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わたしを離さないで
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わたしを離さないでの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全550件 281~300 15/28ページ
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| (失礼を承知でいうならば、)彼が「なんとなく読んでいて心地よい作家」から、「特別視すべきすばらしい作家」へ変わった作品 日常の下に、和やかさ•幸福感に覆われた、残酷さがある。そして人は普段、それを忘れなければ生きていけない。; そのことが、穏やかなで、しかし同時に張りつめた雰囲気のなかで語られる。 例えば、原発があるから日頃安定して電気を使え、他国の労働があるから多様な食べ物が買え、誰かの親切があるから自分が生きている、でも それら一つ一つに痛みを感じていたら、とても毎日を生きていけない。だから今は目をそらしている。 そんな、ドキドキする雰囲気が、作品全体を貫き、主人公達の境遇が徐々に明かされる過程で胸が締め付けられる様な差し迫った思いがする。 SFでありながらも、臨場感あふれ、普遍的なテーマを扱い、文章の切れをもった、逸品です。 | ||||
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| この作品を読み進んでいるうちに以前読んだことのある二つの作品を連想させられました。一つは神林 長平の一連のSF作品、とくに「完璧な涙」です。もう一つは夏目 漱石の「こころ」です。なぜ提供者は逃亡したり、告発したりしないのか不思議に思います。想像するに完全に洗脳されているか、社会的に監視をうけ(体にチップなど埋め込まれていたり)物理的に不可能なのか、そのあたりの社会の背景がほとんど書かれていません。 唯一、提供者たちは社会から人間としての情緒や感受性に欠けた似非人間だと認識されているというくだり(会話)があるだけです。そしてそのことがこの作品がSF小説にならず、ブッカー賞にノミネートされたり、他の数ある賞を受賞し、かつ英米でベストセラーを記録した要因のひとつになっていると思います。わたし(主人公)の記憶や感情の移り変わりで終始させていることによって、つまりわたしを常にとおして物語が進んでいるところが高い評価を受けたのだと思います。「こころ」を連想したのはそのせいだと感じます。 本を読む前に以前、たまたまつけたテレビでなんの予備知識もなく(カズオ イシグロのことも知らなかった)観る気もさほどないのに映画を先に観てしまったのがくやまれます。そのときは映画の題名も気に掛けず、荒唐無稽な映画だななどと思いながらみていたのです。 小説を読んでいる途中に、あれっ、これって前に偶然観てしまった映画じゃないか と気がついたのでした。 無意識の変形逆自己ネタバレという大技やってしまいました。 みなさんも映画化された小説にはお気を付けください。あの映画さえみてなければもっと深い何かがつかめていたはずです。 | ||||
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| 読了は映画鑑賞後になってしまった。 映画では描ききれない細かい感情の機微をキャス、ルース、トミーにそれぞれ偏りのない役割を与え、縁の糸が切れそうになりながらもか細く続き、運命は止められなくても最後には和解する。 その大いなる救い。 映画ではひたすらおとなしい印象のトミーがここではサッカーも上手く丈夫で、キャスにきちんと別れを告げる。 その残像は底抜けに明るくそんなところが却って涙を誘われる。 この小説も映画も素晴らしい作品だった。 | ||||
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| 小さいときから小説が好きで日々必ず読んできましたが、この本を読み終わって以来、どの小説も物足りなくなり、しばらく読めなくなってしまいました。 小説好きには一度は読んでほしい…と思う、すごい本です。 | ||||
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| 引き込まれるように読み切って、再読、再々読し、しばし打ちのめされました。 映画化された作品は見ておりませんが、この世界観を目で見えるものにしたいという映画制作者の気持ちはわかる気がします。 もし可能であれば、萩尾望都先生の手で漫画化していただけたらどんなにいいかと。 萩尾望都先生の作風にぴったりきて、また素晴らしい世界がさらに広がるのではないかと思います。 静かで謎めいた学校、寮生活。 子供達の関係や不思議な習慣、先生とのやりとり、先生達のふるまい、そこを出た後の世界とのやりとり。 萩尾望都先生にこの願いが届いたらぜひとも描いていただきたい、と思いました。 | ||||
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| 「目的を知らされないまま誕生し、生き、そして必ず死が訪れる」 本小説の世界は現実にはあり得ない。 にも関わらず、登場人物達が他人毎とは思えないのは、 筆者の丁寧な描写に依るものだけでなく、 私たちの生も似たような初期設定を持っているからか? 過酷な運命に翻弄される彼らに感情移入しつつ、 自分ではコントロールできない「最期」を常に意識さざるを得ない読書体験は、 自らの人生を俯瞰し、フレームの外から見る視点をもたらしてくれた。 しかし、内容が辛すぎるのには変わりない。 映画を見る勇気は私には...無い。 | ||||
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| イワオイシグロの作品で、映画化された作品は数々あるが、原作を読んで、映画を楽しむというキャッチコピーは、古いが!!この本を読まれる方は、映画も鑑賞されたし。 | ||||
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| 小説の冒頭で読者の前に、登場人物の逃れられない運命がほのめかされていて、小説を読み進めながら、ひょっとしたら登場人物はその運命から逃れらるのではないだろうかと期待するが、結局、逃れることができず、予想通りの結末で終わるとき、読者は憐みと同情、そして、自分がその小説の登場人物ではなかったという安心感から、カタルシスを感じる。典型的なギリシア悲劇の構成である。 しかしながら、作者の技術力が高いので、ステレオタイプに陥らず、瑞々しい感動を与えてくれた。逃れられない運命と自己規定の痛みが、女性主人公の一人称回想形式で、静かに語られている。男性作家が女性の回想形式で書くのは困難だと思うが、違和感なく最後まで読めた。これ一つとっても作者の技量がわかる。 | ||||
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| あまりに有名で、どのような内容か知っていてもなお、静かな悲しみが胸に広がるお話でした。 諦めるとか、受け入れるとか、言葉にすれば一言になるとしても、その悲しみは長い物語にしなければ伝わらない。 だから、小説はあるのだと思います。 一言ではわからないことを、この本を読んで知ることができました。 | ||||
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| スマホのキンドルで読了。 読書は、どんな形でも楽しいことを実感。 長いものがたりだったけれど、読んでいるという手応えがあった。 | ||||
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| 2005年に書かれた小説であるが、当時でも近未来的な内容かと思われる作品である。ある施設でのいかにもありそうな人間関係が丹念に語られていくが、その先に何があるのかついつい引き込まれる不思議な小説である。 | ||||
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| 自然細部の描写が美しい。人間の感情の動きが細やか。最近あまり読んでない種類の 本だと思いました。 最初のうちは、なんだか退屈な話のように思えるのですが、それらの描写が、後で 次第に強烈な意味を持ってきます。悲しい話ですが、淡々と書かれているので、 余計に悲しみが増します。 日本語の翻訳がややこなれていないのが少々残念です。 | ||||
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| SF的設定を借り、ミステリ風の趣向を利用しながら、「苛酷な運命を決められてしまった人々」の心の襞を静謐に描き切った秀作。ヒロインはヘールシャムという施設で教育を受けたキャシーと言う介護人。物語はキャシーの回想の形式を採った一人称で語られる。 その回想の中心はヘールシャムという施設であり、特に、ルースという女友達、トミーという男友達との愛憎の描写が根幹となっている。次第に明かされる謎を除けば、良くある少女時代への回想と読者に想わせる構想が秀逸である。その「謎」については書けないのだが、衝撃的な設定でありながら、それを飽くまで透明感を持って語る手腕がこれまた秀逸。最終的に、キャシーは介護人としてルースとトミーを看取る事になるのだが、「Never Let Me Go」という原題の悲痛な叫びが胸に突き刺さる。本作は「愛と孤独」の物語でもあるのだ。 上でSF的設定と書いたが、ヘールシャムという施設は不治の難病患者を抱えた病院であっても良いし、ナチの強制収容所であっても良いという普遍性を持っている。回想中でノーフォークを「遺失物保管所」と喩えている辺りは、作者は認知症患者を意識しているとも考えられる。重いテーマでありながら、独特の透明感と静謐かつ緻密な筆致で読者を魅了する秀作だと思った。 | ||||
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| 『夜想曲集』に次いで、二冊目のイシグロさんの本を読みました。 正直、評価が高い『夜想曲集』が個人的にはあまり面白くなかったのですが、 この『わたしを離さないで』は、ページを進める手を止めることができない位、 引き込まれました。 プロットへの批判は随分あるようで、アマゾンレビューでもSF小説もどき、あるいは 科学への妄想などと書かれている方もいます。私自身はこのプロット自体が 奇想天外だとは思いませんでした。むしろ想起したのは 1920年代から70年代にかけてスウェーデンなどの福祉国家で行われた 優生学の隆盛です。少なくともその時代、多くの人にとっては 健康で優秀な人類を社会的に維持することにこそ、リアリティがあったことは 歴史的事実です。 にもかかわらず、私はプロットそのものよりも主人公であり語り手であるキャス、 友人のルース、トミーと過ごしたヘールシャムでの描写や、それ以降の邂逅などの 描き方に心を奪われました。その描写はその一文一文が 自分の感情を揺さぶり続けるようなそうした力をもっています。 おそらく私がまだ十代や二十代だったら、こうした小説を読んでもつまらなかった かもしれません。四十代を迎えることによって、自分の過去を振り返る、 自分自身が過ぎ去った時間のかけがえのなさを実感するようになったからこそ、 こうした本に巡り会えたのではないか、と。 イシグロさんの英語の文体を、村上春樹さんはどこかで絶賛していましたが、 土屋政雄さんの翻訳も素晴らしいです。 心を揺さぶる小説を書いてくださったイシグロさんに感謝します。 | ||||
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| とても読みやすい訳でした。 読んでくうちにどんどんこの物語の世界がわかっていくので、一体何なの何なの??という感じで すらすら読みました。 普通に考えてとても奇妙です。それでも細かいところまで書かれていて、その状況が 頭の中に結構はっきり浮かんできますし、何より登場人物たちの会話や行動や思っていることがとてもリアルだなあと思いました。 登場人物たちの存在が、本の中だけでなく普通にそこらへんにいる普通の子のような感じなのです。 登場人物たちはクローン人間であり、人としての価値、自分の人生を自分で決める権利もなく、 最後は提供によって命を落とすというなかでも、もちろん私たちと同じように心があり、 友人がいて恋人かいて、好きな人がいて、大切な思い出もある。 とても残酷ですね。しかも本人たちはなんだかすんなり受け入れているんですよね。 あまりにもさらっと書いてあるので、私もとりわけ考えず読んでいたんですが、 最後の方や、特に読み終わったあとは「いや、おかしい、ほんとはすごくおかしいことなんだ」 と悲しくなりました。 もちろんそう教育されて、ずっと隔離されて成長してきたからなんですが…。 でもほんとに少しの抵抗はあっても、みんなそれに従い生きていて、それが当たり前のようで、 とても残酷ですね。 登場人物たちの関わり合いとかも、普通に誰にでもありそうな感じだったので、 「私たちのなんら変わりはないのに、クローン人間として生まれてしまったから この人たちの人生も命も、この人たちのものではないんだ…」と、 上手く言葉に出来ませんが、いろいろ考えました。 | ||||
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| その哀しさが、案外生きてる人間全部の抱えてる哀しさにつながってる気もした。 | ||||
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| 人生においてはどんな命も無傷ではいられない。それが生きるということ。 自分の命と人生を過去も含めてよくみつめてみよう。 そんな気持ちにさせてくれる唯一無二な小説です。 感じるか感じないかは人それぞれだと思いますが。 | ||||
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| 運命を受け入れていながらも、やはり人間として、恋もし、葛藤もし、読んでいてせつない・・・過去にあったか、現在進行中か、未来にありそうな。そんな、余韻の残る話でした。 | ||||
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| 苦しく避けがたい終わりを待ちながら自分のやるべきことをすることが生きる事だよ、と教えてた本。 | ||||
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| 少年・少女たちの日常生活と、その中での心の動きを丁寧に綴っているが故に痛ましく切なく・・・。恋、友情を繊細な心で悩み受け止め、生きる喜びに溢れる彼らをどうして物扱いできるのか。実際にありそうで怖い設定です。後味が悪く辛い読後感でした。しかし★5つに十分値する作品です。 | ||||
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