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アースバウンド
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アースバウンドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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来年(2011年)3月に御年85歳での新作長編の出版が予定されているホラー・サスペンス界の伝説の巨匠マシスンの1982年刊行の初紹介作です。本書は日本版の訳題「地縛霊」が示す通りの古風なゴースト・ホラー小説で設定に目新しさはありませんが、それでも流石に巨匠らしく興味を持続させて最後まで読ませる大人の小説に仕上がっていると思います。 夫の不倫問題で壊れた夫婦関係の修復を図ろうと、二十数年前のハネムーンの地ローガンビーチに別荘を借りて訪れたクーパー夫妻だったが、到着した瞬間から二人は何とも言えぬ居心地の悪さを感じる。やがて妻エレンの外出中に突然若き謎の美女マリアンナの訪問を受けた夫のデイヴィッドはどうにも自制出来ない強烈な性的欲望に駆られて行くのだった。 本書は最初の部分こそスローな展開で少し心配になりますが、エロティックな男女のセックス・シーンに続くアースバウンド(地縛霊)の由来話から夫デイヴィッドの深い反省と改心に至る心情が綴られる中盤までグッと持ち直して快調に進みます。そして圧巻は悪魔が凄まじい猛反撃に出るクライマックスで、怪奇映画では良くある悪魔退治の専門家の神父を登場させる事無く、ずぶの素人が妻への強い愛だけを糧にして悪魔と心理的な駆け引きをしながら命を賭けて戦う姿には鬼気迫る迫力が感じられ心を打たれる物があります。この対決の行方と結末には多少疑問に思える部分もありますが、必死の勢いのど迫力と心情的に理解出来る気がしますのでまあ良しとしましょう。この真摯な夫婦愛という生真面目さはかなりクサく感じられはしますが、やはり古き良き時代の味わいで「たまにはいいもんだなあ」と思います。ラストについては・・・・驚きはしなくても如何にも映画的な終わり方で良いのではないでしょうか。 近年ご高齢の大物作家達の訃報を知らされる事が増えましたが、著者にはまだまだ元気に活躍して頂いて、映画「アイ・アム・レジェンド」のヒットにより復活した人気がこれからも長く続いて行く事を祈念したいと思います。 | ||||
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『運命のボタン』で、どんな作品でも書けることを日本でもあらためて印象づけたマシスンだが、今回訳されたのはSF要素のないゴースト・ストーリー。 表紙などから『地獄の家』のような印象を受けるものの、『地獄の家』のようなタイプの読んでいて怖い幽霊屋敷ものではない。 むしろ、心理ホラーで、もし自分がこの状況に置かれたら怖いと思うタイプのホラー作品。 奥さんとのぎくしゃくした関係を修復するために訪れた屋敷で起こる恐怖を描いた話である。 恐怖をもたらすものは、見かけこそあくまで普通の人である。人であることで、さらに恐怖が増す。 ジャンルはどちらかといえばエロティック・ホラー。 しかしそのエロさぐあいがマシスンらしくもあり、文章のマシスンらしさも相俟って、マシスン・ファンはちょっとうれしくなってしまう。翻訳されたマシスン作品の中でいちばんマシスンらしい作品かもしれない。 2010年は日本におけるマシスン大復活の年だった。尾之上浩司・伊藤典夫編訳『運命のボタン』が刊行された翌月に、キング&ヒル、ランズデールといった巨匠によるマシスンのトリビュート・アンソロジー『ヒー・イズ・レジェンド』が刊行された。そして今度は『アースバウンド―地縛霊ー』である。 まだ扶桑社からは短篇集と『縮みゆく人間』の新訳が刊行予定、そして早川書房からはマシスンの最新長篇が訳出予定らしく、まだまだ刊行の勢いは衰えないようだ。 映画化予定も二作あり、このまま過去作の訳出が続けばいいものだ。 個人的にはサスペンス長篇『夜の訪問者』(早川書房)と『愛人関係』(平安書店)、そして映画化もされたミステリーテイストのゴースト・ストーリー『渦巻く谺』(早川書房)、本格幽霊屋敷の傑作『地獄の家』、ラヴ・ストーリー『奇蹟の輝き』(東京創元社)など、どんどん復刊してほしいものだが。ホラー寄りの作品を集めた『激突!』(早川書房)、ユーモラスな作品も数篇含まれている短篇集『モンスター誕生』(朝日ソノラマ文庫)も復刊されればなあ、まあ、さすがにそこまでは無理かもしれないが……。 | ||||
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