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ドゥームズデイ・ブック
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ドゥームズデイ・ブックの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 1~20 1/2ページ
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この作品の良さは結局のところ、 SF的な世界観の凄さとかよりも、感情移入させられるところだと思う。 前半はとにかくイライラさせられる。 通じない言葉、繋がらない電話、 ありとあらゆるバカのせいでありとあらゆる話が進まない。 読んでいるこちらも、話の進まなさ具合にイライラを募らせながら読むことになるんだけど、 それはいつの間にか、登場人物への感情移入に変化してしまう。 そして、キヴリンが「時代人」(現地民)とコミュニケーションを深めていくうちに 14世紀の2人の少女ロズムンドとアグネスの保護者のような気分になり、 義祖母のイメインをやかましいだけの役立たずババアと思うようになる。 みんなが思うだろうことは、この作品が刊行された当時はパンデミックなんて「空想」だったのが、 世界みんながコロナを経験して、この作品世界が現実と思えるようになったことだよね。 14世紀のオックスフォード周辺の描写がどのぐらい「史実」に即しているのかはさっぱりわからないけれど。 この作品世界では「タイム・パラドックス」は発生しないことになっている。発生するような状況ではそもそもタイムトラベルが不可能で、自動的に「影響がない時空」にトラベル先が変化する。そういう設定のもとで、14世紀に送り込まれて現地民とゴリゴリに交流するとどうなるか、っていうのが、終盤に明らかになっていく。 陰鬱な内容なのは、14世紀を舞台にしているからなのだろう。 次回作の『犬は勘定に入れません』が、同じ世界観で、全く明るいポップなムードで進んでいくのとめっちゃくちゃ対称的だ。 にしてもこの作者、「非合理的な考えに取り憑かれたオバサンの害悪」を描かせたら天才だな・・・ | ||||
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破局的な感染症の流行を描くテクノスリラー/ミステリーなんだけど、パンデミックの全貌を俯瞰的に描写するのではなく、現代編と中世編それぞれの主人公視点で描かれる。町がロックダウンされたり何千何万と人が死ぬことよりも、目の前の大切な人に危機が迫ることのほうが深刻だ。読み手も主人公に感情移入させられる。そこが巧みだ。 タイムトリップ物の定番は「主人公のせいで生じるタイム・パラドックスをどうさばくか」なんだけど、本作にはそういう要素はない。だから、主人公と中世の人物との交流がじっくり描かれる。 登場人物が多いのだけど、みなさんキャラが立っている。ま、現代編では多くのキャラが「主人公にとっての邪魔な障壁」役なんだけど、ほぼ全員が実にいい感じに超イライラさせてくれる。読んでいるこっちが感情移入させられている証拠だ。中世編は、ロザリンドとアグネスの姉妹が愛おしくなるし、すっかりキヴリンに感情移入させられる。 ぶっちゃけ、現代編で生じる問題の98%はケータイがあれば即座に解決するようなことばかりだ。この小説が書かれた当時、1990年代初頭にはまだ「携帯電話」はほぼ存在しない。小学生のランドセルぐらいの機器を持ち運ぶ必要があったし、通信方法はアナログ、通常の電話回線をどうにか利用しているぐらいで、基地局など存在しない。そもそも個人向けの端末などほぼ皆無だ。1990年代半ばの東京23区あたりでようやく、ビジネス用途で「会社に1台」ぐらいだ。 昭和世代はそれを実体験しているからなんとも思わないだろうけど、ケータイが当たり前でイエデンがない世代にとっては、なんのこっちゃとなるんだろうなあ だから登場人物たちが、電話で連絡つかずにイライラするわけだ。延々と。 しかし平成世代にはそれがわかるのだろうか。 | ||||
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コロナ禍になって再読。よかった | ||||
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後半、話のテンポは上がっていく。 しかし、これにSF的な派手な展開を期待すると全く外れる。 あくまでSF的な設定ではあっても、中世と現代とで疾病と戦かう物語として割り切って読めば実に緻密な描写で引き込まれるが、通常のSF(タイムワープ物)的な展開を期待すると全く外れる。 誰も見たことも無い中世の世界を緻密に描きこみ、多彩な人物をリアルに配置し、二つの時代をまたがって物語を展開する手法は見事だし、後半のシビアな展開には驚く。 しかしそれであっても、(全くストーリーに関係のない)不要な描写は読み疲れて、正直読むのに努力が必要だった。続編はどうしよう・・? | ||||
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文庫本を以前2度購入して読んだのですが 持ち運びし易いデジタルで再度購入。 本当に、大好きな本です。 中世ヨーロッパ、中国、日本の古代から戦国時代までの古いものが 大好きで、こちらは中世イギリスの地方についてとても詳しく書かれていて 本当に楽しいです | ||||
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2020年4月現在、パンデミックものが読まれているらしい そんな情報はよそに、テレワークでできたヒマに真っ先に読みかえそうと取り出した この時世わざわざ外に出ず、家で読書しましょう | ||||
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特定の人物をペスト流行の時代に学生を送り込んだ黒幕と疑って下巻を読み始めたが、それは浅はかなものだった。上手く騙されて気持ちいいくらいだ。それは置いといて、物語は酸鼻を極める。特に中世パートはこれでもかとペストの悲劇を投入してくる。現代パートも同じくらいウィルス感染の悲惨な現場となる。絶望を極限まで経験することになるが、そこから逆転するのがエンタメ小説である。最後の方は感動で泣けてくる。人の狂気を感じるし、それ以上に人の強さを感じる。 | ||||
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史学部シリーズ。学生が中世の英国にタイムトラベルする。事前にある程度の安全確認をしているので、学生は安全だというが、まあそこは何か起こらないと小説にはならないわけで、もう元の時代に戻れないのではないかと思わせる事態が発生する。一方で学生を送り出した現代(読者から見たら未来)でも謎の感染症で、ダンワージー教授らは隔離を余儀なくされる。 とにかく上巻は謎だらけ。だらだらした感じを受けるが、それでも舞台の緊張感を醸し出すコニー・ウィリスの筆力には驚く。読んでいて、なんとなく陰謀のようなものを感じ、そいつを疑いながら下巻に進むこととする。 | ||||
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商品画像とは異なる旧デザインのカバーが付いたものが送られてきて、開封した時に「?」と思いましたが、本体が間違いなければ良しとします(コレクション指向のある方はご注意ください)。 肝心の作品そのものはとても面白く、もっと早くに読めばよかったと思いました。 | ||||
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何度でも読んでしまう本の1つです。 あちこち持ち歩いて読むので、紛失も多く、何度か買い直しています。 この人の本は何冊か読みましたが、これと航海が最高です。 | ||||
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WEB小説の中世風異世界トリップ現代知識で大威張りなるものばかり読んでヘタレた頭に、冷水をかけて目を覚ましてくれるような内容でした。 現代の方にちょっと不満が残る部分もあるんですが、私にとって下巻の要はキブリンですから気にしません。 読み終わった後のなんというか言い表せない種類の涙が出ました。これをもっと多くの人に知ってほしいですけど、何もせずとも皆からちやほやされるラノベが流行る世の中じゃ、受け入れがたいだろう事が寂しいです。 ちなみに読み終わった後にちょうどこんなニュースが。A国でエボラの疑いのある方が隔離の対応に異議を唱えているそうで、なんとも言えない…。 | ||||
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21世紀から14世紀にタイムスリップした女子学生がやがて・・・というお話。 21世紀の未来と14世紀の過去で同時に強力な疾病が起こる話を同時並行して語ることで、過去も現在も人間の営為に違いがないということを描いたと思われる小説。特に14世紀の描写が出色で実際行ったことがないので正確かどうかは判りませんが、この小説ではこれ以上はないというぐらい、こういう時代だったのであろうと思わせてくれる筆致で驚かされます。各登場人物の描きこみ方も堂に入っていてこれが長編2作目と思えない程の出来。個人的にはタイムトラベルものの小説で一番感銘を受けました。 タイムスリップ歴史SFの大傑作。是非ご一読を。 | ||||
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もし、明日が来ない日が来たら? 全面核戦争の脅威も遠のき、現代の人たちには突然、理不尽な終わりがくることは予想しえないだろう。 でも600年以上前のヨーロッパには、正真正銘の「終末」が訪れていたのだった。。。。。。。 とにかくこの話は切ない。善き人も悪しき人も区別なく、次々と苦しみながら神のもとへと旅立っていく。 ただ一人、未来から来ていたヒロインは科学的な防御免疫を持っているため、流行病に侵されることはないが、 親切にしてくれた人や、自分を慕う人たちの無残な死を、ただ何もできずに見送るしかない。 やがて、同じ運命はヒロインがもっとも大切に思う人にも訪れて。。。。。。 だめだ、ストーリーを思い出すだけでも切ない。 文庫本の表紙が、以前の祈りをささげるキヴリンから教会の鐘とカラスに変わったが、 これが何を意味しているかを思うだけでも悲しくなってくる。 レビューになっていないかもしれないが、この事だけは言える。 この作品の要点は、人間の心の美しさにある。 クライマックスで、ある登場人物が悲惨きわまりない状況なのに 自分の事を「しあわせ」と言った、この言葉だけで、この本には買って読むだけの 価値がある。 ぜひ、手にとってみて欲しい。生涯の記憶に残る作品になるはずである。 | ||||
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小ネタで繰り出されるギャグに満ちた現代と、カタストロフに向かう中世場面のコントラスト。 もちろん、現代場面もパンデミックで死人が出たりしているんだけど。 だけど、降下場面を目撃されたらしいこととか鐘の音とかは、多分キリスト教文化圏の人たちにはもっと感動的なんだろうなあと思う。 ミセス・ギャドスンの悪意としか思えない聖書の引用とか、天使降臨のイメージとか、殉教者のイメージとか、もっと笑ったり泣いたりできるのだろうなあ、と思う。 コリンのスーパーボーイ振り、ウィリアムのプレーボーイ振り、フィンチとトイレットペーパーの繰り返しギャグに、「これ、感動作なんじゃ?」と少々戸惑った。 | ||||
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1992年に書かれた2054年のイギリスで、登場人物たちが電話で連絡が取れずに右往左往するっていう設定はどうなんでしょうか(笑) スマホなくても、携帯ぐらいあるだろ? と突っ込みたくなりました。 それから、タイムマシンを開発するなら、いわゆる「イギリスの東大」ことオクスフォードではなくて、「イギリスの京大」ケッブリッジだと思うんだけどなあ。(あくまでも個人のイメージですけれど…) | ||||
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というよりも、ローシュ神父が名作『ペスト』に登場するオラン市、リウー医師のようです。 それほど、この傑作タイムトラベルSFのテーマは深くて重いからです。 (P248から) 「これは最後の日々、神の使徒が予言したこの世の終わりなのですか?」 「ちがいます。一時的な難局でしかありません。おそろしい時代だけれど、みんなが死んでしまうわけじゃない。この時期をすぎればすばらしい時代がやってくる。ルネッサンスと階級再編成と音楽。すばらしい時代。新しい薬ができて、人間はこの病気でも、天然痘でも、肺炎でも死ななくなる。すべての人にじゅうぶんな食べものがゆきわたり、彼らの住む家は冬のさなかでさえあたたかい。そういう時代が来るんです」 14世紀のイギリスはもちろん、20世紀のアルジェリアも、そして21世紀の「全ての世界も」まだ、すばらしい時代になっていません。 しかし、希望はあります。リウー医師やローシュ神父、そしてキブリンやコリン少年のような人間がいる限り。 それにつけても。 タイムトラベル可能なのに、21世紀のイギリスの、このICT環境の貧弱さはどうなんでしょうか(しつこい?) ミノフスキー粒子でも散布されてるのかしら(笑) | ||||
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ハードカバーで読んだので、本も重く、内容も重い。 コニー・ウイリスの作品はすべて読んでいるが、この「ドゥームズデイブック」のヒロイン・キブリンが一番好き。彼女の勇気、子ども達への愛情、聡明さ。 黒死病の時代の目を覆いたくなる悲惨さを救っているのは、現代(2057年)に展開するキブリン救出劇の中のさまざまな登場人物がかもしだすユーモアである。たとえば、隔離病棟で黙示録攻撃を繰り広げるミセス・ギャドソン。その息子のウイリアムの「有能さ」。そのウイリアムの「有能さ」の手に落ちる老婦長。さらに、トイレットペーパーの不足に奮闘するダンワージーの秘書フィンチ。 そう。隔離。キブリンが誤って送り込まれた1348年では黒死病が猛威をふるい、2057年のケンブリッジではウイルス性のインフルエンザが猛威をふるっている。 そればかりではなく、中世の弔鐘の音と、現代の鳴鐘者達の鳴らす鐘の音、クリスマスのカリヨンの音が互いに響き合う。これはもう計算されつくした構成というよりも、何か大いなるものがウイリスに宿っているとしか思えない。 臨死体験をモチーフに救済を描く「航路」。そして、愉快痛快この上なく笑える「犬は勘定に入れません 消えたビクトリア朝の花瓶」でしばしば言及される「グランドデザイン」。近作「ブラックアウト」「オール・クリア」中、執拗なまでに登場する絵画「世の光」を思うにつけ、コニー・ウイリスという人は神を信じる人なのではないだろうか。それがイエスにしろ、天の父にしろ。 人々がばたばたと死んでいく中で、キブリンがローシュ神父にいう「神はくることができないのです」が胸に迫る。そう。神はくることができない。だからこそ、人々はそれぞれの最善を尽くそうとする。ウイリス作品では、「それぞれの」が際だっている。そこに神が宿っているのかもしれない。 | ||||
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面白く読みました。タイムトラベル物は過去に現代を持ち込むので、すっきりしないことが多いのですが、この本は過去編だけではちょっと辛すぎるので、この構成しかないように思いました。 普通の物語なら死なないはずの登場人物の死んでいく話だという印象を受けました。これについては、助からないことがわかっていても、人は努力しなければならないと説いているというよりも、強力な疫病が広まれば、いくら努力しても、誰も彼も死んでいくしかないという事実を淡々と描いており、その事実の確認によって、新しい感動が生まれてくるように思いました。 | ||||
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コニー・ウィリスは何冊も読んだあとで、私には合わないなという結論に至ったのですが...ではなぜ何冊も読んだのかというと、最初のころ読んだ本書だけは気にいったからなのです。 理論的には怪しげですが時間旅行が可能になっていて、歴史の学生が過去にフィールドワークに出る。ただその年代にずれが生じてしまったために、主人公キブリンはペストの蔓延する中で人々が死んでゆくのをほとんどなす術もなく見ている。同時に本来の時間帯では、インフルエンザにより担当教授が倒れ、教授陣の死者も出ている。 まるで身もふたもない暗い話のようですが、そして実際に決して明るいユーモラスな話ではないのですが、女子大生である主人公の無力さも含めて淡々と描かれる病の情景には、身を切る悲しみや人間の命への慟哭といった大きな感情的揺さぶりととはまた違った、静かで深い生死への感覚が研ぎすまされます。 時間旅行が可能な社会においても、インフルエンザで命を落とす人が多数いるという設定も非常にリアリティがあります。人間の生命体としての強さと弱さ、思考し感情を持つものとしての愚かさと優しさが読み取れる良作として、ウィリスの愛読者でない方にもお薦めできると思います。 | ||||
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最後の数行がたまりません。 ああ、終わったんだ・・・という哀切感と感動、そして絶望感、安堵感、様々なものが一気にこみ上げてきました。 | ||||
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