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黄金の島



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黄金の島の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

スケールがでかい冒険小説

1998年から2000年にかけて週刊誌に連載された長編冒険小説。組織を追われたヤクザが逃亡先のベトナムで知り合った若者たちの日本への密航に命を賭けて挑む、派手なアクション小説である。
恩義のある親分の謀略で海外逃亡を余儀なくされたヤクザ者の坂口修司は、組織から指示された潜伏先のバンコクで命を狙われ、ひとりでベトナムに逃げ込んだ。何の後ろ盾も無く異国で生き延びようとする修司が出会ったのは、サイゴンの最下層で暮らすシクロ乗りの青年たちだった。ベトナムに移っても正体不明の刺客の存在や地元警察の腐敗警官の脅迫に危険を感じた修司は、青年たちの助けを借りて潜伏するとともに、彼らの「黄金の島・日本」への密航という憧れを手助けするようになる。そして、ベトナムの社会に追いつめられた若者たちと日本のヤクザに追いつめられた男は、決死の覚悟でベトナムの海岸から船出したのだった・・・。
一方にはバブルの恩恵で肥え太ったヤクザたち、それに寄生する女たち。一方には祖国統一の恩恵には恵まれず、血眼になって生きる道を開いていくベトナムの若者たち。その狭間で揺れる良心的ヤクザ。それぞれの立ち位置で身に付けた思考と行動がリアルに絡まって、思いがけないドラマに広がっていく様が非常に説得力がある。登場人物たちが善人・悪人という軸だけでは判断できない複雑さを抱えているのもいい。ベトナムという異境の雰囲気も非常に迫真的で、ぐいぐいと読者を引っ張っていく。さらに、最後の密航シーンのスリルとサスペンスは、真保裕一ならではの迫力がある。
ヤクザもの小説ファン、冒険小説ファンはもちろん、「熱量がある小説を読みたい」という人にオススメだ。

iisan
927253Y1

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