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黄金の島
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黄金の島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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いい話だった。文庫化された真保裕一の作品はほとんど読んでいるがその中でもっともお気に入りの作品になった。そして同時にいろんなことを教える作品でもあった。 「黄金の島」は、ヤクザの追っ手から逃れてベトナムに辿り着いた坂口修二とベトナムで日本に行くことを切望する若者カイとその仕事仲間のたちの話である。 ベトナムに住む人々に言わせれば僕らの住む日本はアジアで唯一ヨーロッパやアメリカと肩を並べられる「黄金の島」である。日本に行けば幸せが待っていると信じるベトナムの若者達、ところが教育水準は低く彼等は日本の正確な位置も知らないのだ。 南ベトナム敗戦後、92年までに東南アジア地域に脱出したボートピープルは79万人以上と言われているが彼等を喜んで受け入れた国はほとんどなかった。ボートピープル達はやっと到着した国で難民認定さえ得られず、不法入国者や不法滞在者となってさまよった。中には陸地を踏むことすらできず、海で餓死したり、海賊によって犧牲になった人も多かったという。 テレビでもたまに日本の領海に入って来たボートピープルを放送していたと記憶している。それを見て、「なんて無茶なヤツラなんだ」とか「そんな小さな船で日本目指してどうするんだ?」とかそんな風に思ってなかっただろうか。日本と言う経済的に裕福な国に生まれたと言うだけで彼等を見下して見てはいなかっただろうか。 「黄金の島」の中で夢に向かって生き続けるベトナムの青年達、彼等の生き方こそ、僕ら日本人が忘れているモノではないか。僕らが見習わなければいけないものではないか。働かなくても食べ物ぐらい手に入る。そんな裕福な国で生活している内に、何かを追い求めることすら忘れている人間が多いように思う。そう痛感させられた。 | ||||
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今日上巻を読み終えて、下巻を読み始めました。 夢を抱くベトナムの若者達、それを阻止する社会のシステム。どこにいても、自分の夢のために順風満帆に進んでいける人なんて一握りしかいない。現実はそんなものだ。と感じさせつつも、諦めてしまってはその場で人生は終わってしまう。やはり人間は目標があってこそ何事も一生懸命頑張れる事を強く感じさせてくれました。 下巻はどのように物語が展開していくのか。。。 楽しんで読んでおります。そんなに重苦しい内容ではないから、どなたにもお勧めできます。 | ||||
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感情を交えぬ、緻密な描写は、映画を見てるようです。 2~3本の冒険映画を見た後のような充実感と満足感が得られます。 本の代金と、選られる楽しみを比べると、お買い得だと思います。テンポよく進むストーリーは、貧困、欲にボケた人間のおろかさが中心に展開され暗めです。しかし、その中で主人公の捨てられない、甘いロマンティズムが、淡々と描かれているところに、読んでる方まで、少し甘い気分のされてしまいます。 少し残念なのは、結末の味が、あまり良くなかったです。ま、これは個人の感じ方によると思います。週末、家で、じっくり楽しめる分量と内容です。 | ||||
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感情を交えぬ、緻密な描写は、映画を見てるようです。 2~3本の冒険映画を見た後のような充実感と満足感が得られます。 本の代金と、選られる楽しみを比べると、お買い得だと思います。 テンポよく進むストーリーは、貧困、欲にボケた人間のおろかさが中心に展開され暗めです。しかし、その中で主人公の捨てられない、甘いロマンティズムが、淡々と描かれているところに、読んでる方まで、少し甘い気分のされてしまいます。 少し残念なのは、結末の味が、あまり良くなかったです。ま、これは個人の感じ方によると思います。 週末、家で、じっくり楽しめる分量と内容です。 | ||||
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もともとが雑誌に連載されたものであるためか、次の展開に期待を持たせる文章構成が徹底されており、読み出したら止まらないです。ただ残念だったのは、国外逃亡したヤクザ坂口の存在が、単なる「語り部」としてとしか機能していないこと。物語の本筋は、黄金渦巻く島「日本」に行くことを夢見るベトナム人シクロ乗りの話なので、あまり共感が持てませんでした。希望に向かってがむしゃらに生きているという意味では、「戦後」をリアルタイムで経験した人たちは、別の感想を持つのでしょうか...? | ||||
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著者の作品を江戸川乱歩賞受賞作「連鎖」から読んでいるが、今までの作品の中では、「奪取」が私の中では1位だった。が、「黄金の島」を読んでそれも吹っ飛んでしまった。時間が経つのも忘れて一気に読んでしまった。 著者の作品らしく、ベトナムでの描写のディティールの細かさ。日本のみの舞台設定では描くことができないスケールの大きさ。読み応え充分である。物語は修司を中心に複雑に絡まりあっていく。特に修司のキャラクターがいい。すんなりと感情移入できる。また、黄金の島、日本を夢見るシクロ乗りチャウからの視点が効果的。ベトナムの内情が垣間見える。本作品の値段は一見高いように思うかもしれないが、余りあるカタルシスがある。 間違いなく真保裕一の現時点での最高傑作である。 | ||||
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元船員りヤクザ・坂口修司は、組の兄貴分の罠で対立組織との抗争に巻き込まれ、命を狙われる身となり、日本を追われベトナムへとたどり着いた。そこで黄金の国・日本へ渡ることを夢見るシクロ乗りの若者と出会った。町を牛耳る顔役や悪徳警官らと対立しながらも夢の実現のために生きていく彼らの姿に感心する反面、あまりにもその夢が現実離れしていることに修司は苛立ちを覚えていった。だが、ベトナムでも狙われる立場となり、自らの望郷の念も重なった修司は、ベトナムの若者数名と共に密航し、日本に戻ることを決意するが、追っ手はすぐそこに迫る。果たして修司とベトナムの若者達は無事に日本へ辿り着けるのか? そして日本では何が待ち受けるのか? 真保裕一の2年ぶりの長編として期待しながら読み進めていきましたが、上下段で約550ページの分厚さだったものの、その厚さが内容の濃さに繋がっています。物語での登場人物は日本人、ベトナム人共に多いですが、修司の組の対立組織の構図、修司が想いを寄せ連絡を取り合う幹部の愛人・奈津、ベトナムでの立場……と、複雑ながらも構成の巧さが光ります。またベトナムの若者達が、ひたすら日本に行くことだけを夢見て、懸命に働き行動する姿はせつないながらも胸を打ちます。ラストは想像以上の展開が待ち受けますが、その意外性が修司とベトナムの若者との心の絆をしっかりと描いています。発展途上国ベトナムを舞台に日本の現実が浮き彫りにもされていますが、冒険海洋小説としてもスケールの大きさだけではなく、展開の奥深さを感じられる作品でした。 | ||||
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次に何を書くか予想もできないジャンル無用の作家・真保裕一。今度は何とアジアン・ノワールに挑戦。常に読者をいい意味で裏切り、作家的取組みをその姿勢に示す人だから、まあこういうのもありか、と納得はできるのだが、読み進むにつれて明らかになってゆくノワールの濃密さ。 「ヴェトナム戦争」という単語でしか知らないヴェトナム。戦争以降のヴェトナムの真実について、これほど掘り下げて描いた娯楽本というのは、初めての体験である。ボートピープルの質が、いつかしら政治亡命から、経済的な種類のものに変わってきていることなど、こういう物語を体験しないとなかなか感覚的に掴めないものだ。 そしてこの本の白眉は、カバー絵で暗示されている通り、海洋冒険小説として味わえるヴェトナムから日本への脱出航路なのだ。ヤクザになり切れぬ日本人と、貧しさの底から這い上がろうとする若きヴェトナム人たち。真保裕一中、最も雄大なスケールを持った作品。何よりもきれいごとの多かったこの作家から一皮剥けた結末に向けて、疾走する物語。ドラマの軋みが聞こえてきそうだ。直木賞候補作になったそうであるが、受賞を逃したのが惜しいくらいに、作者入魂の一冊であるのだと思う。 | ||||
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