東京島

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評判

東京島の評価:

2.99/5点 レビュー 188件。 D ランク

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平均点2.99pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全361件 341〜360 18/19ページ
No.21
(4pt)

最近こういう終わり方かも・・・

メタボラにしてもそうだったのですが、
最近桐野先生はすぱっとまとめに入るなあと思いました。
恐らくまとめに入らないと
本のページがありえないことになったり
あるいは終結の方向性が変わってきたり
まとまらなくなったりするのでしょうが
東京島に関しては、もう少し長くてもよかったかもしれません★
せっかく登場人物が多いので、語り手があと二人くらいいてもよかったかも。
ワタナベが語り手の話では思わず声を出して笑ってしまうこともありました。
やはり問題児の視点は面白いです。
隆の日記(?)も笑いました。
桐野毒舌は健在のようです。
島という隔離された、要は巨大な密室で
事件よりも人間性の崩壊というか構築というか
そういったものをうまく書き出すのはさすが!と言えるでしょう。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.20
(4pt)

確立された桐野ワールド

 本作品は現代人が無人島に漂流して自給自足を余儀なくされたら、どのような行
動をとるのか?がテーマになっています。彼らは望郷からか無人島にダイバ、コウ
キョ、チョーフといった東京の地名を付けて生活を始めます。始めは秩序を保って
生活していますが、漂流者で唯一の女性清子の夫の隆が死んで均衡が崩れて行きます。
 人間の心の闇を描く著者の作品は、日本でも類を見ないアプローチをしていると
思います。登場人物は自分勝手で弱く、簡単に人を裏切ります。普通なら不快で読
むに堪えないはずなのですが桐野夏生の作品だけはまた手に取ってしまいます。
 彼女の描く心の闇は特別な闇ではなく、おかれた環境や状況によって誰もが迷い
込む可能性のあるため、自分も登場人物の誰かになり得るリアリティを持っている
からなのでしょう。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.19
(2pt)

湘南ダディは読みました。

クルーザーで世界一周旅行の途次難破し、南海の無人島に流れついた隆、清子夫婦。島の周りは潮流が激しく救出もないまま3ヶ月がたったころ、与那国島での苛酷な労働から抜け出してきた若者23人、更に3年後には中国人11人も漂着してくる。若者達は島をトウキョウジマと名づけた。問題は女が清子一人ということ。という極限状況を設定して作者は人間が生き延びるためにどのような行為をとるかを赤裸々に描いて読者につきつけます。
 最年長で島の統率者でもあった隆は漂着1年後に栄養状態が悪化する中でサイナラ岬の崖から謎の転落死をします。それ以降、清子は希望者の籤引きで2年間誰かの妻となる約束事ができあがります。日本人の若者達は気の会うもの同士が数人ずつかたまり、ブクロ、ジュク、シブヤとなづけた集落を形成して生活しているのに対し、中国人たちはホンコンと呼ばれる地域で共同生活をしています。島には猛獣はいません。その代り蛋白源といったら蛇やトカゲ、日本人達はそれらをナマで食べるだけなのですが、中国人たちは廃棄されていたドラム缶から鍋や道具をつくり、塩を煮出し、それなりに料理をしたりします。そうした生活力はやがて脱出用の丸木舟を造りだします。清子は女であることを利用して密かにホンコングループに取り入り、脱出航海に同乗させてもらいます。
激しい潮流とたたかいようやく10日目には島影が見えるのですが、その寸前にスコールにあい沈没、なんとか上陸した島はしかしトウキョウジマでした。それまではただ一人女であることで絶対的に有利な立場にあった清子は、以来一人脱出をはかった裏切り者として阻害されることになります。
物語は更に脱出への希望や失意をもたらす事件が続くのですが、結局、脱出できた者もできなかった者もそれぞれの日常を受け入れて生き続けているという全く意表をつく終幕をむかえます。重い読後感の残る作品です。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.18
(4pt)

確立された桐野ワールド

 本作品は現代人が無人島に漂流して自給自足を余儀なくされたら、どのような行
動をとるのか?がテーマになっています。彼らは望郷からか無人島にダイバ、コウ
キョ、チョーフといった東京の地名を付けて生活を始めます。始めは秩序を保って
生活していますが、漂流者で唯一の女性清子の夫の隆が死んで均衡が崩れて行きます。
 人間の心の闇を描く著者の作品は、日本でも類を見ないアプローチをしていると
思います。登場人物は自分勝手で弱く、簡単に人を裏切ります。普通なら不快で読
むに堪えないはずなのですが桐野夏生の作品だけはまた手に取ってしまいます。
 彼女の描く心の闇は特別な闇ではなく、おかれた環境や状況によって誰もが迷い
込む可能性のあるため、自分も登場人物の誰かになり得るリアリティを持っている
からなのでしょう。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.17
(2pt)

湘南ダディは読みました。

クルーザーで世界一周旅行の途次難破し、南海の無人島に流れついた隆、清子夫婦。島の周りは潮流が激しく救出もないまま3ヶ月がたったころ、与那国島での苛酷な労働から抜け出してきた若者23人、更に3年後には中国人11人も漂着してくる。若者達は島をトウキョウジマと名づけた。問題は女が清子一人ということ。という極限状況を設定して作者は人間が生き延びるためにどのような行為をとるかを赤裸々に描いて読者につきつけます。
 最年長で島の統率者でもあった隆は漂着1年後に栄養状態が悪化する中でサイナラ岬の崖から謎の転落死をします。それ以降、清子は希望者の籤引きで2年間誰かの妻となる約束事ができあがります。日本人の若者達は気の会うもの同士が数人ずつかたまり、ブクロ、ジュク、シブヤとなづけた集落を形成して生活しているのに対し、中国人たちはホンコンと呼ばれる地域で共同生活をしています。島には猛獣はいません。その代り蛋白源といったら蛇やトカゲ、日本人達はそれらをナマで食べるだけなのですが、中国人たちは廃棄されていたドラム缶から鍋や道具をつくり、塩を煮出し、それなりに料理をしたりします。そうした生活力はやがて脱出用の丸木舟を造りだします。清子は女であることを利用して密かにホンコングループに取り入り、脱出航海に同乗させてもらいます。
激しい潮流とたたかいようやく10日目には島影が見えるのですが、その寸前にスコールにあい沈没、なんとか上陸した島はしかしトウキョウジマでした。それまではただ一人女であることで絶対的に有利な立場にあった清子は、以来一人脱出をはかった裏切り者として阻害されることになります。
物語は更に脱出への希望や失意をもたらす事件が続くのですが、結局、脱出できた者もできなかった者もそれぞれの日常を受け入れて生き続けているという全く意表をつく終幕をむかえます。重い読後感の残る作品です。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.16
(2pt)

桐野さんにしては

桐野さんということで期待したのですが、デフォメルし過ぎで不自然な状況描写が多く、正直辟易してしまいました。
結末もチョット…?という感じです。
ただ、桐野さんに、こんなにも男目線力?があったのかという新発見はありました。
まるで、男性作家が書いたような箇所があったので。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.15
(2pt)

桐野さんにしては

桐野さんということで期待したのですが、デフォメルし過ぎで不自然な状況描写が多く、正直辟易してしまいました。
結末もチョット…?という感じです。
ただ、桐野さんに、こんなにも男目線力?があったのかという新発見はありました。
まるで、男性作家が書いたような箇所があったので。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.14
(3pt)

ちょっと??

ある行為を封印しながら、最終章のキーワード生成の転機と、その行為で最終章が始まるロジックは、いさかであろう。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.13
(3pt)

ちょっと??

ある行為を封印しながら、最終章のキーワード生成の転機と、その行為で最終章が始まるロジックは、いさかであろう。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.12
(2pt)

いくら何でも…

無人島に取り残された31人の男と1人の女のサバイバル物語です。
自分は桐野さんは好きな作家ですが、本作はさすがにうまくいって
いないと思います。設定に無理があるのは、無人島物語という実験
的な小説をつくるため仕方がないのかもしれません。
しかし物語中、登場人物たちの俗悪・醜悪の面のみがこれでもかこ
れでもかと強調され、気持ちが悪かったという読後感しか残りませ
んでした。
作者は清子は生命力の強さをも描こうとしたのかもしれませんが、
自分は清子には少しも共鳴することができませんでした。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.11
(2pt)

いくら何でも…

無人島に取り残された31人の男と1人の女のサバイバル物語です。
自分は桐野さんは好きな作家ですが、本作はさすがにうまくいって
いないと思います。設定に無理があるのは、無人島物語という実験
的な小説をつくるため仕方がないのかもしれません。
しかし物語中、登場人物たちの俗悪・醜悪の面のみがこれでもかこ
れでもかと強調され、気持ちが悪かったという読後感しか残りませ
んでした。
作者は清子は生命力の強さをも描こうとしたのかもしれませんが、
自分は清子には少しも共鳴することができませんでした。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.10
(3pt)

うーん やっぱりちょっとスランプなのかな?

ひさびさの新作と期待し、さすが桐野さんならではの女性の身勝手さしたたかさは健在
男性ではやっぱりここまで女のドロドロした心の内は描けませんが
女 1 対  男 多数の話
エロとサバイバル 割合は 3:7位かなぁ
漂流ものはロストとか緻密なミステリーが印象深いのですが、
こちらはそこまで謎めいてません
ありがちな人間模様です。特に驚いたことする人もいないし
それと島の地名とか無理やりつけて行く感じがどううも話にのめり込めにくくさせます
(グループの集落をブクロとかチョーフとか...)あだなも小物は結構わかりにくいし
OUTの頃を期待して買うとちょっと....かも
最近の作品て、事件を題材にしたものが透けて見える感が強いので
ぜひ、時間がかかっても書き下ろしのオリジナル新作読みたいですねぇ
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.9
(3pt)

うーん やっぱりちょっとスランプなのかな?

ひさびさの新作と期待し、さすが桐野さんならではの女性の身勝手さしたたかさは健在
男性ではやっぱりここまで女のドロドロした心の内は描けませんが
女 1 対  男 多数の話
エロとサバイバル 割合は 3:7位かなぁ
漂流ものはロストとか緻密なミステリーが印象深いのですが、
こちらはそこまで謎めいてません
ありがちな人間模様です。特に驚いたことする人もいないし
それと島の地名とか無理やりつけて行く感じがどううも話にのめり込めにくくさせます
(グループの集落をブクロとかチョーフとか...)あだなも小物は結構わかりにくいし
OUTの頃を期待して買うとちょっと....かも
最近の作品て、事件を題材にしたものが透けて見える感が強いので
ぜひ、時間がかかっても書き下ろしのオリジナル新作読みたいですねぇ
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.8
(5pt)

多くの男性に囲まれた女性の人間の心理描写がたまらん

前作の「メタボラ」では沖縄の民宿とそこにたむろする若者が
描写されすっかり桐野ワールドもここで無くなったかと思われた。
内容は夫婦で世界一周のヨット旅行途中に遭難し、無人島に流れ着く。
その後流れ着く男たち。あわせて男31人と女1人の無人島生活。
そりゃエロい話も出てきますわ。形を変えた桐野ワールド。
無人島において人間とはこうも変るもんですか?!
そのあたり人間の行動心理みたいなものがおもしろい。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.7
(5pt)

多くの男性に囲まれた女性の人間の心理描写がたまらん

前作の「メタボラ」では沖縄の民宿とそこにたむろする若者が
描写されすっかり桐野ワールドもここで無くなったかと思われた。
内容は夫婦で世界一周のヨット旅行途中に遭難し、無人島に流れ着く。
その後流れ着く男たち。あわせて男31人と女1人の無人島生活。
そりゃエロい話も出てきますわ。形を変えた桐野ワールド。
無人島において人間とはこうも変るもんですか?!
そのあたり人間の行動心理みたいなものがおもしろい。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.6
(5pt)

他者と触れ合いそうで触れ合うことはない。

ずっと放置されていた『メタボラ』も読み始めると止まらなくなってしまった。
あの物語の(主人公たちの)情けない疾走感みたいなものが心地よく、物語の切れ方はセリーヌの『夜の果ての旅』みたいにいかしてた。

さて、『東京島』である。
無人島に漂着した31人の男と1人の女。あたしは必ず脱出してみせる・・・と、帯にある。
しかし、やはり桐野女史、西村寿行みたいな展開にはなるはずもなかった。
性の饗宴みたいなシーンはほとんどなく、たった一人の女性である清子独壇場の展開などでも決してなく、
話は予想しがたく展開してゆき、ワープして(ワープなんて今どきでも使うのかな?)予想しがたい結末を迎える。

これ以上は控えるが、
思ったのは、彼女のストーリーの登場人物は、
他者と触れ合いそうで触れ合うことはない。
肩に触れたと思っても、そこをすり抜けていってしまうのである。
だから他者は自分の中に取り込まれた亡霊として登場するときに最もリアリティを持つのだろう。
それが現代なのか。

誰かを殺し、死体を平然と切り刻み、ディスポーザーやら下水に投棄する。
知らぬ顔してインタビューに答え、素知らぬ顔で淡々と仕事を続ける。
例えば誰もが自分の中に手負いの獣を飼っている、なんて表現を昔はした。非常にブンガクテキに聞こえちゃう。
多重人格なのか、分裂してしか存在し得ない自我なのか、
しかし、そんなんで自らの命絶ったり絶たれたりじゃあたまらんと思うんだが、

乾いた眼で、肋骨下縁に、エッジの鋭いナイフが音もなく忍び込み、小腸を超え、大動脈に至る、
そんな感じかな。

登場人物は非常に多く、それぞれがそれぞれの存在理由を持っているのに前述したように、彼らは個でしかあり得ないのだ。
ワタナベとグンジというキャラの最後あたりがもうちょっと知りたいと思ったけど、そういったぶつ切れで終わらせてしまうのがやはり作家の度量なんだろう。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.5
(5pt)

他者と触れ合いそうで触れ合うことはない。

ずっと放置されていた『メタボラ』も読み始めると止まらなくなってしまった。
あの物語の(主人公たちの)情けない疾走感みたいなものが心地よく、物語の切れ方はセリーヌの『夜の果ての旅』みたいにいかしてた。

さて、『東京島』である。
無人島に漂着した31人の男と1人の女。あたしは必ず脱出してみせる・・・と、帯にある。
しかし、やはり桐野女史、西村寿行みたいな展開にはなるはずもなかった。
性の饗宴みたいなシーンはほとんどなく、たった一人の女性である清子独壇場の展開などでも決してなく、
話は予想しがたく展開してゆき、ワープして(ワープなんて今どきでも使うのかな?)予想しがたい結末を迎える。

これ以上は控えるが、
思ったのは、彼女のストーリーの登場人物は、
他者と触れ合いそうで触れ合うことはない。
肩に触れたと思っても、そこをすり抜けていってしまうのである。
だから他者は自分の中に取り込まれた亡霊として登場するときに最もリアリティを持つのだろう。
それが現代なのか。

誰かを殺し、死体を平然と切り刻み、ディスポーザーやら下水に投棄する。
知らぬ顔してインタビューに答え、素知らぬ顔で淡々と仕事を続ける。
例えば誰もが自分の中に手負いの獣を飼っている、なんて表現を昔はした。非常にブンガクテキに聞こえちゃう。
多重人格なのか、分裂してしか存在し得ない自我なのか、
しかし、そんなんで自らの命絶ったり絶たれたりじゃあたまらんと思うんだが、

乾いた眼で、肋骨下縁に、エッジの鋭いナイフが音もなく忍び込み、小腸を超え、大動脈に至る、
そんな感じかな。

登場人物は非常に多く、それぞれがそれぞれの存在理由を持っているのに前述したように、彼らは個でしかあり得ないのだ。
ワタナベとグンジというキャラの最後あたりがもうちょっと知りたいと思ったけど、そういったぶつ切れで終わらせてしまうのがやはり作家の度量なんだろう。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.4
(3pt)

無痛キリノ・・・

小学校の朝礼で校長先生からはじめて教わったのは、
「人に迷惑をかけない」ことと「自分のことは自分でする」ことでした。しかし、男子であるワタシは、自分のコドモだけは人に迷惑をかけて産んでもらわなければならないわけで、これは残念なことだと思っていました。本作を読んで、あらためてこのことを思い出しました。
清子と夫そして三ヶ月後に23人の日本人の若者が漂着、その後中国人集団も加わる無人島生活のなかで、ただ一人の女性である清子を中心に物語はめぐり、あらたに漂着したフィリピン人女性達の助けを借りて、だれが父親か判然としない双子の男女を出産・・そして脱出(または残留)と、テンポ良くお話はすすみます。
清子の夫・隆以外の若者の、漂着以前の心象風景のほうにキリノ流のリアリティーを感じます。この、ろくでもない登場人物たちを通して語られるひとつひとつのエピソードの描写は、さすがストーリーテラー・キリノと唸らされますが、無人島を舞台とした新たな「国生みの物語」とするには、全体を通しての印象は散漫です。章によって語り手や目線があざやかに切り替わるのがキリノさんの流儀で、本編でもいかんなく発揮されている・・といいたいのですが、初出から三年という執筆期間の中で目線を追うカメラのレンズに微妙なぶれがおきてしまったのでは・・と考えると残念です。「OUT」や「グロテスク」など精緻に組み立てられた「痛い世界」・黒キリノを期待して本作を手にいたしました。しかし、舞台が日本最西端の与那国島のさらにかなたの無人島(東京島)という設定なので、すべてのエピソードは象徴的な隠喩に満ちたオトナのおとぎ話になります(∴いたくない・・無痛キリノ)。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362
No.3
(3pt)

無痛キリノ・・・

小学校の朝礼で校長先生からはじめて教わったのは、
「人に迷惑をかけない」ことと「自分のことは自分でする」ことでした。しかし、男子であるワタシは、自分のコドモだけは人に迷惑をかけて産んでもらわなければならないわけで、これは残念なことだと思っていました。本作を読んで、あらためてこのことを思い出しました。
清子と夫そして三ヶ月後に23人の日本人の若者が漂着、その後中国人集団も加わる無人島生活のなかで、ただ一人の女性である清子を中心に物語はめぐり、あらたに漂着したフィリピン人女性達の助けを借りて、だれが父親か判然としない双子の男女を出産・・そして脱出(または残留)と、テンポ良くお話はすすみます。
清子の夫・隆以外の若者の、漂着以前の心象風景のほうにキリノ流のリアリティーを感じます。この、ろくでもない登場人物たちを通して語られるひとつひとつのエピソードの描写は、さすがストーリーテラー・キリノと唸らされますが、無人島を舞台とした新たな「国生みの物語」とするには、全体を通しての印象は散漫です。章によって語り手や目線があざやかに切り替わるのがキリノさんの流儀で、本編でもいかんなく発揮されている・・といいたいのですが、初出から三年という執筆期間の中で目線を追うカメラのレンズに微妙なぶれがおきてしまったのでは・・と考えると残念です。「OUT」や「グロテスク」など精緻に組み立てられた「痛い世界」・黒キリノを期待して本作を手にいたしました。しかし、舞台が日本最西端の与那国島のさらにかなたの無人島(東京島)という設定なので、すべてのエピソードは象徴的な隠喩に満ちたオトナのおとぎ話になります(∴いたくない・・無痛キリノ)。
東京島 Amazon書評・レビュー: 東京島より
4104667021
No.2
(2pt)

できの悪い『ロビンソン・クルーソー』変奏曲

『ロビンソン・クルーソー』の設定は、その後の文学史においてもヴェルヌの『十五少年漂流記』、ゴールディングの『蝿の王』のほかいくつもあった。それに連なる現代日本の人気作家の最新作。
クルーソー的設定に『女の平和』を加味した按配で、徹底的に手段と化する「性」の直接性が新味を与えているとはいえるが、漂着した無人島という小説上の「実験室」を設えたにしては、結局それも「古典的舞台」であり通俗的の感は免れない。
だいたい、批評家も読者もこの作家を評価し過ぎではないかと常々考えていたが、朝日新聞の「文芸時評」では例によって斉藤美奈子が「国家や市場経済の起源を考えさせる」とまで書いているが、これは本気で言っているのか? 最近、斉藤はどうしたのだろう?
ロビンソンのパロディではミッシェル・トゥルニエのものが一頭地抜け出ているという記憶がある。これは当初『フライデー、または野生生活』というタイトルで岩波現代選書から出ていた。確か大江健三郎推薦だったと思う。
東京島 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 東京島 (新潮文庫)より
4101306362