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奇術師



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【この小説が収録されている参考書籍】
〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)

奇術師の評価: 4.11/5点 レビュー 18件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(4pt)

幻想文学の枠に収まらない佳作

物心ついた頃から、アンドルーの中には、ほかの誰かと人生をわかちあっているという感覚があった。
それは精神的な共感で、”誰か”が彼のことを心配しており、またその”誰か”が不安な状態にあったりするとアンドルーにもそれと判るのだ。
生き別れた双子が居るのではないかとも思ったが、記憶にも、記録にも、彼の片割れの存在を示すものは無い。
ジャーナリストとなったアンドルーは、取材のために趣いた北イングランドの館で、彼をその取材に招いた女性ケイトから思いがけない話を聞かされることになる。
養子として育てられたために自身でさえ知らないアンドルーの家系をケイトが知っていたのだ。
ケイトは、お互いの曽祖父は共に奇術師であり、ライバル関係にあったと言い、更に父親に伴われたアンドルーが幼い頃に一度この館を訪れてもいると語る。
そしてその時、事故によってアンドルーが死ぬのを確かに見たと言うのだ。
アンドルーは自身に関する謎の答えを求めて、何故かケイトが所持している彼の曽祖父、大奇術師アルフレッド・ボーデンの回顧録を読み始めるのだが・・・

アルフレッドの回顧録とケイトの曽祖父にあたるルパート・エンジャの日記がページの大半を占めるのだが、互いの記述の中に羨望や尊敬と、その裏返しである憎悪などの感情を垣間見せる。
二人の祖先が共に得意にしていたのが「瞬間移動」のイリュージョンで、そのタネ明かしを求めるのが話の軸となっているのだが、二人のタネはそれぞれ異なっていて、ルパートのほうは当時の科学者ニコラ・テスラに製作を依頼した電気仕掛けという設定である。
A.C.クラークの「進みすぎた科学は魔法と区別がつかない」と言う言葉を思い出したが、本書はSFともファンタジーとも、更にはミステリーとも言える不思議な作風。
タネ明かしや謎解きという要素は確かに面白いのだが、それ以上に二人の奇術師としての矜持などが細やかに描かれたり、実在の人物であるテスラを登場させることによってリアルさを醸しだしているのが一気に読み通させる原動力となったように思う。
1996年の世界幻想文学賞受賞作の本書は、特にファンタジー好きでなくとも愉しめる良い小説だと感じた。
〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)Amazon書評・レビュー:〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)より
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No.14:
(5pt)

美しいラストシーンに感動しました

映画のプレステージを見て、この作家を知り、試しに読んでみたのですが…..
原作の方が人物像が丁寧に描かれていて、断然よかったです。
映像が無くても、手品の知識が無くても、ぐいぐい引き込まれてしまいます。
二人の奇術師の争いの話だけでなく、その後の子孫に残した負の遺産が悲しく、美しい文章で綴られています。
ラストシーンはとても余韻の残る物語でした。
この作家の別の作品も買ってみたいです。
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No.13:
(4pt)

「語り」=「騙り」の技巧が光るメタ・ファンタジーの秀作

ある現代の新聞記者が知り合いから先祖の奇術師の驚愕すべき人生を聞かされ・・・というお話。
ある奇術師と別の奇術師がライバル関係になり切磋琢磨や競争心を燃やすうち互いに奇術師として成長していく・・・という話ならよくありがちな感じですが、そこは才人、プリースト、「語り」=「騙り」の技巧を使って、この小説自体が一つの魔術のような作品にしあげております。とくに実在した発明家の二コラ・テスラの事象を史実に忠実に絡める辺りは著者の手腕に唸りました。衝撃の問題作「魔法」を読んだ後、この小説を読むと若干見劣りしないではないですが、どちらの作品も読んで損のない傑出したファンタジーだと思います。
基本設定の奇術師同士のライバル関係を扱った小説は似たような作品にストラウブ「シャドウランド」がありますが、作者が違うとこうも違うかとちと驚ますが、興味のある方は読み比べてみては。

映画化されているそうなのでDVD化されていれば是非、観ようと思います。出来れば「魔法」の方も映画化して頂きたいですが、難しそうで、だれか挑戦する監督がいたら偉いですよね。
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No.12:
(5pt)

一流のSFミステリ

この作家はSF的な要素を使った話しを書くのが得意なんですね。

手品が舞台なのでタネを思わず考えたくなっちゃいますが、
一流の手品のタネはそうパッと思い付かないので、
じっくりと二人の確執をハラハラ見守ってました。

この作品自体のタネの一つにSF的な要素が使われているんですが、
ストーリー運びが見事で作品の世界観にうまくマッチしています。
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No.11:
(4pt)

ふたりの天才奇術師の確執と悲劇のドラマ

’04年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第5位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクインした、世界幻想文学大賞受賞作。昨年、映画化もされた。

新聞社に勤めるアンドルーは、取材で赴いた北イングランドで、ケイト・エンジャと名乗る女性と出会い、思いもよらない話を聞かされる。お互いの曽祖父は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、「瞬間移動人間」のイリュージョンを得意としていた舞台奇術師だったというのだ。しかも、ふたりの間には確執があり、互いに邪魔しあったり、脚を引っ張りあっていたりしたらしい。

物語の大半は、そのふたり、アルフレッド・ボーデンとルパート・エンジャの手記と日記から成り立っている。5部構成のうち、第2部と第4部に配された、かなりのボリュームを占める彼らの手記と日記を読み進み、ひも解いてゆくと、そこから名声を競い合うふたりの舞台奇術師の確執と悲劇のドラマが浮かび上がってくる。

本書は基本的にはSF・幻想小説になるのだろうが、プリーストの、ファンタスティックで独特のイマジネーションに支配された物語はミステリーとしても充分読み応えがある。また、文庫にして579ページと言う分厚い長編を一気に読み切らせるだけのリーダビリティーも併せ持っている。

本書は、SFを、その非現実性とかファンタジーから一歩踏み出して、ふたりの奇術師を主人公にした、よりリアリスティックな設定のなかで新しい幻想ミステリーに仕立て上げた名品である。

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No.10:
(4pt)

ミステリー、SF、ホラー。三位一体小説の不思議の手わざ

十九世紀後半から二十世紀初めにかけて、英国を舞台に繰り広げられた奇術師同士の争い。アルフレッド・ボーデン vs. ルパート・エンジャ。双方の日記を通して、それぞれが相手に抱く確執(もしくは、宿命の争闘)と、ボーデン、エンジャ双方の「瞬間移動」のイリュージョンの恐るべきからくりが浮かび上がってくるストーリー。
 第二部「アルフレッド・ボーデン」の記述にははっきりとした日付がなく、ぼやけた雰囲気が漂っている。一方、第四部「ルパート・エンジャ」での記述は日付がきちんと記されていて、第二部の記述を別の視点から描くという、いわば相互補完的意味合いを帯びているんですね。
 一番びっくりしたのは、ある奇術者の「瞬間移動」をイリュージョンたらしめていた、ほとんど悪魔的ともいうべきからくり。「そこまでするか!」と、一瞬、のけ反ってしまった。一方、相手方の奇術師が行った「瞬間移動」マジックの結果、思いがけない出来事が派生し、さらにそこから・・・・・・という話の展開にもぞくぞくしました。
 ミステリー、SF、ホラー・幻想と、それぞれのジャンルがクロスオーバーしているような味わい。ラストで話がもっとスパークしていたらなあと、そこがちょっと物足りなかった。
 本書をもとにした映画『プレステージ』の出来映えや、如何に?! 楽しみです。
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No.9:
(5pt)

二人の奇術師の名声をかけた確執

対抗する二人の奇術師の名声をかけた確執をベースに、「瞬間移動」のマジックをSFとして描いて行きます。ここに登場するニコラ・テスラという科学者は、実在の人物のようですが、彼の発明を使って、「瞬間移動」を実現します。
しかし、それは「分身」に繋がってゆきます。一卵性双生児と「分身」の対決にもなって行きます。
これらの真実を解き明かしてゆくのは、二人の子孫の協力によってです。ここに、ようやく確執から和解への道が開かれたことになります。

非常に長い小説なのですが、読ませます。とにかく、わくわくさせてくれる小説です。
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No.8:
(5pt)

チャイニーズ・リンキング・リングのように

素晴らしい大人のための物語です。
 ドラゴンもいません、魔法学校もありません、しかし間違いなくファンタジーの傑作です。
 そこに描かれるのは、ビクトリア朝時代の二人のマジシャン、新聞記者、若き「伯爵」婦人、幻の兄弟、全く関係の無かったそれぞれが、「きらきら輝く金属製の十本の輪」イリュージョンの「チャイニーズ・リンキング・リング」の様に、一瞬で鮮やかに繋がります。
 600ページ近い長編で、複雑な構成にも関わらず、一気に読ませるのは、作者のイリュージョン、翻訳者の力量でしょう。
 読み終えて、「何処からだまされたのだろう」、再度読み直し「最初からだまされていたのだった。」気持ち良くだませれて酔いしれる、そういう作品です。
 できれば前書き、あとがきに「ビクトリア朝時代」「ニコラ・テスラ」についての説明記述があればと思いました。
 なお「テスラ・コイル」の製作については、三才ブックスの「アリエナイ理科の教科書」を参照して下さい。
 





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No.7:
(4pt)

ライバルというもの

フーディーニのマジックに興味のある方には、実に面白い本だと思う。
『瞬間移動』を演目にしているマジシャン同士の確執と、マジックの世界の裏側を描いた物語。
生涯を通じてライバルだった二人の、壮絶な関係の歴史を綿密に描いている。

現代を生きる子孫が、手記を手にして知ることになる事実がせつない。
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No.6:
(5pt)

こうきたか、とうならせる一冊

旅先で読もうと購入した本です。それなりにページ数があって、読み終わったら向こうで捨ててこようかと。
 しかし、捨てられなくなってしまいました。それくらいおもしろい作品でした。
 私自身、サーカスに行っても、さてこのトリックはどうなのかな、などと考える人なので、この作品の「ボーデン」と「エンジャ」の瞬間移動も、どんなトリックなのだろうと考えながら読みました。
 あまり本を読み返すことはないのですが、最後まで読んだ後、もう一度「ボーデン」を読み返してしまいました。
 物理に興味がある人なども、ちょっと読んでみるとおもしろいと思います。
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No.5:
(5pt)

流石はプリースト。面目を施した一作。

英国SF作家協会賞受賞作「逆転世界」等の傑作で名高いプリーストの傑作。この作家は、一風変わったアイデアが魅力で一作、一作、本当に工夫を凝らした作品を提供してくれます。内容や舞台もバラバラで、本当に多彩な作家です。本作は、過去に存在した二人の奇術師の矜持のぶつかり合い、関わり合いをそれぞれの子孫が協力して、解き明かすという内容です。各章は序章と終章は子孫二人の視点、それ以外は、二人の奇術師や子孫の一人称で記され、微妙に内容が食い違う点も、本書の魅力となっています。複雑に絡み合ったプロットは本当に飽きさせません。続きが読みたい!そう思わせる作品です。ラストは非常に面白い、個性のある内容で、視覚的に訴えかけるような感じです。ちょっと、怖いですけど、強い印象を残します。流石はプリースト、名人芸です。尚、世界幻想文学大賞受賞作です。
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No.4:
(4pt)

「これミス 第1位」(これぞミステリ)

そう、確かに僕は「このミス」から本作を手にしました。元来はSFにカテゴライズされるべき作家なのですね。
しかし「ミステリ(ハヤカワ風は語尾を伸ばさない)」というジャンルは難しいですね。「推理小説」から「ハードボイルド」まで一切合財を包括しているのですからーもちろんこういうのに詳しい方はきちんとした線引きをされてはいるのでしょうが。
典型的な日本人のおっさんとして「ミステリ」を「謎」と訳すと、本書の位置づけがうまくできます。僕はこの本を、謎を知りたくて次のページをめくるー待ちきれずに夜を徹して読み込んでしまうージャンルや能書きに惑わされず、純粋にエンタテイメントとして捉えることができました。これぞミステリ!です。後半の荒唐無稽さは気にせず楽しみましょう。
しかし、古くはホームズもの、近年ではロバート・ゴダードなんかを読むと、この頃のイギリスはこの手の題材に事欠かない、ミステリの宝庫だということがよくわかります。電灯の覚束ない明かりの外の闇に、中世の謎と幻想が跳梁跋扈しているーそんな雰囲気満載のこの作品に惹かれました。
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No.3:
(4pt)

幻想小説っす

「このミス」から見つけて読まれる方。裏表紙にもあるように「世界幻想文学大賞受賞の幻想巨編」であって、狭い意味でのミステリーと思って読むと「なんだよ」ってことになるかと。
ほら、ケン・グリムウッド「リプレイ」みたいに、本の中での超現実のルールがあって・・・、のお話し。(←あのSF設定な小説とは、そのルールも手触りも全然ちゃうけど、ね)
「エーテル」なんて、学生時代以来の懐かしい用語も出てきたり。思わずネットで再勉強。
 
ともあれ。
オチのつけ方から謎の放置プレイまで「だって幻想文学だもーん」な本作品。そこら辺の守備範囲がクリアできるあなたならばきっと楽しめるはず。
“読ませる”話の転がし方と構成力はワンダフル。
 
ニコラ・テスラを事前に勉強して読めば、より楽しめること請合い。
お勧めテキストは荒木飛呂彦先生の「変人偏屈列伝」。
マヂかよ!な実在のひと。 
 
「メメント」の監督が映画化。これも請うご期待やね。
 
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No.2:
(5pt)

ジャンルを飛び越えた天才の業

プリーストはもはやSF作家のくくりだけでは語りきれなくなった。
特に本作品は幻想小説の体裁までも見せ始めている。
饒舌さの中に引き込まれると抜け出せなくなる。
間違いなく傑作の一つだと確信します。
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No.1:
(4pt)

語り、騙り

2人の奇術師の争いが末代まで影響を与えて・・・という話。
いかに騙すかについてのディスカッションが、小説(というもの)の暗示になっている気もします。
ネタばれになりそうな話で細かく紹介しにくいのですが、
とにかく面白いです。
異能科学者ニコラ・テスラも登場します。
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