スペース・マシン



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    初公開日(参考)1978年04月
    分類

    長編小説

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    スペース・マシン (創元SF文庫)

    1978年04月01日 スペース・マシン (創元SF文庫)

    孤独なセールスマンの青年エドワードは、自社の新製品売り込みのため、大科学者の秘書アメリアの面識を得ようとする。奇妙な成り行きから彼女に好意を抱いたエドワードは、アメリアの計らいで大科学者の邸に招かれる。しかし時空を超える機能を備えた彼の発明品のせいで、二人は遠未来や火星を旅する羽目になり…。鬼才プリーストがウェルズに捧げる、郷愁と冒険の空想科学綺譚。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    スペース・マシンの総合評価:8.75/10点レビュー 4件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    その後のプリースト作品の原点?

    クリストファー・プリーストと云えば『逆転世界』、『魔法』や『奇術師』など我々の価値観を超える世界観を提供し、物語世界を理解するのが困難な物が多いが本書はなんとH・G・ウェルズの代表的な2作、『タイム・マシン』と『宇宙戦争』を本歌取りし、1作のSF作品として纏めた労作なのだ。非常に知られた題材であるせいか、非常に読みやすいのにびっくりした。
    まず一介のセールスマンで主人公であるエドワード・ターンブルと科学者の秘書アメリア・フィッツギボンとの淡いロマンスから物語は始まる。

    まず高名な科学者サー・ウィリアム・レナルズの発明した時空を旅する機械タイム・マシンに乗って旅をするうちに近い未来にアメリアが死ぬ場面を見たエドワードが無理に未来に行こうとしたために操縦桿を引き抜いてしまい、そのために火星まで行ってしまい、そこで火星を支配する16本足のタコのような異形な生物と出くわし、その生物と共に地球に帰還するが、それが火星怪物の地球襲来になるという物だ。

    しかしただの本歌取りに収まらず、そこここにプリーストならではの味付けが成されている。16本足の生物は人間に似た火星人が滅びゆく運命にある火星人の運命を打破するために人工的に生み出した怪物であり、それがやがて火星人そのものを支配するようになったのだ。

    そして火星に辿り着いた主人公の2人は火星人の伝説で彼らの苦境を救う救世主として祭り上げられるのだ。

    また火星の描写はプリーストならではの奇想に満ち溢れている。
    赤い植物壁に金属のまばゆいばかりの塔などはまだしも、人間に似ながらもどこか違う火星人の風貌、半球状の透明なドームに囲まれた都市―スティーヴン・キングの作品『アンダー・ドーム』はこれに由来するのか?―に三本足で“歩く”走行物に直径7mもある雪を降らせる大砲は実は地球に向けて宇宙船を発射する巨大な発射砲であることが後に解ってくる。

    さらにこの2人に途中で関わってくるウェルズ氏。哲学者と云う設定だが、彼こそ後に『タイム・マシン』と『宇宙戦争』を著すH・G・ウェルズ氏である。
    そう、本書はこの2つの名作が氏の体験によって創作された物としているのだ。

    だが、プリーストならではの味付けは成されているとはいえ、基本的に物語は『宇宙戦争』のストーリーに添って終える。

    昨今、『バッドマン』や『猿の惑星』といった今なお語り継がれているヒット作の前日譚がたくさん創作され、好評を博しているが、本書はまさにその走りと云えるのではないか。

    ところで本書は邦訳されている他のプリースト作品に比べても格段に読みやすく、またモデルとなった小説があることから非常に解りやすいのが特徴だが、その後のプリースト作品の萌芽となるアイデアが垣間見られる。

    それはスペース・マシンという時空を旅することが可能なマシンが持つ特徴だ。時間を旅することは勿論だが、空間、すなわち異なる次元に移動することで存在を希薄化し、周囲から見えなくすることが出来るのだ。これは数年後に発表される『魔法』で見せたグラマーという能力の原点ではないか。
    さらに「瞬間移動」を得意とする2人の奇術師の戦いを描いた『奇術師』もまたここから発展した着想であるように思える。
    即ちこのスペース・マシンこそがプリーストがその後の作品のテーマとしている存在や実存という確かであるがゆえに不確かな物を作品ごとに色んな趣向を凝らして突き詰めていく源だったのではないだろうか?

    そういう意味では私を含めたSF初心者の諸氏には名作と名高い『魔法』や『奇術師』にあたるよりもまず本書こそがプリースト入門に相応しいと思える。せっかく復刊されたこの機会を利用しない手は、ない。


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    No.3:
    (5pt)

    H・G・ウェルズ作品のオマージュ作『プリースト版宇宙戦争+タイムマシン』

    『宇宙戦争』と『タイムマシン』を足した風なオマージュ作品で、19世紀ロンドン。セールスマンの青年エドワードと科学者の秘書アメリアが科学者の発明品のタイムマシンで二つの惑星と世紀をまたいで行くロマンス冒険活劇。終盤でウェルズも登場し、3人でタイムマシンを改造してタイトルの「スぺース・マシン」で火星人の監視塔(トライポッド)に立ち向かう(結末はやはりバクテリアで)。
    青春アドベンチャーでやったラジオドラマ版も面白かったでした。
    スペース・マシン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:スペース・マシン (創元SF文庫)より
    4488655017
    No.2:
    (4pt)

    凝りに凝った予想外の娯楽小説

    本書は、1978年4月に出版された時に購入して以来、39年眠っていたものですが、やっと読めました。
     とにかく、分厚くて、小さい文字がびっしり詰まってる。おそらく、購入当時もその理由で後回しになって、そのままお蔵入りになったと思うけれど、読み始めてみると意外に読み易い。
     プリーストを読むのは初めてですが、思っていたのとはかなり違う感じ。
     19世紀末のロンドン近郊、主人公のセールスマン、エドワード・ターンブル氏が、タイムマシンを発明した科学者の秘書アメリア・フィッツギボン嬢と知りあうことから始まった物語は、H・G・ウェルズの二大傑作小説を取り込んで、巧みに社会風刺を織り込みながら、二つの惑星、二つの世紀にまたがる大ロマンスを繰り広げます。
     中盤のあまりにもご都合主義な描写に、これはいったいどういうことなのかと思っているうちに、物語は大きく急転して、主人公達は終盤の怒涛の展開に巻き込まれていきます。
     読み終えて思うのは、中盤の描写は、充分考え抜かれた上で選択されたものだったのだろうということです。あれをまともに描こうとしたら連作長編になってしまう。無理やりにでも1冊にまとめるためにはそうせざるを得ない。そう考えての苦渋の選択なのかも。
     有名な小説の裏話を書こう。しかも、まさに、当時書かれたようなスタイルで。そう考えた作者が採用したのは凝りに凝った設定でした。なぜ、あの物語のあの設定はあのようになっていたのか?当時としても突飛な設定に、それなりの背景を考えて、新しく書かれる物語に組みこんでいく。
     ウェルズに捧げられた本書は、当時のウェルズならおそらくこのように描いたであろう、また、当時の読者ならば、おそらくこのように理解したであろうということを完璧なまでにスペキュレイトして書かれた小説だったのです。
     現代人の作家が、持っている知識を捨てて、当時の水準に合わせて書く、これって結構大変なことではないでしょうか?半分はその趣味というか、執念で書かれたような小説ですが、その努力は娯楽小説としても十分な成果を上げているように思います。
     おまけを一つ。1980年に同じく創元から出版されたウェルマンの「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」は、出版直後に読んでいたのですが、これがアメリカで出版されたのは「スペース・マシン」が英国で出版された前年、1975年のことです。当時のプリーストが、アメリカで出版されたパロディに対して、本家英国人のプライドをかけて取り組んだのが本書だと考えるのは、あまりにも夢想がすぎるでしょうか?
     追記 今回読んだのは初版ですが、巻末の訳者あとがき、参考になる記述もありますが、ネタバレが多かったり、ウェルズの功績について誤解があるようで反感を持ちました。昔から創元ではなじみの訳者さんではあるのですが。
    スペース・マシン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:スペース・マシン (創元SF文庫)より
    4488655017
    No.1:
    (5pt)

    完成度とエンターテイメントのバランスが最高

    プリーストは非常に高いポテンシャルを持つ作家だと以前から思ってはいたが近年の奇術師以降の諸作品ではSF作家という枠を越えて出世してしまった。
    そのプリーストのSF作家としての最高傑作は本作ではないかと思う。ウェルズ作品へのオマージュであると同時に、プリースト世界としか言いようのない上質のブリティッシュSFのタッチを持つ作品世界の広がりと実在感に満たされてアッという間に読み終わってしまう読書時間の心地良さが素晴らしい。
    エンターテイメント性が高いが、プリーストの持つ高い完成度も両立されていて、それでいて構えて読みにくいようなことはない。
    スペース・マシン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:スペース・マシン (創元SF文庫)より
    4488655017



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