ドリーム・マシン
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| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt | ||||||||
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する
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1977年に発表された本書は一世を風靡し、映画を変えたとまで云われた『マトリックス』の原型となる作品だろうか。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| イギリスの田舎町で、ある財団の実験が行われる。39人の男女が協力して150年先の未来の地方都市を仮想的・無意識的に作り上げ(そこはウェセックスと呼ばれる)、そこで自然に恵まれ牧歌的で平和な暮らしを送るのだ。その目的というのが、テロや貧困、戦争や環境破壊で行き詰っているこの現在から、どういう政治的方法や科学的改革によってそこにたどり着いたのかを、共同生活しながら調査してこいという、とんでもないものだった。未来で平和に暮らしてるんだから、平和になったその理由もちゃんとあるはずだ、それを調べてこい――このヒトを食った設定のうまさがまさに本作の背骨となっている。 イギリス人の著者クリストファー・プリーストがこの作品を執筆したのは1977年。ちょうどイギリスは不況や失業の増大、そしてテロや冷戦、環境汚染に悩まされていた時期だった。その精神的・国家的な危機感覚がこの小説を書かせたと言ってもいいのだろう。 未来のウェセックスをめぐる描写は、現在のゲームやSF映画・小説におけるヴァーチャル・リアリティ物そのものである。PCがいてNPCがいて、世界はリアルなくせにどこか嘘くさくもあり、そのうち矛盾や綻びも起きて、次第に背後のなにかが透けて見えてくる。1977年に、もうすでにこれだけの認識があったのだ。ここはさすがにSF作家。 実験ははっきりとした成果を得ないまま、なんとなく停滞期を迎えてしまう。そしてついには、空想世界だったはずの当のウェセックスから、今度は150年前の現実世界、狂乱的で狂騒的だった“現在”に逆に投射実験を行ってしまう人物が現れる。こうして、150年前の現実(だと主人公たちが思っていた)の世界も、実は仮想現実の世界ではなかったのか、登場人物たちは(読者たちも)疑いを持つことになるのだった――。 何箇所かある、“SF的めまい”を感じさせてくれる謀反的・心撃的表現の素晴らしさ。ユーモアのまったくない著者の文章も硬派なSFとして好感は持てるのだが、下の二点 ・女主人公と、その過去の同棲相手の愛憎の記述が(小説の構成上必要なのだが)、クドくて嫌になる。 ・本作の重要テーマだったはずの『タイム・トラヴェル的愉しさ・興味深さ』が途中から完全になくなってしまい、もう一つのテーマ『人間の無意識と愛についての考察』だけに重心が移ってしまっている。 が残念に思える。 | ||||
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| 長くお蔵入りしていた小説。予想どおり難解な小説でした。評価に困るというか、作者の意図が読み取れないというか。 文章は、それほど難しいわけではありません。描写を積み上げていく感じ。背景が陰鬱なので、全体的に暗めですが。読みにくいわけでもなく、読む気になればどんどん読めます。でも、その物語が何を意味しているかと言うと、なかなか解釈しづらい。途中、ハラスメント男の登場でちょっと嫌な展開になったりして、あまり読みたい話じゃないなあ。なんて思ったりして。読み終えて、評価は3かなあと思っていたのですが、巻末の訳者あとがきと安田均氏の解説を読んで考えているうちに評価が変わりました。やっぱり凄いのかも、と。リアルに描いたファンタジーなのかな。 あとがきも解説も凄く参考になりますが、思いっきりネタバレしています。本編を読む前には読まない方が良いでしょう。(1,979年の初版出版時に購入していたため、現在の版は未確認。) 読み始めた時、舞台となる地名が気になったので地図を検索してみたのですが、本文中の記載と何か違う。イギリス人なら当然わかるのだろうけれど、そのことに気づくまでしばらく時間がかかりました。その後、本文中でも種明かしされましたが、このアイデアって何の意味があるのでしょうか?風景描写?小さな違和感? 初めは小さな違和感が、次第にどんどん大きくなっていく。それは小説ならでは醍醐味です。それも、この小説の特徴かもしれません。 クライマックスまで読んで、なんとなくギブスンの「モナリザ・オーバードライブ」につながって行くような気がします。二人の世界を永続させるガジェットと言う意味で。 自然の描写には、過去のいろいろな作品に対するオマージュがあるような気がします。地名と同じく、イギリス人であれば、ある意味常識的なものがあるのかもしれませんが、浅学菲才、読み取れないので欲求不満が残りそうです。 読み終えた後でいろいろ考える小説なのかな? | ||||
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| 夢と現実の問題をテーマにした《夢SF》の傑作。と同時に、《恋愛小説》としても傑作です。夢と現実が交錯し、混乱していく中で、ただ愛だけが《真実》だった。という、思いっきりベタな世界は、結構好きです。あんまり、ややこしくないので、マニア以外の人でも楽しめる、非常に馴染みやすい《傑作》です。 | ||||
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