アンダーワールドUSA
- アンダーワールドUSA (3)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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上下2巻、800ページを読み終えての感想は、一言でいえば、重くて複雑な小説だった。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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疲労とストレスで昏倒寸前の肉体を薬物の力で強制的に駆動する。 「ブラック・ダリア」の憑依は「ホワイト・ジャズ」の<意識の流れ>を経て、マジックリアリズムに接近した。 それは折れ曲がった鉈ではなく、翼である。 坊や。小僧。糞ガキ。覗き屋。パリグアヨ。 忠告してくれた悪人は殺された。庇ってくれた悪人も殺された。 悪人たちが遺した教え。 過ちは償えない。罪は贖えない。 闘いを引き継ぐことはできる。 しかし、救いは己の死によってしか与えられない。 苦悩。罪と罰。報い。 悪人が待ち焦がれた死は、右腕が翼になった男たちの姿で現れた。 ウェインは分かっていた。それだけに、このラストは受け入れ難い。 エルロイは自らの魂を成仏させてしまったらしい。 | ||||
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ジェイムズ·エルロイのアンダーワールドUSA三部作の第三部『アンダーワールドUSA(元題Blood's a Rover) 』四度目の再読。 基本的に三人の主人公の視点から、この小説は語られる。 ウェインの最後の行動に胸が高鳴り、ドワイトの幕引きの言葉に胸が締め付けられる。両者とも魅力的だが、やはり私はへなちょこの糞餓鬼クラッチ(覗き魔で熟女好き)がたまらなく好きだ。 ドン·クラッチフィールド。23才。 父親は頭のイカれたホームレス。 母親はクラッチがまだ10歳の頃に父親と別れ、彼の元を去る。 それ以来、彼は母親を探し続けている。 駆け出しの探偵である彼は、子供として描かれる。エルロイが子供を主人公に据えたことにまず驚く。 ある仕事をきっかけにアメリカの裏面史に関わっていく彼は、悪夢を抱え込みながら成長を遂げ、やがて終盤、死んでいったもの達の為に、愛する女の為に、そして自らの悪夢をしずめる為に、行動を開始する。 その決意の一つ一つが、激しく胸を打つ。 誰もが鼻であしらうクラッチは、実は誰よりも強い。何故彼はそこまで強くいられるのか。その秘密は恐らく彼の幼さにある。彼はその幼さゆえに自らの孤独の深さに気づいていないのだ。よって彼は自己憐憫に落ちない。どんな困難に見舞われようと、彼は怯えながらではあるが最善策を講じ切り抜けようとする。たった一人、誰の助けも無く。 幼さが強さ。こんな悲しく強い話しがあるだろうか。 フィリップ·マーロウもサム·スペードも、クラッチには敵わない。本物のタフガイとはドン·クラッチフィールドのことだ。 そしてこのクラッチ、実は若かりし頃のエルロイの生き写しなのだ。 もしかするとエルロイは、一番惨めで愛に飢えていた頃の自分に光を当てたかったのかもしれない。 邪推かもしれないが、そう考えるとエルロイファンとしては感動もひとしおなのだ。 この小説は私の宝物だ。クラッチに会う為に、彼の勇気に触れ、それを少しでも自分のものにする為に、これからも何度となく読み返すだろう。 | ||||
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アメリカで60年代に現金輸送車が襲われ・・・というお話。 上記は導入部に過ぎないので、この後とんでもない展開が待ち受けています。FBI関係者、大金持ち、マフィア、南米諸国の要人、ニクソン時代の閣僚等、膨大な登場人物がそれぞれの思惑で行動し、それがくんずほぐれつしながら、最後に収斂していくという怒涛の小説でした。 ここで、エルロイ氏がやりたかった事が今まで書いた、暗黒のアメリカ史の集大成、総決算だったのではないかと思われます。上下二段組みで800ページ以上あるので、途中で挫折される方もいるかもしれませんが、なるべく最後まで読んだ方がいいです。これだけの情念や怨念を感じる小説は稀なので。この人とコーマック・マッカーシー氏はアメリカが暴力の歴史でしか捉えられないという前提があるみたいですね。 最近になって、沈黙を破り、新作を発表したそうですが、そちらはあまりいい評判を聞かないので、ここで創作につぎ込んだ人格を投入し過ぎてあまりいい出来にならなかったのでしょうか。いつか読んでから自分なりの意見を持ちたいです。 出来れば順番に読んだ方がいい作品。必読。 | ||||
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巻頭にきちんと登場人物が紹介されているのですが、 紹介されている登場人物以外に固有名詞の名前がわんさか出てきます。 あれ?この人誰だっけ?と数ページ戻って読み返しても唐突に登場した人物のエピソードは 有りません。ん?なんだこれ?だれ?と首をかしげる場面がどんどん出てきます。 さらに多くの登場人物がそれぞれ会話をするのですがとても短いやりとりで終わってしまう。 行の多くは、皮肉や比喩に占められ状況を説明する内容が殆どありません。 ですから誰の主観なのか判らなくなってくる。 多くの登場人物が何を目的に生きていて何をしようとしているのかも判らなくなってくる。 作中に出てくる読みずらい自体の挿話?注釈?も唐突で脈絡もない。 思いついた言葉や文章をそのまま書き連ねていく。 こ、これがエルロイ節なのでしょうか?正直、読みにくくてページが進みません。 多くの読者は書かれていることを具体的に画像で想像したりすると思うのですが、 これではなかなかそれができない。ということで注意力が散漫になってしまうのですね。 で、お話に入り込むことが難しくなって、目がしょぼしょぼして眠くなったりしてしまう。 エルロイをわかってないよなあ、あんたは!といわれればそうなのかもしれませんが 私はこういう構成のお話にとてもついていけないし高く評価することもできない。 乱読し続けていた吉村昭の文章に慣れてしまっているのかなおさらそう感じてしまう。 1960年代後半の米国の暗黒時代を歩んだ人たちの目を通して病み続けている米国の 裏社会を描いた作品なのでしょうが日本人の読み手をかなり選ぶでしょうねえ。 | ||||
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原題は物語の特徴が良く出てますイデオロギー的に中途半端な奴らの中途半端な大河小説 スパイ要素高めですがアイデンティティ喪失からもう一歩踏み込む姿勢はル・カレにはなかった ファムファタルによって右から左へ堕ちる男たちのノワールとしてジャンル小説的にも楽しめる 堕ちるといっても心地よく後悔もないところにブードゥーのモチーフをかぶせてくるあたり文芸してるし 自虐史観とか騒ぎそうな連中を煽る嫌がらせ本としても素晴らしい | ||||
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