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栄光なき凱旋
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栄光なき凱旋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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エンターテイメントとくくるにはかなり内省的で、日系人のアイデンティティを獲得するための苦悩が、色んな言葉に換えられて繰り返し表現されていて単調な感じがしたし、少々くどいとも思った。しかし、最後まで読みきればそれを差し引いても余韻のある読後感が残った。 | ||||
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第二次大戦中のアメリカで生まれ育った日系2世達、自分達は、日本人なのかアメリカ人なのかという迷い。自分たちの敵はどっちで見方はどっちなのか。 1つの殺人事件を伏線にして、ストーリーは進み、ジャップと罵られながらも、アメリカの為に戦うことを決意する2世達の難しい立場、苦悩、家族愛、愛国心を描いた大作です。 | ||||
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第二次世界大戦中、アメリカの日系人たちが味わった苦難の様相はわずかに歴史教科書で触れる程度でほとんど知りませんでした。ヨーロッパ戦線で日系人部隊が多数の死傷者を出しながら戦ったことも多少聞きかじってはいたものの詳細について理解することはありませんでした。主人公の三人の日系人は全く立場は違うものの二つの祖国日本とアメリカとの狭間に立ち、苦しみながらも懸命に生きて行こうとしています。戦争の残酷さを改めて浮き彫りにし、矛盾に苦しむ若者たちの生き様を見事に活写しています。重いテーマですが真保 裕一氏が新しい境地を切り開いた上質の作品に仕上がっています。読後に思わず涙がこみ上げるのを禁じえませんでした。戦争を知らない世代の人々もぜひ読んで欲しいと思います。 | ||||
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心のなかに錘が降りたような読後感とひたひたと押し寄せる感動と で、読み終わってしばし呆然としました。古処誠二や池上永一という作 家達が試みていたこと、それは二十世紀の日本を今日の視点から客観化 すること、それもそのひとつの集約としての太平洋戦争を通じて行うこ と、それがやっとひとつの形として結実した思いがしました。 本作、最終の第5部で、日系部隊の歩兵、あるいは語学兵としてそれ ぞれ過酷な体験を強いられた三人の主人公の人生が、ジローの傷害致死 を問う裁判を通し交差します。すなわち、信頼と友情を保つマットを挟 み、ヘンリーの絶望とジローの憎悪が激突します。そこで透けて見えて くるものは、肌の色で差別する白人達を見返すために戦場に向かう日系 二世達と、無理に背伸びしてアジアを支配する白人達に挑戦する軍国主 義日本とが重なり合った姿です。しかも、それが日本軍の真珠湾奇襲に よって引き起こされたというのは、歴史の皮肉といって済ますには重大 過ぎます。何ということでしょう! 閑話休題。昔、国民文学論という立場がありました。そこで議論され た純文学と大衆文学間の垣根を取払うというテーマは大量消費社会の出 現によりなしくずしに実現してしまいました。けれども、そこに潜んで いた国民の精神的財産としての文学の形成というモチーフは、今でも達 成されているとは思えません。結末での主人公達の消息がやや不自然あ ることなど、本作の完成度には不満もあるのですが、本作で初めてその 一歩が刻まれたと言っては、評価が過ぎるでしょうか。 | ||||
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朝日新聞の書評で興味を持ち購入してみました。 板ばさみになった日系人の複雑な心境を物の見事に 活写して一気に読了しました。 グローバル化の時代に海外で活躍している 多くの邦人にこの物語を読んでほしいと願います。 さらにこのストーリーは映画化するに値すると 直感しました。それも日本人の監督によるアメリカ 映画として。 | ||||
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最初は淡々としていて後半半分位までは読み進みにくいが、最後はやはり読者の期待を裏切らない。 環境も境遇も異なるジロー、ヘンリー、マットが、それぞれの思いで運命を背負い、 多くの犠牲を受け容れ、すべてを失っても、最後まで守ったもの。 守る意味は何か。 第2次世界大戦中の日系移民の苦悩を通して、気高さや誇りを持つことの尊さを感じさせられる。 さらに主人公や仲間達、脇を固める人物達まで、それぞれの個性が掘り下げられており、心の痛みも痛切に伝わってくる。 どのキャラも好きにならずにはいられなかった。 また、戦線での描写は、戦争映画などの画像で捉えるよりもよりリアルに鮮烈に、悲惨な状況を映し出していた。 読後は虚しさなのか、儚さなのか、切なさなのか自分でも解せない感情と清々しい感動に包まれた。 重いテーマも決して陰湿さは残さず、勇気を与えられるような真保作品はやはり最高だ。 | ||||
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アメリカにおける日系人の視点から第二次世界大戦を描いた力作。 自分たちの祖国はアメリカでありながら、敵国人として扱われる二世、三世の葛藤。 そして、祖国日本との戦いに自分の子供達を送り出さなくてはならない一世の苦悩。 アメリカ人であることを証明するために、あるいは日本に対する憎しみ故に兵士として参戦したものの、いざ日本人と相対した場合、敵兵である日本人の価値観に共感を覚え、自分の中に流れる「日本人の血」を感じるあたりの描き方が秀逸であった。 なお、作品中、一件の殺人事件はあるものの、ミステリー性は薄い作品である。 ところで、下巻のp441に「引き金に指をかけた瞬間、脚の足を激痛が貫き」という文章がありますが、これは「左(か右)の足(か脚)を激痛が貫き」の間違いでしょうか? きちんとした作品でも、こんなことがあるのですね。驚きました。 | ||||
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◆イタリア戦線の描写が長く、読者もつらい時間を過ごすことになる。 終戦後、ジローはポール殺害の被告人として法廷に立つ。 ヘンリーは検察側証人として、マットは悩んだ末、弁護側証人として法廷に立つ。 こうして3人の主人公は日系人被告、証人として、白人の検察官、裁判官、陪審員の前で、再会する。 戦場の場面に多くのページを割いてきたこの小説だが、 実はこの裁判の場面が、クライマックスだと言える。 日系人に対する差別を陪審員達は結局否認することになる。 この裁判はジローの殺人容疑を裁く以上に、アメリカ社会の歪みを追及する場でもあったのだが、 現実はやはり白人有利の状況が続くのである。 ジローは懲役20年の判決を受け、服役する。 ◆1957年。8年の刑期を余してジローは釈放され保護観察処分となる。 ジローはある目的を持ってリトルトーキョーのヘンリーの両親の店に行く。 そして、そこで知らされた事実・・・。 その後、マットの実家を探すためジローはハワイを訪れる。 ジロー、マット、ヘンリーの3人の若者の背負ってきた人生をハワイの空と海が包み込む感動のフィナーレである。 | ||||
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久しぶりに真保裕一の新刊が出たのでさっそく読んだ。垣根涼介の「ワイルド・ソウル」がブラジル日系移民を題材としているのに対し、こちらはハワイやカリフォルニアの日系移民を題材とし、戦時中の彼らの悲惨な状況を描写している。こういう書き方が流行なのか、主人公の3人だけはフィクションで、彼らを取り巻く状況はノンフィクションというスタイル。戦時中の日系移民の状況については、僕もある程度予備知識があったのだが、日系移民が中途半端な有色人種としてかなりの迫害を受けたこと、ドイツ移民やイタリア移民は強制収容されなかったのに日系移民だけ強制収容されたこと、日系移民で構成される米軍部隊が困難な前線にばかり投入され犠牲者を増やしたことなどを読むと、改めて当時の日系移民の困難について考えさせられてしまう。本自体は、前半1/3は主人公の状況やバックグラウンドの説明が多いため、割と淡々と進むのだが、後半2/3はいつもの真保節が炸裂し、どんどん引き込まれてしまう。真保本の中でも高位にランクされるだろう力作。 | ||||
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