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黄金の島



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黄金の島の評価: 4.00/5点 レビュー 22件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

ベトナムを舞台に日本の現実を浮き彫りにした、冒険海洋小説

元船員りヤクザ・坂口修司は、組の兄貴分の罠で対立組織との抗争に巻き込まれ、命を狙われる身となり、日本を追われベトナムへとたどり着いた。そこで黄金の国・日本へ渡ることを夢見るシクロ乗りの若者と出会った。町を牛耳る顔役や悪徳警官らと対立しながらも夢の実現のために生きていく彼らの姿に感心する反面、あまりにもその夢が現実離れしていることに修司は苛立ちを覚えていった。だが、ベトナムでも狙われる立場となり、自らの望郷の念も重なった修司は、ベトナムの若者数名と共に密航し、日本に戻ることを決意するが、追っ手はすぐそこに迫る。果たして修司とベトナムの若者達は無事に日本へ辿り着けるのか? そして日本では何が待ち受けるのか? 真保裕一の2年ぶりの長編として期待しながら読み進めていきましたが、上下段で約550ページの分厚さだったものの、その厚さが内容の濃さに繋がっています。物語での登場人物は日本人、ベトナム人共に多いですが、修司の組の対立組織の構図、修司が想いを寄せ連絡を取り合う幹部の愛人・奈津、ベトナムでの立場……と、複雑ながらも構成の巧さが光ります。またベトナムの若者達が、ひたすら日本に行くことだけを夢見て、懸命に働き行動する姿はせつないながらも胸を打ちます。ラストは想像以上の展開が待ち受けますが、その意外性が修司とベトナムの若者との心の絆をしっかりと描いています。発展途上国ベトナムを舞台に日本の現実が浮き彫りにもされていますが、冒険海洋小説としてもスケールの大きさだけではなく、展開の奥深さを感じられる作品でした。
黄金の島Amazon書評・レビュー:黄金の島より
4062106566
No.1:
(5pt)

アジアン・ノワールと海洋冒険小説の二つの魅力

次に何を書くか予想もできないジャンル無用の作家・真保裕一。今度は何とアジアン・ノワールに挑戦。常に読者をいい意味で裏切り、作家的取組みをその姿勢に示す人だから、まあこういうのもありか、と納得はできるのだが、読み進むにつれて明らかになってゆくノワールの濃密さ。
 「ヴェトナム戦争」という単語でしか知らないヴェトナム。戦争以降のヴェトナムの真実について、これほど掘り下げて描いた娯楽本というのは、初めての体験である。ボートピープルの質が、いつかしら政治亡命から、経済的な種類のものに変わってきていることなど、こういう物語を体験しないとなかなか感覚的に掴めないものだ。
 そしてこの本の白眉は、カバー絵で暗示されている通り、海洋冒険小説として味わえるヴェトナムから日本への脱出航路なのだ。ヤクザになり切れぬ日本人と、貧しさの底から這い上がろうとする若きヴェトナム人たち。真保裕一中、最も雄大なスケールを持った作品。何よりもきれいごとの多かったこの作家から一皮剥けた結末に向けて、疾走する物語。ドラマの軋みが聞こえてきそうだ。直木賞候補作になったそうであるが、受賞を逃したのが惜しいくらいに、作者入魂の一冊であるのだと思う。
黄金の島Amazon書評・レビュー:黄金の島より
4062106566

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