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セプテンバー・ラプソディ



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【この小説が収録されている参考書籍】
セプテンバー・ラプソディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

セプテンバー・ラプソディの評価: 8.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

シリーズ史上最強の敵と戦うヴィク

シカゴの女性探偵V.I.ウォーショースキー・シリーズの16作目。前作「ナイト・ストーム」を越えるボリュームで読み応え満点の力作である。
親友のロティから「知り合いの女性ジュディを捜して、助けてやって」という依頼を受けたヴィクは、ジュディがいるはずの田舎町に出かけたが、銃殺された男の死体を発見しただけで、ジュディの姿はどこにもなかった。麻薬中毒でドラッグハウスを出入りするジュディに嫌悪感を抱くヴィクだったが、ロティのたっての願いでジュディの行方を探し始めた。すると、第二次世界大戦前のウィーンから始まるジュディとロティの祖先の悲しい歴史と、アメリカの原水爆開発、現代の最先端企業の誕生秘話が絡み合う、壮大な嘘と裏切りのドラマが見えて来た。
50代になっても少しも変わらない情熱で世の不正義に立ち向かうヴィクが今回相手にするのは、なんとテロ対策に躍起となっている国土安全保障省と巨大IT企業のタッグ。資力、権力、情報力など全てにおいて圧倒的な差がある難敵に対し、一歩も引かないヴィクの激闘が読者のハートを熱くする。それにしても、テロ対策の一言で基本的人権を全て無視する行政機関の横暴と、あらゆるネット情報を監視して個人情報を盗み取る巨大IT企業の図々しさには、ヴィクならずとも腸が煮えくり返る思いがするが、同じことが日本でも起きる可能性が高い(すでに起きている)ことを考えると、とてもアメリカのフィクションとして読み流すわけにはいかなかった。
とは言え、社会派エンターテイメントとしても一流の仕上がり。シリーズでおなじみの周辺人物&犬たちも健在で、読者の期待に応えてくれる。すでに完成しているという次作の登場が待ち遠しい。

iisan
927253Y1
No.1:
(8pt)

セプテンバー・ラプソディの感想

シリーズも16作目、50代になってもヴィクは健在です。
ロティの診療所にかかってきた『助けて』と言う電話でヴィクは麻薬中毒のジュディ・バインダーの様子を見に行くが、現場である田舎の家は荒れ果てていて本人はおらず、近くのとうもろこし畑で男性の遺体を見つけてしまう。ジュディの母親でロティとは幼馴染であるケーテ・バインダーのところへ話を聞きに行くが、そこでジュディの息子であるマーティンも行方不明であることを知り、マーティンの捜索を依頼される。

人探しから始まった事件が、ロティのこども時代の頃のオーストリアでの出来事に端を発した壮大な物語となり、読み応え十分です。
それにしてもロティといいコントレーラス老人といい、かなりの高齢だと思うのに本当に元気です。
ホロコーストの悲惨さと、ナチ党員でありながら原子力開発のためにアメリカに招聘され、罪の追及をなおざりにしてきたアメリカ政府の計算高さはホロコーストの犠牲者にとっては納得できないことばかりだろうと感じます。
日本でも大戦中の人体実験をデータを渡すことの見返りに罪を不問にされた医師たちがいたようですが、被害者にとってはどんな風に感じられているのかと思ってしまいます。

社会的な問題・・・特に権力を持つもの達に一歩もひかず戦い続けるヴィクにはいつまでも頑張ってもらいたいです。

たこやき
VQDQXTP1

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