双生児



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初公開日(参考)2007年03月
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長編小説

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双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

2007年03月31日 双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、第二次世界大戦中に活躍した空軍大尉J・L・ソウヤーの回顧録のコピーが持ちこまれる。グラットンは、次作の題材として、第二次大戦中の英国首相ウィンストン・チャーチルの回顧録のなかで記されている疑義―英空軍爆撃機操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者であるソウヤーなる人物(いったい、そんなことが可能なのか?)―に興味をもっており、雑誌に情報提供を求める広告を出していた。ソウヤーの回顧録を提供した女性アンジェラ・チッパートン(旧姓ソウヤー)は、自分の父親は第二次大戦中、爆撃機操縦士を務めていたと言う。果たして、彼女の父親はほんとうにグラットンの探しているソウヤーなのだろうか?作家の棲む現実から幕を開けた物語は、ジャックとジョーという同じイニシャル(J)をもった二人の男を語り手に、分岐したそれぞれの歴史の迷宮をひたすら彷徨していく…。稀代の物語の魔術師プリーストが、SF、ミステリにおける技巧を縦横無尽に駆使して書き上げた“もっとも完成された小説”。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)




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双生児の総合評価:8.38/10点レビュー 13件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

解説本必須の難解作品

SF作家のプリーストが今回取り上げたテーマは第2次大戦時代を扱った改変歴史物語。J・L・ソウヤーと云う名の双子の奇妙な人生譚だ。

第2次大戦時の英国首相として有名なチャーチルの手記が言及する良心的兵役拒否者でありながら現役の英空軍爆撃機操縦士という相矛盾する価値観を内包するソウヤーと云う人物の正体は同じイニシャルを持つジャックとジョウゼフのJ・L・ソウヤーと云う全く同じイニシャルを持つ双子のそれぞれの来歴が混同されたことだったと判明する。
戦争の混乱期にありがちな間違いであるのだが、プリーストの語りならぬ騙りはそんな定型に陥らない。

まずJLとジョーという同じJ・L・ソウヤーという名前の双子が片や英国軍の軍人の道を、一方は兵役拒否者として赤十字で働く道を選んだそれぞれの人生が手記や記事の抜粋などの様々な形式で語られる。

メインとなるのが戦争ドキュメント作家スチュワート・グラットンが興味を示したチャーチル直属の副官となったほとんど無名のソウヤーなる人物で、それが読者の1人が自身のサイン会に持参した手記によってJ・L・ソウヤー大佐であることが高い確率で確認される。

しかしそこに書かれている内容と関係者の証言や手記とは異なる事実が判明してくる。

これらの記述は様々な人物による手記や著作、記事の抜粋によって構成されている。これが全て“信頼できる語り手”であるか否かは不明であり、それらによって物語が進んでいることに留意されたい。
従って前に書かれた内容が新たな事実によって否定され、物語のアイデンティティが揺らいでいく。

これは夢か現か妄想か?この足元が揺らぐ感覚はまさにプリースト作品ならではのものだ。

さて誰が嘘をつき、誰が真実を語っているのだろう?
いやもはや事実の受け取り方はその者に与えられた情報や体験によって構成されるが故に、純然たる真実はあり得ないのか。

一見ストレートな物語と見せかけて読み返すと様々な語り―騙り?―が散りばめられていることに気付かされるという実に複雑な構成を持っていることに解ってくる。
とにかく読書中は付箋だらけになってしまった。しかしそれこそが本書を読み解くのに必要な作法であることは物語の最後に気付かされる。
上に書いたように2人のソウヤーの手記の内容は異なり、さらには挿入される様々な記事や手記においてもまた辻褄が合わないことが多々書かれているため、前に書かれた文章を行きつ戻りつしながら補完していくことが必要なのだ。
しかしそれがまた物語の、いや本書で語られる歴史の真実を揺るがせることになるのだから侮れない。全くプリーストは相変わらず一筋縄ではいかない作家だと思いを新たにした。

この複雑な物語を解き明かす一つの解釈として巻末の大森望氏の解説に書かれた緻密な説明は必読。ホント、この作品には解説本が必要だ。


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No.12:
(5pt)

技巧派ファンタジー

1999年の英国。
第二次世界大戦期を扱うノンフィクション作家として知られるスチュワート・グラットンが、ダービシャー州バクストンの書店で新作のサイン会を行っているところへ一人の女性が現れた。
アンジェラと名乗ったその女性は、サインが主目的ではなく、スチュワートが出している広告が興味を惹いたらしい。
彼は、チャーチルの回顧録の中に見つけ出した人物、ソウヤー空軍大尉についての情報を求めて雑誌などに広告を出していたのだ。
回顧録の記述によれば、ソウヤーは良心的兵役拒否者であると同時に、空軍大尉でもあったのだが、そんなことがあり得るのだろうか。
アンジェラの旧姓はソウヤーであり、亡父の遺した戦時の体験記がスチュワートにもたらされるのだが・・・

アンジェラの父、J.L.ソウヤー氏の体験記は、仕官前の青年時代から始まっており、そこで双子であることと片割れのイニシャルもJ.L.であることが明かされ、早急に核心に迫るのかと思うと、かなり裏切られることになる。
体験記は、1941年5月10日のハンブルク爆撃の帰途で撃墜されたソウヤーが、外傷とともに記憶障害を患ったため、時間を追って書かれてはおらず、また、二人のソウヤーの視点が出てくるため、相当に混乱させられるが、その混乱が本書の醍醐味。
ソウヤー兄弟は、性格は異なるものの、二人とも同じ大学のボート部に所属しており、1936年のベルリンオリンピックに揃って出場して三位に入賞し、ルドルフ・ヘスその人から銅メダルを授与される。
ドイツの副総統であるヘスは、和平交渉のため1941年5月10日、強行的な夜間飛行でイギリスへ渡ったが、今でも替え玉説などか云々されていて、この歴史上の人物を巻末に至るまで巧みに活用している。
そもそも、スチュワートがソウヤー空軍大尉に興味をもったきっかけは、自分自身の生年月日である1941年5月10日が奇しくも英独戦争の終結した日であることからなのだが、フィクション部分も含めて全てが「1941年5月10日に何があったのか?」という謎に収束されていく展開の技巧性は見事の一言。
また、謎を追っているはずのスチュワート自身が謎の核心であることに気付いた時は、慄然とさせられた。
プリーストの他の作品、特に「奇術師」との類似性は多いが、様々な仕掛けの多さでは本作に軍配。
SF関連の賞も受賞しているが、読み解く愉しさが感じられる作品でもあり、本邦ではミステリとしての評価が高いのも頷ける。
双生児 (プラチナ・ファンタジイ)Amazon書評・レビュー:双生児 (プラチナ・ファンタジイ)より
415208815X
No.11:
(5pt)

ありがとうございました。

素早い対応でした。満足してます。ありがとうございます。よろしくお願いします。
双生児 (プラチナ・ファンタジイ)Amazon書評・レビュー:双生児 (プラチナ・ファンタジイ)より
415208815X
No.10:
(4pt)

すばらしい作品、しかし....

この作品のすばらしさについては先のれびゅあーの皆さんに語り尽くされています。ただ、日本人としての立場からすると、一つ留保があります。この作品を楽しむには第2次世界大戦初期の欧州情勢、とりわけ英独における講和の試みについての詳しい知識が必要で、さもないと真実と虚構の境目をさまようのも、なにが真実で何が虚構かわからなくなってしまいます。
双生児 (プラチナ・ファンタジイ)Amazon書評・レビュー:双生児 (プラチナ・ファンタジイ)より
415208815X
No.9:
(3pt)

おもしろい。 けど、 くどい。

アンドルー(弟)「兄ちゃん、また双子の本だよ」
アンドルー(兄)「え?俺ら以外の双子の本、書いたのか?」
アンドルー(弟)「そう、一回読んでも、タネわかりにくいし、ロンドン空襲とかイギリス歴史の基礎知識知ってないとピンとこないとこあるしね」
アンドルー(兄)「俺らみたいな江戸っ子にとってはわかりにくいよな。で、あいかわらずくどい文章なのかい?」
アンドルー(弟)「うん、途中だれるんだよねぇ。何かもっとすごいどんでん返しかと思ったら、最後はこんなオチかい!と突っ込みいれたくなるし・・」
アンドルー(兄)「それいったら、奇術師も魔法もそうじゃないかい。そこがプリースト先生の持ち味ってもんだろ。ところでおまえはマナとカナどっちがいい?」
アンドルー(弟)「えっ・・・・」

バターをたっぷりつかった野菜料理・・・
ご馳走さまでした。

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)Amazon書評・レビュー:双生児 (プラチナ・ファンタジイ)より
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No.8:
(4pt)

ぐんにゃりと

魔法で味わった作品の世界がグニャリと歪む感覚は健在であった。
奇術師で?となったのだが本書ではその歪んだ白昼夢的な世界を見事に再現している。
第二次世界大戦史のこうなるべきであったかもしれないというIFまでもがその歪んだ世界を形成する核として使われている。勿論歴史を知らぬ者でも十分楽しめる。
第二次世界大戦下の登場人物の歴史を読み進むにつれ、いつの間にか違和感とともに作品の内に引きずり込まれていく奇妙な感覚がある。それも何度も前のページと読み直しながら。
魔法に次ぐ傑作ではないだろうか。
双生児 (プラチナ・ファンタジイ)Amazon書評・レビュー:双生児 (プラチナ・ファンタジイ)より
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