天界の殺戮
- SF (392)
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
天界の殺戮の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本作は、異星のロボットによって破壊される地球を描いた侵略SF『天空の劫火』の続編だが、上巻の範囲では基本設定以外、まったく続編らしくない。 主人公は、《保護者》によって崩壊する地球から救出された子供たちのうち、自ら志願して報復のために認められている《法律の船》に乗った82人。彼らの家族は300年の冬眠の後、テラフォーミングされた火星に移住するが、地球崩壊の8年後に出発した《法律の船》の内部は相対論効果のためにまだ5年しか経過していない。 このため20歳前後になった子供たち82人が《保護者》の代理である“マム”の教育を受けながら、殺戮者たちの星を探していた。しかし、5年の旅の間に3人が自殺していた。報復の旅はそれほど過酷だったのだが、その原因が戦死や訓練中の事故死ではなく自殺だったという点に本書の特徴がある。 子供たちが集団で報復戦争のための訓練をしているという設定から、『エンダーのゲーム』との類似を予想するが、戦闘よりもグループ内での人間関係の描写が重視されているため類似感はない。評者は『ダーリン・イン・ザ・フランキス』との関連を強く感じたが、古いところでは『無限のリヴァイアス』の暗鬱感を思い出した。ちなみに下巻、第三部の舞台となるのはレヴァイアサン星系。もしかしたらリヴァイアスという名称はこれからの連想かも? 上巻では、惑星ネブカドネザルに対する報復攻撃を描いた第一部と、次の目的地に向かって移動する途中の出来事を描いた第二部の前半までが収録されているが、先が読めないシビアな展開から目が離せない。 しかし、登場人物が多いので誰が誰やらわからなくなる。一覧表が欲しいところ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下巻の前半は、第二部の続き、次の目標であるレヴァイアサン星系に向かう途中での出来事。 偶然遭遇した異星の宇宙船は、主人公達の宇宙船に良く似ていたが、千年以上前に遭難したらしい。残っていたのは遺体と記録だけ。彼らも母星を破壊されて報復の旅を続けていたが、何らかの問題が起こり、絶望の果てに次々自殺したらしい。主人公たちは、自分たちの未来にも暗い影が落ちていると感じる。 しかし、予定どおり合流した第二の《法律の船》に乗っていたのは、酸素呼吸する群体生物。ヒモ状の単純な個体が合体してクミヒモのような複合知性体を形成する。彼らも故郷を滅ぼされて報復の旅を続けていたが、独特の数学や、嘘をつくとか架空の物語を語るということのない文化を持っていた。群体生物だけに一人称代名詞がなかなかユニーク。匂いによって感情を表現する。地球人の中には彼らに生理的嫌悪感を持つものもいるが、おおむね良好な関係を築いて目標星系に向かう。 最後の第三部は、レヴァイアサン星系での出来事。 星系内には複数の有人惑星があり、検出された元素の組成や、技術水準も地球を破壊した殺戮者の手掛かりに酷似していた。さらにその星系は、星系全体を未知の技術で偽装していた。 主人公たちは、地球からの報復部隊と知られないように自分たちの宇宙船を偽装してその星系に進入し、住民との接触を図る。第四惑星スリープの住民は複数種の知性体だったが、その中の一種は、前作『天空の劫火』で謎の宇宙船から現れたのとそっくりの頭部が司教冠のような形をした爬虫類だった。 主人公たちが仲間を失いながら長く苦しい旅を続けてきたのは、宇宙の《法》に基づき、地球を破壊したロボットを作って送り込んできた凶悪な文明に報復することだったが、ここがその目的の星系なのか? 何の証拠を持ってそれを確認するのか? また、確認できたからといって星系を破壊することができるのか? 主人公たちの中でも、意見が分かれる。 正義を執行することの問題、倫理とリーダーシップの問題を執拗なまでにこだわって描いた宇宙小説。 主人公たちは二十歳前後と思われるけれど、これって成長小説なのか? SF版『罪と罰』? ちんぷんかんぷんな異星のテクノロジーや、壮大だけどイメージしにくいカタストロフシーンは、やっぱりベア。 読みにくいけど、読みごたえがあります。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|