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バーにかかってきた電話



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バーにかかってきた電話の評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ススキノ・エレジー

ススキノ探偵シリーズ第2作目。映画化された『探偵はBARにいる』第1作の原作が本書である。

正直1作目は何とも調子に乗った、おちゃらけ気味の主人公<俺>の独特な台詞回しに若書きの三文芝居といった酷評を挙げたが、あれから11年経ったことで私の中で何かが変わったのか、それとも免疫ができたのか、今回はさほど気にならなかった。
いや勿論所々演出過剰気味の云い回しは本書でも散見されるが、<俺>を一度体験した後ではこの斜に構えることでいっぱしのタフガイを気取る若気の至り的態度に対してどうやら寛容に捉えられるようになったらしい。

また本書の物語が実にミステリアスに進むことも以前よりも抵抗なく読み進む理由の一つとして挙げられる。
コンドウキョウコとだけ名乗る女性から10万円が口座に振り込まれて依頼されるのは何とも奇妙な物ばかり。ある人に会って○月○日に誰かはどこにいたかを尋ねろとか誰かを喫茶店に呼び出してその時の態度を見てほしいといった掴みどころのない依頼だ。

しかし最初の依頼でなんと主人公の俺は電車のホームから突き落とされ、危うく死にそうになる。更に調べていくうちに1年前の不審火の火災事故で近藤京子という女性が死んでいることに気付く、といった具合に次から次へと謎が連続し、それがページを繰らせるのだ。

そしてストーリーが進むうちに見えてくるのは右翼団体とやくざの関係。更にそこから立ち上る霧島敏夫という男性のいたたまれない死。

また本書で映画で良き相棒を務めた北大の大学院生で空手の達人高田が登場する。バーを根城にススキノの夜を西へ東へ、そこに住まう人々の便利屋稼業をやっていた<俺>が1人の卑しき騎士―というよりも未熟なタフガイと云った方が正解か―から、1人の背中を預けられる相棒を得たバディ物へ転換する。
この方向転換は率直に云って成功している。前作で抱いた<俺>に対する嫌悪感が高田の存在で和らぎ、寧ろススキノのトラブル請負人の2人を応援したくなるのだ。
小説はキャラクターだと最近大沢在昌氏はインタビューで応えていたが、まさにそれを具現化したような好例である。

そう、本書の特徴はキャラクター造形に秀でたところにある。特に霧島敏夫という人物は印象的だ。

彼は直接的には物語に登場しない。拉致されそうになった女性を救おうとして暴走族たちに立ち向かい、逆に返り討ちに遭って命を落とす60前のこの男は物語の時間では既に存在しておらず、<俺>が関係者の話を聞いていくうちにその肖像が出来てくる。その手際は実に見事。

そして最後に忘れてならないのは沙織という女性だ。

誰からも愛されたい人もいれば、たった1人、自分を愛してくれる人がいれば、他がどう思っても構わないと思う人もいる。沙織は後者の女だ。

誰もが振り向き、自分の女にしたいと思わせる容姿と雰囲気を漂わせ、それを自覚し、女の武器として使うことを厭わないこの女性。
しかしそのような外見は両刃の剣で、逆に周囲の嫉妬を買い、敵を作りやすい。沙織はまさにそんな女だった。

しかし彼女にはそれを苦にしない拠り所があった。それが霧島敏夫という男だったのだ。

日本で最も北に位置すると云っても過言ではない繁華街ススキノ。そこでは人知れずこんなドラマが起こっている。
北海道を愛し、そして専らススキノを愛する作者はそれを青臭くもセンチメンタルに描く。
第1作目を読んだ時はこの作者の作品を読むのに躊躇いを覚えたが、そんな懸念はこの2作目で払拭された。

またいつか作者の描くススキノを訪れよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

古典的ハ-ドボイルド

映画原作との事。
シリ-ズもの2作目。1作目を読んでいるので、すんなり入り込めた。
が、あいかわらず主人公が好きになれない。
ただ、1作目より数段面白い。
死んだはずの女からの電話で話が展開していく。
古き良きハ-ドボイルドの典型の感。
電話の女の正体を知った時、純粋な悲しさがそこにはある。

タカタソン
HU0OGV5Q

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