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マークスの山
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【この小説が収録されている参考書籍】
マークスの山の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全180件 101~120 6/9ページ
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| 重たい題材。 徹底的だが冷静な人物描写。 何度も出てくる「山」というモチーフ。 それを退屈と感じさせない豪腕。 読んでいるうちに、合田雄一郎という人間が、 読者の目の前に立ち上がってくる。 謎解きミステリーとしても及第点だけれど、 それ以上に「これでもか」という作者の力技、文章の特徴が出ている。 それだけに読者との相性も人によってバラバラだろう。 だから良くも悪くも印象に残る作品。 高村薫はこれで直木賞を獲っているけれど、 それよりも「このミス」1位(93年)に納得。 | ||||
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| 作品に出てくる人間模様、そして犯人の心理の移り変わり。縺れた糸が最後にはちゃんと一本の糸になる。これは警察小説でもなく、推理小説でもなく、人間の心の闇とか葛藤を描いたものだと感じました。 高村薫は読む人を選びますし、作品に入り込むまでに時間がかかります。でも高村ワールドに入ると、とりこになってしまいます。 読み終わって余韻が残り、色々と考えてしまうのも特徴だと思います。 | ||||
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| 抜群のリアリティーを発散させながらヴィヴィッドに展開される「捜査会議」の描写に感じ入った。「キャリア」対「ノンキャリア」。捜査陣内の対立、感情、思惑からまりあい、強い色彩を伴って人間模様が浮かび上がってくる。憎いくらいに「人間」の実相に迫っていて、思わず膝を叩いた。 「ヒーロー」である前に、まず「労働者」としての「警察官」が立ち上がり、力感ある描写によって、「捜査会議」は、あたかも部屋の空気が匂い立ってくるようなリアルさで迫ってくる。 この捜査陣を振り回す、残虐無比な犯罪者だが、哀切極まりない「生」への情熱を抱えこんだ「マークス」という特異なキャラクターの青年を作者は見事な説得力をもって描き出す。 自分ではコントロールすることができないパワーに支配され、振り回される「マークス」の犯人としての特殊性は、一見、我々の日常からかけ離れたものにも思えるのだが、「青春」というものがまさに、自分ではコントロールすることができないパワーに支配され、振り回されるものである、とするなら、にわかに、「マークス」の行為は人ごとでなく感じられてくる。 だから、「マークス逃げろ!」とはらはらする一方で「合田頑張れ!」とも思う。誰もが自分の人生を自分でコントロールしようと汗を流すのだ。 被害者側の「歴史」「動機」に説得力の弱さはあるが、追う側にも、追われる側にも偏ることなく、ジリジリと緊迫感を高めながら、「マークス」の、「合田」の真摯な生の営みを誠実に描き出していく作者の筆力はただ事でない。とりわけ「マークス」を全身で受けとめ、支えつくす一人の、宗教的とも言える女性の在りようは、物語に一層の陰影と奥行きを与えて印象に残った。 | ||||
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| 最初はしんどかった。というか、背景があまり理解できず、惰性で読んでいました。いろいろな人物が出てくるのと、えっ?だからの連続で、しかし、途中からぐんぐん引き込まれていくのはさすが高村薫。あの頃は左翼だの、右翼だの、いわゆる思想犯と言う言葉が氾濫した時代。それに学生が山を登って、連帯感を高めたり、今と違ってお家柄もいろいろな問題があったのだと思います。今では,鬱病なんて、現代人の病のような言われ方ですが、少し前なら汚れ物をみるような、精神病院なんて行ったら、人生が終わりだぐらいの、社会だったと思います。水沢が優しく声をかけてくれなかった豆腐屋の夫婦を殺害するところなど、狂っていても、そういう事は人間の記憶から消えず、とても悲しかったです。 | ||||
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| 上巻は中盤あたりからたるんでしまって面白くないなーと思っていたのですが、下巻のラストに向けての収束、その文章に舌を巻きました。 登場人物それぞれの背景が細かいため、それが逆に読みづらい部分もあったんですが、それでもこの構成力は素晴らしいなと。 一読しただけですが、破綻がない上、取材力がすごい。 下巻、ラストまで読んでよかったと思えるような水沢の最期も圧巻です。 | ||||
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| 上巻は中盤あたりからたるんでしまって面白くないなーと思っていたのですが、下巻のラストに向けての収束、その文章に舌を巻きました。 登場人物それぞれの背景が細かいため、それが逆に読みづらい部分もあったんですが、それでもこの構成力は素晴らしいなと。 一読しただけですが、破綻がない上、取材力がすごい。 下巻、ラストまで読んでよかったと思えるような水沢の最期も圧巻です。 | ||||
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| 正直、最初はもう読むの止めようかと思う位退屈でした。 でも、最初の山の事件が終わり、場所が東京に移った辺りからすごく面白くなってきました。最初は文体は硬いし、時代設定も古いし、山の中だけの話しだし…という感じでした。(^^; 最後まで読み終わると、最初の山の事件の1個1個(一つじゃないんです)が、全部どんな風に未来へ繋がって行くのか、また過去としてどうだったのか分かってきてミステリーとして申し分なかったです。 今まで読んでなくて済みません…という感じ。高村薫と言う人の名前は知ってましたが、文体の堅さのイメージが強くて、タイトルも重々しいのが多いですし。遠ざけてしまっていました。 次の『照柿』『レディ・ジョーカー』も読んでみたいです。 色んな伏線が散りばめられていて、ちゃんと最後に繋がって… 『模倣犯』と同じ様に、じっくり楽しめるミステリーでした。まだの方!お勧めです! 読後感もすっきり!のミステリーです。(^^*) | ||||
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| いくつもの登場人物の人生が,断片的に描かれながらも,やがてマークスをめぐる渦の中に巻き込まれていく。高村氏がすぐれているのは,そうした渦の円心と外側をたくみに描き上げること,また細密な場面描写によって読者を引き寄せることである。学ぶところの多い小説である。 | ||||
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| いくつもの登場人物の人生が,断片的に描かれながらも,やがてマークスをめぐる渦の中に巻き込まれていく。高村氏がすぐれているのは,そうした渦の円心と外側をたくみに描き上げること,また細密な場面描写によって読者を引き寄せることである。学ぶところの多い小説である。 | ||||
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| とにかく深い!ただのミステリーと思いきや、それ以上のものが詰まっています。読後は不思議な満足感を覚えます。 登場人物の多さや警察社会の難解さに初めは戸惑いますが、気付けばすっかりその世界に心を奪われています。ダラダラとした人間関係の描写に飽きてくると、絶妙なタイミングで事件が起きる。その繰り返しです。テンポが良いです。「16年前の事件」と合田刑事の追う一連の殺人事件の繋がりとは?ここまでスケールの大きな話を巧くまとめ上げた作者の腕には感服です。そしてこんなにも男臭い物語を女性が書いたと言うのにも驚きです。俗に言う「普通のミステリー」を読んできた人には衝撃的な一冊だと思います。 | ||||
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| 現場の事情を理解しようとせず,捜査にブレーキをかけてばかりいる 上層部との対立や,情報を互いに隠し持つことによる捜査のロスなど, 捜査側の内部事情は,リアルである。 会田雄一郎の造形も,なかなか魅力的なものに仕上がっている。その 会田が,不条理な制約のもとでも一歩一歩「犯人」像,「背景」事情に 迫っていく様は,読んでいて緊迫感があり,結局,途中で手を離せぬま ま,1日強で読み終わってしまった。 面白く,一気に読ませる作品ではあるが,振り返ってみると,どうも 腑に落ちない点が散見される。 例えば,「マークス」と「山」との繋がりには必然性があったのだろ うか? また,野村久志が死んだ理由や,死に至る経緯も,十分に説得的なも のであったのだろうか? ストーリーをきれいにまとめすぎたような気がするのであるが,こう いう感想が私の単なる誤解に基づくものであるのか否かは,本書を手に とって検討していただければ幸いである。 | ||||
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| 「白熱の警察小説」「警察小説の金字塔」と銘打たれ、映画化もされたので ご存知の方も多いかと思いますこの作品。 事件の芽は北岳で起きた一家心中事件。そこで生き残ってしまった少年が、十数年後ある家にこそ泥に入った事から、事件は思わぬ方向に転換してゆきます。 主人公は警視庁捜査一課七係の刑事・合田雄一郎。閑静な住宅街でやくざの男が他殺体で見つかり、彼の足取りや金の流れを追ううちにバラバラだった事件と人物が、大きな一つの流れに集約してゆく…。 「 マークス」と名乗る青年の目的は何なのか? 彼と弁護士・林原を繋ぐ糸は何なのか? 捜査に関する緻密で綿密な描写。登場人物一人一人に対する、もはや執念とも言うべき筆致。そして細かく張り巡らされた伏線の数々。 まさに圧巻! 高村薫の「(推理小説界の)女王」たる所以が随所に現れています。映画の方ももちろん観たのですが、これは2時間の映画ではなく、是非ともワンクール(13話)のドラマにするべきですね。「合田雄一郎」シリーズは他に「照柿」「レディジョーカー」と続いてゆきます。「照柿」はNHKでドラマに、「レディジョーカー」は最近映画化されました。「レディ」のほうは20年前の「グリコ・森永事件」を髣髴とさせる企業脅迫事件。併せて「グリコ・森永事件」(朝日新聞社)を読まれると、より一層面白いと思います。 | ||||
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| 直木賞受賞後に読みました。冒頭、読み終わるかと危惧したが、どんどんテンポアップして一気に進み、ラストは心が震えた。やっと文庫化され手元に置いたものの、あまりに単行本と違うので結局双方買う羽目に。単行本も初版時と77刷目でどうも違うような・・ともかく謳い文句の「硬質のロマンティズム」は単行本のほうが圧倒的。登場人物たちの崩壊寸前の内面が随所に覗く。最近読み直して解っているのにラストでなぜか涙が出た。本作映画版は文庫版より更に悲惨な出来だった。できれば窪塚洋介、竹之内豊ぐらいでリメイクしたい。誰かプロデュースしませんか?『照柿』も原作はいいがNHKのドラマ化で合田を三浦友和で、というのに無理があった。 | ||||
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| ハヤカワ・ミステリワールドからの発行ですが、厳密に言えばミステリーではない、ですね・・・ 少なくとも技巧的なトリックが仕掛けられていたり、綿密な推理を積み重ねていくことに主眼が置かれている作品ではありません。 どちらかと言えば「山」に象徴される人間の業に翻弄され、それでも自分のためあるいは誰かのために、あがく人々の織り成す人間ドラマ。殺人事件はそれを回す装置ではないでしょうか。そのドラマはあくまで硬質の文体によって語られるが故に、より印象的です。合田刑事の登場する作品としては「照柿」「レディ・ジョーカー」よりも早い時期のものです。 改訂に伴ってより”合田刑事シリーズ”のうちの1作という意識がつよめられたのかな?これ単体で読むと、加納さんの存在やらは本筋とあんまり関係ないんじゃないかとちょっと気になったりするかもしれないです。以後の作品において合田刑事と加納さんの関係を追っていくとすっきりするでしょう。 | ||||
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| 第109回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位 私は本作品で人間の執念というものの凄さを痛感しました。犯人の執念、捜査官の執念、事件を闇に葬り去りたい人の執念等々… この下巻では様々な執念が一つの事件へと向かっていきます。 そして、いよいよ、バラバラだった話が一つに集約されていきます。対象は同じでも、それぞれ形の違った執念が一つになった時、事件は結末を迎えます。 いったいそれぞれの執念はどういった結末を迎えるのか… 最期の最期まで目が離せません。しっかりと見届けてください。 上下両方の私のレビューを見てくださった方がいらっしゃいましたら嬉しい限りです。 ありがとうございました。 ソレデハ… | ||||
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| 第109回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位 この上巻ではまだまだ物語の伏線をしっかりと張り巡らしている段階です。 そのため、なかなかそれぞれのつながりが見えてきませんが、警察という組織の複雑さや矛盾に愕然としました。 縄張り争い、手柄の奪い合い、個人的な怨恨、保身等々枚挙にいとまがありません。 現場の捜査官は犯人だけではなく、同じ立場の捜査官や警察の幹部、さらには検察や国のトップとも駆け引きをしなければならないことを知りました。 警察組織やそれを取り巻く国家機関はまさに魑魅魍魎の住み処のようです。 そんな中で、たった一つ確実に言えることがあるとすれば、それは事件を真の解決へ導くことができるのは現場の捜査官だけだということではないでしょうか。 私は現場の捜査官・合田を応援しながら読みました。 下巻の方にもレビューを載せようと思っています。参考にしていただけると幸いです。 ソレデハ… | ||||
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| 第109回直木賞受賞作品。 「宝島社 このミステリーがすごい!」 1994年度 第1位 「宝島社 『読者が選ぶ』過去10年のベスト20」 第10位 「宝島社 覆面座談会が選ぶ『過去10年間のベスト20』」 第2位 「週間文春 傑作ミステリーベスト10」 1993年 第1位 「週刊文春 二十世紀傑作ミステリーベスト10」 第3位 この上巻ではまだまだ物語の伏線をしっかりと張り巡らしている段階です。 そのため、なかなかそれぞれのつながりが見えてきませんが、警察という組織の複雑さや矛盾に愕然としました。 縄張り争い、手柄の奪い合い、個人的な怨恨、保身等々枚挙にいとまがありません。 現場の捜査官は犯人だけではなく、同じ立場の捜査官や警察の幹部、さらには検察や国のトップとも駆け引きをしなければならないことを知りました。 警察組織やそれを取り巻く国家機関はまさに魑魅魍魎の住み処のようです。 そんな中で、たった一つ確実に言えることがあるとすれば、それは事件を真の解決へ導くことができるのは現場の捜査官だけだということではないでしょうか。 私は現場の捜査官・合田を応援しながら読みました。 下巻の方にもレビューを載せようと思っています。参考にしていただけると幸いです。 ソレデハ… | ||||
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| 初めてマークスを読んだ時は骨太で濃厚な警察小説という印象を持ち、とにかく面白かった。荒削りな文章で理解し難い本でも、弱者からの視点でこの本が成り立っていたから最後まで読み切れたのだと思う。(後に高村薫が女性であると知り、なんで女性の視点からこんな男を書けるのか、驚いたが・・・・・)でも何年ぶりかで読んだ単行本のマークスはもっと面白かった。文庫本の荒削りな文章とは違い、綿密に練り込まれた上での描写にはそれ相応の一種の重厚感があり、そこに読応えを感じていた。文庫本の「読んで理解できないやつは読まなくていい」的から展開につじつまが合っている本である。 仕事にやりがいを見つけ出せない自分にとって「清潔で冷たい石」の合田は近い存在で遠い存在。結果がなんぼの世界で、忍耐と努力と強い自制心で捜査をやり続けるそんな7係がうらやましいし好きだ。しかし、警察にはマークスが持っている暗い山より深い闇に包まれているもっと暗い山がそこには存在するように思える。押し退けても押し退けても冷たい氷のカーテンが垂れかかってくる真っ暗な山。だから読み終えても警察が抱えている暗い山が強く心に残った。そして何より、救いようもない幕引きは、あっけなく、空しさと倦怠感を読み手の心に植え付ける。それが高村なのか・・・・・とにかく無性に山に登りたい。自己陶酔的で限りなく献身的で利己的な山に・・・・・それにしても合田中毒になりつつある。「自慢にもならないが、いつも始動は遅い。それでも、これまで重大な失敗は一度もしてこなかった。そのために人よりよく歩き、よく聞き、よく見てきた。そういう忍耐と努力を自分に課す意志力こそは、合田という男の骨だった。強い自制心は筋肉だった。人を畏怖させるのは、その骨と筋肉だ。」という一説が心に響く。 | ||||
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| 初めてマークスを読んだ時は骨太で濃厚な警察小説という印象を持ち、とにかく面白かった。荒削りな文章で理解し難い本でも、弱者からの視点でこの本が成り立っていたから最後まで読み切れたのだと思う。(後に高村薫が女性であると知り、なんで女性の視点からこんな男を書けるのか、驚いたが・・・・・)でも何年ぶりかで読んだ単行本のマークスはもっと面白かった。文庫本の荒削りな文章とは違い、綿密に練り込まれた上での描写にはそれ相応の一種の重厚感があり、そこに読応えを感じていた。文庫本の「読んで理解できないやつは読まなくていい」的から展開につじつまが合っている本である。 仕事にやりがいを見つけ出せない自分にとって「清潔で冷たい石」の合田は近い存在で遠い存在。結果がなんぼの世界で、忍耐と努力と強い自制心で捜査をやり続けるそんな7係がうらやましいし好きだ。しかし、警察にはマークスが持っている暗い山より深い闇に包まれているもっと暗い山がそこには存在するように思える。押し退けても押し退けても冷たい氷のカーテンが垂れかかってくる真っ暗な山。だから読み終えても警察が抱えている暗い山が強く心に残った。そして何より、救いようもない幕引きは、あっけなく、空しさと倦怠感を読み手の心に植え付ける。それが高村なのか・・・・・ とにかく無性に山に登りたい。自己陶酔的で限りなく献身的で利己的な山に・・・・・それにしても合田中毒になりつつある。 「自慢にもならないが、いつも始動は遅い。それでも、これまで重大な失敗は一度もしてこなかった。そのために人よりよく歩き、よく聞き、よく見てきた。そういう忍耐と努力を自分に課す意志力こそは、合田という男の骨だった。強い自制心は筋肉だった。人を畏怖させるのは、その骨と筋肉だ。」という一説が心に響く。 | ||||
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