凍月
- SF (392)
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 | 1998年08月01日 凍月 (ハヤカワ文庫SF) 200万の人口を擁するに至った22世紀の月コロニー。天然の洞穴を利用した科学施設“氷穴”では、これまで不可能だった絶対零度達成の実験が進行していた。そこへ地球から、冷凍保存された人間の頭部410個がもちこまれた。これらの“頭”の再生に成功すれば、有機的な一大データベースとして活用できる!だがこの二つの試みが合わさったとき、月に大異変が…ネビュラ賞受賞作、『火星転移』の姉妹篇となる傑作SF。(「BOOK」データベースより) |
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凍月の総合評価:
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| 『ハヤカワ文庫SF総解説』によると、本書は『女王天使』、『火星転移』、『斜線都市』と併せて《ナノテク・量子論理》シリーズとしてまとめられているようです。 評者はそれら3作を持ってないし、当面は読む予定もないのですが、本書だけは持っていたので読んでみました。星雲賞受賞と聞いて買ったのでしょう。初版ですが、帯は2001年のハヤカワSFフェアの物でした。 本書は、これまで読んできた『永劫』や『天空の劫火』シリーズとは全然雰囲気が違います。 舞台は2130年代の月世界。主人公は月世界の経済を担うサンドヴァル家の御曹司ミッキー。姉と姉婿とともに絶対零度を達成するという科学プロジェクトの管理運営に従事しています。そんな時、姉のロウが地球から410体の凍結保存された人間の頭部を買ってきます。人間の凍結保存を請け負っていた地球の会社が経営破たんして預かっていた遺体の管理が競売にかけられたのですが、その遺体の中にサンドヴァル家の創始者の遺体が含まれていたため競り落としたというのです。ロウはこれらの頭部を実験プラントで保管すると同時に、月で開発されている技術を使ってそれらの頭部から記憶情報を読み出したいと考えているのでした。 しかし、このことがサンドヴァル家を窮地に陥れることになります。 月世界を開拓した彼らの先祖は、自由を優先するために小さな政府を維持してきたのですが、近年の急速な経済発展は急激な人口拡大をもたらし、それに合わせて月の議会も地球出身のとある宗教団体をバックにした団体が支配しようとしていたのです。 彼らは、サンドヴァル家を生贄にして旧来の体制を破壊し、自分達を中心とする新しい体制を作ろうと画策します。本書は、基本アイデアは、新しい技術への挑戦を描いた科学小説ですが、小説のテーマは、ナイーブで経験の浅い主人公が大先輩とともに敵対集団と戦って大人になって行く過程を描いた成長小説です。 なお、本書の冒頭には、作者の日本版向けに書かれた独自の序文が付けられていますが、これには、本書執筆の意図とそのネタが明快に書かれています。その意味でも非常にわかりやすい作品と言えます。 チャンスがあったらシリーズの他の作品も読んでみたいと思うようになりました。 | ||||
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| グレッグベアにしては？難解な小説だった。でも無理して最後まで読了。ああしんど！ | ||||
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| グレッグ・ベアの『女王天使』から『火星転移』までの中に位置づけられる未来史。 ”410人分の冷凍死体人間の頭部から、思考を読み取ろうとする月世界の結束集団”というあらすじから、かなりグロテスクな内容を予想。が、その試みを阻止しようとする勢力との政治的な権力闘争が中心に描かれていた。あっと驚くようなアイディアが提示されるわけでなないが、ベアの世界観は気にいっている。クライマックスのイメージの奔流も、なかなか良い。権力闘争の発端についてはなんとなく予想はつくんだけれど、宗教団体というものの成り立ちを皮肉っている印象を受けた。 月の地下で並行しておこなわれる、物質の絶対零度の研究が、どの程度のしろものかが今一ピントこなかったので、おそらく面白さが十分伝わってないんだろう（残念ながら、私の科学的な知識不足ってことね） 思考体などのキーワードが頻出するので、一連の未来史を先に読んでいた方が楽しめると思う。 | ||||
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