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一応の推定
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一応の推定の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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1946年生まれの団塊の世代である著者が仕事の現役を引退後(?)著して、みごと今年度の松本清張賞を受賞した作品。損保業界の舞台裏、専門用語「無責」などをたくみにもりこんだ秀作。 世相を反映したエピソード(小児の臓器移植のための海外渡航とその費用捻出のための カンパ活動)や中小製造工場の倒産、「関節球体人形」が登場して 読者の興味は尽きる事がない。おしまいにはどんでん返しも用意されている。 また、業務で実際に出張されたのか、山陰の赤崎のひなびた風景の描写が、いい。 女性のえがきかたも巧みである。また京ことばが生きているのは著者が京都のご出身のせいか。 ほんわかしたあたたかいものが良く伝わってきて 推理系エンタメ小説ながら、技巧とかでないうまさがよく伝わってくる。 そのうちテレビドラマ化されることを期待しながら。 | ||||
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石田衣良『眠れぬ真珠』や白石一文『もしも、私があな ただったら』を読みながら、40歳代の人は癒しや再生の 話しがあっていいなと羨ましく思っていました。しかし、 本作を読んで、ほんの少し溜飲が下がりました。 定年が間近に迫った保険調査員が、真実を求めて誠実な 調査を進める姿を追いかけています。最後で、保険会社の 新入社員が簡単に立場を変えるなど、やや調子が良すぎる 記述もあるのですが、一応の推定という自殺認定に係る法 理論上の通説に着目した設定には淀みがなく、一気に読み 終えてしまいました。 気になったのは、定年を迎えた主人公が周りの人達から 一様に祝福されていたことです。わたしも、その時を迎え て同じように晴れがましい気持になれるのでしょうか。 | ||||
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とても今年60歳になる方の作品とは思えない。かっちりとしていながら、なんというか、加齢臭を感じない、壮年の文章で、どのページにもゆるみが無く張っている。冗談ではなく、今の60歳は本当にまだまだ現役で気力あるなあと、そういう感想を持った。 物語はたんたんと進む。「犯人探し」(この小説では自殺かどうかの事実探し)の小説は、山ほどあるが、上記の文章力、リアリティーがあって、途中で読み止めることは不可能な、しっかりした作品となっている。派手さはないが、堅実な素晴らしい作品だ。 | ||||
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ひとりの老人が線路内で轢死した。原田老人には3000万円の損害保険金が掛けられており、遺族は早く保険金を受け取らせて欲しいとグローバル損保に掛け合ってきた。原田の孫娘は心臓移植を受けなくては治らない病気に侵されており、米国に渡って移植を受けるための多額の治療費が必要だからだ。だが、もし自殺だったら保険金は降りない。そして、この事件を調べることになったのが定年を間近に控えた村越と、グローバル損保の竹内だ。始めから自殺と決めつける竹内とあくまで中立の立場をとる村越。ふたりは調査を進めていくが、調べれば調べるほど自殺として一応の推定を成り立たせる話しか出てこない。しかし、ホームでの目撃者証言が引っかかる村越は報告書の提出後も単独で調査を続ける。 やはり自殺なのか? それとも事故か? 村越が執念で見つけ出した真事実とはいったい!? | ||||
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町工場を営んでいた男性が電車に轢かれて死亡してしまう。 彼は、轢死する三ヶ月ほど前に傷害保険に加入しており、 そして彼には多額の金を必要とする理由があった。 彼の死は、保険金を得るための自殺だったのか。 それとも事故死だったのか。 主人公であるベテラン保険調査員・村越努が、 この謎を解決するために行動を起こす。 良い意味で地味な作品。 ともすると退屈になってしまいがちな物語の展開なのだが、 読んでいて引き込まれたのは作者の力量だろう。 単に読みやすいというだけではない、確かな筆力を感じた。 終わり方がやや慌しいような気もしたが、 逆にいえばムダを削ぎ落としたようにも感じられて、 それはそれで心地良い印象を受けた。 今後の作品も楽しみだ。 | ||||
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先ず、上手すぎることに驚いた。初めての長編と知って尚。 大きな謎解きを期待すると、それはちょっと違うのだが、こんなに 上手い人が今まで素人だったのか、それとも短編等の作品があるのか、 あれば是非読んでみたいと思うほどの腕前。 さて、作品は、一人の老人の轢死から始まる。 三千万円の「掛け捨て型傷害保険」に入っていた老人の死が、 保険金目当ての自殺だったのかどうか・・・ それを保険調査員の村越が自身に誠実に突きとめていく話だ。 読者はきっと、腕のいい調査員、村越と共に歩き出すともう止まらい。 機械の設計、製造の工場が破綻し、娘の一人娘は、最低でも五千万円 は要ると言われる臓器移植を必要とする重い病気を抱えている。調べを 進めるほどに自殺という線が濃厚になる状況が重なり、「一応の推定」 という、遺書のようなはっきりした証拠が無くても、裁判によって 支払い義務から免れられやすい判定が出やすい方向に調査は進んで 行くように見えるのだが・・・。著者の上手いところは、よくある 保険詐取の話に陥りがちな点を、村越の足で、老人の轢死にまつわる 登場人物を実に絶妙に絡ませ、無理のない範囲で思いがけない方向へ 読者を誘導していったところにあると思う。 推理ものを読み慣れた人も、新人の作品だということを忘れて 楽しめる、違和感のない良質な作品に仕上がっている。 次回作へと書き進められる力量のある人に思えた。 | ||||
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