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グレイラットの殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
グレイラットの殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

グレイラットの殺人の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

さらにスケールアップした、警察ミステリーの大傑作

一作ごとに評価が高まる「ワシントン・ポー」シリーズの第4作。部長刑事ポーと分析官ティリーのコンビの殺人事件捜査にMI-5とFBIが絡んでくるという、国際謀略小説のテイストが加味された本格警察ミステリーである。
貸金庫を襲った強盗団は何も盗らず、仲間の死体とネズミの置物を置いて立ち去った。その3年後、先進国首脳会議が行われる町の場末の売春宿で、首脳の搬送を委託されているヘリコプター会社の経営者が殺害され、政治的テロを警戒した英国政府はMI-5を通じポーに捜査を命じた。首脳会議が始まるまでに解決することを要求されたポーたちはMI-5やFBIが口を挟む、難しい捜査を強いられて苦戦するのだが、売春宿の現場にもネズミの置物があり、誰かが持ち去ったことを発見、そこから捜査はアフガニスタン戦争にまで遡る戦争謀略を背景にした壮大なスケールの犯罪に直面することになる…。
貸金庫強盗と売春宿での殺人、無関係に見える二つの事件がネズミの置物から繋がって驚くべき真相が明らかになる。舞台と展開の華やかさは007ばりのスパイ・冒険小説だが、ミステリーとしての核心はデータ分析を主体とした王道の警察小説で、ポーの直感と行動力、ティリーの恐るべきITスキルが遺憾なく発揮される。フーダニット、ワイダニットは壮大かつ破綻がない構成で、クライマックスへの持っていき方も上手い。今回、フリン警部はお休みだが、ポーとティリーの奇妙なバディ関係は健在で、シリーズとしての円熟度はますます高まっている。
700ページを超える長編だが、中だるみなく読み進められる傑作であり、シリーズ愛読者はもちろん、警察小説ファンに自信を持ってオススメする。

iisan
927253Y1

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