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(短編集)

少女を殺す100の方法



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【この小説が収録されている参考書籍】
少女を殺す100の方法
少女を殺す100の方法 (光文社文庫)

少女を殺す100の方法の評価: 4.50/10点 レビュー 2件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt

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No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

少女を殺す100の方法の感想

うーん。これは評価に悩ましい本ですね。
著者の『鬼畜系特殊設定パズラー』という路線での作品作りはとても期待しております。出版社の売り出し方なのかもしれませんが、グロ系の異質な状況における本格ミステリ作品はなかなか出会えないので今後も続けてもらいたい所であるのです。
そんな中での感想となりますが、否定というより応援の気持ちを込めて色々思う所を書きます。

グロ系の話については問題なく好みに入ります。ぐちゃぐちゃなホラーも読むのでその設定で評価を下げる事はないという所を伝えた上で、本書のグロ表現は単語集に感じました。デビュー作の『人間の顔は食べづらい』の時も感じたのですが、グロい言葉を使うだけで、感情や五感に響かないのですよね。血飛沫やら内臓やら性器やらウ〇コやらの気分を害しそうな単語が頻繁にでるのですが、何も感じません。ホラー作品のグロ表現では、匂いだったり、痛さだったり、ねっとりした皮膚感覚だったり、読者に感覚を想像させて吐き気を催すような文章表現を感じますが本作にはないです。あえて気持ち悪さを削っているのかもしれませんが、そしたらグロ表現はノイズに感じます。グロい所にミステリ仕掛けの意味があればよいですがそういう事もないので作品スタイルの強みが弱く感じてしまいます。もっと目を背けたくなるような表現で鬼畜を表し、だけど本格ミステリの刺激が癖になる。そんな個性を強みとして持ってもらいたいと思いました。

本格ミステリ要素について。本書の中では『少女ミキサー』『「少女」殺人事件』が楽しく読めました。『「少女」殺人事件』は面白いですけど、ネタ集の部類なので短編らしいな。と思う所であります。

タイトルについてですが中身と合っていません。
100の方法を感じるハウダニット作品に感じますが違います。各短編での被害者の合計が100人な話です。で、100人や20人の必然性がないので、商業的戦略で大量殺人にして、100の数を使ったタイトルにしたかと思ってしまいます。どんな方法だろう?思いながら本書を手に取るわけですが、その期待の内容が中には描かれていないので残念な読後感になってしまいます。
まぁ、出版事情として手に取ってもらえる切っ掛け作りや売れれば正義で大事な所なのですが、期待するものと中身が違うと評判は悪くなり今後に響くのではないでしょうか。余計な心配なのですが、なんか残念な気持ちをとても受けました。

総じて、本格ミステリとしての仕掛けの設定は面白いです。
ただ『特殊設定パズラー』だと多くの作家がいるので埋もれる。そこで『鬼畜系』を加えていて個性を作っているわけなので、その内容がよりよくなる今後を期待します。

egut
T4OQ1KM0

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