東京島

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評判

東京島の評価:

2.99/5点 レビュー 188件。 D ランク

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平均点2.99pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全361件 221〜240 12/19ページ
No.141
(3pt)

誰もが持ちうる醜さ全快

本作品は現代人が無人島に漂流して自給自足を余儀なくされたら、どのような行動をとるのか?がテーマになっています。彼らは望郷からか無人島にダイバ、コウキョ、チョーフといった東京の地名を付けて生活を始めます。始めは秩序を保って生活していますが、漂流者で唯一の女性清子の夫の隆が死んで均衡が崩れて行きます。
人間の心の闇を描く著者の作品は、日本でも類を見ないアプローチをしていると思います。登場人物は自分勝手で弱く、簡単に人を裏切ります。普通なら不快で読むに堪えないはずなのですが桐野夏生の作品だけはまた手に取ってしまいます。
彼女の描く心の闇は特別な闇ではなく、おかれた環境や状況によって誰もが迷い込む可能性のあるため、自分も登場人物の誰かになり得るリアリティを持っているからなのでしょう。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.140
(1pt)

最後まで肌に合いませんでした

第44回谷崎潤一郎賞受賞作。
太平洋に浮かぶ無人島に漂流した一組みの夫婦。その後、同じく漂流してくる若い日本人たち、中国人たち。
絶海の孤島に1人の中年女性と31人の男性たち。
いつまでたっても救助は訪れず、日本人たちは「トウキョウ島」と呼び、望郷の思いと生きるための奪い合いを始める。
実在の事件をモチーフに、無人島で生に執着する人のどん欲さ、強烈な生き方が描かれているのだが、正直な所、肌に合わなかった。
登場人物に同調できる者がほとんどおらず、章ごとに視点が変わるのでさらにストーリーにのめり込めない。
ラストまでカタルシスがなく、結局「何を見せたい」のかはっきりと伝わってこなかった。うーん、残念。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.139
(3pt)

誰もが持ちうる醜さ全快

本作品は現代人が無人島に漂流して自給自足を余儀なくされたら、どのような行動をとるのか?がテーマになっています。彼らは望郷からか無人島にダイバ、コウキョ、チョーフといった東京の地名を付けて生活を始めます。始めは秩序を保って生活していますが、漂流者で唯一の女性清子の夫の隆が死んで均衡が崩れて行きます。
人間の心の闇を描く著者の作品は、日本でも類を見ないアプローチをしていると思います。登場人物は自分勝手で弱く、簡単に人を裏切ります。普通なら不快で読むに堪えないはずなのですが桐野夏生の作品だけはまた手に取ってしまいます。
彼女の描く心の闇は特別な闇ではなく、おかれた環境や状況によって誰もが迷い込む可能性のあるため、自分も登場人物の誰かになり得るリアリティを持っているからなのでしょう。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.138
(4pt)

女剥き出し!

無人だった孤島に漂流した人々、しかしその中に女は一人。
彼女が、群がる男たちの中でその本能を呼び覚まし、生き抜いていく物語。
とはいえ、よくある漂流物ではなく、登場人物のほとんどがキレています(笑)。
米ドラマ“LOST”を見ていた為か、
序章からただ一人の女、清子が、女王様モード全開だったのに面食らいました。
この物語に登場する人物には、ドラマに出てくるようなヒーローはいません。
というか大多数が世間一般でも、日の目を見てこなかったような人間です。
あえてこのような人選をすることで、
作家の凶暴な妄想を、大暴れさせる事が出来たのかも。
清子自身も、彼女の夫の言葉を借りると、貞淑な妻だったそう。
しかし残念なのが、貞淑な妻から変身するエピソード、描写があまりない事です。
いつの間にか、男を使い倒すしたたかな女王となり、本能剥き出し状態。
しかし、あえてパーソナルなエピソードを省くことで、
“清子=女”と一般化しているのかもしれません。だからこそ、怖い!
女が男の中で独り。だからこそ、その意味・価値・機能が強調されていきます。
物語中盤で、清子が自身を社会全体の象徴“島”であり、“島母”であると、
錯覚して行く件は、女の持つ受容性が極まってのもので、
トランス感がたっぷりあり、読者に迫ってくるものがあります。
女の本質を考えさせられる一冊。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.137
(4pt)

女剥き出し!

無人だった孤島に漂流した人々、しかしその中に女は一人。
彼女が、群がる男たちの中でその本能を呼び覚まし、生き抜いていく物語。
とはいえ、よくある漂流物ではなく、登場人物のほとんどがキレています(笑)。
米ドラマ“LOST”を見ていた為か、
序章からただ一人の女、清子が、女王様モード全開だったのに面食らいました。
この物語に登場する人物には、ドラマに出てくるようなヒーローはいません。
というか大多数が世間一般でも、日の目を見てこなかったような人間です。
あえてこのような人選をすることで、
作家の凶暴な妄想を、大暴れさせる事が出来たのかも。
清子自身も、彼女の夫の言葉を借りると、貞淑な妻だったそう。
しかし残念なのが、貞淑な妻から変身するエピソード、描写があまりない事です。
いつの間にか、男を使い倒すしたたかな女王となり、本能剥き出し状態。
しかし、あえてパーソナルなエピソードを省くことで、
“清子=女”と一般化しているのかもしれません。だからこそ、怖い!
女が男の中で独り。だからこそ、その意味・価値・機能が強調されていきます。
物語中盤で、清子が自身を社会全体の象徴“島”であり、“島母”であると、
錯覚して行く件は、女の持つ受容性が極まってのもので、
トランス感がたっぷりあり、読者に迫ってくるものがあります。
女の本質を考えさせられる一冊。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.136
(4pt)

女で居続けたい女と草食系男子といつもの桐野的中国男&フィリピーナ

無人島に一人の女と三十一人の男。
「グロテスク」に匹敵するような、性を描いた壮絶な娯楽小説となるのかと思いきや、存外淡々と、観念小説あるいは思考実験のごとく話は進みます。無人島でのサバイバルとしてのリアリティには全くこだわっていないようですし、もちろんミステリー的な要素は皆無です。単行本版のほうのレビューの☆の少なさはそのあたりを反映しているのかなとも思いますが、孤島物という極めて古典的なテーマに現代的な登場人物を配して描いた純文学、という意味での面白さは充分なものです。
 古くはロビンソンクルーソーに始まる孤島小説の数々、大抵の場合その面白さの本質は、過酷な自然との生死を分ける戦いにではなく、あくせく働かずとも生きていける南の楽園でいかに故郷の退屈な日常に近いそれを再現するか、というところにあると思います。リゾート小説でありグルメ小説。我々はそんな彼らに同情するのではなく寧ろ羨むのです。
 この「東京島」はそういう意味で典型的な孤島小説とも言えます。登場人物たちは飢餓や熱病に脅かされることもなく、それぞれの方法論で自分たちの感情を状況に適応させていったり、適応に失敗して破綻を抱え続けたりしていきます。
物語としては寧ろ退屈です。シチュエーションから期待するような生死を分けたバイオレンスや性愛に絡む陰惨なエピソードは、全くないわけではありませんがさらりと記述されるだけで、ページの多くは、普通ではない状況下での案外普通な内面的心理描写に割かれています。
心理描写は別として物語自体に関してですが、筒井康孝の初期の短編で確か「心狸学社怪学」に収められた、全共闘の闘志達が閉鎖された東大構内で原始共産性的社会を数十年にわたって営み続ける話によく似ていると感じました。終章まで読み進めるとますます似ているどころではなくなります。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.135
(4pt)

女で居続けたい女と草食系男子といつもの桐野的中国男&フィリピーナ

無人島に一人の女と三十一人の男。
「グロテスク」に匹敵するような、性を描いた壮絶な娯楽小説となるのかと思いきや、存外淡々と、観念小説あるいは思考実験のごとく話は進みます。無人島でのサバイバルとしてのリアリティには全くこだわっていないようですし、もちろんミステリー的な要素は皆無です。単行本版のほうのレビューの☆の少なさはそのあたりを反映しているのかなとも思いますが、孤島物という極めて古典的なテーマに現代的な登場人物を配して描いた純文学、という意味での面白さは充分なものです。
 古くはロビンソンクルーソーに始まる孤島小説の数々、大抵の場合その面白さの本質は、過酷な自然との生死を分ける戦いにではなく、あくせく働かずとも生きていける南の楽園でいかに故郷の退屈な日常に近いそれを再現するか、というところにあると思います。リゾート小説でありグルメ小説。我々はそんな彼らに同情するのではなく寧ろ羨むのです。
 この「東京島」はそういう意味で典型的な孤島小説とも言えます。登場人物たちは飢餓や熱病に脅かされることもなく、それぞれの方法論で自分たちの感情を状況に適応させていったり、適応に失敗して破綻を抱え続けたりしていきます。
物語としては寧ろ退屈です。シチュエーションから期待するような生死を分けたバイオレンスや性愛に絡む陰惨なエピソードは、全くないわけではありませんがさらりと記述されるだけで、ページの多くは、普通ではない状況下での案外普通な内面的心理描写に割かれています。
心理描写は別として物語自体に関してですが、筒井康孝の初期の短編で確か「心狸学社怪学」に収められた、全共闘の闘志達が閉鎖された東大構内で原始共産性的社会を数十年にわたって営み続ける話によく似ていると感じました。終章まで読み進めるとますます似ているどころではなくなります。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.134
(5pt)

サバイバル・エンターテイメント

桐野さんの小説を読んだのはこれが初めてで、もともと彼女の小説のファンでもなんでもなく、何の思い入れもない読者です。
雑誌のはしっこに載っていた書評を読み、ひょんなことから、「かなりおもしろそうだ」と思い、手にとりました。
文章はスピード感があって平易で読みやすく、そしてかなりのアイロニーや毒があり、物語にぐいぐいと引きこまれていきました。
もともと、無人島モノが大好きで、『蝿の王』も『十五少年漂流記』も『ひかりごけ』もそれぞれに味があって好きですが、お互いに助け合う絵に描いた餅のような非現実的展開よりも、それぞれが疑心暗鬼になって狂人となり、悲惨な末路をたどる現実的展開の方が興味深く好みなので、この『東京島』はぴったりでした。
島のあらゆる部位に東京にちなんだ名前をつけたり、わざとらしく暗喩を入れて話を崇高なものにしようとしていたり、登場人物が多すぎて名前が覚えきれないところは、読むうえで少し苦痛でした。
けれど、この物語の主人公の一人ともいえる清子の、女性としての強さ、したたかさは、あまりにも醜く、目をふさぎたくなるようなものですが、同じ女性として心の奥底を揺さぶる、本能的な部分で感じる魅力があり、惹きつけられました。
無人島で、文明の中で無意識的にかぶっていた外面の皮を剥がされると、女も、男も、きっとこんな風に生物的本能に忠実になって、何が起こるかわからないようなあ、と思い、サバイバル小説を楽しむことができました。小説の魅力の大きな一つは、自分で普通の生活を営むだけでは到底体験できそうにもないことを疑似体験できることにありますが、この『東京島』は、まさにそんな小説の役割を十分に果たす、とても面白い小説でした。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.133
(5pt)

サバイバル・エンターテイメント

桐野さんの小説を読んだのはこれが初めてで、もともと彼女の小説のファンでもなんでもなく、何の思い入れもない読者です。
雑誌のはしっこに載っていた書評を読み、ひょんなことから、「かなりおもしろそうだ」と思い、手にとりました。
文章はスピード感があって平易で読みやすく、そしてかなりのアイロニーや毒があり、物語にぐいぐいと引きこまれていきました。
もともと、無人島モノが大好きで、『蝿の王』も『十五少年漂流記』も『ひかりごけ』もそれぞれに味があって好きですが、お互いに助け合う絵に描いた餅のような非現実的展開よりも、それぞれが疑心暗鬼になって狂人となり、悲惨な末路をたどる現実的展開の方が興味深く好みなので、この『東京島』はぴったりでした。
島のあらゆる部位に東京にちなんだ名前をつけたり、わざとらしく暗喩を入れて話を崇高なものにしようとしていたり、登場人物が多すぎて名前が覚えきれないところは、読むうえで少し苦痛でした。
けれど、この物語の主人公の一人ともいえる清子の、女性としての強さ、したたかさは、あまりにも醜く、目をふさぎたくなるようなものですが、同じ女性として心の奥底を揺さぶる、本能的な部分で感じる魅力があり、惹きつけられました。
無人島で、文明の中で無意識的にかぶっていた外面の皮を剥がされると、女も、男も、きっとこんな風に生物的本能に忠実になって、何が起こるかわからないようなあ、と思い、サバイバル小説を楽しむことができました。小説の魅力の大きな一つは、自分で普通の生活を営むだけでは到底体験できそうにもないことを疑似体験できることにありますが、この『東京島』は、まさにそんな小説の役割を十分に果たす、とても面白い小説でした。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.132
(5pt)

女性の本質ここにあり

余り評判の芳しくない1作。
この第1章を雑誌で読んだときには、こんな時空を生み出せる著者の
すごさに驚きました。
この第一章亜が素晴らしいだけに、編集者の要請に応えて、
続きを書かざるを得なかったではないでしょうか。
章ごとで少し濃度の違いがあるのは否めません。
しかし、
32人が流れ着いた太平洋の孤島に女一人。
どう女は生きるのか。
女はこう生きる、それが美しくもある。
女の強さ、怖さ、
それが、間違いなく魅力である。
幻想としての女性ではなく、
女の本質を深く知りたい人には、
危険を恐れず読むべきである。
桐野夏生の重要な作品であることは疑いようがない。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.131
(5pt)

女性の本質ここにあり

余り評判の芳しくない1作。
この第1章を雑誌で読んだときには、こんな時空を生み出せる著者の
すごさに驚きました。
この第一章亜が素晴らしいだけに、編集者の要請に応えて、
続きを書かざるを得なかったではないでしょうか。
章ごとで少し濃度の違いがあるのは否めません。
しかし、
32人が流れ着いた太平洋の孤島に女一人。
どう女は生きるのか。
女はこう生きる、それが美しくもある。
女の強さ、怖さ、
それが、間違いなく魅力である。
幻想としての女性ではなく、
女の本質を深く知りたい人には、
危険を恐れず読むべきである。
桐野夏生の重要な作品であることは疑いようがない。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.130
(4pt)

読後感の悪さも味 ロックの趣味は・・・

女一人と複数人の男の無人島サバイバルですが、やはり桐野さん特有のダークで一線を越える時の心理描写やエグイ表現に満ちていてぐいぐい引き込まれます。読後感は良くないですが、桐野さんの他の作品にも言えることなので、これが持ち味でしょう。ところで唐突にロックの話がでてくるので桐野さんの音楽の趣味がわかります。古めが好きですね。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.129
(4pt)

読後感の悪さも味 ロックの趣味は・・・

女一人と複数人の男の無人島サバイバルですが、やはり桐野さん特有のダークで一線を越える時の心理描写やエグイ表現に満ちていてぐいぐい引き込まれます。読後感は良くないですが、桐野さんの他の作品にも言えることなので、これが持ち味でしょう。ところで唐突にロックの話がでてくるので桐野さんの音楽の趣味がわかります。古めが好きですね。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.128
(5pt)

もし、東京島に住んだらどうする?

東京島って何?と手にとった本です。
こりゃ、おもしろいです。内容も、どんどんと小説の中にひきこまれていきます。
まるで、自分がサバイバル生活にはいってしまった気分。
もし、自分が東京島にいったら、どんな風に生きていくの?って考えてしまいました。
ネタバレするので内容はひかえますが、さすが桐野夏生さん、筆力があります。
あっというまに読み終えてしまいました。
自分が職業とか現在のポジションとか関係無しに丸裸になったときに何ができるの?
何をするの?ということを考えてしまう本です。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.127
(5pt)

もし、東京島に住んだらどうする?

東京島って何?と手にとった本です。
こりゃ、おもしろいです。内容も、どんどんと小説の中にひきこまれていきます。
まるで、自分がサバイバル生活にはいってしまった気分。
もし、自分が東京島にいったら、どんな風に生きていくの?って考えてしまいました。
ネタバレするので内容はひかえますが、さすが桐野夏生さん、筆力があります。
あっというまに読み終えてしまいました。
自分が職業とか現在のポジションとか関係無しに丸裸になったときに何ができるの?
何をするの?ということを考えてしまう本です。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.126
(5pt)

サバイバルものではない

桐野夏生の「東京島」です。単行本発表時から気にはなっていましたが、文庫化されたので購入にいたりました。あっという間に物語の世界に入れます。サクサク読めますので、映画化されるのも理解できます。無人島に漂着した人々がその島を東京に見立てて生活を始める。ただそこには女性は一人きりであった。
その状況から巻き起こることは人間の弱さや意地汚さ、といった負の感情が島全体を覆いつくしていくことである。そこにはサバイバルの要素はなく、ただただお互いがお互いを警戒しあっている状況のみが広がっていく。いやな状況が広がる世界なのである。極限状況に追い込まれたときの人間の弱さがこれでもか、と描かれている。読むといやなのである。でも物語の世界に引き込まれる。これが筆力というものなのであろう。人間の生理的にいやな部分、つまり「闇」の部分を描かせたら最高の作者が描いた、闇の一遍です。
無人島への漂流生活で明るいサバイバルをお求めの方は、須川邦彦「無人島に生きる十六人」をオススメします。ノンフィクションであり、本書とは全く違う、明るい漂流者、サバイバル生活が描かれています。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.125
(5pt)

サバイバルものではない

桐野夏生の「東京島」です。単行本発表時から気にはなっていましたが、文庫化されたので購入にいたりました。あっという間に物語の世界に入れます。サクサク読めますので、映画化されるのも理解できます。無人島に漂着した人々がその島を東京に見立てて生活を始める。ただそこには女性は一人きりであった。
その状況から巻き起こることは人間の弱さや意地汚さ、といった負の感情が島全体を覆いつくしていくことである。そこにはサバイバルの要素はなく、ただただお互いがお互いを警戒しあっている状況のみが広がっていく。いやな状況が広がる世界なのである。極限状況に追い込まれたときの人間の弱さがこれでもか、と描かれている。読むといやなのである。でも物語の世界に引き込まれる。これが筆力というものなのであろう。人間の生理的にいやな部分、つまり「闇」の部分を描かせたら最高の作者が描いた、闇の一遍です。
無人島への漂流生活で明るいサバイバルをお求めの方は、須川邦彦「無人島に生きる十六人」をオススメします。ノンフィクションであり、本書とは全く違う、明るい漂流者、サバイバル生活が描かれています。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.124
(5pt)

日本の今が浮きぼりに -ゆるい日本人-

面白かったです。
清子とワタナベの二人が出色。
清子の身勝手さとたくましさ、
ワタナベの進化(?)が 、
基本的にゆるくて笑ってしまうサヴァイバルもの。
生死に直面したときに、
その緊張感でなく、
あきらめに支配される登場人物の弱さがはがゆい。
日本人の心のありようってこれか?と、
桐野文学の冴えを堪能できます。
後半の島内の社会が形成されていく過程を読み進めるうちに、
読者に人間性とは何か、生きる意味、社会のあり方が浮き彫りになります。
桐野夏生の日本人を見つめる視線の確かさがすごい。
死に直面しても家具作りをしてしまう、
ゆるい日本人を描き出す感性はそこらの作家にはできません。
完成度の高いエンターテイメントです。
お勧め。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.123
(5pt)

日本の今が浮きぼりに -ゆるい日本人-

面白かったです。
清子とワタナベの二人が出色。
清子の身勝手さとたくましさ、
ワタナベの進化(?)が 、
基本的にゆるくて笑ってしまうサヴァイバルもの。
生死に直面したときに、
その緊張感でなく、
あきらめに支配される登場人物の弱さがはがゆい。
日本人の心のありようってこれか?と、
桐野文学の冴えを堪能できます。
後半の島内の社会が形成されていく過程を読み進めるうちに、
読者に人間性とは何か、生きる意味、社会のあり方が浮き彫りになります。
桐野夏生の日本人を見つめる視線の確かさがすごい。
死に直面しても家具作りをしてしまう、
ゆるい日本人を描き出す感性はそこらの作家にはできません。
完成度の高いエンターテイメントです。
お勧め。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.122
(2pt)

設定を飛ばすのに失敗した作品

戦後、1945年から50年、マリアナ群島・アナタハン島に漂着した、1人の女性と30人の男達。
その共同生活の中で、男達は女をめぐって殺し合い、疑心暗鬼の中、次々と男は消え、最後は女を含む
20人ほどが生き残った。
この「アナタハン島事件」を、換骨奪胎した作品である。
「事実は小説より奇なり」と言うのはまさしくこれで、桐野さんは
この設定の飛ばし方に失敗してしまった。
つまり、この小説は「事実の途方もなさ」にすっかり打ちのめされる結果になってしまったのである。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362