ロスト・アイデンティティ
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
パキスタン系英国人作家のデビュー作。MWA賞やCWA賞にノミネートされるなど、英語圏では高く評価された社会性・時代性を色濃く反映したエンターテイメント・サスペンスである。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本を読む前にジェフリー・アーチャーの本を読んだのですが、どうもしっくりきませんでした。 アーチャー氏の本は読みやすく、何冊も読んでいるのですが、白人中心の世界でスノッブ感が満載で鼻に着く、予定調和的でワンパターンな内容に飽きてきていました。特に、この何十年の間に英国の人種の構成も変わってきているので、時代に合わない内容が多くなってきていると感じました。 あまり英国からのワクワク・満足する小説に出会えないなあ、と思ったのですが、久々にこの小説はおもしろかったです。 マイノリティながらも徐々に社会に溶け込んでいるイスラム教徒の視点から、英系イスラム系以外の人が知らないこと、感じたことがないことが分かりやすく描かれています。 しかも、章が比較的短く区切られているので、話がダラダラしていないのも良かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前半はムスリム青年の日常が描写される。やや、退屈に思えるところもあるが、後半は一気に読ませる。ターニングポイントは、メロン(果物)の登場あたりからだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
イギリス在住の作者クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。 主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。 本書はそうした環境下で、青春小説、成長小説としての基盤を持ちながら、大枠ではイスラム・テロを主題として扱ってゆく。ジェイは独りになった途端、麻薬の元締めに追われ危機を迎え、MI5のテロ対策室メンバーから唐突なスカウトを受ける。 そう。これは青春小説であると同時に、スパイ小説でもあり、最後は大掛かりなテロ計画とそれを阻止しようと動くMI5や、その中心になぜか巻き込まれてしまったジェイを描く壮大な冒険小説でもあるのだ。平凡な警察小説でもミステリーでもなく、今時珍しいれっきとしたスパイ・アドベンチャー・アクション! 最初に言うべきだったが、本書は、ひとたびストーリーに入り込むとなかなか読みやめることができなくなる超面白本である。 ハイテンポな描写力。見知らぬ情報世界の闇の深さ。テロの裏側へのスリリングかつ初心者主人公による潜入の奇抜さ。警官やテロリストであるご近所の友人たちとの駆け引き。そして主軸となるテロ計画への導線と時間単位での息を飲むその結末。それら、スケールある題材やアクションを、離れた第三者視点の中に、二十代の若者の視点を交えながら描き切っているところが秀逸なのだ。 面白いのは、ある部分はジェイの一人称で、ソフトかつ時にはユーモラスな視点で移民たちの文化、家族の歴史を綴ってゆく部分。それとは逆に、三人称で描かれるMI5を含めた大人たちの側からは、ジェイの勧誘に至る経緯や、テロの実行に至るスピーディな流れが、物語に変則的なリズムを与える。ジェイの内と外と、まさに両側から描かれる立体感である。どうにも緊張と面白さに震えるこの最終部分がたまらない。 さらにラストのラストは、ショッキングだが、あとがきを見てなお唖然! ネタバレに触れそうなので言えません。ここでは、次作の翻訳も決まっているとのこと、その作品への期待感と強い好奇心とをお伝えできれば、と思う。 ☆もう一つ気になる視点からのレビューを以下に追加します! おかしいかもしれないが、ぼくの印象では、主人公ジャヴィド(ジェイ)・カシームは、ムスリム版『傷だらけの天使』木暮修である。舞台は英国。イスラム過激派のテロ組織という、木暮修には荷が重いくらいの相手だが、彼を起用するのはジェイムズ・ボンドが在籍したMI5。世界中で一番有名なスパイアクションの胴元なのだ。 そうなるとスケールとしては『傷だらけの天使』よりずっと大掛かりじゃないか、との声が聴こえてきそうだ。しかし、そうでもない。主人公は、大人になり切れていない不幸な家庭の一人息子だ。でも愛の対象であるママはどんな形であれ存在しているのは、木暮修よりずっと有利に働く。でも彼が生業としているドラッグ売人は木暮修の探偵助手という職業より、ずっとずっと腐敗していて、かつ危険だ。 何も『傷だらけの天使』と比較しなくても良いのだろうけれど、読むにつれますます比較したくなってくる。きちんとした将来が見据えられない青春の時代、傷ついた心が求める何ものかを、利用する誰かがいて、利用される若い主人公はすべての傷を負い、叫ばざるを得ない。そうした環境自体が両方の作品を印象として繋ぐのだ。そして愛せる。ここは重要ではないだろうか? 両作品に通停する魅力の在処として。如何? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ハウンズロウをいう街で、しがない売人をしているノリの軽い男ジェイ。 とある任務を帯びてイスラムのモスクに潜入し、次第にある計画の核心に迫っていく。 イギリス人とパキスタン人、という2つのアイデンティティに引き裂かれながら、苦悩に満ちた作戦の行きつく先は・・・というストーリー。 序盤から中盤はコメディタッチや軽妙洒脱なセリフ回しもあって笑いながら読めるのですが、後半になってジェイの苦悩が深まるにつれ、読者もきっとジェイと同じく悩むことになると思います。 人生の不条理さをコメディ要素で包みつつ、サスペンス要素も忘れない。 登場人物もキャラが立っているし、最後の最後まで凄い展開が続きます。 海外では続編も出ているようなので是非読みたいですね。 ハーパーコリンズさんは、早川書房に次いで、最近良いアクション・サスペンス小説を出してくれているのでうれしいです。 「黒き荒野の果て」も非常に面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
30年以上連絡がとれなかった方から突然の小包が届きました。 中身はこの本。 ご自分が訳をしたとのこと。 添えられた便箋を読み、あの頃を思い出し色々と溢れてくるものがありました。 これから読みます、きっと面白いと思います! ※中身のことじゃなくてすみません(^^; | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 8件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|