双生児
- 第二次世界大戦 (28)
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SF作家のプリーストが今回取り上げたテーマは第2次大戦時代を扱った改変歴史物語。J・L・ソウヤーと云う名の双子の奇妙な人生譚だ。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1999年の英国。 第二次世界大戦期を扱うノンフィクション作家として知られるスチュワート・グラットンが、ダービシャー州バクストンの書店で新作のサイン会を行っているところへ一人の女性が現れた。 アンジェラと名乗ったその女性は、サインが主目的ではなく、スチュワートが出している広告が興味を惹いたらしい。 彼は、チャーチルの回顧録の中に見つけ出した人物、ソウヤー空軍大尉についての情報を求めて雑誌などに広告を出していたのだ。 回顧録の記述によれば、ソウヤーは良心的兵役拒否者であると同時に、空軍大尉でもあったのだが、そんなことがあり得るのだろうか。 アンジェラの旧姓はソウヤーであり、亡父の遺した戦時の体験記がスチュワートにもたらされるのだが・・・ アンジェラの父、J.L.ソウヤー氏の体験記は、仕官前の青年時代から始まっており、そこで双子であることと片割れのイニシャルもJ.L.であることが明かされ、早急に核心に迫るのかと思うと、かなり裏切られることになる。 体験記は、1941年5月10日のハンブルク爆撃の帰途で撃墜されたソウヤーが、外傷とともに記憶障害を患ったため、時間を追って書かれてはおらず、また、二人のソウヤーの視点が出てくるため、相当に混乱させられるが、その混乱が本書の醍醐味。 ソウヤー兄弟は、性格は異なるものの、二人とも同じ大学のボート部に所属しており、1936年のベルリンオリンピックに揃って出場して三位に入賞し、ルドルフ・ヘスその人から銅メダルを授与される。 ドイツの副総統であるヘスは、和平交渉のため1941年5月10日、強行的な夜間飛行でイギリスへ渡ったが、今でも替え玉説などか云々されていて、この歴史上の人物を巻末に至るまで巧みに活用している。 そもそも、スチュワートがソウヤー空軍大尉に興味をもったきっかけは、自分自身の生年月日である1941年5月10日が奇しくも英独戦争の終結した日であることからなのだが、フィクション部分も含めて全てが「1941年5月10日に何があったのか?」という謎に収束されていく展開の技巧性は見事の一言。 また、謎を追っているはずのスチュワート自身が謎の核心であることに気付いた時は、慄然とさせられた。 プリーストの他の作品、特に「奇術師」との類似性は多いが、様々な仕掛けの多さでは本作に軍配。 SF関連の賞も受賞しているが、読み解く愉しさが感じられる作品でもあり、本邦ではミステリとしての評価が高いのも頷ける。 | ||||
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素早い対応でした。満足してます。ありがとうございます。よろしくお願いします。 | ||||
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この作品のすばらしさについては先のれびゅあーの皆さんに語り尽くされています。ただ、日本人としての立場からすると、一つ留保があります。この作品を楽しむには第2次世界大戦初期の欧州情勢、とりわけ英独における講和の試みについての詳しい知識が必要で、さもないと真実と虚構の境目をさまようのも、なにが真実で何が虚構かわからなくなってしまいます。 | ||||
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アンドルー(弟)「兄ちゃん、また双子の本だよ」 アンドルー(兄)「え?俺ら以外の双子の本、書いたのか?」 アンドルー(弟)「そう、一回読んでも、タネわかりにくいし、ロンドン空襲とかイギリス歴史の基礎知識知ってないとピンとこないとこあるしね」 アンドルー(兄)「俺らみたいな江戸っ子にとってはわかりにくいよな。で、あいかわらずくどい文章なのかい?」 アンドルー(弟)「うん、途中だれるんだよねぇ。何かもっとすごいどんでん返しかと思ったら、最後はこんなオチかい!と突っ込みいれたくなるし・・」 アンドルー(兄)「それいったら、奇術師も魔法もそうじゃないかい。そこがプリースト先生の持ち味ってもんだろ。ところでおまえはマナとカナどっちがいい?」 アンドルー(弟)「えっ・・・・」 バターをたっぷりつかった野菜料理・・・ ご馳走さまでした。 | ||||
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魔法で味わった作品の世界がグニャリと歪む感覚は健在であった。 奇術師で?となったのだが本書ではその歪んだ白昼夢的な世界を見事に再現している。 第二次世界大戦史のこうなるべきであったかもしれないというIFまでもがその歪んだ世界を形成する核として使われている。勿論歴史を知らぬ者でも十分楽しめる。 第二次世界大戦下の登場人物の歴史を読み進むにつれ、いつの間にか違和感とともに作品の内に引きずり込まれていく奇妙な感覚がある。それも何度も前のページと読み直しながら。 魔法に次ぐ傑作ではないだろうか。 | ||||
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