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アメリカン・タブロイド
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アメリカン・タブロイドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.73pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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ケネディ大統領暗殺までの経緯が分かりやすい。古きアメリカ合衆国の雰囲気が味わえる。 | ||||
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後半に入りだんだん面白さが増してくる。 | ||||
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1924年から死を迎える1972年までFBI長官を務めたJ・エドガー・フーバーは、世に喧伝されている「フーヴァー・ファイル 」を駆使して大統領を始め多くの政治家たちに君臨してきたことは否定できないだろう。 フーバー死後、ニクソンが部下に命じてフーバーの書斎を調べさせて見つけた資料でニクソンが激怒したそうである。 JFKの女好きはアメリカ国民も知っていただろうし、モンローとの関係も既知のことであったであろう。 本書でモンローを監視しているFBIの調べでモンローがセックス依存症だったように記述されていた。 とにかく、その数の多さに驚いてしまったのです。 そのなかにファイティング原田の名があったのですが、これって本当かしら? しかし、歴代大統領のなかでJFKにたいしてアメリカ国民は特別な感情を抱いていたようである。 が、JFKは、凡庸なお坊ちゃんであり、親の金でホワイトハウスの主になったような人物としてエルロイは描いている。 評者には、エルロイが真実を忌憚なくこの小説に書いているように思えてしまったのです。 エルロイは、この小説を虚実交えて仕上げているが、J・エドガー・フーバーこそアメリカの闇の支配者だったことは事実だろう。 JFK暗殺は、エドガー・フーバーが、なんらか関与していただろうし、JFKの弟のロバートは、堅物でフーバーに弱みを掴まれていなかったので、大統領にしたくなかったフーバーが何者かに命じて暗殺させたのだろうと思えてしまったのです。 アメリカの暗部を鋭く描くエルロイの力作『アメリカン・タブロイド』下巻を興味津々で読み終えました。 | ||||
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ジェイムズ・エルロイが1995年に発表した小説『アメリカン・タブロイド』を読むことにした。 1958年11月22日、べヴァリーヒルズのハワード・ヒューズの大邸宅で用心棒であり暗黒街の始末屋のピート・ボンデュラントが語りはじめてこの実録風の物語は始まる。 この物語に登場するもう一人の男は、この物語の主人公ともいえるFBI長官フーヴァーの直属の部下の特別捜査官ケンパー・ボイドである。 ケンパーの友人であるFBI特別捜査官ウォード・リテルもこの物語の重要な登場人物である。 もちろん、この三人はフィクションで登場しているが、かれらのモデルは存在したかも知れないと思えるようなエルロイの迫真のストーリーテリングに惹かれてページを繰っていく。 。 この小説のに登場する実在人物たちの履歴を「ウィキペディア」で読んでみたら、エルロイがノンフィクションを書いているような気がしてきてしまったのです。 まさに「アンダーワールドUSA」というサブタイトルにふさわしい小説です。 エルロイは、この小説を1995年に発表しているのですが、もし1970年代の後半に発表する予定だったなら、小説が刊行される前にマリリン・モンローのような不審死をエルロイも迎えていたかも知れない、と思いながら本書上巻を読み終えたのです。 | ||||
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下巻もまた、運命の1963年11月22日(金)12時30分へと浸走る悪漢たちの宴を描いて読ませました。暗殺事件のいわば「触媒」となる三人(ケンパー、ウォード、ピート)の動きを軸に描かれるマフィア(選挙協力にも拘らず掃討を進める政権への怨念)、フーヴァーとホッファ(自己の地位保全)、CIA(ピッグス湾事件の失敗、弱腰なJFKへの不満)などによるいわば自然集合的ネットワーク犯罪という構図の持つリアリティーを改めて感じましたね。個人的には、ピッグス湾事件についても余り知らなかったので参考になりました。(ファイティング原田の名前は123頁に登場です。) とにかく、完全に疲れ切ってウォードに撃たれるケンパー、完全な変節には若干の違和感を感じたウォード、最後はバーブとの愛に溺れる殺人マシーン・ピートの人間臭さといった人物造形が凄い一作。また、父親の犯罪行為を知らせてRFKの動きを牽制する(280頁、305頁、314頁、462~3頁)という設定には、唸らされました。次の『アメリカン・デス・トリップ』(原題:The Cold Six Thousand)も注文予定です。 | ||||
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小説とは思えない一書。マフィアが、ジミ・ホッファ(オールスター)が、FBI(JEF)やCIAが、有象無象の大物小物たちが、複雑な顔と性格を併せ持った幾人かのピカレスク的主人公を媒介に様々な対立・緊張関係を孕みながらも、一つの不可視的反JFKネットワークへと凝集していく様は圧巻。いかにも歴史はこうであったかも知れない、と思わせる迫力と緊迫感に満ちている。 「アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。われわれは移民船のなかで純潔を失い、それを悔やんだことは一度もなかった。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。最初からないものを失うことはできないのだ。・・・ 六十年代のキャメロットの真の三要素は、見てくれのよさと、尊大さと、性的な奔放さだった、ジャック・ケネディは歴史上類を見ない華やかな時代の神話的な代表選手だ。弁舌はさわやかで、髪型はワールドクラスだった。ビル・クリントンとちがって、マスコミの悪意に満ちた監視の目もなければ、贅肉もついていなかった。・・・ 幻想を打ち砕き、排水溝から星までの新しい神話をつくりあげる時がきた。時代を裏で支えた悪党どもと、彼らがそのために支払った代価を語る時がきた。悪党どもに幸いあれ。」(5頁) 「フーヴァーはマフィアを告発しても勝ち目がないことを承知している。敗北すれば、FBIの名声に傷がつく。」(89頁) 「シナトラはジャックにゴマをすり、一族にとりいってるだけさ。ジャックの妹と結婚したピーター・ローフォードに、橋渡しをさせている。ジャックのほうは、軽い気持ちで付きあってるだけだ。それ以上のものじゃない。」(239頁) 「以前、ゲイル・ヘンディから観淫症と言われたことがある。」(338頁) 「シナトラはマフィアと親しい。マフィアの力を借りたかったら、シナトラに仲立ちを頼めばいい」(344頁) 「ケンパーはフーヴァー宛てに短い手紙を書いた-ジャック・ケネディは大統領は選ばれても、貴殿を馘にはしないであろう。」(347頁) 「ジャックはひとまわり大きくなったように見えた。声に落ち着きが出てきた。指を突き立てる仕種もさまになってきた。・・・ 英雄的に見えた。世界を前にして、子どもっぽさは完全に消えていた。・・・ ジャックは天賦の不思議な力で偉大さを身にまとった。」(446~7頁) 「マフィアはジャックの選挙戦に多額の資金を注ぎこんだ-匿名で、こっそりと。将来を見越した先行投資。ジミー・ホッファは知らない。ジャックも知らない。知らせるつもりもない-借りをかえしてもらうときが来るまで。」(453頁) われわれは、ここに出てくるマフィアの連中もジミ・ホッファも結局は碌な死に方ではなかったことを知っている。下巻が実に楽しみ。 | ||||
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エルロイはこの書の冒頭に「アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。 最初からないものを失うことはできないのだ」と言い切っている。「アンダーワールドUSA三部作」の第一作であるこの書に出てくる登場人物で 清らかな人物などいない。敢えて言うとストイックにマフイア追放に固執したロバート・ケネディだけか。主人公は、3名の元FBIや保安官の男たち。 権力欲と金に目がくらんだ、ケンパー・ボイド、ピート・ボンデュラン、そしてウォード・リテル。物語は、1960年前後、ケネディ一家、ハワード・ヒューズ、エドガー・ フーヴァー、そしてマフイアの大物たちが実名で登場する。虚実入り交えたストーリー展開がまるでドキュメンタリー映画を見ているようで迫力がある。 主人公3人は、お互い引っ付いたり、裏切ったり、強請ったり、そして殺人を犯すこともまったく厭わない。犯罪小説と言ってしまえばそれ までだが、冒頭にエルロイが言っているように米国の歴史が犯罪から成り立っていることを彼は簡潔な文体で、然しながら執拗に掘り下げている。 余りにも神聖化されているJFKについても、軽薄で女好きな男というイメージで描き、彼の暗殺までの経緯もエルロイ自身の創作も一部ある だろうが、面白い。最後に解説を吉野仁が書いているが、米国人のトラウマ的悲壮感についての分析がなかなか興味深いので、まずこの 解説を読んでから本書を読み始めるのもいいかも知れない。 | ||||
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アメリカのアンダーワールドの狂気を一切の感傷なしに速射で打つタイプライターから無表情に吐き出されたような疾走する短文(長くてもワンセンテンス2行程度、1行1単語のこともかなりある)の連鎖で活写するエルロイ独特の文体とその文体が不気味に伝えるアンダーワールドの空気感、虚無感、底暗さを翻訳家田村義進は見事に再現している。 | ||||
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アメリカの裏面史を虚実ないまぜで語ったフィクション。アメリカ最大の希望からアメリカ最大のカタストロフィに突き進んでいく驚異の作品。 と一言で語れない複雑で重層構造の小説。ここで描かれた実在の人物が実際このような人物かどうかは寡聞にして知りませんが、こうであってもおかしくないと思ってしまうほど説得力のある筆力でアメリカがかつてたどった裏面史を総括したかのごとき小説。その怨念や妄想は凡百の謀略小説など寄せ付けないほどの迫真的に読者に迫ってくる物語。暴力、血、死体、汚物、汚辱、妄想、邪念でアメリカを再定義した呪詛に満ちた書。これはジェイムス・エルロイという怪物にしか書けなかったと思わせます。他の作家は絶対無理かもしれないフィクション(もしかしたらコーマック・マッカーシーなら肩を並べるものがかけるかもしれませんが)。 蛇足ですが、マリリン・モンローが寝た男のリストにファイティング原田の名前がありましたが、事実なんですかね?事実なら羨ましい・・・。 これをより楽しむためアメリカの正史を描いたというドス・パトスの「USA」の翻訳をお願いしたいところです。必読。 | ||||
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歴史が人を作るのか?人が歴史を作るのか? 登場人物達が一方向に向けて疾走して行く様に興奮しました。 | ||||
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「LA4部作」に続くアメリカ現代史の地下世界=真実を白日のもとにさらけだす「USAアンダーワールド」の第1部。ケネディ一族からニクソンの時代まで、殺人、謀略、扮装、戦争、暗殺にあけくれた冷戦下の15年間を描く3部作の始まり。 実在のケネディ、フーヴァーFBI長官、私生活をヴェールに包んだ富豪ハワード・ヒューズ。彼らに群がる男たち。そしてウラ世界を牛耳る大物マフィア、組合のボス、ジミー・ホッファ、官能的な女たちを中心に政治の地下水脈とその流れをジェームズ・エルロイは一切の内面描写なしで狂気と恐怖のドラマを描き出す。 そして最後の一行、ケネディが・・・。 | ||||
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ジェイムズ・エルロイの「アメリカン・タブロイド(上)」を読了。「ブラックダリア」からのLA四部作に続く、アンダーワールドUSA三部作の第1作。日本から見ると明るいケネディ時代を謳歌しているアメリカのアンダーグランドではドロドロな陰謀や抗争、欲望や思惑が入り乱れていたのである。 作品の感想は下巻読了後ですが、エルロイ独特の短いセンテンスが続く文体は健在です。物語の緊張感が盛り上がります。いつも彼の作品は物語の入り口をどう乗り切るか、が非常に難しい。ただ、ここを乗り切った後には、アンダーグラウンドな魅力タップリの物語に身を浸すことができる。悪人が悪人たる理由。善人が悪人に変貌する過程。そんなキツイ物語を読むことで、自分自身の生き方を帰り見ることができるのである。 | ||||
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ジェイムズ・エルロイの「アメリカン・タブロイド(下)」を読了。「ブラックダリア」からのLA四部作に続く、アンダーワールドUSA三部作の第1作。上下巻合わせての長い長い物語ですが、登場人物達の変容が、きっと自分にも起こるかもしれない、という緊張感で読ませるのです。エルロイは恐怖、金、性、殺人、ドラッグなどで人間が変わっていく過程をじっくりと読者自身の心に染み渡る緊張感で縛りつけるのです。そこはフィクションと理解していてはいるが、まるで真実の力のように読者に迫ってくるのです。 そこにはエルロイ独特の文体が必要不可欠なのです。実在の人物と架空の物語を組み合わせ、大いなるアメリカの幻想を木っ端微塵に吹き飛ばすエルロイの世界観が迫ってくるのです。本当に目が離せない展開に、下巻にもなると、もう駄目でした。読み終われないと何もできない体になっていました。 ちょっと面白い記述が下巻に。日本人実在ボクサーのファイティング原田はあの女性と・・・これは本作を読んでのお楽しみです。ハッシュ・ハッシュ。 | ||||
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上下巻合わせて圧倒的な文量。 登場人物の多さ。 ある程度アメリカの歴史の知識が求められる。 いろんなハードルがあるものの、根性を決めて読みだせば、そこから先には魅力に満ち溢れた世界が待っている。 闇を抱えたワルばかりの登場人物に感情移入するのは難しい。 それなのに、全体を覆う冷やりとした緊張感にとらわれて、いつの間にかトリップ状態に落ちている感じ。 読了後のズシリとのしかかってくる感覚にハマると、もはやエルロイワールドから抜け出せない。 | ||||
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しばらくお休みしておりましたが、3部作が完結したとのこで、久しぶりに読んでみました、エルロイ。 お変わりなく。 ドス黒く、複雑で、しかし読後が悪くないという奇跡の小説。 いつの間にか犯罪の成功を応援している読者もいるのではないでしょうか? 3人のメイン・キャラの中ではウォード・リテルが一番いい。 彼の奇妙な成長(?)に注目! | ||||
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ジェイムズ・エルロイはLA4部作「ブラック・ダリア」・「ビッグ・ノーウェア」・「LAコンフィデンシャル」・「ホワイト・ジャズ」で作家としての地位を不動のものにした。が、私は「ビッグ・…」も「ホワイト・…」も当時、単行本として買っているにも拘わらず未読である。「ビッグ・…」は正直云って1/4で投げ出した。「ホワイト・…」に至っては端(はな)から読んでいない。読者に媚びる作家も嫌味なものだが、全く媚びない作家も嫌味である。やたら登場人物が多く、性格・心理描写が殆どないので、登場人物に感情移入ができず、従って読むことにも没頭ができないのだ。 「LA・…」は映画を観て、その出来が良かったので、充分堪能したのであるが、本だけではどうだったか判らない。辛うじて読んだ「ブラック・…」もとくにズシンときたわけではない。しかし、エルロイの評価が高まるにつれ、何故、何処が良いのか、いつも気になっていた。 そこで「アメリカン・タブロイド」である。これはLA4部作を書き終えたエルロイが、クライム・ノヴェルを超えたアンダーワールドUSA3部作の第一弾として発表された。 58年から73年迄の15年間を5年ごとに区切って、アメリカの地下部分を現実の政治に絡めて描き出そうとするものだ。まさに第一弾の58年から63年のクライマックスはケネデイ大統領の暗殺である。 内容が内容だけに(原体験としてケネデイを尊敬していた)読まねばと思ったが、やはり読みづらいことこの上ない。エルロイはある意味で文体の作家である。その無愛想、呪文、クレージーな文体から立ち上がってくる瘴気は独特の世界を垣間見せ、意味不明のところなどかまわず、どんどん読み進んでいくと、一種異様な領域に入る。 そこまで行けばあとは一気呵成だ。オズワルドを殺したジャック・ルビーは登場人物として出てくるのに、オズワルドは一行も出てこない。エルロイはオズワルドそのものを論外と見なしているのと、いずれにしても当時、キューバ革命を成し遂げたカストロの台頭がケネデイ暗殺の遠因になっていることが判る。 あの時代の中で熱狂的な支持を得ていたケネデイが、それと同じほど一部勢力から、計り知れないほどの憎悪と怨嗟の眼差しを受けていたこと、それが結果的に暗殺への引き金になったこと、そしてケネデイだけではなしに、その後、キング師、弟のロバートケネデイの暗殺へと続いていく。 ――アメリカが清らかだったことはかつて一度もない。われわれは移民船のなかで純潔を失い、それを悔やんだことは一度もなかった。アメリカの堕落を特定の事件や状況のせいにすることはできない。最初からないものを失うことはできないのだ。本書の見開きのページの最初の文章である。 エルロイは闇に疾走していくアメリカを書き(描き)続ける。楽しみである。 | ||||
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エルロイの小説の特徴としてよくあげられるものが ハードボイルドな文体やバイオレンスであると思いますが 「陰謀」というモチーフもエルロイの特徴だと思います まさにタブロイド誌のようなチープやゴシップを史実と巧みにコラージュし 一つの歴史観を持ったドラマに仕立て上げる手腕は稀有なものです この「陰謀」というモチーフはピンチョンにも通じるものがあり アメリカという特殊な経緯で創られた作られた社会に内在する歪のようなものに起因しているようで なかなか興味深いです。 さて本作はそのエルロイがアメリカ現代史最大のミステリーであるJFKを題材にした作品です これが面白くないはずがないです、他作品に比べても読みやすいのでエルロイ入門にお勧め! | ||||
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次に該当するような読者はこの本だけは読まないほうがいいです、ケネディ大統領が大好きで彼と彼の背後に広がる明るそうなアメリカの印象を大切にしたい人、いまだにベトナム戦争がアメリカの大きな汚点だと思っている人、共和党嫌いで民主党支持者の人、何がなんでもアンチ自民党の人、いまでも共産主義に夢を抱いてる人、まだがんばってるカストロ議長に声援を送っている人、暴力が大嫌いで自分自身では平和にも治安維持にもいっさい努力したくない人、そして気力と体力が充実していないひとなどなど、 以上に該当しない人には最高の読み物です、ケネディ兄弟なんかただの成り上がりの小せがれ、兄貴はただの女たらしで、弟はまあなかなか優秀な出っ歯だが、という視点で綴られるケネディ政権後期の政治サスペンス・アクション小説、文芸春秋がどういうつもりでエルロイ作品に「暗黒小説」という言葉をつかうのか?です、表に出ずらい人物達がたくさん登場する「暗黒街」小説と呼ぶべきでしょう、暗黒という文字が相応しいのはソ連や東ドイツやご近所の国を舞台にした話だとおもう、 本書は時系列順に短文を連ねる形式で読み進むうちに全体像が見えてるくる構造、よってたくさん登場する横文字の名前とともに読者によってはとても読み難いともいえ、読者を選びます、エルロイは初めてという読書家はロイド・ホプキンス・シリーズやブラック・ダリアから始めたほうが無難です、 | ||||
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読み出したらやめられないおもしろさ。腰に響くような重厚さ。悪人だって良い心は持ってるし、善人だって悪いことをする。そして、人は変節していく…。エルロイは人間って複雑なんだって事をわかっている人だ。そんな事は本当は誰だってわかってるのかもしれないが、その事を小説でちゃんと表現出来るほどの力量のある人はめったいにいない。それもとびぬけておもしろい小説に書ける人はエルロイしかいない。安っぽいベストセラー小説の、ステレオタイプの人物造形に辟易している人には、目からウロコの本です。こんなに救いの無い本が何故こんなにおもしろいのだろう。ボビーが生きていたら、アメリカは、世界は変わっていたのだろうか。 | ||||
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アメリカ人はアメリカン・ドリームを心の底から本気で目指すよう、幼い頃から、徹底的に教育されるのだろう。限りない上昇志向ー現在でも16歳の試験で将来がほぼ決まってしまうイギリスがもつ、あきらめにも似た閉塞感を、彼らはこれっぽっちも持ち合わせてはいない。 そして「父親」という存在に異常なほど固執する。この作品、表向きはみなさんが書かれているような、アメリカの暗黒史なのだろうが、読後僕が感じたのはこの「父性」だった。自分の父親に限らず、自分や自分のステイタスやアメリカという自分の国がもつ「父性」を彼らは追いかける。それはギャングのボスであったり、FBIの長官であったり、大統領だったりする。自らは手に入れられなかったアメリカン・ドリームを具現した彼らに、何とか取り入られよう、愛されようとする。それは幼い子どもが父親に抱いてくれーとせがむ姿に良く似ている。これは「アメリカの子供たち」の物語だ。愛されない、受け入れられない、と気づいた彼らはものすごいスケールでの家庭内暴力を繰り広げはじめる。その負のエネルギーはどこから来るのだろう。それはアメリカン・ドリームへと彼らを駆り立てるものと正反対のベクトルをもつ、負のエネルギーなのだ。こういうエネルギーがアメリカを創ったのだなあ、と最近のテロ関連の出来事とあわせて、あらためて痛感させられた。エルロイの描くアメリカは、彼自身の愛憎の対象でもあるのだ。 | ||||
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