アルファ系衛星の氏族たち
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正常と異常の境はどこなのか。 「結局多数派である課少数派であるかの違いでしかないのでは」 という思いを強くさせてくれる作品である。 作品紹介には以下のような文書がある。 地球とアルファ系の星間戦争は、とうに終結していた。 だが、敵国アルファ系帝国の領地であるその衛星には、 地球人の精神疾患者達が今も取り残され、連絡を絶ったまま独自の文化を形成していた。 この地を再び奪取せんと、地球側は調査部隊を送り込む。 僕が最も興味があったのは、 「地球人の精神疾患者達だけが集まって築いた、独自の文化をもつ星」 の描写である。 | ||||
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精神分裂病患者が我々と異なる内部時間感覚を持っているという説に基づき、自閉症児マンフレッドを見事に描いた「火星のタイムスリップ」と同時期に執筆された作品だけに、ディックはこの当時、精神病に実用的有用性があるのか、とのテーマに関心を持っていたようだ。 もちろん、そういった面白みもあるのだが、この作品の一番の魅力は、脇役のキャラクターのすばらしさにある。 他人の心を読んで的確な指示を出してくれるガニメデ星の粘菌クラム。5分間だけ限定された周囲の時間を戻すことができる少女ジョウン。 この両名は、なぜかダメダメな主人公を見捨てず、彼を助けるために危険を顧みない。 最初はクラムを嫌っていた主人公も、最後はクラムの命を必死で助けようとする場面は感動的だ。 また、デビュー作「偶然世界」でも取り扱われたシュミラクラを遠隔操作して殺人を行うという設定も、相変わらずおもしろい。 「火星の〜」「パーマーエルドリッチ〜」などの大作の影に隠れ目立たない作品ではあるが、ディックファンなら見逃せない一作だ。 | ||||
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1964年発表。この年のディックは実に精力的で、他にも「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」、「火星のタイム・スリップ」、「最後から二番目の真実」「シュミラクラ」全部で5作品も発表した。 アルファ系衛星では7つの氏族が集まり評議会が開かれていた。それぞれ性格も生活慣習も違うその氏族たち。その中のひとりが重大な報告を持ってきた。「武装した見慣れない宇宙船がこの星にやって来た!」と。実はこの衛星はかつて地球の植民化計画が進められその過剰な重圧で精神を病んだ人々の病院星となり、やがて精神病患者を残したまま地球政府が見捨ててしまった星だったのだ。4半世紀の間放置されたアルファ系衛星に置き去りにされた人々が独自に文明社会を形成しているらしい。今まで未調査だったその氏族たちを調査する為に、合衆国惑星間保健・福祉局は派遣隊を送ったのであった。そのメンバーのひとりにチャック・リッタースドーフの妻メアリーも選ばれていた。チャックはメアリーとの離婚目前の身ですっかり傷心しきっていた。彼の仕事はCIAのシミュラクラ・プログラマーであったが、あるきっかけで人気TV番組バニー・ヘントマン・ショーの台本作家に抜擢される。やがてチャックは、関係が破綻しつつある妻メアリーと共に地球側政府とアルファ系衛星との戦争勃発にまで巻き込まれていく。 冒頭で登場する異星人たちが実は地球が見捨てた精神病院の元患者たちであるというのに意表を突かれる。つまりその星一個分が精神病院星という設定で、彼らは自らで独自の文明を作っていたという作者ディックのアイデア。7つの種族のそれぞれ違ったあまりにもエキセントリックな個性というのも、実は精神病の様々な症例を基にしているみたいだ。 主人公が登場するといきなり飛び降り自殺しようとする場面という先行き心配な展開。そんな彼を止めたのは、スライム型の宇宙人。アパートの隣人がガニメデから来た粘菌型宇宙人というのがこの物語の世界観。なかなかぶっ飛んだその世界観で意表を突いた物語の始まり方をするのだが、その後は進展しているのか進展していないのか判らないようなユルイ展開が続く。でもどことなくユーモア感があって面白いのだが。あれっ、一章分抜けてない? と思ってしまう程にクライマックス部分の主人公とその妻の行動が唐突に感じてしまう。そもそも二人の離婚話に無理やり星間戦争の話をくっ付けているような感じだ。 | ||||
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