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アースバウンド
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アースバウンドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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夫デイヴィッド、妻エレン。もう孫が生まれる年齢の二人の仲は、デイヴィッドの浮気が原因でうまくいっていない。関係を修復するためにかつてハネムーンで訪れた海辺の別荘を借りるが、そこでデイヴィッドは美貌の女マリアンナと知り合う。マリアンナは貪欲にデイヴィッドの肉体を求めてくる…。 リチャード・マシスンの旧作ホラーの本邦初訳です。巻末の訳者解説によれば、1970年代に執筆されたものの、出版社の勝手な編集に激怒したマシスンがいったんは本名で発表することを断念したもので、1989年になって英国ロビンソン・パブリシングから正規版が出たといういわくつきの作品です。 私は今から20年近く前にこのロビンソン・パブリシング社版のハードカバー『Earthbound』をロンドンの書店で偶然見つけて買って帰ったことがあります。その表紙絵のあまりのおどろおどろしさに気圧されたこと、そしてまだ30代になったばかりの頃に読んだせいか、ポルノ・ホラーともいえるようなこの作品の描写に、大きな恐怖とエロチシズムを同時に感じて、大いにゾクゾクさせられたこと、その両方を今もよく覚えています。 まさかこの作品が2010年に日本で翻訳出版されるとは思いもよりませんでした。 40代も残りわずかとなった今読むと、かつて読んだときのような背骨をはいのぼる冷たい恐怖も下半身を撃つエロチシズムも感じるには至りませんでした。 しかしその一方で、ホラーとエロスによってかつては見えにくくなっていたこの小説の、マシスンが言わんとした肝の部分が読みとれた気がしています。 それは魂が肉体に対して優位にあるということ。マシスンはキリスト教的な肉体と魂の二元論を意外に保守的な視点から描いているように思います。猛り狂う肉欲をいかに制御するか、そのテーマをしつこく描いたのがこの作品であるようです。 残念ながらマシスンの作品の中では決してレベルの高いものではないように思います。今なぜこのテーマのホラーを翻訳出版しなければならなかったのか。マシスンの熱心なファンである私のような読者以外には、さほど手に取る価値はないかもしれません。 *157頁「もっと水が欲しくなり、顔をしかめた」という文章に句点が欠けています。 *298頁「驚きで胸が高鳴らせながら」とあるのは「胸が高鳴りながら」か「胸を高鳴らせながら」と言いたかったのではないでしょうか。 | ||||
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来年(2011年)3月に御年85歳での新作長編の出版が予定されているホラー・サスペンス界の伝説の巨匠マシスンの1982年刊行の初紹介作です。本書は日本版の訳題「地縛霊」が示す通りの古風なゴースト・ホラー小説で設定に目新しさはありませんが、それでも流石に巨匠らしく興味を持続させて最後まで読ませる大人の小説に仕上がっていると思います。 夫の不倫問題で壊れた夫婦関係の修復を図ろうと、二十数年前のハネムーンの地ローガンビーチに別荘を借りて訪れたクーパー夫妻だったが、到着した瞬間から二人は何とも言えぬ居心地の悪さを感じる。やがて妻エレンの外出中に突然若き謎の美女マリアンナの訪問を受けた夫のデイヴィッドはどうにも自制出来ない強烈な性的欲望に駆られて行くのだった。 本書は最初の部分こそスローな展開で少し心配になりますが、エロティックな男女のセックス・シーンに続くアースバウンド(地縛霊)の由来話から夫デイヴィッドの深い反省と改心に至る心情が綴られる中盤までグッと持ち直して快調に進みます。そして圧巻は悪魔が凄まじい猛反撃に出るクライマックスで、怪奇映画では良くある悪魔退治の専門家の神父を登場させる事無く、ずぶの素人が妻への強い愛だけを糧にして悪魔と心理的な駆け引きをしながら命を賭けて戦う姿には鬼気迫る迫力が感じられ心を打たれる物があります。この対決の行方と結末には多少疑問に思える部分もありますが、必死の勢いのど迫力と心情的に理解出来る気がしますのでまあ良しとしましょう。この真摯な夫婦愛という生真面目さはかなりクサく感じられはしますが、やはり古き良き時代の味わいで「たまにはいいもんだなあ」と思います。ラストについては・・・・驚きはしなくても如何にも映画的な終わり方で良いのではないでしょうか。 近年ご高齢の大物作家達の訃報を知らされる事が増えましたが、著者にはまだまだ元気に活躍して頂いて、映画「アイ・アム・レジェンド」のヒットにより復活した人気がこれからも長く続いて行く事を祈念したいと思います。 | ||||
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『運命のボタン』で、どんな作品でも書けることを日本でもあらためて印象づけたマシスンだが、今回訳されたのはSF要素のないゴースト・ストーリー。 表紙などから『地獄の家』のような印象を受けるものの、『地獄の家』のようなタイプの読んでいて怖い幽霊屋敷ものではない。 むしろ、心理ホラーで、もし自分がこの状況に置かれたら怖いと思うタイプのホラー作品。 奥さんとのぎくしゃくした関係を修復するために訪れた屋敷で起こる恐怖を描いた話である。 恐怖をもたらすものは、見かけこそあくまで普通の人である。人であることで、さらに恐怖が増す。 ジャンルはどちらかといえばエロティック・ホラー。 しかしそのエロさぐあいがマシスンらしくもあり、文章のマシスンらしさも相俟って、マシスン・ファンはちょっとうれしくなってしまう。翻訳されたマシスン作品の中でいちばんマシスンらしい作品かもしれない。 2010年は日本におけるマシスン大復活の年だった。尾之上浩司・伊藤典夫編訳『運命のボタン』が刊行された翌月に、キング&ヒル、ランズデールといった巨匠によるマシスンのトリビュート・アンソロジー『ヒー・イズ・レジェンド』が刊行された。そして今度は『アースバウンド―地縛霊ー』である。 まだ扶桑社からは短篇集と『縮みゆく人間』の新訳が刊行予定、そして早川書房からはマシスンの最新長篇が訳出予定らしく、まだまだ刊行の勢いは衰えないようだ。 映画化予定も二作あり、このまま過去作の訳出が続けばいいものだ。 個人的にはサスペンス長篇『夜の訪問者』(早川書房)と『愛人関係』(平安書店)、そして映画化もされたミステリーテイストのゴースト・ストーリー『渦巻く谺』(早川書房)、本格幽霊屋敷の傑作『地獄の家』、ラヴ・ストーリー『奇蹟の輝き』(東京創元社)など、どんどん復刊してほしいものだが。ホラー寄りの作品を集めた『激突!』(早川書房)、ユーモラスな作品も数篇含まれている短篇集『モンスター誕生』(朝日ソノラマ文庫)も復刊されればなあ、まあ、さすがにそこまでは無理かもしれないが……。 | ||||
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「ヘルハウス」をはじめとする数々の名作を送り出した名人、リチャード・マシスンのホラー、ということで、期待値は高かったのですが・・・。 夫の浮気がきっかけで、ぎくしゃくした夫婦関係を修復すべく、ハネムーンで訪れた地を再訪したデヴィッドとエレン。しかし、宿泊した別荘には秘密があり、夫婦には思ってもいなかった危機が迫る!デヴィッドを誘惑する絶世の美女マリアンヌの正体とは? というホラーです。 なにせ、タイトルが「地縛霊」となっているので、読者は最初からこの別荘に何か悪さをする霊がいることがわかっているわけで、ただ登場しただけでも驚かないところ、この霊の現れ方そしてふるまいはなんとも??? ということで、単なるホラーとしては、個人的には合格点は出せません。なんだか、デヴィッドは、このままエロチックな霊にとらわれていても、かまわないんじゃないかあ?とこちらも思ってしまうほど、恐ろしくないんですね。 原作は、1982年にプレイボーイプレスが出版したらしい。そのときは、あまりにずたずたに編集されたので、マシスンの名前ではなく、別名義を使ったようです。プレイボーイプレスと聞いて、いかにも、と納得のゴーストストーリーというところでしょうか? 字がとても大きくて読みやすかったので、感謝の2つ★。 | ||||
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夫婦の危機を迎えているディヴィッドとエレン夫妻は、二度目のハネームーンのため、海辺のコテージを訪れた。そこで、ディヴィッドは絶世の美女マリアンナと出会う。彼女の魅力に取りつかれたディヴィッドは、妻の目をぬすんで、関係をもってしまうのだった ・・・ 最近読んだ『夜の訪問者』で興奮し、本書を手にとってみた。で、これは、オカルト(古っ!)?、モダンホラー?、夫婦再生の物語?、それとも解説にあるようなパロディ的なにか?前半からあまりにオーソドックス(しかも、つまらん)な展開で、途中で投げ出したくなってしまった。コテージの地縛霊の過去がわかるあたりで、ふ〜ん となるんだけれど。このアイディアであれば、短編でいいんじゃないのかな。 マシスンは良質な作品を書く印象が強いんだが、これはいただけない。好きな作家なので、評価は甘め ・・・ | ||||
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