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聖なる黒夜
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聖なる黒夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全58件 41~58 3/3ページ
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ミステリを下敷きにした、極上の恋愛小説であると私は感じました。それも、哀しみや苦痛の淵から掬い上げるような愛ではなく、もっと破滅的な愛。深くて暗い処に、どうしようもなく堕ちて行くような愛です。それでも微かな温もりを残す、不思議な読後感をもたせる作品でした。 「ある事件が原因で、理不尽に闇の世界へ転落することになった青年」という、一見すると感情移入しにくそうな山内の激情が、読むたびに身を刺すように伝わってきます。そして、山内を闇の世界へ突き落とす原因の一端を握ったとも云える刑事・麻生の苦悩や懺悔も。壮絶ともいえる愛憎が、ページを繰るたびに溢れ出してくるのです。 私がこの本を手に取った切欠は、某雑誌で「匂い系(BLテイスト)」として紹介されていたからなのですが、とてもそんな生やさしい表現では足りません。もともとBL小説は好んで読んでいましたが、もう愉しんでは読めなくなるかもしれない…とまで感じました。そのくらい、世にあるBLレーベルの小説をはるかに凌駕した、とにかく「極上の恋愛小説」だったのです。 人間の業(ごう)だとか人と人との縁(えにし)だとかを、まざまざと見せ付けられた、という感じです。 愛で救えるか。 贖(あがな)いと赦(ゆる)しは、堕ちていく其の先にあるか。 そして、再生は? 同性愛的な表現が随所に出てきますので、苦手意識のある方や興味のない方は手を出しにくいのかもしれませんが、ぜひ、多くの方に読んで欲しい。その部分だけに捉われてこの本を読まずにいるのは、とても勿体無いような気がするのです。BLというよりは、セクシャリティやジェンダー、愛の在り方に深く切り込んだ作品となっています。ぜひ、お手にとってみて下さい。 もちろん警察小説としてもすごく魅力的で、最後まで飽きさせず一気に読ませる勢いがあります。このあたりは、効果的な改行も手伝っているかな、と思えます。リズムというか臨場感があるので、長編ではありますが難なく読めてしまいます。文庫版をお求めの方は、ぜひ上下セットで。 因みに、同作家さんの緑子シリーズから派生した作品ではありますが、この「聖なる黒夜」からでもまったく問題なく入れます。私は、これを読んだ後に緑子シリーズとハナちゃんシリーズを手にしました。物語(シリーズ)間の、登場人物のリンクも魅力の一つですよ。 何度でも云います。この「極上の恋愛小説」を、ぜひご一読ください。 | ||||
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私にとっては「観覧車」の後、2冊目の柴田よしき作品でした。上巻の途中までは、もしかして柴田よしきは男性だった?と思いましたが、下巻で会話を中心に女性作家特有の特徴が顕著になるので、女性であることを再確認しました。 高村薫の「李謳」を彷彿させながら、会話の多さ(特に下巻)で読みやすい(柴田作品はどれも会話主体で読みやすいですが、その中ではこの作品は際立ってじっくり読ませますが)。BL愛好家にもファンが多い作品だそうで、その点も「李謳」に似ているのかな。ですが、この作品はボーイズラブというジャンルに特定される作品ではなく、ミステリーでもあり、警察小説でもあり、ヤクザ文学でもあり、ハードボイルド作品であり、哀しい人間の心の道程を綴った作品でもあり、色々な要素の詰まったジャンルの特定の出来ない幅の広い深い傑作だと思います。衝撃的でした。RIKO作品も花咲シリーズも読了しましたが、一番ダークで、一番印象の強い作品で、柴田作品で一番好きな作品です。著者自身も一番大事な作品だそうですが、頷けます。 ポイントは山内と麻生の心の旅路です。それは社会的には転落であり堕落でありながら、美しい愛の軌跡であり、その心の旅路が丹念に書き込まれていて他者を寄せ付けない高潔ささえ漂います。おススメです。 | ||||
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柴田さんの作品はClose to youから読み始めました。その後、観覧車やMiss youなど、シリーズものじゃないものを選んで4〜5冊読んだと思います。 この本もシリーズものとは知らずに、評価がよいので手にとってみました。 まず私が今まで読んできた柴田さんの作品とあまりに違うタッチで驚きました!考えてみれば、これまでは女性が主人公で女性の一人称で語られるものばかり読んでいました。それがいきなりの男性視点、描かれてる世界も…。まるで別の作家の作品みたい…例えば…そう、高村薫を読みやすくしたような。まわりくどい描写を直接的な表現に変えたような感じ?あ、私は高村薫の全作品を読んでいるファンです。 改めて、柴田さんの力量を感じました。話そのものも二転三転してグイグイラストまで引っ張って行きますし、麻生や連らの終わらない苦しみが徐々に自分にものしかかってくるような、ただよく出来た話というだけではない、心に何かを落として行く作品だと思います。 これまでは柴田さんは女性の心理を丁寧になぞったミステリーを書く人、という印象でしたが、この作品で大きく印象が変わりました。いきなり新しい色を投げ込まれて何色っていう判断が出来なくなりました(笑)。これから注目していこうと思います。 | ||||
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とにかく、一気に読んでしまった。 これから購入される方は文庫なら必ず(上)・(下)の2冊同時購入をお勧めする。 どうにも濃い人間の魂の物語でもあり、警察小説としても、ミステリとしても、恋愛小説としても読める。 運命ってなんだよ? 宿命って何さ?? なんども読みながらそうつぶやいては何とか登場人物たちが幸せな結末をたどれる道を探そうと前のページをめくるのだが、作者はそんなことは許してくれない。 ここに描かれた哀しいまでの真実の物語を、読者はただ黙って受け止めるしかないのだ。 聖なる夜に始まって、未だ終わることなく続く、長い永い夜の物語を。 | ||||
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とにかく、下手な解説はいいから、一度読んでいただきたい作品です。 私自身、書評で知って読んで、世の中には出会うべくしてであった本と出会えず終いで終わる本があることを実感しました。そうであれば、この本と出会えた喜びを心から嬉しく思っています。 とはいえ、中身はそれほど純粋でも美しくもなく、本当に人間関係がどろどろとして、ひょっとすると途中で読むのが嫌になる人もいるかもしれません。しかし、ただただ読み進めていくうちに、なんともいえない人間の出会いの機微や哀しさ、残酷さそして愛しさ、雑多な感情が渦巻きます。 麻生刑事とサイバーヤクザ山内との初めての出会いも、その後の二人の長い確執の始まりでした。なぜ山内が暗闇の世界に足を踏み入れるようになったのか、それを知ると背筋が凍るような思いを禁じえません。自分の転落人生の元凶ともいうべき男に想いを向けてしまう、それは愛や恋等といった言葉では簡単に語れません。 二人はこの本以外にもRIKOシリーズにも出てきますが、その中でも、警察署から出てきた麻生さんを山内が車で迎えにきていたシーンは秀逸です。本から映像が抜き出て、私の想像力を掻きたてました。 作者の柴田よしきさんは、登場人物の描き分けもうまく、とくに脇役が巧く描けているので、ストーリーはとても読みやすく楽しめます。その作品に関して、楽しめるかどうかは別ですが。最後のシーンで、何もかも知ってしまった麻生刑事の心中を察すると、人間知らないですむことなら知らないほうがいいことも人生多々あるんだという気がします。とりわけ、知ってしまっても何の解決方法がない場合は。 結局、ぐだぐだと書き綴ってしまいましたが、読む本がないといっているあなたにぜひ読んでいただきたい。人の人生の深遠を知ってしまうかもしれません。 | ||||
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たくさんの人々の過去や現在が縦横に織りなされて描かれる物語。 暴力団幹部韮崎が殺された事件の犯人を追う麻生警部が主人公だが、韮崎の愛人で昔麻生が強姦未遂で逮捕した過去がある山内練の物語とも言える。 登場人物の多くが辛い過去を背負っていて、その苦しみが丁寧に描かれている。 辛い話だけれど、自分的には読んで本当によかったと思っている。 ただ、同性愛に嫌悪感がある人はだめかもしれない。 | ||||
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上下巻で結構ページ数もあるこの「聖なる黒夜」は読み始めてから止まらなくなりとうとう一日と一晩で読み終えてしまいました 人間ドラマの要素とミステリーの要素がうまく絡まって続きが気になり気になり ページをめくる手が止まりませんでした 柴田よしきさんの小説に出てくる登場人物一人ひとりがとても魅力的です 今回の主要人物である麻生と練は今までの柴田作品(RICOシリーズ、花咲シリーズなど)の中で登場していましたがこの二人にスポットをあてた作品が読めて本当に嬉しかったです この本を読み終わった人、そしてこれから読む人はこの二人が出てくるシリーズも読むときっと面白さが倍増すること間違いナシです この二人のその後の話が読めるのを私は楽しみに待っている次第です この作品を読んでしまえばきっと柴田作品のとりこになってしまうはずです 実際私がそうなってしまったように・・・ | ||||
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冤罪や犯罪被害者など、重いテーマを盛り込みながら、濃密な人間ドラマとスリリングな犯人捜しの刑事サスペンスが見事に両立している。まさにエンタテインメントの鏡のような作品に拍手を送りたい。 本作は、「RIKOシリーズ」など筆者の先行作品の外伝的な位置づけになり、それらのキャラクターのファンへのサービス的な意味合いもありそうだが、まったくそういう「おまけ感」はない。 主人公の刑事・麻生やライバルにして盟友の及川、敵役の山内練ら、登場人物が実に魅力的。麻生はハードボイルドの要素をたっぷり持った少しはみ出した刑事だし、山内練は過去に深い闇を抱える優男。 個人的には、かなりどぎつい男同士のラブシーンの描写が何度かあるのは嫌だったが、ページをめくる手を止める理由にはまったくならなかった。 | ||||
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密度の濃い作品です.書き込まれた人物のディテールも確かだし,ストーリーメイキングもしっかりしていますから,まず第1級のエンタテイメント作品であることは間違いないと思います.しかし私個人としては,全体に漂う「暗さ」にチョット耐えられなかったというのが,素直な感想です.何というか救いが感じられない.登場人物の全員が背負っている過去が暗すぎます.趣向は違うかもしれませんが,大沢有昌氏の新宿鮫シリーズの類似を感じるのですが,大沢作品にはない暗さを感じてしまいました. | ||||
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RIKOシリーズや花咲慎一郎シリーズでおなじみの「山内錬」を主人公に据えた一作。本筋は、山内錬のパートナーである韮崎誠一が殺され、その犯人をつきとめるミステリー。しかし前シリーズでちらほら散見していた山内錬がどうして今の彼になったのかというもうひとつの主題に目が向いてしまう。ナイーブな理工系学生がどうして「ヤクザ」と関わりをもち、自らも「若頭」になっていったのか?その答えが明らかになる。 この「聖なる黒夜」を読んだあと、もう一度RIKOシリーズや花咲慎一郎シリーズを読み直すと、違う世界が見えるかもしれない。 | ||||
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聖なる黒夜はすでに持っていたのですが、文庫になると聞きためらいなく買いました!…しかも、この文庫本には限定短編が!!!聖なる黒夜を知ったのが最近の為、諦めていたんですが…凄く嬉しかったです!この短編の為だけでも本を買う価値がありますが…本編ももちろん素晴らしい!私は練と龍太郎の虜になりました。とくに山内練というキャラクターに出会えて本当に幸せです。悲しいような優しい気持ちになれる物語です。是非読んでみてください。 | ||||
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とびきり善くできた小説。偶然,この本と出会った人は,幸運だと思えるくらい。 過去と現在。いくつもの事件,出来事が,長く尾を引きながら交錯する。それらの出来事は,利害関係の打算,夫婦や恋人や愛人との愛欲と執着,そしてどうしようもない心のすれ違いや行き違い,コインの表と裏のような,強さと弱さ,満たされることと乾くことと,複雑に絡み合っている。 複雑に絡み合ったものを,読みやすく,飽きさせないように,しかも軽薄で薄っぺらにならないように書く筆者の力はすごい。 とくに,異性間,同性間の愛欲の,ドロドロした矮小さと透明な哀しさとかすかに見え隠れする崇高さとが,印象深く,心を打つ。素晴らしい作品。 | ||||
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今まで、RIKOシリーズや花咲慎一郎シリーズを読んでいて、柴田作品ファンに多い、熱狂的な「山内練」の人気が分からなかった私が、この作品を読んで、初めてみんなの気持ちがよく分かりました。 主役2人について、丁寧に描かれていて、どうして落ちていったのかが痛いほど分かり、分厚い本ですが、一気に読めました。 読んだ後は、余韻に浸り、心に響く一作となりました。 | ||||
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今までに読んだことのない、まるで嵐のような作品だった。次々と展開されるストーリーは息をもつかせない。人間の絆という糸が複雑に絡み合い、どこでどう繋がっているのか、真相を知るたびに驚きの連続だった。人に弱みを見せない強がっている人間こそ、実は人にやさしくなぐさめられたいと願っている人間なのではないだろうか。その心の弱さが見えたとき、読む人は胸を揺さぶられるに違いない。この本に込められた作者の思いは限りなく深く、重い。 | ||||
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冤罪の怖さ、それを仕組む人間の傲慢さ、醜さ。 落ちていく仕組まれた心やさしき人。 もし自分がこのような目にあったら生きていけるのだろうか。 世を恨み、憎み自暴自棄になってしまう。 それでも日々は続いていく。 それは幸福なのか、不幸なのか。 | ||||
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RIKOシリーズを読む前にこちらを読んだけれども、十分楽しめます。この作品の魅力は何と言っても、山内 練。読む程に彼に惹かれます。ありふれた表現ながら著者は稀代のストーリーテラーとの言葉がしっくりくると思います。人物描写が素晴らしい。個人的にはこれを恋愛小説として読みましたが、他の方はどう読まれるんでしょうか? | ||||
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ミステリーといった様でも有り、恋愛小説といった様でもあり、内容がシンプルにできていません。そこがこの物語にはまってしまう、作者の手なのでしょうか。 初めてこの作者の作品を読みました。どうやら登場人物が他の作品にもかぶっているらしいことが、読書後に判明しました。 初心者でもまったく抵抗無くのめりこんでいける作品です。勧善掌握ではないこの世の中を、それぞれ登場人物の観点から描き出して、奥の深い作品に仕上がっています。といったら大袈裟かな・・・。 面白いです!!とにかく読んでみてください。 | ||||
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村上緑子シリーズのファンの方は、必ず読んでください。山内練と春日組とのいきさつ、麻生警部との出会い?などの疑問が解消されます。賛否両論あるでしょうが、私は山内練にもひかれる部分が大いにあります。 この本の楽しさ・暗さは、シリーズを読んでからでないと伝わってこないと思います。 | ||||
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