■スポンサードリンク


ロスト・アイデンティティ



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ロスト・アイデンティティ (ハーパーBOOKS)

ロスト・アイデンティティの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

背景は重いが、ストーリー展開は軽快

パキスタン系英国人作家のデビュー作。MWA賞やCWA賞にノミネートされるなど、英語圏では高く評価された社会性・時代性を色濃く反映したエンターテイメント・サスペンスである。
ロンドンのムスリム・コミュニティーで育ったジェイは酒も肉食もギャンブルもやり、小遣い稼ぎにドラッグの売人もやるという、ヤンチャな若者だった。それでもムスリムのアイデンティティはあり、自分が通うモスクが差別主義者に荒らされると、報復として白人たちを襲撃したのだが、その襲撃のどさくさに紛れ、ドラッグと売上金を積んだ愛車を盗まれ、さらに、ドラッグ密売容疑で逮捕された。窮地に陥ったジェイの前に現れたのがMI5の局員で、MI5のエージェントになりイスラム過激組織の動向を探れば、司法取引で無罪にしてやるという。他の選択肢がないジェイは申し出を受け、ムスリム・コミュニティーに潜むテロ組織に接近していく…。
イギリスの移民社会の閉塞感、ムスリムに対する偏見、ホームグローン・テロ対策の難しさなど、極めて現代的で重いバックグラウンドを持つ作品だが、主人公のキャラをはじめ、周囲の人物やエピソードが明るく、軽やかで、物語全体のテイストはユーモラスである。ポリティカル・サスペンスというより、アクション・コメディかつチャラい若者の成長物語である。
イギリス社会の現状を描いたエンターテイメント作品として、幅広いジャンルの読者にオススメしたい。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!