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わたしを離さないで



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【この小説が収録されている参考書籍】
わたしを離さないで
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないでの評価: 4.11/5点 レビュー 714件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全550件 21~40 2/28ページ
No.530:
(5pt)

気まずさ

丁寧な心理描写が見事。気まずさの描出がピカイチ。厳然と目の前に横たわる得体の知れない現実が明らかになる程、登場人物たちの実存感が際立つ。いやー本当に読んで良かった。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.529:
(4pt)

残酷な作品です

主人公達はヘールシャムという施設で理想的な(?)教育を受けながら、普通の子供たちのように育っています。時折ヘールシャムに来訪するマダムは子供達と話しをしないので皆は「お高くとまっている」と思っていましたが、8才の頃にルースが「私たちを怖がっているのよ」と断言します。そしてある事を実行し、マダムは「蜘蛛嫌いな人が蜘蛛を恐れるように子供達を恐れていた」という事が証明され、自分達が他の人間と違う何者かがわかるのです。印象的な場面です。子供達は成長し、クローン人間としての使命を果たしていきます。残酷な作品です
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.528:
(5pt)

独特な雰囲気

独自の世界観を持つ小説であり、考えさせられる部分も持ちあわせている。とても面白かった。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.527:
(4pt)

怖いけどあり得る世界

自分の人生を、行く末を受け入れていることの怖さ、でも現実にあり得る、もしかしたらこういうことがすでに行われているのかと思う怖さがある。おすすめです。
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4151200517
No.526:
(5pt)

洗練された日本人の感覚なのでしょうか?

取るに足りないような相手の言動によってもたらされる心のざわめきの描写が秀逸で共感しました。

全体的には感情的で大袈裟な表現がないのに、心が揺すぶられる内容でした。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.525:
(5pt)

ビルドウンクス・ロマンの系譜

この物語において展開されるのは、個人のアイデンティティーをめぐる冒険の数々。とりわけ、社会規範が求める行動規範と、個人としての欲求の対立や葛藤が鮮明に描かれている。小説に登場するクローンたちは、どれも自らの使命に諦観しているが、心のどこかでそうした定めに抗いたい欲求を秘めている。事務職というごく平凡な仕事に就きたいと願うルースや、ささやかな幸福を願うキャシーとトミーも然り。しかし、現実として彼らに課せられている定めとは、介護士になるか、ドナーの提供者になるだけ。人間としての本質的な喜びを奪われた彼らは、人間らしさを保とうとする。「わたしを離さないで」というカセットテープは、そうした人間らしい愛情のシンボルであろう。人生は生きるに値するさまざまな喜びで満ち溢れているのである。
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4151200517
No.524:
(5pt)

現実離れしたSFを用いて現実世界を映し出す小説

徐々に明らかになっていく世界観の謎に引っぱられ、あっという間に読み終えました。

現実とは全く異なる世界における、実在するはずのない主人公たちの物語です。
しかし、なぜか全く他人事には思えず、むしろ現実世界での我々の人生も、実はこの主人公たちにとても似ていることがあると気づかされてしまう。そんな小説でした。

登場人物の心の動きが、様々な描写によって非常に繊細にリアルに描かれているからこそ、そうした気持ちにさせられたのかなと思いました。
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4151200517
No.523:
(5pt)

私を、離さないでという意味を、よく、考えてみたいし、感じ取った

カズオイシグホという作家は、ストーリーを、紡ぐ素晴らしさと感性に、訴えるところが魅力的です、、この作品は、一度読み、人に、差し上げ、また読みたくなって、再度、購入しました、今度は、手放さず
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4151200517
No.522:
(5pt)

川底に流れる冷たい水

最初から最後まで、主人公の穏やかな語り口調で語られる思い出話。喪失感に満たされた結末があるだけに、どこか色褪せて湿気を含んだ冷たさがある。
キャシーは優秀な‘介護人’としての使命を終え、‘提供者’となる。彼女はそれまでの自分の半生を振り返る。自分が育った施設、そこから社会に出るまでの待機所、介護人としての社会生活。そして同じ施設で時を共にした忘れられない2人の親友。
語られた内容やその時感じた気持ちは実に克明に語られ、物語全てが彼女の走馬灯が流れていくように思えてならない。
彼女から見た物語の登場人物は、誰もが心に不安を抱え、くすんだ言葉を投げかける。もちろん彼女自身も多分に漏れない。
ロードムービーの様に淡々と進む物語に澱のように重なってゆく哀しみ。彼女の気持ちは晴れる事なく、夕闇の空に霞んでいく。
そんな物語でした。
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4151200517
No.521:
(5pt)

白々しい表現の最高峰

ノーベル賞の作品にアレコレ言いたくない。
白々しい表現がかなり上手だと思った。いわゆる「匂わせ」か。
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4151200517
No.520:
(5pt)

閉塞の中に

なんの話やら訳がわからないまま繊細な描写で退屈な話が続く
しかし、途中からなんとも言えない閉塞感が押し寄せ胸が締めつけられる思いになった
これはフィクションかもしれないが、鬱屈し閉ざされた状況下で生きていく心のあり方に
深く共感させられ、忘れることができない小説になっている
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.519:
(5pt)

いいですね

視力が落ちたので文庫本を読むのがちょっと辛いなと思っていたので、試しにオーディブル版で聞いてみました。原作が面白いのと、さすがにオーディオ版は声がいい。聞き飽きない落ち着いた声で、物語をしっかり楽しむことができました。
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4151200517
No.518:
(5pt)

これだけでノーベル賞に値する

割と今ではよく見る設定だがここまで完璧に作り込まれたものはないと思う。大小顕微全ての伏線が回収され納得感が凄まじい。

「抑制が効いた文体で書かれていること」がなぜか評価されているが、抑制の効いた言い回しを持つ狂言回しを設定することでこの物語における世界観を完璧に表現したことがより正しい褒められるべきポイントに思える。
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4151200517
No.517:
(5pt)

ドラマを見て疑問に思っていたこと…は特に書かれていなかった…

TBSでドラマが放送されていて、結構気になってみていたという感じでした。
その際に「こういうシステム(?)ってコスト的にどうなんだ」と疑問に思っていたこと、原作小説になら書いてあるのでは、といつか読もう読もうと、ようやく読めた本です。
結果として「ほかの施設は劣悪」「支援がなくなり閉鎖」という話から「それっぽいこと」は少しわかったような気がしましたが「そういった人たちを育てていくコスト」は、具体的には触れられていませんでした。そこは物語について重要なことではなかったんですね…。アイランドという映画や約束のネバーランドなどでは「運営にかかる費用」についても説明があったように思うので、ドラマでは割愛されたのかな、と思っていましたが。ミステリではないですが、主人公がなかなか語りださないことが気になり、ぐんぐん読み進められました。思春期の女の子にありがちな奇妙な友情の形を描いた部分などは、自分が子供だった頃を思い起こさせます。日本のドラマだけでなく、海外の映像化作品もあるようなので、いずれ観てみたいと思います。
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4151200517
No.516:
(5pt)

逆説的な普遍性を感じる

子供時代を一緒に過ごした、若き男と、若き女二人との愛と友情の物語。
男トミーと女ルースのカップルは、臓器提供の使命を終えて若くして死んでしまいます。
自分の命を使うという、文字通りの使命に従って。

残された一人、介護人の女「わたし」キャシー三十一歳が回想して語ります。

この物語には、たくさんの人間が登場します。

「とにかく無人でさえあれば、どこをどうながめてもよく、要は、ほんの一瞬でも、別世界にいることを想像したかったのだと思います。ここは生徒であふれかえっているヘールシャムではない。静かで穏やかなどこかの館。住んでいるのはわたしとあと五、六人……と」(140頁)

無人の別世界となってしまった過去を書かずに、
逆に「生徒であふれかえっているヘールシャム」を描くなんて!

著者のカズオ・イシグロさんは、徹底的に、多くの人物を登場させています。
それが「逆説的な普遍性」(444頁、柴田 元幸さんによる「解説」)を感じさせます。

<登場人物>(頁順)
同一人物の名前でも、違った呼び名は列記しました。

9頁 キャシー・H
11頁 ルース
11頁 トミー
15頁 ジェニー・B
17頁 ローラ
20頁 ハナ
20頁 グレアム・K
22頁 ジョディ先生
23頁 トリシア看護婦
23頁 キャシー
24頁 キャス
25頁 レジー・D
26頁 クリストファー先生
29頁 スージー・K
29頁 ジャッキー
31頁 クリスティ
31頁 ピーター・B
32頁 ジェラルディン先生
33頁 ロバート先生
33頁 エミリ先生
35頁 アーサー・H
36頁 アレグザンダー・J
36頁 ピーター・N
39頁 ルーシー先生
40頁 マチルダ
44頁 ジェームズ・B

50頁 マダム  
52頁 アマンダ・C
52頁 アマンダ
53頁 ロジャー先生
53頁 キャロル・H
53頁 キャロル
56頁 フランク先生
64頁 ロイ・J
65頁 ポリー・T
65頁 ポリー
71頁 シルビー・C
72頁 シルビー
80頁 アイリーン先生
81頁 マージ・K
82頁 マージ
85頁 ジョージ先生
87頁 モイラ・B
87頁 モイラ
95頁 クリストファー・C
99頁 ミッジ・A

100頁 ミッジ
125頁 ピーター
126頁 ゴードン
126頁 ピーター・J
132頁 クリストファー・H
133頁 クリストファー
137頁 ゲリー・B
137頁 ゲリー
144頁 パトリシア・C
144頁 パトリシア
147頁 シルビア・B
147頁 ロジャー・D
148頁 ジェニー・C
148頁 ロブ・D
148頁 ジャック先生
148頁 ジェニー

150頁 アネット・B
150頁 アネット
150頁 クリス先生
152頁 ハリー・C
152頁 ハリー
152頁 シャロン・D
155頁 シンシア・E
155頁 シンシア
161頁 マーサ・H
171頁 シャルロッテ・F
172頁 シャルロッテ
179頁 ケファーズ
184頁 ラリー
184頁 ヘレン
185頁 スージー
185頁 グレッグ
191頁 クリシー
191頁 ロドニー

204頁 マイク
204頁 デイブ
204頁 スティーブ
210頁 チャーリー
210頁 クレア
226頁 フィオーナ
230頁 マーチン

280頁 ヒューイ
280頁 オリバー
285頁 アリス・F
285頁 ゴードン・C
291頁 アリス
293頁 レニー

320頁 マイケル・H
322頁 ロジャー・C
322頁 ロジャー
343頁 メグ・B
379頁 トミー・D
389頁 マリ・クロード
392頁 ジョージ

407頁 ルーシー・ウェンライト
437頁 スザンナ・C
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.515:
(5pt)

平凡な語り口のなかに、深い余韻を残す非凡な傑作小説

知人の推薦がきっかけで、事前知識ゼロで読み始めたが、読むほどに先を読みたくなる衝動に駆られた。

冒頭から「へールシャム(施設・寮)」「保護官」「提供者」「使命」「介護人」「回復センター」といった言葉が特段の説明なく登場するため、読者は薄々「こういうことではないだろうか」と推理しながら読み進めることになる。まず本作では、こうしたキーワードの配置が実に巧みだ。

そして語り手であるキャシーとその友人たち(ルース、トム)や、保護官たちを中心とした人間模様が淡々と語られていくわけだが、特に友人たちとのへールシャムやコテージでの日常は、あまりにも平凡であり、誰もが経験するような心模様が描かれる。唯一の違いは、彼らの生活が「施設」という柵の中だということ。後半では行動範囲が広がるものの、目に見えない柵からは決して出られない。(このことがラストに深い余韻をもたらしている)

彼らがどういう存在であり、主人公たちにやがてどんな運命が待ち受けているかは、意外に早い段階で示唆されるが、彼らの個性や感受性、創造性には「普通の人間となんら変わりない」ことが、本作の底流に流れる水脈であると思える。
誰もがもっている青春時代のほろ苦い記憶。もっとこうすれば良かったとか、誰かに対してもっと素直になるべきだったとか、誰にも打ち明けられない秘密だとか…

本作では、こうした悩める青少年期の心の動きの描写が冴えわたっており、これに、保護官たちの謎めいた行動や戸惑いがブレンドされながら、物語は淡々と進んでいく。

その一方で、施設外の人々や社会状況については、極端なほど削ぎ落されている。これはこの小説が「彼らから見た世界のすべて」を語った小説だからであろう。

そして、語り手が主人公・キャシー自身であるため、多くの読者は希望的な結末を予想(あるいは期待)しつつ読み進めるわけだが、作者は決して安易な結末を用意していない。
にもかかわらず、読後は決して暗鬱な気持ちのみになるわけでもない。

柵の中の限られた人生であったとしても、よく生き、傷つき、愛した彼らは、不幸で憐れむべき人生だったのか…
柵の外で寿命を全うできる読者である自分はどうなのか…
容易には答えられない問いを、最後に突きつけられたような気がした。

いずれにせよ、本作はカズオ・イシグロという非凡なる作家による、平凡な語り口のなかに深い余韻をたたえた非凡な物語だと評価したい。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.514:
(5pt)

不条理な線引きを静かに糾弾する小説

「私たち」と「私たち以外」を分ける不条理な線引きを、小さいころから無意識に受け入れている。
本当は無意識ではなく、知っているけど考えないことにしている、という方が合っているかもしれない。
スーパーに並んだ精肉を買って、ペットショップの犬猫をかわいがり、強制労働で生産された安い服を買う。
「私たち以外」のことを、いちいち考えていたら、穏やかには暮らせない。

この小説は、そういう不条理な線引きの残酷な事実を突き付けてくる。
最初から最後まで、抑揚のない、静かな日常の描写が続くが、
その中に不条理な線引きが紛れ込んでいて、徐々に世界の見方を規定してしまう。
「私たち以外」は「私たち」でもあるということを読者は最初から知っているのだが、
身勝手な線引きを疑う方法を知らない「わたしたち以外」が語る世界を、ただ眺めるしかない。

「私たち以外」のまわりには、不条理な線引きが張り巡らされていて、どこにも出口がない。
その中での友情や愛情、迷いや葛藤に思いを巡らせてみるが、最後の最後で、共感ができない。

あとがきに「細部まで抑制が利いていて、入念に構成されていて、かつ我々を仰天させてくれる、きわめて稀有な小説」(柴田元幸)とあるが、まさにそのとおりだ。
そして、混迷する科学技術倫理に、強烈な問題提起をしたという意味でも必読だと思う。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.513:
(5pt)

私もいつかそうなる、と仮定してしまう作品

今朝は奇妙な夢で目覚めたのでわすれないうちにPCに向かって打っています。ネタバレの部分があるかもしれませんので、まだお読みになってない方は読み飛ばした方がよさそうです。
それから、わたしはレビューを書かれているみなさんのように文章に自信がありません。カズオ・イシグロさんのこの作品を読んで影響を受けた人間ですので、作品と比べるに値しないものだとご承知で読んでいただけるとうれしいです。

本を読んだのは2年前。当初はまわりくどくて長いな。と思いながら読み進めていました。でも心理描写は確実に私の心を揺り動かしていたのでしょう。2年たって、つい今しがた見た夢がこの作品に類似していたのです。午前3時、この夢で目が覚めてトイレに行って、どこかで知ってるようなストーリ…。そうだ、あれは私を離さないで」だ、とカセットテープの本の表装がすぐに思い浮かびました。そして今、PCに向かっているわけです。

ご想像どおり、私が殺処分される立場になった夢でした。最後の晩餐で明日殺処分されるみんなと交流し、手をつないで輪になって歌を歌っているのです。みんな目を見開いてお互いの姿を目にやき付けようとしているかのようでした。歌いながら涙がこぼれます。「わたしもみんなと同じ気分よ」、いえた言葉はそれだけ。腹から声を振り絞るように言ったつもりなのに、声は思うほど出ません。
その晩餐の直前に、担当者(おじさんでした)の立ち居振る舞いから自分が明日殺処分されるということを悟ります。そしてその担当者に口に出して確認したところ、まさにその通りだと返事がありました。
旧友が同じ目に遭っているので覚悟はしていましたが、逃れられない宿命に一瞬だけ腹立たしさを感じました。私はその担当者に「あなたもいずれ同じ目に遭うんだからね。私たち少し先に言って待ってきますね」と言い放つのが精いっぱい。その担当者は否定も肯定もせず、「はじめて殺処分しないといけなかった夜は眠れなかったよ」と自分の目元を鏡で覗き込みながら他人事のように言います。殺処分に慣れてしまったその無感覚な表情は今でも脳裏に焼き付いています。自分の嗚咽で目が覚めました。そして30秒くらいはみんなと一緒に歌っているメロディが頭の中を流れていました。

殺される、、、、普段私たちは自分がいずれ死ぬという事実を頭ではわかっていても、こころでは意識していません。でも、そうでもない人たちもいます。余命をカウントダウンするがん患者や自死を選ぶ人は、この作品の殺処分の子どもたちと似たような気持ちかもしれません。
私の今回の夢は、和歌山カレー事件の主犯者とされている(?)ハヤシマスミさんのお子さんが長年の激しいいじめなどの苦悩を理由に身投げ自殺されたといういたたまれないニュースも少なからず私の心に影響を与えていると思います。
不死鳥を手に入れたいとは思いませんが、私にとってこの世で過ごしている大事な人たちにお別れを告げるのはとてもとても悲しいことだと思います。

犬や猫たちが命の終わりを受け入れるように、私自身もジタバタせず目を見開いてこの世を堪能し運命を受け入れたいと思いました。

・・・と、くだらない夢でしたが最後までお読み下さりありがとうございます。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.512:
(5pt)

昔、ドラマで見て興味が湧き、読んでみようと購入しました。

少しずつ読んでみようと購入しました。
中には新品であっても、やけていたり、状態が悪いものが届く事もある、と聞いた事がありますが、状態的には問題なかったです。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517
No.511:
(5pt)

純文学?ディストピア?スリラー?イヤミス?いや、驚いた。これは凄い。

この読後の気持ち良くない感触をどう形容すればいいのかはよくわからない。
 でもこれは凄い作品だと思った。いわゆるエンタメが好きな方には淡々としたストーリーの展開が詰まらなく感じるかもしれない。しかし、その底に横たわる不気味さや奇怪さは私のような読者には途轍もないゾクゾクとした魅力がありました。

・・・

 本作は、優秀な介護人キャシーの介護の様子と回想。
 始めは過去の学生時代の回想ばかりで、しかも思春期特有の面倒なガールズグループの内輪もめみたいな話ばかりで、時に船をこぐ有様だった(まあダルい話でした)。そこで、カバーのあらすじを読んで今後もこんなだるい感じなのかと思い、確認してみるとこんな一文:「彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明らかにしていく」

つまりこれは単なる純文学などではない!

 さあ、そこからは緊張感をもって怒涛のスピードにて読み切ってしまいました。
 そして、読後は非常に複雑な気分になった。多くの人に興味を持ってもらいたいので敢えて具体的に書かないのですが、読後に感じたのは「生命とは何か」「生命倫理とは何か」「性の倫理とは何か」等々の話です。

 以前大学院で環境哲学という講義があり、人間以外の有機物について権利を認めるかという話があり、そこで「木は法廷に立てるか」という小論を読みましたが、そんなのが頭に去来しました。

・・・

 著者や新刊の本屋には申し訳ない話ですが、本書は古本屋で二束三文で売っていた本。そういえばノーベル賞とかブッカー賞とか色々凄い本らしい、と。まあ200円ならいいかなと思って買った本でしたが、何ともうれしい誤算でした。英語で原典も読んでみたいと思うと同時に、著者のほかの作品も読んでみたいと思いました。
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)より
4151200517

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