在する不思議な学校なのだ。時が経ち、成長したキャシーが、それまで音信不通だったラスの介護を率先したことをきっかけに、彼女の生活に再びラスとトミーが入り込む。物語は、キャシーが過去を思い起こし、自分たちが「特別」であることの意味を理解しながら、その賜物が3人として残された日々をどう作り上げていったのかを彼女のモノローグで描く。

Carer Donation Guardian Gallery Possible...。イシグロの手によって、何てことのない言葉が特別なものに変わります。それらの言葉ひとつひとつに「明かされるべき謎」の影が見えて、読むものを話に引き込むのです。巧みな話の進め方に時間を忘れて読みふけること請け合いの1冊です。

謎めいた幼少時代。無垢な者たちを囲む非情な現実。それが当たり前だと思いつつも、消えそうな希望の光を握り閉める心。淡々と過ぎていく時間...。哀しくも美しい物語が、穏やかに、そして流れるような文体で書かれています。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.22:
(5pt)

既視感と浮遊感

キャシーとルースの感情の絡み合いや、微妙な女心の揺れが、あまりにも現実的であるため、
自分自身の過去の思い出や経験と重なり合い、不思議な既視感をもたらす。

しかし、徐々に特殊な存在であることが明らかにされるにつれて、
現実離れした世界(…でも、本当に有り得ない世界だろうか?)が不思議な浮遊感を創り出してゆく。

テープに合わせてダンスを踊るキャシーの腕の中にいるのが、
架空の恋人というよりも、赤ん坊として表現されたことにも驚きました。
男性の著者が、どうしてこんなに繊細に、鮮やかに女性の心の動きを表現し得るのでしょうか。

SF的な主題でありながら、もしかしたら彼らのような生命がすでにどこかに存在しているかもしれない……
そんな懸念を払拭できない私は、現実の境目を見失ったような感覚を味わいました。
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4151200517
No.21:
(5pt)

深い・・読後に何度も咀嚼しています。

私もレヴューの方と同じ「ブレードランナー」を思い出した。が、その手法は表と裏で、存在を否定された側から読者の同化を促し進行する。
ですから、明かされた最終章では、あまりに酷い。

ボストンに住む弟から著者を教えてもらい、初めて読んだ。原語を読んでみたくなるほど、訳語も素晴らしい。
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4151200517
No.20:
(5pt)

稀有な作家による驚愕の物語

前作「わたしたちが孤児だったころ」は少々物足りなかったが
本作は名作「日の名残り」に勝るとも劣らぬ傑作だと思う。
ではあるが、正直言って読後には背筋が寒くなるのを覚えた。
そして巷に溢れる数々の「ホラー小説」より、この作品のほうが
遥かに恐ろしいテーマを扱っているのではないかと思った。

「生命」に関する考え方が大きく揺れ動いている現在、
この物語の設定は荒唐無稽とは思えない。
「個人の尊厳」「人権」といった人類が長い歴史のなかで積み上げてきた倫理など
科学の暴走とそれを是とする人びとの前では何の価値もない、ということだろうか。

物語の終わり近く、キャシーとトミーが老いた指導教官をたずね、
善意と使命感に基づいて行動したはずの彼女から残酷な本音を聞かされる場面には、
イシグロの鋭い批判がこめられているように感じた。

「人間中心主義」の行き着く先、西洋の道徳感に潜む問題に対し、
鋭敏な感受性と批判力を備えたイシグロは、静かに異議を唱えているのかも知れない。
この優れた作家が同時代に存在することを幸せに思う。
また、原文の繊細な陰影を見事にとらえた翻訳にも敬意を表したい。



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4151200517
No.19:
(4pt)

代償

ある背景を除けば、3人の成長を綴った甘酸っぱい青春小説です。
が、その背景は作中にも出てくる「知っているのに知っていない」という感覚を読者にも
体験できるように、語り手はさりげなく…そして何度も触れているにも関わらず、3人の
成長と感情を前面に書いているため、最初は朧げにそして漠然としか認識できません。
そして最後に向けてそれは重く暗く読者の心を鉛の弾となって貫くのではないでしょうか。
この構成は見事だと思います。

自分は鈍いのか、その重さを実感するまでにしばらく放心状態になり、もう一度物語りを
反芻し、登場人物達に思いを馳せると言い知れぬ不安に襲われました。
突拍子もない背景かも知れませんが、あり得なくもなさそうな描写に人知れず呟きました。
「わたしを離さないで」
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4151200517
No.18:
(5pt)

生命の価値に複製もオリジナルもないという当然の帰結

家畜や奴隷に幸福はあるだろうか。思春期を含めて、青春や友人関係の喜びはあるだろうか。夢やアイデンティティを追い求める価値は?
 障害や病気、人種や貧困などによるマイノリティが、少数の富裕層や中流階級の幸福のために犠牲にされる構図は、本書だけでなく現代社会に厳然と存在する。先に「新しい世界」を手に入れた人々が、「古い世界」で生きている人々を「無慈悲」で「残酷」な世界に追いやる。多くの人はそのことに気づかず一生を終える。不思議だ、変だと思っても実際には行動に移すことはない。
 本書は学童期の「ヘールシャム」時代、モラトリアム期の「コテージ」時代、そして「一般社会」時代の3部に分かれており、主人公を含めて3人の運命が丹念に綴られている。彼らの決められた運命のごとく、全編閉塞感に満ち謎と不思議が覆っているが、主人公が真実に肉薄するとき、彼らの人生が一見悲しい中にも輝かしい光を帯びることになる。特にキャシーという感受性の強い魅力的な主人公の説得力ある語りによって、非現実的であるが、決してファンタジーとは言えないリアリティを、凄みを持って感じられる。
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4151200517
No.17:
(5pt)

純粋な感情があふれる設定

前々作『充たされざる者』前作『わたしたちが孤児だったころ』で顕著になったと思うんですが、『充たされざる者』では都市に招かれた指揮者、『わたしたちが孤児だったころ』では若い私立探偵が、それぞれの表現・活動を通して世界を救おうという気持ちを持ちながら世界に翻弄されまくって、無力感の果てに感情を揺さぶられるという仕掛けになっていました。
この『わたしを離さないで』では主人公たちにある運命を課すことで、初めから世界を変える力を奪っています。世界に対する皮肉な見方も削げ落ちてしまったところで、浮かび上がってくる感情のナイーブな純度、閉ざされた生のなかで見られる夢の切なさは、ほかの作家の作品ではあまり体験できないものではないでしょうか。変な連想かもしれませんが、小津さんの「東京物語」を思い出してしまいました。
読み続けていてふっと感情がこみ上げてくるところが小津さんの作品に通じるような。世界に対してあらかじめ無力であると規定されることで感情が純粋にあふれる(その点だけで言えばやや実験的冒険的だった前2作より無理や破綻がなくて完成度が高い)というのは、そこまで世界が悪くなってしまっているということなのかもしれません。そして無力であると規定された主人公たちが、いまを生きる私たちのメタファーだとすると、こみ上げる感情を味わった後に残るのは、すごく苦い気持ちでもあります。
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4151200517
No.16:
(5pt)

こころが漂流している。

何もはっきりとは書かれていない。
秘密が明かされて行くのも、小出しにされるというよりも、
読んでいる自分たちさえ最初から知っていて暗黙の了解の上に会話をしているような気になる。
公然の秘密を共有しているような感覚。

曖昧な状況とは裏腹に、子ども時代からの心模様は過剰に思えるほど詳細で執拗だ。
始めから役割が決まっているとしても、逆らえない運命だとしても、
それが降り掛かっている人物にだって「ふつうの」感情があることを示しているのだろうか。
地に足がついていないというか、足をつけるべき地面がないような感じがするのは、
登場人物たちの不確かな境遇ゆえだろうか。

話したところでどうにも抗えないと分かってはいるけれども、
もしかしたらという気持ちを捨て切れない、あの妙な期待感を覚える。
訥々とした語り口からは想像もできないほど先を急ぎたくなる物語で、
キャシーたちの「ふつうの」しあわせを願わずにはいられなくなった。
それが叶わないことだと知っても。
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4151200517
No.15:
(4pt)

不思議な本

こりゃあ、たいしたもんだ。うまくいえないが、そこはかとない感動があるな。ひょっとしてこれって俺たちのことかも知れんな。俺たちって、俺たちみんな、誰でもっていう意味だけど。特殊な設定にして問題点をわかりやすくしただけで。

俺は、「ブレード・ランナー」を思い出していたよ。

構成もみごとだし、論理もわかりやすい。たぶん訳もうまいんだと思う。
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4151200517
No.14:
(5pt)

Remarkable

This book was so well written, the subject matter so unusual, and the story itself so riveting that I read it almost straight thru. However, it was ulitimately very painful and disturbing ......much like Giorgio Kostantnos's "The Quest". A book I would highly recommend reading - but only once, maybe twice.
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4151200517
No.13:
(5pt)

A great story

It is such a beautiful, heart breaking, humane book. Using unbelievable imagination and extraordinary prose, author takes the reader deep into the minds and thoughts of cloned for purpose young people, exploring their spirits and souls. I will never let this book slip out of my memory. Also read- Quest by Giorgio Kostantinos. One word, Excellent.
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4151200517
No.12:
(4pt)

あの曲、聴いてみたいなぁ

読みたい、と言うより、珍しく読まなきゃいけない気がして探していた小説。

昨日の読売新聞にこの作品に関して著者のカズオ・イシグロ氏が語ったインタビュー記事が出ていた。

「人は思っているよりずっと短い間に愛や友情を学ばなければならない。
 いつ終わるかもしれない時間の中でいかに経験するか」と。
単純明快な主題。

ああそうか。だから読まなきゃいけない気になったのか。

クローン人間たちの寮生活とその後を設定してあるが
最初は核兵器によって若いグループが人生を終えると言う設定だったと言う。

生きるためにやらなければいけないことがたくさんある。
愛や友情はそこと切り離したところにあるのではない。
「誠実に、日常と向き合う勇気だ。」記事はそう結んであった。

わたしを離さないで、が
わたしを消費しないで、の意味に響いたのは
わたしが日常をただ消費しているからだろうか。


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4151200517
No.11:
(5pt)

歴史的傑作

タイム誌が1923年以降の作品から選ぶ
「all-time 100 novels」の中の一つとして選ばれた本作は、
疑いなくカズオイシグロの最高傑作と言ってよいだろう。
何十年かたった後、
我々よりもっと若い世代の人たちは、
この作品を生みだしてしまったイシグロの先見性と創造性にたいして
手放しの評価を送り続けることになるだろうと思う。
イシグロは一線を越えてしまった。
誰も踏み込んだことのない世界の地面に
偉大ながらも端正な足跡を残した。
我々は彼の手を握ってその世界へのジャンプを助けてもらえる。
この本はそんな本だ。


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4151200517
No.10:
(5pt)

傑作であることに疑いはない

翻訳も素晴らしいと思う。
ただし、「です・ます」調の訳文には、
微妙な違和感を覚えたことも否定できない。

これが『日の名残り』の執事であれば、
もってまわった冗長な言い回しを再現する上でも、
「です・ます」以外の選択肢はまず考えにくいところだが、
原書"Never Let Me Go"を初めて読んだ時に、
あくまで抑制の効いた全体の雰囲気とは裏腹に、
要所要所ではかなり直截、かつ切実な語り口が採用されていることに
きわめて強い印象を受けた覚えがあり、
それがどうにも「です・ます」とはそぐわないような気がするのだ。

そのことはおそらく、これまでのイシグロ作品では
全くと言っていいほど取り上げられることのなかった「性」が
殆ど即物的とも呼び得るやり方で取り扱われていることと、
いわば表裏一体の関係にあるのだと思うし、
待望の訳書を手にした時、帯の宣伝に
「ヤングアダルトの読者に読ませたい成人図書に
与えられるアレックス賞を受賞」
と書かれていたことからしても、
その読みはあながち間違いでもないはずだ。

冒頭では31歳と書かれているキャシー・Hが、
どのレベルの英語を操れる存在なのかということは、
実は本書の主題とも密接に関わる事柄なのであって、
訳者の土屋氏もそのことは重々承知の上で
あえて「です・ます」を選択されたということなのだろうが、
私の頭の中で鳴っているキャシーの語りは、
断然「だ・である」のほうなのだ。

本文から判断する限りでの彼女の性格にも
こちらのほうがぴったり来るように思うし、
彼女らが巻き込まれた非情な運命を描く上でも
むしろぶっきら棒というのに近いほど簡潔な表現法を取ったほうが、
より深い余韻を残せたのではないかという気がしてならない。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.9:
(5pt)

面白かった

物語の世界に引き込まれて一気に読ませられた。
淡々と語られたその語り口とは裏腹な驚くべき世界。
誰にでもある若い頃の記憶のようでいて、読む進むうちに
明らかにされていく不思議で悲しい世界に胸うたれた。
家事の合間にも本をはなせなくなったほど。
 現実にはあり得ない、あっては欲しくない世界なのだけど、
数年前のねつ造ニュースの事を思い出すにつけ、
私たちに知らされないだけで、どこかにこんなヒロインが
現実に存在しそうな恐怖に捕らわれた。
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4151200517
No.8:
(5pt)

静かに震えつづける心

素晴らしい、ほんとうに素晴らしい小説でした。
丁寧に、細心の注意を払われて選ばれた言葉のひとつひとつが、
登場人物と彼らを取り巻く風景をいきいきと精緻に構築します。
読んでいる途中、何度も本を閉じ、小説世界の風景や心象に目をこらし、耳をすませました。その反面、はやく続きを読みたくてたまらなくなりました。
読み終えた今、まだ心が震えています。
その震えには、痛みもあるのですが、それでもそっと確かめたくなるような、胸に手をあてて心臓の鼓動を感じるような、確かでかけがえのない震えです。
今世界で起きていることに、あらためて目をむけたくなり、
同時に自分自身にいろいろ問いかけたくなる、貴重な小説です。
カズオ・イシグロ氏の小説を読み続けられる幸福に感謝します。
原文で読むことにも挑戦したいです。


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4151200517
No.7:
(5pt)

絶対に読むべき物語

この物語は凄い。

面白いとか、感動とかいう褒め言葉はおそらくそぐわない。
(もちろん、面白くて、いろんな意味で感動するのだが)
ただ、ただ、ひたすらに凄いのだ。「日の名残り」を
はじめとする過去の作品と比較して、どちらが優れているとは
単純には言えないが、イシグロは確実に進化し、どこか遠くへ
向かおうとしている。もう一度言うが、この物語は凄い。

しかも、もしかしたらイシグロの次回作はもっと凄いに違いない
という確信さえ読者に抱かせる。
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4151200517
No.6:
(5pt)

奇妙な設定の上の、繊細な筆致

日本生まれのイギリス人作家、
カズオ・イシグロ氏の長編第六作である。

氏は長編第三作『日の名残り』でブッカー賞を受賞以降も、
手にした評価に安住することなく、
一作一作その作風を変えてきており、
本作も前作『わたしたちが孤児だったころ』とは
がらりと違う手触りの作品となっている。

本作の設定についてはその取り扱いがこなれているわけではなく、
純文学系の作家が手を出す領域ではないという批判もあろう。
しかしその奇妙な設定の上に築きあげられた、
触れれば壊れてしまいそうに繊細な人間関係と
箱庭の中のようなキラキラとした過去の風景は
この上なく珠玉のものであり、
エンターテイメント系の作家には描けぬ
一種完成された心象風景であろう。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.5:
(5pt)

A recommended read

NEVER LET ME GO stands out as one of the most remarkable books I have ever read. It is difficult to say whether this book is sci-fi or plain fiction. Whatever, it is unique in the sense that it would satisfies any high-minded reader who is versed with present day developments and what could happen in the future. The lesson learnt is that the meaning of life is best achieved when we find joy, joy which comes from the soul. That joy from the soul surpasses blind faith, unsubstantiated materialism and an idealistic purpose of life that is based on discrimination. Ishiguro successfully weaved this story through characters that we can easily relate to, characters who in their pathetic states mirror man at the height of his false sense of achievement. In its portrayal of the futility of life, I got reminded of DISCIPLES OF FORTUNE, FRANKENSTEIN, UNION MOUJIKUN, CONSOLED. This is a recommended read for a deep-thinking person.
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4151200517

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