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アンダーワールドUSA
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アンダーワールドUSAの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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※削除申請(1件)
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疲労とストレスで昏倒寸前の肉体を薬物の力で強制的に駆動する。 「ブラック・ダリア」の憑依は「ホワイト・ジャズ」の<意識の流れ>を経て、マジックリアリズムに接近した。 それは折れ曲がった鉈ではなく、翼である。 坊や。小僧。糞ガキ。覗き屋。パリグアヨ。 忠告してくれた悪人は殺された。庇ってくれた悪人も殺された。 悪人たちが遺した教え。 過ちは償えない。罪は贖えない。 闘いを引き継ぐことはできる。 しかし、救いは己の死によってしか与えられない。 苦悩。罪と罰。報い。 悪人が待ち焦がれた死は、右腕が翼になった男たちの姿で現れた。 ウェインは分かっていた。それだけに、このラストは受け入れ難い。 エルロイは自らの魂を成仏させてしまったらしい。 | ||||
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ジェイムズ·エルロイのアンダーワールドUSA三部作の第三部『アンダーワールドUSA(元題Blood's a Rover) 』四度目の再読。 基本的に三人の主人公の視点から、この小説は語られる。 ウェインの最後の行動に胸が高鳴り、ドワイトの幕引きの言葉に胸が締め付けられる。両者とも魅力的だが、やはり私はへなちょこの糞餓鬼クラッチ(覗き魔で熟女好き)がたまらなく好きだ。 ドン·クラッチフィールド。23才。 父親は頭のイカれたホームレス。 母親はクラッチがまだ10歳の頃に父親と別れ、彼の元を去る。 それ以来、彼は母親を探し続けている。 駆け出しの探偵である彼は、子供として描かれる。エルロイが子供を主人公に据えたことにまず驚く。 ある仕事をきっかけにアメリカの裏面史に関わっていく彼は、悪夢を抱え込みながら成長を遂げ、やがて終盤、死んでいったもの達の為に、愛する女の為に、そして自らの悪夢をしずめる為に、行動を開始する。 その決意の一つ一つが、激しく胸を打つ。 誰もが鼻であしらうクラッチは、実は誰よりも強い。何故彼はそこまで強くいられるのか。その秘密は恐らく彼の幼さにある。彼はその幼さゆえに自らの孤独の深さに気づいていないのだ。よって彼は自己憐憫に落ちない。どんな困難に見舞われようと、彼は怯えながらではあるが最善策を講じ切り抜けようとする。たった一人、誰の助けも無く。 幼さが強さ。こんな悲しく強い話しがあるだろうか。 フィリップ·マーロウもサム·スペードも、クラッチには敵わない。本物のタフガイとはドン·クラッチフィールドのことだ。 そしてこのクラッチ、実は若かりし頃のエルロイの生き写しなのだ。 もしかするとエルロイは、一番惨めで愛に飢えていた頃の自分に光を当てたかったのかもしれない。 邪推かもしれないが、そう考えるとエルロイファンとしては感動もひとしおなのだ。 この小説は私の宝物だ。クラッチに会う為に、彼の勇気に触れ、それを少しでも自分のものにする為に、これからも何度となく読み返すだろう。 | ||||
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アメリカで60年代に現金輸送車が襲われ・・・というお話。 上記は導入部に過ぎないので、この後とんでもない展開が待ち受けています。FBI関係者、大金持ち、マフィア、南米諸国の要人、ニクソン時代の閣僚等、膨大な登場人物がそれぞれの思惑で行動し、それがくんずほぐれつしながら、最後に収斂していくという怒涛の小説でした。 ここで、エルロイ氏がやりたかった事が今まで書いた、暗黒のアメリカ史の集大成、総決算だったのではないかと思われます。上下二段組みで800ページ以上あるので、途中で挫折される方もいるかもしれませんが、なるべく最後まで読んだ方がいいです。これだけの情念や怨念を感じる小説は稀なので。この人とコーマック・マッカーシー氏はアメリカが暴力の歴史でしか捉えられないという前提があるみたいですね。 最近になって、沈黙を破り、新作を発表したそうですが、そちらはあまりいい評判を聞かないので、ここで創作につぎ込んだ人格を投入し過ぎてあまりいい出来にならなかったのでしょうか。いつか読んでから自分なりの意見を持ちたいです。 出来れば順番に読んだ方がいい作品。必読。 | ||||
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巻頭にきちんと登場人物が紹介されているのですが、 紹介されている登場人物以外に固有名詞の名前がわんさか出てきます。 あれ?この人誰だっけ?と数ページ戻って読み返しても唐突に登場した人物のエピソードは 有りません。ん?なんだこれ?だれ?と首をかしげる場面がどんどん出てきます。 さらに多くの登場人物がそれぞれ会話をするのですがとても短いやりとりで終わってしまう。 行の多くは、皮肉や比喩に占められ状況を説明する内容が殆どありません。 ですから誰の主観なのか判らなくなってくる。 多くの登場人物が何を目的に生きていて何をしようとしているのかも判らなくなってくる。 作中に出てくる読みずらい自体の挿話?注釈?も唐突で脈絡もない。 思いついた言葉や文章をそのまま書き連ねていく。 こ、これがエルロイ節なのでしょうか?正直、読みにくくてページが進みません。 多くの読者は書かれていることを具体的に画像で想像したりすると思うのですが、 これではなかなかそれができない。ということで注意力が散漫になってしまうのですね。 で、お話に入り込むことが難しくなって、目がしょぼしょぼして眠くなったりしてしまう。 エルロイをわかってないよなあ、あんたは!といわれればそうなのかもしれませんが 私はこういう構成のお話にとてもついていけないし高く評価することもできない。 乱読し続けていた吉村昭の文章に慣れてしまっているのかなおさらそう感じてしまう。 1960年代後半の米国の暗黒時代を歩んだ人たちの目を通して病み続けている米国の 裏社会を描いた作品なのでしょうが日本人の読み手をかなり選ぶでしょうねえ。 | ||||
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原題は物語の特徴が良く出てますイデオロギー的に中途半端な奴らの中途半端な大河小説 スパイ要素高めですがアイデンティティ喪失からもう一歩踏み込む姿勢はル・カレにはなかった ファムファタルによって右から左へ堕ちる男たちのノワールとしてジャンル小説的にも楽しめる 堕ちるといっても心地よく後悔もないところにブードゥーのモチーフをかぶせてくるあたり文芸してるし 自虐史観とか騒ぎそうな連中を煽る嫌がらせ本としても素晴らしい | ||||
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良く次から次へとこんなヒドイ世界を探して来ますね。感心しながら耽読状態です。 | ||||
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いつ読んでもジェイムス・エルロイの世界は映像的で素晴らしいですが、描いている内容はキツイですね。 | ||||
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“LAコンフィデンシャル”が出た頃から新作が出る度に読んでます。はっきり言います!このオッサンはおかしいです!!登場人物も段々おかしくなって大概破滅します。わかっちゃいるけど読むのを止められねぇ!! だって現実世界とリンクしてて虚構と現実の境が曖昧で読んでるこっちも訳がわからなくなってくるんだ〜! | ||||
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エルロイのシリーズは、順番に読まないと判らないし、勿体無いデス 私には超傑作。好みは人それぞれの部分あるでしょうが、質の高さが半端ではないです | ||||
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上巻でどんどん増殖した主要キャラクターが絞り込まれ、内面が吐露されていく下巻。 広がった世界にいくつかの深い淀みが示されることで、読み手はやっと物語のつながりを感じ始め、終盤へと向かうモチベーションが高まる。 しかし、JFKやキング牧師を配して綴られた前2作と比べると、今作には日本人にとってなじみのある歴史的事実が少なく、唯一残るフーバーとニクソンの存在感も薄く、すでに歴史とは切り離された形。特にハイチは呪術と麻薬に浸った幻想の森のようで、アメリカを舞台にした、という印象すら薄めてしまう。その結果、前2作を読んでいない身としては、この3部作が描く叙事詩の全体像を満喫できていないのではないか、という思いがぬぐえず、心残り。 | ||||
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私はこのアンダーワールドUSAから読み始めてしまったので、頻繁に登場する前2作からの回想シーンに乗りきれず、なんだか前作の粗筋を斜め読みしているような気分。主要キャラクターの中で本作から登場したクラッチについても、今一つ葛藤の場面が少なく、気持ちが絡みづらい。まだ上巻しか読んでいないので、下巻まで読めばもう少しこの世界観に浸れるようにと願っている状態。 それにしても、第1作のアメリカンタブロイドは現在絶版状態で、新品が買えない。デストリップならまだ購入可能だが。せっかく第3部を出版したのだから、少しでもアンダーワールドUSAを重版して、新しい読者がこの3部作を最初から体験できるようにしてほしかった…。 | ||||
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1958年から1972年までのアメリカを舞台にその裏で関わった悪党たちを描いていく三部作の第三部/完結編です。 ジャック・ケネディの暗殺までを扱った第一部「アメリカン・タブロイド」は舞台を広げすぎたか、人物も物語も全体的に薄い感じでした。その暗殺隠蔽からベトナムそしてロバート・ケネディ/マーティン・ルーサー・キング暗殺までを描く第二部「アメリカン・デス・トリップ」。これは文句なしに面白かったです。傑作でした。 そしてこの第三部。ニクソン大統領、中米進出を狙うマフィア、左翼と黒人に怯えるFBI長官フーヴァーと潜入工作、ハイチ、そしてフーヴァーが死ぬ1972年までを描きます。前作の刊行から10年たっていますが、最初のほうの章に前作のあらすじ説明がされてあり、読む側としては助かりました。登場人物、物語はエルロイらしい切迫感のあるもので面白いことは面白かったです。ただ今回はちょっと強引というかそんな感じもするし、都合よく殺してしまう/死んでしまうという展開も多いように思いました。新聞や雑誌の記事/見出しをところどころに挿んで補足説明にするというのはエルロイがよく使う手法ですが、今回は主要人物の日記も挿入文書にされてありちょっと都合よく説明しすぎのようにも感じました。 とはいえ、面白いことは面白かったですし、前二作を読んだものにとっては読まなきゃいけないでしょうし。前作刊行から時間がたっていますが、とりあえず完結させてくれたことはうれしいです | ||||
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長かった物語がようやく終わりました。 読み終わった直後に書いていますが、ただ物語の持つ力圧倒されたというのが、読後感を象徴する最も適切な言葉でしょう。 小説としては、主要登場人物にフォーカスするあまりいくつかのサブプロットが置いてきぼりになる、ストーリーを進める為に地の文や挿入文書を使った補足説明を多用するといった欠点が目に付きます。 しかし、人種や政治的な差別が横溢する裏社会で必死に生きる登場人物たちが、懊悩の中、行き急ぐ姿は、娯楽小説という枠組みを否定し、多々物語としての存在感が強く感じさせます。 長い三部作ですが、是非第一部「アメリカン・タブロイド」から読み薦めて欲しいシリーズです。 これから三部作を読み始める人は、次作の刊行を首を長くして待つ必要が無いので、うらやましいと思います。 | ||||
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とにかくエルロイ節が全開。 黒人の台頭に恐怖を抱くFBI長官のフーヴァー。その元で黒人の権威を失墜させる密命を帯びたFBI捜査官ドワイト。 父殺しを犯した元刑事は、ドミニカ共和国をマフィアのカジノ進出先にすべく蠢動する。 その中で、ふとしたことから巨大な陰謀の中心に巻き込まれてしまった若き探偵クラッチ。 FBI捜査官、元刑事、若き探偵を軸に、黒人の公民権運動が巻き起こるアメリカを舞台に、陰謀と暴力を描き切る。 いきなり武装強盗のシーンから始まる冒頭に度肝を抜かれる。 キャラ立ちも良いし、次々に展開する話も興味深いのだが、アメリカン・タブロイドなどと同じく、とにかく長く複雑で登場人物が多い。 上下二巻でとんでもない分量。腰を据えて読む必要がある。エルロイ作品が好きな方は間違いない。 | ||||
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ケネディ家という裏のメインキャラクターを失ったからか、前2作ほどの熱にうなされたような息苦しいまでの力強さは、トーンダウンしているようです。 とはいえ、妄執に満ちた登場人物たちの姿は禍々しい狂気に満ちており、エルロイファンの期待に答えてくれるでしょう。 残念ながら、L.A.三部作に比べて、このニューヨークアンダーグラウンド三部作は、その長さ、登場人物の多さ、日本人にはなじみが薄い歴史的背景などから、なかなか手を出しにくくなっていますが、是非読み継がれて欲しい作家、作品です。 | ||||
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