ドリーム・マシン



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    初公開日(参考)1979年07月
    分類

    長編小説

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    ドリーム・マシン (創元SF文庫)

    1979年07月01日 ドリーム・マシン (創元SF文庫)

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    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    ドリーム・マシンの総合評価:8.33/10点レビュー 3件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)
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    映画『マトリックス』の原型?

    1977年に発表された本書は一世を風靡し、映画を変えたとまで云われた『マトリックス』の原型となる作品だろうか。

    リドパス投射器という死体安置所の抽斗のようなところに寝かされ、投射された人々はウェセックスという仮想世界でそれぞれの仕事に就き、生活を営むのだ。

    それはセカンド・ライフのような仮想空間であるが、催眠状態に陥って自身の意識がその空間に飛び、体感する有様はまさに『マトリックス』のようだ。
    仮想空間に飛んだ人々は回収係という人間によって強引に引き戻される。それは鏡を使って誘導されるのだが、これが『マトリックス』の電話と同じ役割のようだ。

    ただ『マトリックス』では仮想空間マトリックスにいる間も現実世界の記憶を留めたままなのに対し、本書では投射世界で現実世界での記憶を忘れてしまうところだ。ただ出逢った人間によってお互いが初めて逢う人間ではないといった既視感や懐かしさを感じたりするのだ。

    しかしこの投射世界という想定された未来世界に人を投入するウェセックス計画の内容が読者に解るのは150ページを過ぎたところ。つまり物語の約4割を過ぎたあたりからだ。それまではジューリア初め、他の参加者たちが投射される目的が全く分からないまま物語は進行する。

    そして特徴的なのは仮想の投射世界と現実世界のやり取りがシームレスで交互に語られることだ。つまり読者には物語の世界が現実世界の事なのか投射世界でのことなのか区別がなかなかできなくなってくるのだ。
    特に物語の鍵を握るポール・メイスンが介入してきた後半はその特性が高まる。なぜなら投射世界の中に投射器が出てくるからだ。そして現実世界ですら、投射世界から投射されたもう1つの投射世界ではないかという混乱をももたらす。
    そして物語の最終局面に至ってはデイヴィッドのいる投射世界の投射器の中に再び投射されたジューリアの肉体が収容されているというパラドックスが訪れる。そして果たしてどちらが現実でどちらが仮想世界なのか、ますます混乱を来してくるのだ。
    逆にこれこそが作者プリーストの狙いなのだろう。2つの世界を行き来する登場人物たちが抱く感覚を読者にも共有することが。そしてこの狙いは成功していると云えよう。

    しかしこの物語で登場するポール・メイスンとは何と云う卑劣漢だろう。主人公ジューリアの元恋人でハンサムでカリスマ性のある人物像だが、自己愛が強く、自分の願望を満たすために強引な手も厭わない。そして自分を嫌いになる人などは存在しないと思い、好意を持たない人物には徹底的に苛め、破滅させようと追い込む。
    クーンツ作品によく出てくる絶望的なまでな悪意を備えておきながらも当事者以外には好人物として振舞うエゴの権化のような悪党だ。

    この2つの区別のつかない世界を与えられた時、そして仮想空間の方が心地よい居場所だった時に、その人にとって現実とは果たしてどちらなのか。これが作者の本書におけるメッセージであると思う。
    1977年に書かれた本書は今のネット社会を予見させる内容だ。現にネット社会に耽溺し、廃人となる人々もいる。全く以て余談だが、私もオンラインゲームを嗜んでいるが、日々の雑事で週末の休日ぐらいしか訪れない。しかしそれでも常にそこにいるユーザーが居て、この人たちは一体現実世界ではどのように生活しているのだろうかと訝ることもしばしばだ。

    閑話休題。

    しかしこの2つの世界を行き来するという設定の基礎となるウェセックス計画と云うのが今いち弱いと感じる。
    数年後の想定未来に被験者は行って、どうやって現代の社会問題をクリアしたのかを調査するのがこの計画の目的というのはいささか難がある。なぜなら想定未来自体が作られた物であり、今直面している危難や社会問題のない世界、つまり理想郷だからだ。そうなるべき姿にどうやってなったのかを調べるというのはつまりは人間の意識下における創造の産物にしかならない。
    あ、そうか、これは弁護士や経済学者、生化学者などの専門分野の人々を集めて投射世界という理想郷に送り、問題解決の方策が書かれた文献の調査と云う名目でその実、彼らの意識の奥底にある解決への道を考えさせるというのが本来の目的なのかもしれない。

    しかし作者がそこまで考えていたのかは甚だ疑問だ。やはりこの設定には苦しさを感じてしまう。

    また私は本書を別な方法で物語を閉じる方が良かったように思う。特に360ページ辺りでジューリアが投射世界の投射器に入った自分を発見する件では、世界がひっくり返るような眩暈を覚えたものだ。

    結局物語は何も解決せずに終わった。なんとも厭世観濃いこの結末にまだ戸惑ってしまう自分がいるのだった。



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    No.2:
    (4pt)

    夢と現実の対比を描いたユートピア小説

    長くお蔵入りしていた小説。予想どおり難解な小説でした。評価に困るというか、作者の意図が読み取れないというか。
     文章は、それほど難しいわけではありません。描写を積み上げていく感じ。背景が陰鬱なので、全体的に暗めですが。読みにくいわけでもなく、読む気になればどんどん読めます。でも、その物語が何を意味しているかと言うと、なかなか解釈しづらい。途中、ハラスメント男の登場でちょっと嫌な展開になったりして、あまり読みたい話じゃないなあ。なんて思ったりして。読み終えて、評価は3かなあと思っていたのですが、巻末の訳者あとがきと安田均氏の解説を読んで考えているうちに評価が変わりました。やっぱり凄いのかも、と。リアルに描いたファンタジーなのかな。
     あとがきも解説も凄く参考になりますが、思いっきりネタバレしています。本編を読む前には読まない方が良いでしょう。(1,979年の初版出版時に購入していたため、現在の版は未確認。)
     読み始めた時、舞台となる地名が気になったので地図を検索してみたのですが、本文中の記載と何か違う。イギリス人なら当然わかるのだろうけれど、そのことに気づくまでしばらく時間がかかりました。その後、本文中でも種明かしされましたが、このアイデアって何の意味があるのでしょうか?風景描写?小さな違和感?
     初めは小さな違和感が、次第にどんどん大きくなっていく。それは小説ならでは醍醐味です。それも、この小説の特徴かもしれません。
     クライマックスまで読んで、なんとなくギブスンの「モナリザ・オーバードライブ」につながって行くような気がします。二人の世界を永続させるガジェットと言う意味で。
     自然の描写には、過去のいろいろな作品に対するオマージュがあるような気がします。地名と同じく、イギリス人であれば、ある意味常識的なものがあるのかもしれませんが、浅学菲才、読み取れないので欲求不満が残りそうです。
     読み終えた後でいろいろ考える小説なのかな?
    ドリーム・マシン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ドリーム・マシン (創元SF文庫)より
    4488655025
    No.1:
    (5pt)

    《夢SF》&《恋愛小説》の傑作。

    夢と現実の問題をテーマにした《夢SF》の傑作。と同時に、《恋愛小説》としても傑作です。夢と現実が交錯し、混乱していく中で、ただ愛だけが《真実》だった。という、思いっきりベタな世界は、結構好きです。あんまり、ややこしくないので、マニア以外の人でも楽しめる、非常に馴染みやすい《傑作》です。
    ドリーム・マシン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ドリーム・マシン (創元SF文庫)より
    4488655025



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