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折れた竜骨
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折れた竜骨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
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中頃にやや展開が遅いところがあり、読むのを挫折しそうになりましたが、ここの書評をもう一度読んでみて、終盤が面白いということが分かり最後まで読み通しました。読み通して良かったです。 終盤はテンポもよくどんどん読めていきます。そして何がなんだか分からなくなりそうにもなりますが、よくよく考えてみるとなるほどと分かって来ます。 あとがきによれば、問題編のようなところはアマチュア時代に書いたものがベースになっており、解決編がプロになってから書かれたものだそうです。そのあたりの影響もあるのかもしれません。 | ||||
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この作家の作品をかたっぱしから読んでましたが、3回も繰り返して読んだのはこの「折れた竜骨」だけです。 個人的にはこの作品が一番面白く、残念ながら他の作品は最後まで読めないつまらなさのもありました。(全作品を読んだわけではありませんが) 舞台はロンドンから船で三日かかる、ソロン島・小ソロン島。 魔術を使う暗殺騎士を追ってやってきた、騎士ファルクと従士ニコラ。そして主人公は領主の娘、16歳のアミーナ。 食べず眠らず、首を切り落とさないかぎり復活する不死の存在デーン人。 さらには個性的な傭兵たち。 暗殺騎士をつかまえようと動きだした矢先、ついに伝説の呪われたデーン人がソロン島にやってきます。 描写が丁寧でわかりやすく情景がイメージできます。またミステリーというよりも「読み物」として物語に入り込みやすいです。 ファルクとニコラは、那須雪絵の漫画「嵐が原」を、デーン人たちはプレステのゲーム「影牢」の刻人をイメージしてました(笑) 惜しむらくはアミーナの容姿がほとんど描写されていないこと。美少女だと思いたいですが。 最終的には犯人を暴き、納得できるような解決で、よく読むとヒントになるような伏線が張ってあり、わかりやすい謎解きになっています。 デーン人の呪いは解けるのか、暗殺騎士たちを追い詰め壊滅させることはできるのか、魔術とは何なのか、個性的な傭兵たちの結末は?ニコラの旅はどうなるのか?アミーナは? 物語としてはいくらでも広がりを感じられるので、続編を、いやシリーズ化を期待しています。 年齢不詳・身長が120センチという小柄ながらも、立派な剣士であるニコラにかなり萌えてしまいました(笑) | ||||
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意外というかなんというか。 終盤にある大一番の戦闘場面の描写が上手かったと思います。 米澤さんの他作品では受けたことのない印象を受けました。 純粋なファンタジー小説など出せば、かなり面白くなるのではないでしょうか。 しかし推理パートは魔術などのファンタジー要素が入ってきてしまったせいで 微妙だったかな・・。 米澤さん自身があとがきで語ってたルール付けがそもそも曖昧だった気がします。 「主人公達が知らない魔術が行使されていて、絞込み対象以外の人が犯人でした」 という理屈も通ってしまいそうでしたし。 (例えば、他者の記憶を読める魔術師が○○で・・とか) ファンタジー+推理にするなら、ハイファンタジーにしたうえで、ファンタジー要素に 厳密なルール付けを行ってやるべきではないでしょうか。 「魔法を使うならA→B→Cの前提条件/動作を“必ず”クリアしなければならない」 「魔法で行えることには制限があり、それはD、E、Fである」等。 楽しめましたが上記部分に引っかかりを覚えたので☆4とします。 | ||||
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舞台は魔術がいきづく十二世紀末のヨーロッパ ソロン諸島で領主が殺害される事件が起きた しかも、「呪われたデーン人」の襲来の危機が迫っており 島には騎士や傭兵が集められていた 領主を殺害してのは「暗殺騎士」だが、 彼らは魔術を用いる 今回も魔術が用いられたことが調査から判明し その魔術とは人を操るたぐいのものであった 「暗殺騎士」に操られ、殺害を実行したのは誰なのか それが、ミステリとしてのメインの謎 魔術が機能する世界で、 謎は論理的に解明されるのか 大変、興味深い作品でした また、ファンタジーとしても 「暗殺騎士」「呪われたデーン人」といった敵勢力 魔術と剣が入り乱れる戦闘場面など 大変、魅力的でした ミステリとしても、ファンタジーとしても傑作だった | ||||
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舞台は魔術がいきづく十二世紀末のヨーロッパ ソロン諸島で領主が殺害される事件が起きた しかも、「呪われたデーン人」の襲来の危機が迫っており 島には騎士や傭兵が集められていた 領主を殺害してのは「暗殺騎士」だが、 彼らは魔術を用いる 今回も魔術が用いられたことが調査から判明し その魔術とは人を操るたぐいのものであった 「暗殺騎士」に操られ、殺害を実行したのは誰なのか それが、ミステリとしてのメインの謎 魔術が機能する世界で、 謎は論理的に解明されるのか 大変、興味深い作品でした また、ファンタジーとしても 「暗殺騎士」「呪われたデーン人」といった敵勢力 魔術と剣が入り乱れる戦闘場面など 大変、魅力的でした ミステリとしても、ファンタジーとしても傑作だった | ||||
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他レビューの中でファンタジーという言葉が何度も出てくるが、魔術や魔法使いが出てくれば何でもファンタジーと受け止めるのは、ゲーム世代なのだろうか?本作は、中世ヨーロッパ(英国)の架空の島を舞台としてはいるが、あくまで正統ミステリーであり、それを見誤ると評価も楽しみも的外れとなってしまうのではないか。(とはいえ、本書の宣伝がそうした勘違いを助長するものであることも否めないが)本作の舞台であるにおいては、魔術も青銅の巨人も吟遊詩人も社会に存在していた(注:むろん魔術も巨人もフェイクだが、当時の日本において百鬼夜行が在るものと思われたのと同様に、在ったということ)。剣と魔術をもって謎を解く主人公は、科学と拳銃を以て推理に挑む名探偵に他ならない。そして、彼は、剣と魔術に長けているが、その推理はあくまで「論理」(これが当時においては優れた知識であることも忘れてはならない)であり、剣も魔術もあくまでその論理や推理を引き立てる道具に過ぎないだろう。私は海外ミステリーを数多く読んでいないので不知であるが、「薔薇の名前」のようにミステリーで中世を舞台にしたり、本作のように魔術等も筋立てに用いた作品もあるのではないだろうか。本作の評価の結論としては、ミステリーとしての出来はウェルメイドであり、作者の技量の高さを再認識させるもの。しかし、ウェルメイドすぎて、舞台や仕掛けに凝った部分を使いきれていないという批判は成り立つとは思う。但し、そこを過剰に言い立てるのは、瑣末に過ぎるだろう。★としては、無条件には5つをつけたくないが、ファンタジーと読み違えての低い★を補うために、5つ付けます。 | ||||
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今までに読んだ米澤さんの小説といえば、主人公の高校生が初期の「北村薫」作品のような日常の延長線上にあるささやかな謎を解いていく話がほとんどだったので、いきなり中世のイギリスを舞台に、魔術師や騎士の推理ファンタジーを書いたと言われても、「ホントに面白いの、それ?」と懐疑的でした。でも実際に読んだ結論から言うと、予想外に面白かったです。傑作ではありませんが、良作でした。しかも、この米澤氏の新たな面を見せた小説は、同じ「薫」は「薫」でも「北村薫」氏ではなく、どこか「栗本薫」氏のグイン・サーガを想起させる仕上がりでした。登場人物の設定と世界観をちょこっといじれば、そのままグイン・サーガの外伝として成立しそうなくらい。特に、若くて聡明で度胸もある領主の娘(主人公)が、10代の頃のリンダの姿とダブりました。ただ、いろんな能力や過去を持った人達が登場したのに、そのほとんどがさほど活躍することなく物語が終わってしまったのは、やや消化不良気味でした。なので、もし今後この作品の登場人物が活躍する別の物語が紡がれるのであれば、ぜひ読んでみたいです。 | ||||
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私は時たま、アトを引くファンタジーに巡り合います。 例を挙げるなら恩田陸さんの「ネクロポリス」や宮部みゆきさんの「ブレイブ・ストーリー」や平山瑞穂さんの「ラス・マンチャス通信」などです。この話もファンタジーとして、登場人物たちの行方が気になるものでした。でもこの話では、中盤までは捗りませんでしたが。 跡をひく程面白いと言っていいと思うのです。 ただ、途中までスピードが上がらなく、つまらんと考えていたのも私です。 そこでこう考えました。中盤までの間、ここの世界は未完成だったのではないかと。 本の中、つまり文章の上では最初から世界が存在します。でも、私の頭の中では出来あがっていなかったのではないか?そう思ったのです。私はソロン島という物語の舞台となった島を知りません。イギリスとも縁がある訳では無い。その私が想像できるソロン島は「ファンタジーの継ぎ接ぎ」でしか無かったのかもしれません。 そして中盤を超えて、世界が結ぶべき像を結んだ。という事ではないでしょうか。一度結んだ像はなかなか消えません。続編を読みたいですね。長いのでこれ良いかも、と思われた方は米澤穂信さんが続きを書かれる前に(書かれるか分かりませんが)読むことを勧めます。 ミステリーとしてファンタジーとして後半の盛り上がりっぷりは凄まじいものでした。 ハイファンタジーの「異世界が出来あがって頭の中に残るような感じ」もさることながら、この話は本格ミステリーでもあるのです。 かつて、出会った本格ミステリーの中でファンタジーと混ざっているにも関わらず、一番本格らしい本格だったような気がしています。とはいえ、私がミステリーに詳しくないのは確かです。 ただ、この話が、論点が明らかで、展開がスッキリまとまっている、心理が入り乱れている割に混乱させられない、という素敵な形にまとまっているのも確かです。クイズ集ではなく、物語としてまとめて、きちんと落とすところには落とす。読者にテキトウな読み物は読ませない作者の方の礼儀を感じました。 ミステリーのクライマックスとファンタジーのクライマックスが合わさったらこの話のクライマックスになります。 | ||||
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米澤さんの作品は好きなのですべて読んでいるのですが、この作品は展開、結末ともに予定調和で全くといっていいほど楽しめませんでした。「強いられた信条」「走狗」「忘れ川の雫」など魔術が出てくるのですが、ファンタジーというには世界観が表現しきれておらず、推理物としてはファンタジー色が強すぎる推理が多く、ところどころでちぐはぐに感じる違和感を拭い切れませんでした。私はファンタジーは読者が物語に引き込まれ、納得できるだけの力がないと成り立たないと思っています。そういった点で作者はファンタジーには向いてないのではと感じずにはいられない作品でした。 | ||||
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「理性と論理は魔術をも打ち破る。必ず。そう信じることだ」(p100)。魔術が跳梁跋扈する12世紀末欧州での殺人事件を、同じく魔術の心得がある騎士が推理する>という舞台で描かれたのは、魔術を踏み台とした論理と理性の賛歌です。まず、魔術が絡んだ「何でもあり」に見える謎が急所を突いた簡潔な論理で見事に解かれ、その時読者の脳裏に浮かび上がる画の魅力が素晴らしい。<二十年に渡り囚われ続けた不死の青年は、いかにして塔の牢獄という密室から脱出したのか?><蝋燭に火を灯せば姿を消せる、魔法の燭台を持つ盗賊のアリバイをどう証明する?> 謎は魔術によって怪しく彩られ、その分だけ、解き明かす論理の冴えを引き立てます。しかしそれにも増して、解かれることで、各人の謎が各人の人間性や背景を鮮やかに語ることがこの作品のより大きな魅力。例えば、解明と共に明らかになる「いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち」の内、幾人かの意地と屈折と誇りを目にしたとき、読者は彼らを好きにならずにはいられないと思います。また、(詳細は省きますが)この作品は容疑者が魔術によって「走狗」とされていることにより、ミステリとして、動機を問う「ホワイダニット(Why(had)DoneIt)を綺麗に取り除いている>ことに一つ妙味があるのですが、それによって喪われがちな物語の厚みをこうして補うところに、作者の技の冴えが感じられます。また、この作品が描く論理と理性の賛歌とは、単に理屈に頼ることや、事態を解説するなどということではありません。理性と論理を「掲げる」ということは、自らがそういう存在であろうとする、また、世界がより理性的、論理的であるべきだとする意志を持つということ。この作品は論理の鮮烈さよりも、むしろ論理を扱う理性、その意志を称える力強さによって、より魅力的になっていると思えます。<不条理と矛盾に満ちた世界の中で、論理が大きな「力」を持って立ち向かえる>というのは、(勿論全てではないけれど)少なくないミステリが共通して持つ志向であり、魅力です。ただ、論理が「力」になる以上、そしてそれを振るうのが一人の人間である以上、それをどう用いるべきか、用いて良いのか。それを扱う理性が大きな問題となります。この問題に対し過去の米澤作品、特に「古典部」シリーズの省エネ主義の折木奉太郎や「小市民」シリーズの二人などは、複雑な現代社会の中で、学生という保護された狭い世界に生きる立場と自覚から、大変消極的な態度が特徴でした。一方、『折れた竜骨』ではそもそも存在自体が連鎖する矛盾の中にある騎士とその弟子も、領主の子であり女であることで責務を負いつつ将来を厳しく縛られた語り手も、論理を理性の下に扱い、意志をもって「力」とすることと、その責任に対し大変意欲的です。 その理性、意志の賛歌が最も鮮やかに表れているのは、病院兄弟団の騎士と暗殺騎士、各々の弟子との関係のそれぞれの結末を巡る描写の対比。暗殺騎士の弟子の描写は極端に少ないのですが、鏡像の関係にある少年の描写を見ていけば、師弟の絆の重みは十分に察せられるところ。そして、物語の敵役たる暗殺騎士も知識への探求欲ゆえに堕ちた人物であり、弟子ともども、論理と知性の信奉者に他なりません。彼らの違いが、どこで際立つか。論理と知、そのもたらす力を扱う理性とは、どうあるべきか。物語はそれを、鮮やかに示します。そんなわけで、この作品は過去の米澤作品と比べてただ舞台設定だけでなく、その積極的な意志のあり方、描き方から見ても新境地であり、過去作品を踏まえるとなお面白く読めもする意欲作だと思います。一方で、初米澤作品として勧めるにも十分過ぎるほどに楽しいミステリであり、冒険小説でもあり、少女と少年の成長物語でもあります。『折れた竜骨』、傑作です。 | ||||
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12世紀の、まだ「魔法」が生きていた時代。閉ざされた孤島に住む領主が謎の死をとげる。その死の影に魔術を使う<暗黒騎士>の存在を疑った放浪の騎士は、残された手がかりと論理をもとに、<暗黒騎士>と、その傀儡である<走狗>を追いつめようとするが・・・。舞台設定は魅力的であり、読者への挑戦こそないものの「名探偵、すべて揃えて『さて』と言い」と<問題編><解答編>(ととれる章立て)を準備するあたり、かなりの力の入れよう。論理展開も悪くない。ただ、「特殊設定下のミステリ」とするには、もうひとつ「魔法」の扱いが弱い印象を受けた。あとは真相(犯人)。後から読み返すと、確かにすべてのヒントはばらまかれている。しかし、この真相には一瞬唖然とした。プロデビュー前に書かれた「ハイファンタジー世界でのミステリ」をリライトした作品だという。できれば、もっとガチガチに作り込まれていたであろう<異世界>での展開を読みたかった気がする。 | ||||
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