逆転世界



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    初公開日(参考)1983年05月
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    長編小説

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    逆転世界 (創元SF文庫)

    1996年04月30日 逆転世界 (創元SF文庫)

    「地球市」と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、七層から成る要塞のごとき都市だった。しかも年に36.5マイルずつレール上を進む可動式都市である。そんな閉鎖空間に生まれ育った主人公ヘルワードは、成人を迎えた日に初めて都市の外へ出ることを許された。だがそこで彼が見たのは…月も太陽もいびつに歪んだ異常な光景だった。英国SF協会賞に輝く、鬼才の最高傑作。 (「BOOK」データベースより)




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    逆転世界の総合評価:7.63/10点レビュー 24件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    我々自身の世界の原理原則さえも疑問に思ってしまう作品

    <地球市>と呼ばれる都市は軌道上に乗る動く7層からなる都市でその行先の測量をし、軌道を敷設し、断崖があれば橋を架ける。それがギルド員の仕事だった。
    1年に約36.5マイル動く都市に住む人々の年齢もまた時間ではなく、距離で表現される。人は650マイル、即ち約18歳になると成人とみなされ、それら複数のギルドの中から自分が就くべき職業を選択する。そして成人になるまで都市の人々は外の世界へでることはないのだ。

    クリストファー・プリーストが1974年に発表したSF小説である本書はそんな奇想が横溢する世界が舞台だ。

    最適線と呼ばれる位置を目指して軌道の上を北進する都市。しかしそこは目的地ではなく、通るべき道筋に過ぎない。北への進路はすなわち進むべき未来。従ってその進路を測量する職人たちは未来測量ギルド員と呼ばれる。そして進行方向へ敷設する軌道は通過済みの軌道を回収して整備する。通過した軌道は過去と呼ばれる。そう、この移動する都市では過去が具現化して見えるのだ。

    しかし物語が進むにつれて、北を未来、南を過去と呼ぶのが単なる通称ではないことが解ってくる。主人公ヘルワードの父は未来測量ギルド員だが、数日後に再会した時にはひどく老いており、また南へ下る旅の連れは次第に背が縮んでいく。

    さらには山々や川が谷までもが縮んでいく。やがて地面と平行になって落ちていく感覚になり、南へ引っ張られる、南への張力が強まっていく。それは世界の遠心力によるもの。この遠心力に捉われないために都市は北へ動くのだ。やがてヘルワードは次第にこの世界がどんな仕組みであるのか解ってくる。
    それは双曲線をy軸を中心に回転した縦と横に無限に伸びる世界であるとイメージを掴む。最適線とは原点にもっとも近づいた場所のことであり、そこでの1日の時間は24時間となり、もっともバランスの取れた地点なのだ。そして無限の宇宙にある有限の惑星がある地球の世界ではなく、ここでは有限の宇宙に無限の広がりの世界を持つ惑星が複数ある逆転の世界に住んでいるのが彼らなのだ。
    むぅ、なんという奇想だ

    しかしそんな動く都市と歪む世界の摂理は第4部で驚くべき転換を見せる。

    しかしこの真相の衝撃はものすごいものだ。
    歪みゆく世界から逃れるために動く都市。彼らの行動原理には原因と結果が備わっており、この世を理解するに十分な論理が存在している。そんな安定した世界観を覆す奇想。
    まさにコペルニクス的発想転換。当時のガリレオの地動説が発表された衝撃と黙殺しようとした学会の気持ちが実によく解る。

    つまり本書の本当の戦慄すべきところは我々の住む世界の現代科学によって理論づけられ、補完されている原理原則が、実は科学者の独断と偏見による解釈によって成されているかもしれないという恐れだ。
    地球には重力がある。地球は自転し、太陽の周りを公転している。紛れもなくこの世界に住む人々はこのような原理原則を信じているわけだが、果たしてそれを実際に目の当たりにした者はおらず、科学者や数学者による数式によって理論づけられているに過ぎない。
    本書はそうしたことが盲信かもしれないという警句を投げかけているのだ。

    しかし色んな要素を含んだ物語だ。都市に住まう人々の中にはなぜ都市は動かなければならないのかと疑問を抱く者も少なくない。しかしギルド員は南に下ることで知ったこの世の原理に基づき、それを他言することを禁じられているがために都市を動かすことを最優先事項として一心不乱に働くだけだ。

    これは現代の我々の社会でも同じではないか?
    会社の繁栄という大目的の中、大きな組織であればあるほど業務は細分化し、組織の末端になればなるほど自分の仕事が会社の利益にどのように寄与しているのか解らないにも関わらず、日々の仕事をこなさざるを得なくなる。なぜならそれが彼らにとって与えられた仕事、任務だからだ。
    そんな社会の縮図がこの都市を動かすことに執心するギルドの仕組みに集約されているように感じた。

    さらには都市の創立者のフランシス・デステインの指導書の存在だ。これはまさに聖書のようなものであり、都市の住民にとっては生きるための成すべきことが書かれた指南書だ。
    これはまさに宗教であり、住民は信者という構図だ。

    この読後感はまさに『猿の惑星』だ。もしこの作品を観ていなかったら本書の結末の衝撃はまさにカタストロフィが訪れたかのような衝撃に見舞われただろう。
    しかしそんな先行作と比較することなく、本書の中に横溢する動く都市の業務に従事する一人の男の人生を中心にした奇想の物語にどっぷり浸って、驚いてほしい。


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    Tetchy
    WHOKS60S
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    No.23:
    (5pt)

    ファンタジー? SF? 寓話? 解釈に悩む奇想小説

    クライマックスの説明と描写の中途半端さから、読者を選ぶ小説であることは間違いないと思いますが、そこに描かれた世界の特異さによって、ある意味SFの一つの極点に立った作品だと思います。
     一言で言ってしまうと、緻密に、重層的に語られる変な小説。でも、リアルなので読み易い。
     これに匹敵するような変な小説は、バラードの「燃える世界」とディレーニーの「ダールグレン」ぐらいしか思い出せません。
     ストーリーの大半は、移動する都市という閉鎖社会で育てられた青年がギルドの見習い員となって社会に出て、自分を取り巻いている世界の謎や不条理と対峙しながら成長していく話です。読者は主人公の目線で、細かく描写される社会人や家庭人としての日常生活を理解していきます。この移動する都市の描写が第一のポイントです。
     見習い期間の最後に上司の命令で旅に出た主人公は、その世界のとんでもない実態を知ることになります。この世界の驚異の描写が第二のポイント。
     旅から戻った主人公は、故郷の都市が危機に瀕していることを発見します。主人公達はこの先どうなるのか?なぜ、この世界はこうなっているのか?頁をめくる手が止まらなくなっていきます。
     世界についての大きな物語が語られる一方、主人公と新婚の妻の関係も描かれています。前半では立場の異なる主人公とその妻が、お互いの立場を理解しながら関係を構築していきますが、主人公が世界の驚異を実感する旅から戻った時、妻との関係も新しい段階に入ります。不条理な世界に振り回される主人公達。
     この後、一人前になった主人公は、自分が育った閉鎖社会を維持する立場で行動するようになりますが、社会を変革しようとする圧力が内外で高まって行きます。
     物語の終盤、世界の秘密が明かされますが、確かに多くの方が批判するように中途半端な説明です。解説に書かれているように、作者が描きたかったのは二つの共存する現実であって、二つの世界を成り立たせるための理由は、一応の便宜的なものに過ぎないのでしょう。
     では、作者が書きたいという共存する二つの現実とは?主人公達の閉鎖社会と外部の世界?主人公が認識する現実とそれ以外の現実?それに加えて、主人公の世界と主人公の妻の世界。というのもあるように思うのです。
     作品に登場する二人の女性、ヴィクトリアとエリザベス。この二人の名が、共に、英国女王の名であることが意味を持っているような気がするのですが。
     なお、本書については、読後、さまざまな評価や感想を読んだことが大変参考になりました。何の手引きもなく、自力で十分な理解をすることは困難な作品ではないでしょうか?
    逆転世界 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:逆転世界 (創元SF文庫)より
    4488655033
    No.22:
    (4pt)

    比類なきアイデアではあるが

    作者の最高傑作かというと疑問です。
    私はプリーストの作品はこれから入りました(タイトルとアートワークだけで)。
    なんだこのアイデア!と熱読しましたが最後のネタばらしでハァ?となったクチです。
    その時点での評価なら2点3点でしょう。
    しかしその後、魔法、奇術師、双生児と読み進め、またこれに帰ってくるとしっくり来るし評価も上がる、そんな作品です。
    SFにしっかりした科学考証を求める方、プリースト未読の方が最初の一冊にこれを選ぶことはオススメできないかな。
    逆転世界 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:逆転世界 (創元SF文庫)より
    4488655033
    No.21:
    (3pt)

    ほとばしるイマジネーションと冴えない論理

    「地球市」はどことも知れぬ荒廃した世界を北に向かって進む。人々はその中で生き死んでいく。
    軌道の上を進む「市」は世代宇宙船ならぬ世代機関車というべきか。
    年に36・5マイル(50キロくらい)というスローペースなので、機関車と呼べるほどの疾走感は無いが。

    半分あたりまで主人公の地味で陰鬱な生活描写が続く。異様な社会への興味で読まされるが、いささか退屈だ。中盤で物語は色合いを一気に変える。
    なぜ北に進み続けるのか。止まるとどうなるのか。根源的な疑問の一部が明かされる。
    主人公が任務で出かけた南(過去)には信じられない歪な世界が待ち受けていた。道中の描写には、目を見張るものがある。
    どういう理由でこんな世界が?と期待が高まる。
    ところが、最終章で明かされる真相が思い切り拍子抜けなのだ。何の説明にもなっていない。イメージの衝撃は凄いが、論理がお粗末すぎる。
    逆転世界 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:逆転世界 (創元SF文庫)より
    4488655033
    No.20:
    (1pt)

    SFではなく、単なる冒険譚

    本書の文章自体は訳もこなれており、なんとか読み通せたが、内容は酷すぎ。
    この本をSFとして読むとなると、期待はずれなること請け合いです。

    主人公の住む世界の異様さや、都市構造の奇想天外さは面白い。
    しかし、その背後にあるべき物理法則も全く説明されておらず、SF小説としては失格。

    時間や空間の異常さも、思わせぶりに記述しているが、最後まで説明もない。
    「異世界の構造」も不明のまま。
    南へ北へ旅立つ主人公。その都度新しい知見を持つが、それらを総合する
    物理的な説明がないのは致命的。「アインシュタイン」だの適当に高名な
    物理学者の名前を出しながら、これで一つの「異世界」を構築したつもりで
    いるならお笑いぐさ。
    しかも、「世界が二分された法則に従っている」らしいが、その原因も
    最後まで説明していない。
    物理法則と人間、物理法則と意識。この3つが融合してるらしいが…

    最後のページで、「うっっそー」と投げ出しました。
    おそらくは著者がもうこれ以上書けなくなったのでは?
    短編ならこれでよかったのに、水増しして長編にしたのでしょう。

    この小説が「英国SF協会賞」を受賞するとは、仰天です。
    図書館で借りて読んで下さい。購入は全くお薦めしません。
    逆転世界 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:逆転世界 (創元SF文庫)より
    4488655033
    No.19:
    (1pt)

    私をSFから遠ざけた一冊 

    もう二十年以上前に、すごい傑作だという某氏の紹介文につられて読んで呆れ返ったバカバカしい小説である。まあ、こういうのを面白いと思わない人は、SFには向いてないってことですね。
    逆転世界 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:逆転世界 (創元SF文庫)より
    4488655033



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