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陰獣



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陰獣の評価: 7.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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No.1:
(8pt)

初期乱歩の集大成的作品

一年以上の断筆期間を経て発表された本作は乱歩御大の代表作の一つであると同時に、これまでの乱歩の集大成的作品でもあります。
この作品の後にも『孤島の鬼』や『少年探偵団シリーズ』など数々の有名作は生み出されており、彼の創作史全体を通せばむしろまだ初期の部類の作品にはなるのですが、それでもここで乱歩はこれまでの作家としての自分の総決算的な意味を込めてこの作品を書いた、一つの区切りとなっている作品なのは間違いないと思います。

まずこの作品は乱歩本人がモデルと思われる二人の作家が話の主役となります。
この二人の作家は表面的な性格や作風は対照的なのですが、どこかお互いに意識しあう、まさに乱歩の二面性が表現されている気がします。
なお、話の主軸となる作家二人が乱歩がモデルというのは読者が抱く印象であり、乱歩本人はあくまで自身がモデルなのは奇妙な作風で人間嫌いの春泥の方のみで、本人も作風も常識的な語り手である寒川は甲賀三郎氏がモデルとしているようですが、私はどちらかと言うと、作品の世界から離れた乱歩は社交的な常識人であり、春泥のような異常性に惹かれている(あくまで本人は正常)のが彼だったのではないかと思います。

さらにこの作品は『屋根裏の散歩者』『パノラマ島奇談』『二銭銅貨』などの乱歩のこれまでの代表作のセルフオマージュなどがふんだんに用いられているので、これらの作品を先に読んでいた方が楽しめることは請け合いでしょう。

こうした乱歩のこれまでの集大成となった作品は、さすが数ある彼の作品の中でも代表作の一つに選ばれているだけあり高いクオリティを持っており、終始飽きさせない展開と今日までの日本の推理小説に大きな影響を与えただろう衝撃的な結末が用意されています。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
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